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第269話 丸投げして恩を売っちゃいましょうか

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 中国に帰っていたシュアンさん達は、色々と整理が終わったらしく、今日からクレセント本部に住むことになった。


 昼間はソフィアさん達やアリーシャさん達の様に、母国でダンジョン探索をし、夕方頃に僕が迎えに行くことになる。


 早速、シュアンさん達にもエスケープクリスタルの事を説明することにした。


 夕食時に全員揃ったので、発表すると全員が驚いていた。



「うひゃ~ また、えらいもん作ったもんやな~」×コトエ


「でも、それがあれば、ボス戦の死亡率が格段に下がるわ」×ユウカ


「流石と言うか、また凄い物見つけたのね」×ソフィア


「まあ、作ったのは、セツナさんなんですけどね」


「うはーーー!」×全員


「ナハハ、そんなに感心しないでくれたまえ」×セツナ


「久しぶりに帰ってきたら、また驚かされるわね」×シュアン


「それって、私達の国にも回してくれるのかな?」×アリーシャ


「はい、もちろん。全国に格安で普及しようと思ってます」


「お~ パチパチパチ♪」



 皆は拍手で称えてくれたので、僕は照れ笑いしながら話を続ける。


 僕が事前に考えてた、お願い事を皆に伝えると全員快く引き受けてくれた。



「そんなの協力するに決まってるよ。だって、私達もボス戦しやすくなるんだもの」×リッカ


「そうですね、是非シドニーにも普及していただきたいですし」×ナタリー


「でっ! 販売元は決めたの?」×アヤメ


「それなんですけど、販売先は各ギルドになるでしょうけど、販売元の方は大阪ギルドもサラリーマンのとこも忙しそうなんですよね」


「あ~ 大阪ギルドはオークションで忙しいもんね、これ以上仕事持ってったら過労死しちゃうか」×ナギサ


「サラリーマンさんとこも、ポーション類や武器防具と手広くやってるもんね~」×ノノ


「それでしたら、リッカさん達の元職場である、ダンジョン攻略部隊は如何ですか?」×リラ


「ええっ!」×リッカ達


「何よりダンジョン攻略も行き詰っているでしょうから、この話しを持っていけば喜ばれるかと。


人数もおりますし、ステータスを上げている者も多いので魔力も十分あるでしょう。


それに、大きな組織に恩も売るのも悪くはないかと」


「リラ。悪い笑顔になってる」×ツドイ


「フフ、そんな事ありませんよ♪」×リラ


「あはは、それナイスな案ですね。たっぷり、恩を売りに行きましょうか」


「うはー、幕僚長大変だ~」×リッカ


「でもよ、ダンジョン攻略部隊の功績にもなるし、絶対喜ぶって」×アズサ


「うふふ、慌てる松田隊長の顔が、目に浮かぶわ」×マイ


「もう、皆悪いんだから~」×ナナエ


「とりあえず、私達で検証が終わってからだよね?」×シノブ


「はい、ある程度調べ終わったら情報ごと、ダンジョン攻略部隊に丸投げしようかと」


「ヨウ君も悪い人ね~♪」×キョウコ


「あはは、僕達はダンジョン攻略に忙しいですから?」


「ヨウ君が、ダンジョンに行きたいだけでしょ?」×アヤメ


「分かります?」


「分かりやす過ぎますー」×ナギサ


「あはははは♪」×全員


「しかし、セツナには毎回驚かされるわね、一体どんな頭してるのかしら?」×アヤメ


「ナハハ、そう言えば、新しいの作ったんだよね~♪」×セツナ


「はああ?」×全員


「聞きたい? ねえ聞きたい?」


「・・・・・・・・・」×全員


「まさか、とんでもない物じゃないでしょうね?」


「ん~ そうでもないかも?」


「ホッ!」×全員


「あれあれ~ 私の事、誤解してないかな?」


「あのね~ 今日、あっさりとエスケープクリスタル作った人が、何を言ってるの?」×ナギサ


「ナハハ、あんなの作った内に入らないし?」


「・・・一応、聞いてみる?」×ツドイ


「フフ、選択肢はありませんね」×リラ


「ちょっと、怖いんだけど?」×ノノ


「では、セツナさんお願いします」


「ではでは~♪」



 ゴクッ! ×全員



「じゃじゃーん、『魔動力装置』だよーーー!」


「へっ?」×全員


「最初はさー、魔力を電気に変換する事を考えてたんだけどね。めんどくさくなってさ、魔力を直接動力にしたんだよね~」


「あ、あのさ、もう少し分かり易く言ってよ?」×アヤメ


「えっとね~ この『魔動力装置』があれば、このちっちゃい魔石1つで車なら1カ月ぐらい走れるかも? 冷蔵庫なら2年ぐらい持つかな~ 簡単に言うと、ガソリンや電気に変わる、魔力エネルギー装置を作ったんだよ」


「はあああああああああああああああああああああああ?」×全員


「全然、そうでもない事ないじゃない?」


「ナハハ、照れますね~♪」


「・・・ひょっとして、凄いのかな?」


「ヨウ様、今の話しが本当なら、恐ろしいぐらいの低コストクリーンエネルギーになります。おそらく、全国民がガソリンや電気を使わない生活になるかと」


「あ~ ちなみに魔石じゃなくてゴーレムコアを使うと、私達なら補給できちゃうからフリーエネルギーだったりして? まあ<魔石>スキルがあるから、どっちにしてもフリーエネルギーかな~」


「かはっ!」×全員


「ま、また、とんでもない物を簡単に作っちゃってー、世界が引っ繰り返るわよ?」×アヤメ


「フフ、電力・ガス会社と石油関連会社が軒並み倒産しますね」×リラ


「だ、駄目じゃない?」×全員


「しかし、原子力発電やオゾン層破壊による危険性も、一気に解決しますね?」×ナタリー


「あはは、本当に此処は、とんでもないな♪」×ソヒョン


「笑いごとじゃないよー」×テユン


「とりあえず、そっちの方はジックリと検討してからですね」


「そうね、いっその事忘れちゃいたいぐらいよ?」×アヤメ


「セツナも、ヨウ君に似て来たわね?」×ナギサ


「ちょっと、それは言い過ぎじゃないかと思うんだけど?」×セツナ


「ちょっと待ってください! 僕は決定みたいじゃないですか?」


「どっちもどっち? あっ! 嘘、ごめん冗談!」×ツドイ


「もう遅いですー」


「にゃああああああ!」


「あはははは♪」×全員



 この日の翌日から、クレセントメンバー全員で、エスケープクリスタルの検証と制作に取り掛かった。


 皆の協力もあって、昼頃には大体の検証を終えることが出来た。


 どうやら、エスケープクリスタルは何処でも使えるわけではなく、名前の通りボス部屋の様な閉鎖された空間でしか使えないらしい。


 使用すると、同階層の転送クリスタルまで転送されるようだ。


 消費アイテムであり、使用すると消えてなくなる。


 使用人数制限は6人で、ボス部屋で問題無く使う事が出来た。


 つまり、上級ダンジョンで3パーティ居たとしたら、各パーティが1つ使えば全員脱出できる。


 1日の制限回数も無いようだ、一応1日に10回程使ってみたが、問題なく使う事が出来た。


 色々なダンジョンでも使用し、海外のダンジョンでも使う事が出来た。


 嬉しい事に世界中のダンジョンでも、無色のクリスタルがドロップするらしくダンジョン攻略部隊には頑張って普及して貰うことにしよう。


 一通りの検証が終わったので、早速リッカさん達と東京にあるダンジョン攻略部隊に話を持っていくことにした。


 リッカさんが事前に電話連絡してくれると、少し驚かれたそうだ。


 本郷幕僚長さんも立ち会える様なので、以前の様に変な人物は避けてくれるだろう。


 東京に借りている部屋へ<転移魔法>で一瞬で移動し、車で向かう事にした。


 久しぶりにダンジョン攻略部隊の門兵さんに顔を見せると、直ぐに松田隊長さんが出迎えてくれた。



「こんにちわ~」


「ようこそ、三日月君」×松田隊長


「松田隊長、お久しぶりです♪」×リッカ


「おいおい、もう隊長と呼ばなくても良いだろう?」


「うふふ、部隊を止めても松田さんなんて呼べませんよ?」


「こらこら、まるで俺が怖がられてるように聞こえるじゃないか?」


「えっ?」×リッカさん達


「おい?」


「うふふ、冗談ですよ」


「全く・・・本郷社長が待っているから案内しよう」


「ありがとうございます」



 僕達は松田隊長の後に着いて行くと、相変わらず道場では稽古をしている。


 僕は興味津々に窓から道場を覗き込むと、見知った顔がいる。



「あっ! 確か田中さんと高橋さん?」


「「げっ! み、三日月陽!」」


「フフ、呼び捨てですか? どうやら、また固まりたいようですね?」×リラ


「フフ~ それとも、模擬戦の方が良いのかな?」×ノノ


「「す、すまん! 許してくれ!」」


「あはは、そんなに真剣に謝らなくても良いですけど、『げっ!』は無いでしょ?」


「悪かった! 悪気はないんだ勘弁してくれ」


「それにしても、なんで此処に?」


「ちょっと、本郷さんに用事があって会いに来たんですよー、2人も聞きたいですか?」


「「勘弁してくれ!」」



「お、おい、あの鬼教官達が恐縮してるぞ。何者だ?」×隊員達


「どう見ても、子供にしか見えねえんだが?」


「それより、後ろの女性達見てみろよ?」


「うはっ! なんだありゃ? どこの別嬪さんなんだよ」


「えっ! あれ、リッカ達じゃない?」


「うおっ! 本当だ! リッカ達だ」


「うふふ、皆久しぶりだね~」×リッカ


「本当に久しぶりだね、皆大阪に行ったんでしょ? 元気にしてた?」


「皆、元気過ぎるぐらい元気だよー」×マイ


「ねーねー、やっぱり大阪の冒険者って凄いの?」


「ああ、化物の巣窟みたいだぞ?」×アズサ



 アヤメさん達の首がグリンっと動き、アズサさんに注目した。



「あっ! け、決して、アヤメさん達の事ではありませんサー」×アズサ


「んふふ、そう言えば貴女達と、しばらく模擬戦してなかったっけ?」×ナギサ


「イイッ!」×リッカさん達


「ば、馬鹿! アズサ、私達まで巻き込まないでよ?」×シノブ


「コチョコチョ拷問1時間の方が良いかな?」×ツドイ


「ご、誤解でありますサー、死んじゃいますサー」


「うわ~ 暴れん坊のアズサが畏まってる?」


「まさか、あの凄く綺麗な人って、化物みたいに強いの?」


「だ、駄目だよ、変な事言っちゃ死んじゃうよ?


あっ・・・」×ナナエ


「ギルティー♪」×アヤメさん達


「キャアアアアア!!!!!」×リッカさん達



 リッカさん達は、直ぐにアヤメさん達に捕まり、擽られていた。


 皆、涙目になる頃、ようやく解放されたようだ。


 松田隊長は呆れながらも、何も言わずに待っていてくれた。


 流石に悪いと思って、大人しく付いて行くことにした。



「・・・あの教官、彼等は?」


「なんだよ、お前等初めて会ったのか?」


「はい、あんな綺麗な人見たなら忘れませんって」


「いいか良く聞け。彼奴等は俺が知る中で最強の冒険者だ! 絶対に逆らうんじゃねえ」


「ええっ?」


「あんな可愛い少年と美人達がですか?」


「綺麗な薔薇には棘があるって言うが、彼奴等は猛毒だと思った方が良いな」


「猛毒? そんな可愛いもんじゃねえよ、俺は核爆弾持ってても勝てる気がしねえ」


「ほ、本気で言ってるんですか?」


「何時も言ってるが、見た目で強さを判断するんじゃねえ。可愛いとか綺麗なもんは一等危ないんだよ?」


「リッカ達って、そんな危険な人達と一緒に居るんですか?」


「リッカ達は何か気に入られたみたいだな。まあ、そのお陰でダンジョン攻略部隊も仲良くして貰ってるみたいなもんだ」


「いいか? 間違ってもリッカ達に彼奴等の事は聞くなよ?


明日も、生きていたいならな」


「・・・・・・・」×隊員達


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 僕達は以前にも来た社長室に入ると、模様替えしたのか少し豪華な作りになっていた。


 本郷幕僚長は僕達に歩み寄り挨拶をしてくれるみたいだ。



「やあ、久しぶりだね。リッカ達も元気そうでなによりだ」×本郷


「こんにちわ、急な来訪で、すみませんです」


「お久しぶりです。本郷幕僚長」×リッカさん達


「なに構わんよ、それに元幕僚長なんだがね?」


「うふふ、社長って呼び辛いですね?」


「わはは、さあ座ってくれたまえ」



 僕達は豪華なソファーに腰掛け、コーヒーまで出してくれたので遠慮なくよばれることにした。


 僕はキョロキョロと周りを見ていると、本郷社長は苦笑しながら声を掛けてくれた。



「気に入ってくれただろうか?」


「はい、良い感じの部屋ですね~」


「わはは、ワシはあまり豪華だと落ち着かんのだがね、来客の為に変えてみたのだ。先にSSランクおめでとうと言っておこうか」


「耳が早いですね~」


「わはは、つくづく君達と仲良くしておいて良かったと思ったよ。まあリッカ君達のお陰でもあるがね」


「そんな! 私達は自分の意思で行動しましたから、逆に申し訳ないぐらいです」×リッカ


「私達がスパイとして送り込んだと誤解されないか心配だったが、大丈夫なようだね?」


「大丈夫ですよ。僕達に嘘なんてつけませんから」


「いやはや、怖い事を簡単に言うね」


「あはは♪」


「ところで、今日は、良い話しか悪い話し、どっちかね?」


「あはは、もちろん、良い話しですよ?」


「ほほう」


「じゃ、時間も勿体ないし本題に入りますね。まずは、これを見て貰えますか?」



 僕はエスケープクリスタルを<虚空界>から取り出し、テーブルに置いた。



「青いクリスタル? 悪いが<鑑定>スキルは持ち合わせていなくてね?」


「これは、エスケープクリスタルって言うんですよ。簡単に言うとボス部屋から脱出するアイテムです」


「なんとっ!


そんな便利なアイテムがあったとは・・・まさか、そんな貴重なアイテムを譲ってくれるということかね?」


「いえいえ、譲ると言うか、本郷さんとこに制作と販売を頼もうかなと思って来ました」


「なっ! 本気かね?」


「もちろんです!」


「それがあれば、ボス戦での危険度が格段に下がるだろう、ボスの情報も取得しやすくなり、攻略も捗るのが容易に想像出来る。


そんな莫大な利益が出そうな物を、我々に譲ってくれると言うのかね?」


「はい、でも1つだけ条件があるんですけど」


「遠慮なく言ってくれたまえ」


「どもども、えっと格安で全国へ普及して貰いたいんですよ! 僕達の条件はそれだけです」


「わはは、なるほど。我々に頼むと言う事は、功績も丸投げと言う事かな?」


「理解が早くて助かります」


「ふむ、どう考えても、我々の利益しかない様だが?」


「ダンジョン攻略部隊が勢力拡大してくれたら、僕達もお世話になるかもしれませんし?」


「わはは、我々に対して投資すると?」


「まあ、そんな感じですかね?」


「制作方法を秘匿すれば格安で普及しても、各国に大きなアドバンテージを作ることが出来るのだが?」


「そこは結構、簡単に作れちゃうんで、どこまで秘匿出来るか分かりませんけど、そこら辺はお任せしますよ?


僕達も色々と検証してみたんで、詳しくは書類を見て貰えますか?」



 本郷さんは、僕が渡した書類を見ると直ぐに話しに戻ってくれた。



「・・・なるほど、知っていれば簡単に思えるが、制作方法を思いつくのは困難だろう?」


「形を見たら思いつくって言ってましたね~」


「わはは、どこの天才か知らんが大したものだ。格安で売るのならば1つ5千円と言ったところかね?」


「うはー、社長って計算も速いんですね?」


「ワシを誉めても何にもでんよ」


「それは残念」


「だが、この値段だと我々は兎も角、君達に渡せる売上金は微々たるものになるが?」


「僕達は要りませんよ?」


「少しでも貰って貰わないと、後が怖いのだがね?」


「あはは、たっぷり貸しときますよ?」


「やれやれ、大阪に足を向けて眠れんな」


「あっ! ちなみに矢面に立って貰うから、自衛手段としてスキルも渡しときますねー」


「それは、幾ら何でも貰えんよ?」


「ん~ 日本は兎も角、世界からも狙われるんで、やっぱり貰っといて下さい」


「・・・なかなか、脅してくれるね?」


「えっと、松田隊長も、どぞどぞ!」


「・・・やはり私も入ってたのか・・・途中から逃げ出したかったんだが?」


「わはは、運命共同体と行こうじゃないか?」


「上官命令じゃ断れないじゃ無いですか?」


「諦めたまえ!」


「えっと、<鑑定><言語理解><超回復><状態異常耐性><虚空庫><追加防御><結界>こんなもんですかね?」


「ま、待ちたまえ! 正気かね?」


「2人だけじゃ不安ですね・・・そうだ! 田中さんと高橋さんも巻き込んじゃって下さい! 4セット渡しときますね~」


「あはは、教官達、可哀想~」×リッカ


「私達を監視した罰よ?」×アヤメ


「我々も知らないスキルまであるのだが?」×松田隊長


「<超回復>とか<状態異常耐性>ですか? 死なれたら悪いですからね?」


「それがあると手足が引き千切れても治るし、青酸カリをフリカケに出来るようになりますから」


「「うはっ!」」


「・・・そんな怖い物は、食べたくないのだが?」


「あはは、まあ毒では死ねないようになりますね~」


「やれやれ、我々の予想以上に、君達は恐ろしい者だったと言う事かね?」


「探りですか?」


「前言撤回しよう!」


「返答が早いですね♪」


「このスキル全部で、どれぐらいの金額なんだ?」×松田隊長


「分かんないですね?」


「エスケープクリスタルの売上げに、拘らないのが分かったよ?」


「期待してますよ?」


「全力で頑張るしかないだろう、なるべく早く全国に普及するようにする」


「お願いします!」



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