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第264話 クレセントメンバーの底上げもしないとですね


 僕達はメイデンガーデンの帰りにダンジョンへ行き、クレセント本部に戻る。


 今日は、僕が以前から考えてた事を、皆が集まった時に話すことにした。



「えっと、ちょっと、僕から皆に提案があるんですけど?」


「・・・・・・・・」×全員


「・・・ちょっと、何でそんなに皆身構えるんですか?」


「だって、ヨウ君の提案って、なんか怖いじゃない?」×アリーシャ


「そうね・・・また、とんでもない事言いそうだし?」×ソフィア


「・・・まだ、僕を誤解してるみたいですね?」


「強ち、誤解でも無いんちゃうの?」×コトエ


「うふふ、とりあえず聞きましょうよ」×スズカ


「そうね、誤解してるかどうかは、それからね」×リッカ


「もう・・・えっとですねー、皆さんステータスカンストしてから、しばらく経つと思うんですけど、余ってるSPオーブは売っちゃってますか?」


「私達は、ストックしてるわね」×ユウカ


「私達も、ストックしてるわ」×ソフィア


「私達もよ」×アリーシャ


「ダブったスキルオーブだけ売ってるかな?」×リッカ


「私達も、ストックしてますわ」×フミ


「私達も、売ってはいません」×カンナ


「ふむふむ、じゃ皆SPオーブ持ってるんですね~」


「それが、どうかしたの?」×イスズ


「ちょっと、見てて貰って良いですか?」


「やっぱり、何か怪しくなってきたんじゃねえのか?」×ミナミ


「そんな事ないですよー、ここに2つのSPオーブがありますよね?」


「・・・ええ」×全員


「えいっ!」


「えええええええええええええええええっ?」×全員



 僕は白色のSPオーブ2つに、全く使って無かった<統合進化>スキルを使った。


 すると、白色SPオーブ2つが重なり合い、1つの黄色SPオーブに変貌を遂げた。



「い、色が変わった?」×ベッキー


「黄色のSPオーブ?」×スーザン


「そそ、実はこの黄色SPオーブって、ステータスの上限99を突破出来ちゃうんですよ」


「えええええええええええええええええええええええええええっ」×全員


「な、なんやて?」×コトエ


「そんなに驚く事ですか? 僕達はネックレスの効果でステータス3倍になってるじゃないですか?」


「ステータス99の3倍やで? 上限が上がったら、それが3倍になるやないか?」


「あはは、大丈夫ですよ♪ 黄色SPオーブの上限は300までですから?」


「そ、それでも、今の3倍のステータスになるわ」×アリーシャ


「そうよ、ステータスの平均が900になっちゃうわ」×ソフィア


「何時から、そんな事が出来る様になったのよ?」×アヤメ


「えっと、もう結構前になるんですけど、ちょっとやってみたら出来ちゃったんですよね?」


「で、出来ちゃったって・・・」×ナギサ


「ヨウ君。軽過ぎよ~~~~~」×全員


「あはは♪」


「でも、どうして今なの?」×アヤメ


「えっとですね~ 今回、ゴールドスライムで冒険者の底上げをしたじゃないですか?」


「ええ」


「だから、そろそろ、クレセントメンバーの底上げもしよっかなと思ったんですよ」


「うはーーーーー!」×全員


「ちょっと、人の領域を超えちゃうかなって、思ったんですけど。


今の全ステータス300に慣れちゃってるでしょ?


黄色SPオーブで上限になったとしても、ネックレスを外したら同じになりますからね~


皆、全ステータス300でも、ちゃんと制御して普通に生活できてるみたいだから。


それなら、良いかなって思いまして。


っと、言う訳で、これからSPオーブ集めも頑張って下さいねー


僕に渡してくれたら、黄色SPオーブにしちゃいますから」


「・・・・・・・・・」×全員


「な、なんで、僕をジト目で見るんですか?」


「やっぱり、とんでもない話しやないかーーーーー!!!!!」×コトエ


「あれ~」


「あははははは♪」×全員


「ま、また訓練しないと、色々物を壊しちゃうかもですー」×ヒメ


「そこは、少しずつ上げて慣れていくしかないわね」×アヤメ


「フフ、メイドさん達も頑張って下さいね」×リラ


「はい、私達までそんなに強くなって良いのでしょうか?」×カンナ


「にしし、ヨウ君は戦うメイドさん好きだからね~」×ナギサ


「強いメイドさんって、格好良いじゃないですか」


「ほらね♪」


「私達には、何が何だか分からないんだけど?」×シュアン


「フフ~ シュアンさん達は大変かもだね~」×ノノ


「んふふ、シュアンさん達は一度中国に戻って、帰ってきてからが良いわね」×アヤメ


「その方が安全かもね」×ツドイ


「・・・私達は、これからどうなんだよ?」×ソヒョン


「決まってるじゃない、幸せになるんだよ♪」×ナギサ



 シュアンさん達は、帰国の段取りがついたらしく、早速明日にでも中国へ帰るそうだ。


 っと言っても、直ぐに僕が日本へ連れ戻すんだけどね。



「イーノォ。ちょっと待っててね、直ぐに帰ってくるからさ」×テユン


「うん♪ 私はナタリーさんと仕事してるから安心して行ってきて」


「ナタリーさん。イーノォの事、宜しくお願いします」


「はい、私も助かっていますから、気を使わなくても結構ですよ」


「ナタリーさんも、此処の生活に慣れてきましたか?」


「うふふ、此処の生活に慣れるには、当分掛かりそうです。何から何まで素晴らしい設備ですし、スキルの訓練も大変ですから」


「でも、戦闘は良いセンスしてますよ?」×リッカ


「へえ~ ナタリーさん。リッカさんに褒められるなんて凄いじゃない?」×アヤメ


「うふふ、ステータスが上がったお陰でしょうか、身体を動かすのも楽しくなってきましたね。何よりリッカさん達の指導が素晴らしいですから」


「あはは、私達を誉めても何にも出ないよ~」


「そだそだ。リッカさん。僕、新しい技を考え付いたんだけど見て貰えます?」


「えっ?」×全員


「あれ? 僕なんか、変な事言いました?」


「い、いえ、でもヨウ君が新しい技って、なんか怖いじゃない?」×リッカ


「そんな事ないですよー」


「とりあえず、見せて貰おうかな? かなり興味あるし?」


「此処では危ないんで、適当なダンジョンの中で良いですか?」


「・・・やっぱり、ちょっと怖いんだけど?」


「あはは、念のためですよ?」


「良かったら、皆さんも見学に来ませんか?」


「行くに決まってるでしょ?」×アヤメ


「あはは、ではでは♪」



 僕はクレセントメンバー全員を引き連れて、人気の無い中級ダンジョンの地下20階へ転移した。


 相変わらず此処は、過疎化しており誰も居ない様だ。



「うんうん、此処なら大丈夫そうですね~」


「まさか、私に作らせたアレって、このためだったのか?」×ミナミ


「ピンポンピンポン! 正解です!」


「アレって、何なのよ?」×ナギサ


「見たら分かるさ」



 僕はミナミさんに頼んで作って貰った、縦横2メートルもある鋼鉄の立方体を<虚空界>から取り出した。



「鋼鉄の塊?」×ツドイ


「そです♪」


「まさか、そんなので新しい技っての試すつもりなのかな?」×リッカ


「ある程度、硬い物じゃないと分かり難いかなって思ったんですよ。


ではでは、見てて下さいね~」



 ゴクッ! ×全員



「まずは、削っちゃいます!」



 僕は右手を突き出し掌を自分に向け、リッカさんが得意とする構えをとった。


 それから、<纏衣>スキルの応用で、無属性魔法を右手に同化させていく。


 そう、魔力を纏わせるのではなく、同化させていくのが、この技のコツだ!


 その状態を維持したまま、右手で鋼鉄の立方体の角を薙ぎ払うと、スパッと切れ地面へ角が落ちていく。



「イイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!!!!!」×全員


「続いて、同じ要領で蹴りもいっちゃいますねー」



 次は足にも無属性魔法を同化させ回し蹴りを放つと、また角がスッパリと切れ落ちた。



「かはっ!」×全員


「連続でやるんで、見てて下さいね~」



 僕は連続で技を繰り出し、鋼鉄の立方体が綺麗な球体になるまで続けてやってみた。


 技を繰り出し終わる頃、鋼鉄の塊は光沢のある球体になり、我ながら良く出来たと思う。



「・・・・・・・・・・・」×全員


「こんな感じなんですけど、どうでした?」


「ど、どうでしたって、これはどう見たって削るって言うか斬ってるでしょ?」×リッカ


「あ~ そうかもですね~」


「そうかもって・・・素手で鋼鉄の塊をバターみたいに斬るなんて、幾らヨウ君でも尋常じゃないわ」


「・・・手や足に魔力を集めていたけど、身体と魔力を同化したの?」


「おお~~~ 流石リッカさん。大正解です♪」


「うはーーーーー!!!!!」×全員


「エンチャントや<纏衣>スキルの応用ですね、魔力で身体を包み込むんじゃなくて同化してみました。


無属性魔法じゃないと出来ないんですけど、魔掌空拳ってところですか?」


「ふふ、あはは、凄いわヨウ君♪ 私、掌空拳は教えた事無いのに、見ただけで習得して進化させちゃったんだ」


「あ~ すみません。秘伝とかでした?」


「うふふ、そんなの無いわ。でも普通は、そんな簡単には習得出来ないんだけどな?」


「フフ、そこはヨウ様ですから」×リラ


「良く言うわ。リラさん達も見ただけで習得しちゃったくせに?」


「僕達は、ヨウ君に技術の盗み方教えて貰ったから?」×ツドイ


「そそ、結局はヨウ君だから?」×ナギサ


「ちょっと待って下さい。僕だけ異常みたいじゃないですか?」


「うふふ、大丈夫だよ! 十分アヤメさん達も異常だからさ」


「もう、私は何も言ってないじゃない?」×アヤメ


「あははは♪」×全員


「ところでさ? ヨウ様が、その技を私達に見せたって事は?」×ノノ


「はい、皆にも習得して貰おうかなーって?」


「やっぱりーーーーー!」×全員


「は、ははは、一般人には難しいんじゃないかな?」×スズカ


「そこは、リッカさん達が習得したら、詳しく教えて貰えるかと?」


「ええっ?」×リッカパーティ


「そだそだ。まだ続きがあるんで見てて下さいね~」



 僕は魔掌空拳で鋼鉄の球体を突くと綺麗に貫通し、拳大の穴が穿たれた。


 拳を上から叩きつけると鋼鉄の球体がベッコリと凹んだ。


 最後に魔掌空拳で寸勁を放つと一見何事も起こらなかったように見えるが、背部が吹き飛んでいた。



「・・・・・・・・・・・」×全員


「ざっと、こんな感じです便利そうでしょ? 頑張って覚えちゃって下さいね?」


「簡単に言わないで~~~~~~~~~」×全員


「あれ~」



 口では無理っぽい事言っていたけど、皆やる気を出して訓練してくれるらしい。


 やはり、エンチャントや<纏衣>スキルの様に、魔力を包み込むのに比べ、同化するのは難しいらしく皆苦労しているようだ。


 まあ、僕に出来るんだから皆にも出来るよね。


 そして、次の日からシュアンさん達は、飛行機で中国へ帰って行った。


 流石に転移で中国へ帰ると、色々と言い訳が難しくなるからだ。


 これからも冒険者活動は中国でするが、拠点は日本のクランになるので色々と整理するらしく、数日待つ事になった。


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


 <ソヒョン視点>


 なんか日本での出来事が夢の様だが、現実なんだよな・・・


 さて、私もやることをやっとかないとだな。


 私は久しぶり、いや初めてと言って良い、父親が居る組織の門を叩くことにした。


 門とは言え、そこは、どこにでもある普通のビルなんだけどね。


 私が単独で此処に来たのは初めてだし、もちろん、それが許される訳もない。


 だけど、父親に会おうとすれば、こうするより他に方法が無いのが事実だった。


 私は組織の組員しか分からないパスコードを入力し、ある部屋に入っていく。


 幾つもの部屋を経由し、ある部屋に入ると、そこには1人の男性が立っていた。


 良く知った人物なのだが、その男の表情は、とても知人に向ける表情ではなかった。



「久しぶりだね、父さん」×ソヒョン


「・・・何故、ここへ来た? 何故父さんと呼ぶ?」


「父さんの事だから、これがどれだけ重大な事か、分かってくれてるんだろ?」


「い、一体、日本で何があったのだ? 君の表情を見ていると、今生の別れの様に思ってしまう・・・」


「単刀直入に言うね。今でも信じられないけど、私は日本で目的の人物に会う事に成功したわ」


「な、なに?」


「そして、今日はお別れと、忠告をしに来たんだ」


「・・・・・・・・・」


「まずは、これを見てくれるかな?」



 私はリラさんから手渡された手紙を、父さんに差し出した。


 父さんは怪訝そうな表情で手紙を読み始めた。



「ば、馬鹿な・・・我々の構成員全ての情報だと?


関係機関に最新の機密情報まで・・・」



 父さんは、こんな事はありえないと言った、驚愕の表情に染まっていた。


 何時いかなる時も表情を変えなかった、父さんのこんな表情は初めて見た。



「彼等曰く、知りたいと思って、分からない情報は無いんだって」


「な、なんだと? そんなことが可能なのか・・・」


「その証拠に、それを渡されたんだよね」


「・・・し、信じられん」


「世の中って広かったんだね、この広大な中国より、ずっとずっとさ。


絶対に敵対しちゃいけない人達が居る事が分かったわ。


それで私は何故か、その人に気に入られちゃってさ♪


笑える話しなんだけど、お嫁さんになって欲しいんだって?」


「なっ?」


「あっ! 誤解しないでね? 私もさ、何か彼の事が好きになっちゃったんだよね♪


だから、もう、この組織には居られなくなっちゃった。


これから、私に干渉したら駄目だよ? 日本の事も調べない方が良いわ。


あの人に敵対したら何時でも何処でも、どんな手段を講じても霧の様に消え去るわ。


あはは、忠告って言うより脅迫だよね♪」


「・・・本当に、君の意思なのか?」


「本当に本当よ! 彼は身内には天使の様に優しいし、とっても過保護なの。


でも、敵対する者には容赦なんて、欠片も無いわ。


私はこれからも中国で冒険者活動すると思うけど、私に会わない方が良いわ。


さようなら、お父さん。決して普通の家庭とは言えなかったけど幸せだったわ。


ちょっと、喋り過ぎたかもしれないけど、彼は優しいから、たぶん許してくれると思う。


お父さんも元気でね!」



私は踵を返し、部屋を出ようとした。



「ま、待ってくれ。私としたことが理解が追い付かない・・・」


「無理も無いわ。私だって夢みたいなんだもの。でも、全て本当の話しよ?」


「あれを見せられては、信じざるを得ん・・・」


「私が此処へ来たのは、お父さんへの感謝と中国のためよ」


「・・・そうか、そうなのだな。


私は君を愛していた。しかし、駄目な父親ですまなかった」


「私も愛していたわ、お父さん」



 私は今度こそ部屋を出て扉を閉めた。もう此処へ来る事も、お父さんに会う事も無いだろう。


 私なりに義理を果たし、決別を決意し終わった。


 久しぶりに頬を伝う涙を拭きながら、仲間の下へ帰る事にした。



「ソヒョン・・・願わくば幸せに」




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