第259話 たまにはのんびりするのも良いですね
評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。
「すみませんリラさん、僕も少し早計でした」
「いえ、私こそすみませんでした。
どうしても、言わずにはいられなかった事ですから・・・」×リラ
「すみませんでした。ようやく・・・ようやく望みを達成出来るかと思い焦り過ぎました。
リラさんの言われる通りです。どうか、お許し下さい」×テユン
「私も同じような事、した事があって反省してるんだよ?」×ノノ
「あ~ 私の時ですよね、ごめんなさい、ノノさん」×イスズ
「あはは、良いの良いの♪」
「エリクサーが欲しかったんならさ、ヨウ君に買ってって言えば良いだけだったのに?」×アヤメ
「そ、そんな何兆円もする物なんですよ?」×テユン
「にしし、クレセントメンバーの為なら簡単に買ってくれるよ、ヨウ君ならさ」×ナギサ
「そうですね、お金なんて、また稼げば良いだけですし?
でも、僕に相談してくれたら直ぐに治しに行って、魔法で無理そうならエリクサー使ってましたねー」
「そ、そんな・・・そんな簡単に?」
「あっ! 言っときますけど、クレセントメンバーだけですよ?」
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
「簡単に考えてるのは貴女達の方だよ? クレセントメンバーに入るって事は、そういう事なのよ」×アヤメ
「そ、それでは本当に治していただけるのですか? 私が命を賭して願った事を叶えていただけるのですか?」×テユン
「はい、明日にでも一緒に治しに行きましょうか」
「あ、明日? 明日ですか・・・こ、こんな事って・・・
うっ、うぅぅ、うあっ! うああああああああああああああん!」
「「「「「テユン!」」」」」
シュアンさんは、泣き崩れるテユンさんを囲んで慰めているようだ。
「ご、ごめんなさい・・・私、最初から皆を裏切るつもりで・・・」
「良いのテユン。分かってるから、何も気にしないで」×シュアン
「舐めんなよ? 仲間の為ならエリクサーなんてくれてやるさ」×ソヒョン
「貸し1つになったけどね~」×ギュリ
「おっきな、貸しだね~」×フィ
「泣くなって、良かったねテユン」×ソンイ
「み、皆ありがとう・・・もう言葉では感謝しきれないわ」
「喜ぶのは、友人が治ってからにしなさい」×シュアン
「あ~ 僕を信用していませんね?」
「そ、そんな意味じゃないですから?」
「とりあえず、エリクサーを配りますね~」
「ええっ?」×全員
「思い止まったんちゃうんかいな?」×コトエ
「男なら有言実行ですよ?」
クレセントメンバーにエリクサーを1本ずつ渡していくと、その価値が嫌と言うほど分かるのか、みんな手が震えていた。
「言っときますけど、クレセントメンバーに使うなら、幾らでも補充しますからね~」
「うはーーーーーーーーー!」×全員
「シュアンさん達は、まだ<虚空庫>スキルが無いから後にしますね」
「「「「「「はあ?」」」」」」
「ま、まさか、私達も<虚空庫>スキルオーブが取得出来る方法があるのですか?」×シュアン
「方法って言うか、僕から渡しますから?」
「「「「「「ええっ?」」」」」」
「じょ、冗談に聞こえないんだけど?」×ソンイ
「冗談じゃないですからね?」
「んふふ、エリクサーを配ってるくらいなんだから、今更驚かなくても良いでしょ?」×アヤメ
「そ、それにしたって・・・」
「えとね~ クレセントメンバーに入ったら最低限のスキルオーブと魔法スクロールをヨウ君から渡されるんだよね」×ナギサ
「フフ~ その中に<虚空庫>スキルも入ってるのよ」×ノノ
「ハハ、嘘だろ? <虚空庫>スキルオーブが6つだぞ?」×ソヒョン
「僕達は全員習得してるし?」×ツドイ
「まあ、先に習得して貰った方が、話が早そうですね」
「ナタリーさん、シュアンさん達に説明して貰っても良いですか?」
「畏まりました」×ナタリー
「えっと、じゃあ<虚空庫>と<鑑定>と<激運>と・・・・・」
僕はシュアンさん達の目の前にスキルオーブと魔法スクロールをドカドカ置いていった。
スキル名を言いながら置いていったせいか、シュアンさん達の目が点になっている。
「そうそう、魔法スクロールも忘れちゃいけないよね・・・っとこんなもんかな~
あんまり渡すと、自分で集める楽しみが無くなっちゃいますからね~」
「うふふ、ヨウ様。今は放心してる様子なので、後は私から説明しておきますね」
「すみませんナタリーさん。じゃあお願いしますね」
シュアンさん達はナタリーさんの説明を受け、人形の様にコクコクと頷きながら習得していた。
「フフ、まだ事態が呑み込めていないようですね」×リラ
「そらそうやで~ 相変わらずヨウはんはエゲツない量のスキル持っとんやから」×コトエ
「うふふ、慣れとは恐ろしいですね」×アリーシャ
「ヨウ君、戦闘訓練はどうするの? また私達が教えましょうか?」×リッカ
「ん~ 基礎訓練は大丈夫そうですけど、また、お願い出来ますか?」
「うふふ、分かったわ♪」
「リッカ、中国の戦闘方法に興味があるだけでしょ?」×マイ
「えへへ、だって中国のSランク冒険者だよ? 私の知らない技がありそうじゃない?」×リッカ
「考えが見え見えなんだよ」×アズサ
「まあ、私もちょっと興味があるかな」×キョウコ
「皆、ちゃんと手加減しなきゃ駄目よ?」×シノブ
「シノブも人の事言えないでしょ?」×ナナエ
「・・・リッカさん達、壊しちゃ駄目ですよ?」
「「「「「「ヨウ君には言われたくなーーーーーい」」」」」」
「あれ~」
「あはははは♪」×全員
「とりあえずテユンさん。今日は此処に泊ってって下さい」
「明日、2人で出かけましょうか」
「あ、ありがとうございます」×テユン
「あはは、テユンさん今までの喋り方で良いですよ?」
「・・・ヨウ君が、それを望むならそうします」
「じゃ、お願いします」
「あの、中国へ行くなら私達も付いて行って良いですか?」×シュアン
「テユンさんの友人を治したら、直ぐに帰ってきますよ?」
「それでも、是非お願いします」
「了解です」
「ねえヨウ君。私達は連れて行ってくれないの?」×アヤメ
「チャチャっと治して、直ぐに帰ってくるつもりだったんですけど?」
「フフ、駄目ですよヨウ様。何があるか分かりませんから」×リラ
「ヨウ君には、絡まれスキルあるからね?」×ツドイ
「そんな、スキル持ってませんよー」
「あはは♪」
結局、明日はシュアンさん達とアヤメさん達を連れて、テユンさんの友人を治しに行くことになった。
テユンさんに話を聞くと友人は中国の北京にある病院に、ずっと入院しているそうだ。
幸い、北京にも転移することが出来るので、そんなに時間は掛らないだろう。
流石に今日はシュアンさん達を僕の寝室に招くことは出来なかったので、別室を用意し泊って貰った。
翌朝、皆で朝食を取り、クレセントメンバーはそれぞれ出掛けて行ったので、僕も動くことにする。
「じゃ、そろそろ行きますか、テユンさん」
「はい、ですが飛行機の段取りをしていないんですけど?」×テユン
「北京まで行ったら、案内してくれたら良いですよ?」
「えっ? な、何を言っているのか理解出来ないのですけど?」
「んふふ、とりあえず靴を持って、直ぐに分かるからさ」×アヤメ
「く、靴を?」
シュアンさん達は皆靴を手に持ち、怪訝そうな表情をしていた。
アヤメさん達は、もう慣れているので靴も<虚空界>に収納している。
「ではでは、行きますねー、<ジャンプ>!!!!!!!」
次の瞬間、クレセントメンバーが用意してくれた北京にあるマンションに全員が転移した。
「「「「「「ええええええええええっ!!!!!!」」」」」」
窓から見える光景に、シュアンさん達が驚愕している。
「ま、まさか、此処って北京なの?」×シュアン
「間違いない・・・あそこに見えるの天安門広場だぞ?」×ソヒョン
「そんな・・・また、亜空間じゃないの?」×ソンイ
「違うわ、だって大勢の人々が歩いてるもの・・・」×フィ
「って、ことは<転移魔法>?」×ギュリ
「驚いたヨウ君。何でも出来るんだね?」×テユン
「何でもって訳じゃ無いですけど。全国の主要都市には行けますね~」
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
「か、簡単に、とんでもない事を言うのね?」×シュアン
「にしし、シュアンさん達も、早く慣れなきゃね」×ナギサ
「クレセントメンバーでは、これが日常なのか?」×ソヒョン
「ヨウ君と居たら、驚愕の毎日だからね?」×ツドイ
「フフ~ 常識って言葉が懐かしいですね~」×ノノ
「一応言っておきますけど、僕は常識人ですからね?」
「フフ、ヨウ様大丈夫ですよ。私達はちゃんと分かってますから」×リラ
「こんなことが出来るんなら、ヨウ君を捕まえるのは実質不可能だよね?」×フィ
「<転移魔法>なんて無くても、ヨウ君を捕まえる事なんて不可能よ?」×アヤメ
「ヨウ君が壊せない物があるとは、思えないよね?」×ツドイ
「そそ、アダマンタイトやオリハルコンでも、スパスパ斬っちゃいそうだかんね~」×ナギサ
「フフ、ヨウ様に触れる事すら不可能ですから、捕まえるなんて論外ですね」×リラ
「ダンジョンホイホイ作るとか?」×ノノ
「僕はゴキブリじゃないですー」
「あはははは♪」×アヤメ達
「凄すぎて笑えないんだけど・・・」×ギュリ
「考えるのも怖いけど、地上最強の生物なのは間違いなさそうね」×シュアン
「ん~ 激しく僕を誤解してるみたいなんですけど?」
「んふふ、強ち間違いでもないじゃない?」×アヤメ
「そんな大仰な者じゃないですよー、それより早く行きましょうか」
「はい、あの出来れば、誰にも知られずに治すことは可能でしょうか?」×テユン
「やろうと思えば出来ますけど、テユンさん会わなくても良いんですか?」
「はい、あれから20年も経ってますから、私の事も分からないですし。
もし、当時のまま回復してくれたら、私は陰ながら支援していきたいと思ってます」
「・・・分かりました。テユンさんが、それで良いなら」
僕達はテユンさんに案内され、友人さんが入院している病院へ向かった。
どうやら総合病院なのか、とても大きくて真新しい所だった。
早速、目立たない様に気配を消し友人に会いに行った。
幸い少し大きめの個室だったので僕とテユンさんだけ姿を現し、友人さんと対面することにした。
友人さんは20年も意識が回復せず、眠り続けているらしい。
入院生活が長いせいか、少し痩せており小柄だったが、とても可愛らしい顔をした女性だった。
「しばらく来れなくて、ごめんなさいね、イーノォ。
今日はね、とっても素敵な人を連れてきたんだよ?」×テユン
「こんにちわ、僕は三日月陽って言います」
「ヨウ君って可愛いでしょ? イーノォの為に来てもらったんだよ」
テユンさんは既に、目にいっぱいの涙を浮かべ、喋り続けていた。
長年思い続けてきた希望が叶う喜びからだろう。
僕は早速<看破>スキルを使い、テユンさんの友人であるイーノォさんの状態を確認することにした。
僕はイーノォさんの状態を完璧に確認し終わると、テユンさんに視線を向けた。
「どうでしょうか? イーノォは治るでしょうか?」
「はい、エリクサーを使わなくても大丈夫です。僕が完璧に治療しますよ」
「うっ、うぅぅ・・・・・」
テユンさんは、もう涙が流れていくのを止められないのか、下を向いて顔を抑えていた。
僕はテユンさんの肩に手を置いて、落ち着くまで待つ事にした。
テユンさんが落ち着く頃を見計らい、僕は声を掛ける。
「テユンさん。僕が今から治療しますから、すみませんが外で待っていて貰えますか?」
「えっ・・・ヨウ君がそう仰るのでしたら、そうします。
どうか、どうかイーノォの事宜しくお願い致します」
「分かりました、僕に任せて下さい。大丈夫ですよ」
「はい」
テユンさんは皆と共に個室を出て、少し離れた待合室で待ってて貰う事にした。
何故ならば、僕がイーノォさんを<看破>スキルで確認したところ、驚くべき事実が分かったからだ。
イーノォさんはどうやら、ずっと意識があったようだ。
頭部に強い衝撃を受け、全身麻痺になってしまったが、五感は失われてはいなかった。
指先はおろか眼球さえ動かすことが出来なかったので、意識があることを伝えることが出来なかったのだと思う。
つまり、この20年間ずっとテユンさんが、お見舞いに来ていたことも知っている筈だ。
テユンさんは自分の事を伝えないと言っていたけど、個室に入ってからの僕との会話も聞いている筈だ。
僕はイーノォさんを治療する前に、説明してあげることにした。
「イーノォさん、今からイーノォさんの怪我を治療しますね。
直ぐに動けるようになるので、安心して下さい。
僕はテユンさんに頼まれて治療しに来たんですけど、テユンさんは責任を感じてイーノォさんには会わないそうです。
陰ながらイーノォさんを支えていきたいと言ってました。
今はイーノォさんに意識があるのが分かったので、外に出て貰ってます。
ここからでも、大きな声を出せば、聞こえる所に居ると思います。
後はイーノォさんの判断にお任せします。
では治療しますから、驚かないで下さいね」
僕はもう一度<看破>スキルを使い、状態を把握してから<ハイエストヒール>を唱えた。
魔法の光はイーノォさんの身体を包み込み、やがてゆっくりと消えていった。
するとイーノォさんの瞼が開き、僕を見つめてくれている。
良かった。どうやら無事治せたようだ。
「し、信じられない、これが魔法なのね?」×イーノォ
「良く御存知ですね?」
「うふふ、ずっとテレビを付けていてくれたからね、目を開くことは出来なかったけど、耳で情報は理解出来たわ、ありがとうございます三日月さん。まさか本当に治るとは思いませんでした」
イーノォさんは、ずっと言葉を喋っていなかったので、少し喋り難そうだったけど、何とか気持ちを伝えてくれた。
「くっ・・・」
「あっ! 身体を起こすなら手伝いますよ」
「ありがとう。でもずっと寝たきりだったのに体が動くわ、魔法って凄いのね?」
「えへへ、照れますね♪」
「えっと、これスキルオーブって言うんですけど、幾つか渡しますので習得してくれますか?」
「えっ? どうしたら良いのか分からないわ」
「手に持って受け入れる様、念じてくれるだけで良いです」
僕は念のために<身体強化><超回復><状態異常耐性>のスキルオーブをイーノォさんに手渡した。
初めての事で戸惑っていたイーノォさんも、何とか習得することが出来た様だ。
「うわ~ 凄いわこれ、どんな物だったのか何となく分かる・・・」
「ありがとう、これとっても高いんでしょ?」
「気にしなくても良いですよ、それよりどうします?」
「・・・三日月さん本当にありがとう。お気遣い感謝するわ。大きな声が出せるか分からないけど、頑張ってみる」
「はい、僕もそれが良いと思います」
「んんっ! すーはーすーはー」
「テユンーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
イーノォさんは長年声が出せなかったせいか、とても辛そうだったけど頑張って声を張り上げている。
「テユンーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
どうやら、待合室に居たテユンさんにも声が届いたのだろう、テユンさんが個室の前まで走ってきたようだ。
「テユン、聞いて! 私はこの20年間ずっと意識があったの。
テユンが20年間ずっとお見舞いに来てくれて、励ましてくれた事も知ってるわ。
両親でさえ全く来てくれなかったのに、テユンはずっとずっと、私に会いに来てくれた・・・
病院代だって払ってくれてるのを知ってるわ、私が今まで生きて来れたのはテユンのお陰よ。
来てくれる度に話してくれた冒険者の話し、とても面白かったわ♪
日本で発見された、どんな病気や怪我も治せるエリクサーの話しに、心が躍ったわ。
何としても手に入れてくれるって、毎日言ってくれたのが嬉しかったわ。
手も足も瞼さえ動かす事が出来ない絶望の中、テユンだけが私の心の支えだったの。
私が貴女を恨んでるなんて、とんでもないわ! テユンが無事だった事に私がどれだけ嬉しかったか。
貴女が私に会いたくなくても、私は一生テユンを探し続けるわ。
絶対、絶対に見つけ出して、今まで私がどれだけ貴女に感謝していたか、心を込めてお礼が言いたいの。
もう私にはテユン、貴女しか居ないの、お願いお願いよ。
コホッ! コホッ! くぅぅ」
イーノォさんは長年声が出せなかったのに、無理をして大声を出したので、苦しそうに咽ていた。
僕は苦しそうに咽ているイーノォさんの背中を擦っていると、個室の扉がゆっくりと開いていく。
そこには、泣き崩れたテユンさんが立っていた。
「テユン♪ テユンなのね? コホ!コホッ!」
「グスッ! わ、私のせいでこうなったのに・・・恨まれて当然なのに・・・イーノォ」×テユン
「テユン。貴女は・・・たった・・・1人の・・・わ、私の、と、友達よ♪」
「うわ! うわああああああああああああああああん!」
「イーノォ、ごめんなさい。ごめんなさい」




