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第25話 中級ダンジョンって凄かった

ブックマークや評価をして下さった方ありがとうございます。


 僕は次に回復魔法が取得出来そうな場所が無いかアヤメさん達に聞いた所、少し離れた西区北堀江中級ダンジョンに回復魔法をつかってくる魔物が居る事を聞いたので、どうせならそこへ行く事にした。


 そこは大阪ダンジョンギルドが管理しているダンジョンなんだけど、少し距離が離れているのと中級ダンジョンにしては、ドロップ品が安いせいか冒険者には不人気になっているらしい。


 でも、人が少ないなら僕には丁度良いのでツドイさんに頼んで車で送って貰い、初の中級ダンジョンへ潜る事にした。


 車でダンジョンへ行くのも現代らしくて良いかもしれない。


 西区北堀江中級ダンジョンへ着くと、結構立派な建物があり人気がないと言えど魔物素材の買取り所やカフェが並んでいた。


 僕とリラさんノノさんの三人は、車から下りてツドイさんにお礼を言う。


 帰りも迎えに来てくれるらしく、大体の帰る時間を告げておいた。


 僕達は中級ダンジョンの建物へ入ると、他の冒険者達の視線が此方に向いているのが分かる。


 此処に来るのは初めてだし、こんなに美人で双子の様な女性を二人も侍らせていたら目立ちもするか・・・


 リラさんとノノさんの服装はこの間購入したSPのようなスーツで、長い日本刀を腰に装備しサングラスを掛けている。


 そんな二人が僕の左右に居るので、僕が護衛対象の様に見えるかもしれない。


 まあ実際そうなんだけど。


 今では僕の恰好も何処から見ても中級冒険者だから、そんな事は無いと思うけど・・・



「おいおい、子供がこんなに美人の護衛付きで中級ダンジョンへ来たのか?」



 そんな事あったようだ・・・


 おもいっきり男性の冒険者から声を掛けられてしまった。


 しかも、顔がちょっと怖い。



「貴方あんまり失礼な態度を取ると許しませんよ?」


「良いよ、リラさん」


「誰か知りませんが、この二人は護衛じゃなくてパーティ仲間なんです」


「どっからどう見ても、守って貰う気満々に見えるんだがな・・・まだ、中級ダンジョンは早ええんじゃねえか?」


「あっ、心配してくれてたんですね、ありがとうございます」


「そ、そんなんじゃねえよ。良いか少年? ダンジョンって所は中級から魔物の強さがグッと上がるんだ。


それだけ死ぬ可能性が高くなる、誰かから守られてる内は来るところじゃねえぞ?」


「御忠告ありがとうございます。ですが、勘違いされている様なので言っておきますね。ヨウ様は、私達など比べ物にならない程の強者です。私達がいつも守られているのですよ?」


「・・・様付けで呼ぶって事は雇われてんだろ? 綺麗な姉ちゃん二人は佇まいからしても結構強そうだが、少年からは何も感じねえんだよ?」


「なるほど・・・確かにそうかもしれませんね、実際に新人冒険者ですから、まだまだ弱いですけど・・・」


「う~ん、強さの証明か・・・難しいですけど、こんなのはどうですか?」



 僕はピクリとも動かず、目の前に居る男性冒険者に微笑みながらオークキングからドロップした<威圧>スキルを解き放った。



「なっ?」



 次の瞬間、その場にいた冒険者は一斉に僕に身構え、受付に居る人や店員さん達は小さな悲鳴を上げていた。


 そういえば<威圧>スキルは初めて使うんだった・・・


 効果範囲が広いのか、その場にいる全員が僕を見ている。


 気付けば目の前にいる男性冒険者は、大量の汗を掻き膝が震えているようだ。


 あらら・・・このスキルはちょっと効果が強すぎるかもしれないと思い、僕は<威圧>スキルを解除した。


 <威圧>スキルを解除した瞬間、男性はガクッと膝を地面に付き後ろにいた。


 リラさんとノノさんも安堵の息を吐いていた。



「ごめんなさい、二人共キツかった?」


「いえ、大丈夫です」


「私も何とか・・・」


「良かった。じゃ、分かって貰えたようだから、そろそろ行きましょうか」


「「はい」」



 僕は目の前にいた男性冒険者が少し怯えていたので、声を掛けずに通り過ぎる事にした。



「な、なんなんだあのガキは・・・」


「おい、あのガキに何したんだよ? ヤベエ、あのガキとんでも無くヤベエぞ・・・こんな所で死を覚悟したじゃねえか?」


「全くだ・・・いくら冒険者の強さが見た目で判断できねえって言ったって、限度ってものがあるだろ?」


「あ~、悪かった。俺も、もうあのガキには絡まねえよ・・・死にたくねえしな。


全く、普通のガキかと思ったら、いきなり威圧みてえのを放ちやがって、背中に掻いた汗が止まんねえよ。


おっかねえ・・・あんな化物が子供みてえなナリで歩いてやがんのかよ? 今日はもう止めだ。


ダンジョンの中であんなのと出くわしたくねえしな、魔物の方がよっぽど可愛げがあるぜ」



       ◇     ◇     ◇

 <ヨウ視点>


 僕達はダンジョンへ向かう通路を進み、入口へ辿り着く。


 情報通りあまり人気がないのか、誰も並んでなく係員の方が一人立っているだけのようだ。



「ふぅ~、ようやく落ち着いてきたわ」


「ごめんねノノさん」


「良いのよ、でも吃驚したわヨウ様って、あんなことも出来るのね」


「まあ、スキルなんですけどね、始めて使うから加減が出来なかったみたいです」


「フフ、でもあの冒険者は二度とヨウ様には絡んで来ないでしょう」


「あはは、そうねかなり怯えてたもんね、でも良い気味よ」


「まあ、本当に心配してくれてたのかもしれないし、良い人かもですよ?」


「確かにあれだけでは判断出来ませんね」


「あの言い方じゃ、例えそうだとしても駄目よ。不快に思ったもの」


「フフ、そうですね。ノノの言う通りです」


「あはは、僕も同意です」



 僕達はスマホに登録しているギルドカードを改札口の様な所へ当てて認証を済ませダンジョンの中へ入る。


 僕はダンジョンに入った瞬間、驚きの為に少し固まってしまった。


 初級ダンジョンと違い中級ダンジョンの中は、どこまでも広い平原や森のようで遠くには山も見える。


 つまり、ダンジョン内なのに空気まで美味しく感じるような所だった。



「フフ、ヨウ様驚いたようですね」


「そっか、ヨウ様は初級ダンジョンしか行った事なかったものね」


「うん、驚いた凄いな~、ダンジョン内とは思えないよ」


「このように中級ダンジョンでは様々な植物やキノコ類等が取得出来るため研究されています。


ちなみに、ポーション類も此処で取れる薬草から出来ておりますので、納品クエストも多いんですよ」


「へええ~、なるほど。見つけたら採って行こうか」


「はい、そんなに高くは売れませんが、それも楽しそうですね」



 僕達はまるでピクニックにでも来たかのように平原を進んで行くと、やはりダンジョンだと言うかのように<気配感知>に魔物の反応を捉えた。



「リラさん、ノノさん魔物が居るみたいです」


「「はい」」



 初めて中級ダンジョンで出くわした魔物はゴブリンだった、流石中級ダンジョンだけあり地下1階からゴブリンが出てくるようだ。


 戦闘してみると確かに初級ダンジョンに出てくるゴブリンよりはスピードや力が強いようだが、コツコツとステータスを上げているリラさん達の敵ではなかった。


 僕もドロップ目当てのため一撃を入れる様にしているが、殆どリラさん達で倒していく、どうやら同じ階層で色々な魔物が出るようだ。


 林にはナイトウルフやクロウラーまでがいる。


 もちろんSPオーブやスキルオーブを持っている個体もいて、今日も順調に集めていく。


 取得したSPオーブは全てリラさん達に使って貰い、徐々に体を慣らしていって貰う。


 スキルオーブも新たに<追加攻撃><敏捷強化><腕力強化><気配感知><気配遮断>を習得して貰った。


 僕と同じように<敏捷強化>と<腕力強化>に慣れるには、少し時間が掛かるかもしれないが僕が掴んだコツを説明し、頑張って貰っている。



「フフ、ようやくこのスピードにも慣れてきました」


「フフ~、私も慣れてきたよ~♪ でも凄いよねステータスと違って一気に速くなるんだもんね」


「僕も慣れるのに時間が掛かりましたね、オンオフを上手く切り替えるのがコツです」


「ヨウ様の言っている事が、徐々に分かって来ましたが、未だヨウ様の様には出来ないようです」


「だって難しいよ、特に<腕力強化>が<敏捷強化>と合わせるともっと難しくなるしね」


「ん~、それも慣れるしかないですね。でも、かなり上達して来ましたよ流石ですね」


「フフ、ありがとうございます。ヨウ様」


「フフ~♪ 褒められると嬉しいですね♪」


「もうちょっと慣れてきたら次は魔法ですね、日本刀の魔法剣を見るのが楽しみです♪」


「・・・ヨウ様は、簡単そうにやってますが私達に出来るでしょうか?」


「難しそうですよね~」


「ん~、僕でも出来たから大丈夫ですよ」


「そうでしょうか? ヨウ様は、かなり器用かと思われますよ?」


「そうですよー、だって<気配遮断>しながら<身体強化><敏捷強化><腕力強化>で魔法剣使ってるじゃないですか。


どうやったらそんなに重ねる事が出来るんですか?」


「あれ、そうなのかな? やってる内に慣れちゃったから・・・」


「フフ、才能の違いを感じますね」


「ヨウ様は天才です!」


「あはは、お世辞でも嬉しいかも」


「・・・ヨウ様、信じてないですよ? お姉ちゃん」


「フフ、それもヨウ様の魅力です♪」


「フフ~、そうかも♪」



 今までの魔物より格段に強い筈の魔物を相手しているのにも拘わらず、リラさん達のお陰で楽しく進んで行ける。


 ソロなら、こんなに楽しい思いは出来なかっただろう。


 それを思うとリラさん達には感謝しかない。


 初級ダンジョンに比べオーブや魔法スクロールを持っている魔物も多いようだ。


 おそらく、上級ダンジョンは、もっと多いので入手確率が高くなるのかもしれない。


 かと言っても上級ダンジョンならオーブが良く落ちるって訳じゃなさそうだから、かなりドロップ率が低いのは同じで、オーブやスクロールを持っている魔物の数が多いのかもしれない。


 それを考えると<ウィル>スキルが、とんでもないスキルって事が分かる。


 我ながら凄いスキルを手に入れちゃったものだ。


 そうして魔物を倒しながら奥へ進んで行くと、魔物が複数居る事が多くなってきた。


 初級ダンジョンでは結構バラけていたんだけど、こういう意味でも中級ダンジョンは難しくなっているようだ。


 そして、またゴブリンと遭遇したが、5体居るうちの魔導士ゴブリンが薄っすらと光明滅している。


 これは回復魔法が期待出来るかと気持ちが逸るが、3人で落ち着いて倒して行き無事魔法スクロールがドロップしたようだ。


 期待しながらスクロールを手に取ると、きたっ!!! 回復魔法だ!!!



「やった、<回復魔法>が出ました!」


「おめでとうございます、やりましたね」


「やったー♪ 噂通りでしたね」


「早速習得致しますか?」


「そうですね、怪我したときに習得して無かったじゃ意味がないので、先に覚えちゃいますね」


「「はい」」



 僕は<回復魔法>のスクロールを手に取り早速習得することにした。


 覚えても今は怪我をしていないので試せないが、また試す機会も来るだろう。


 それから、<気配感知>を頼りに狩りまくり、もう一つ<回復魔法>のスクロールを手に入れる事が出来た。


 リラさんと、ノノさんは未だ魔法は何も覚えていないのでストックして置く事にした。




読んで下さった方ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ヒロインが入れ替わってしまったようで、それが残念かなぁ。
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