第233話 僕達の支援は半端じゃないですよ
評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。
「こ、交渉?」
「そうです。今回悪人と間違って威圧しちゃったお詫びと、僕達の秘密を守ってくれるお礼をしようかと思ってます。
カデルさんがこれから冒険者として生きていく上で、僕達が支援すると言うのはどうでしょう?」
「えっ? 支援とは?」
「冒険者の助けとなる支援です」
「んふふ、悪い話じゃないでしょ?」×アヤメ
「それどころか、破格の条件かと!」
「・・・なんだか良く分からないけど、それで良いよ? 元々怒ってなんていないし、君達の事は誰にも言わないから」
「ありがとうございます。交渉成立ですね♪ えっと、僕達が持ってる武器装備は、ちょっとまだ早いかな・・・」
「武器や装備は、ナタリーさんにお願いしてみては如何でしょう?」×リラ
「そうですね。では『ソーリー』から掻き集めてきたスキルから渡しますね」
僕はソーリーのギャング達が持っていた、スキルやSPオーブを全て出していった。
「はあ? こ、これって・・・まさか?」
「SPオーブとスキルオーブ、魔法スクロールだよ? 冒険者なら知ってるよね」×ツドイ
「知ってる! 当然、知ってるけど・・・これメチャクチャ高いのでは?」
「これって、カデルさんを騙した者達から取ってきた物だから、遠慮なんてしなくて良いんだよ?」×ノノ
「よし! これで全部かな~」
「うわ~ 結構あるわね。全部、習得して余ったら売ると良いよ」×ナギサ
「あっ! SPオーブは少しずつ習得して下さいね、一気にステータスを上げると大変ですから」
「こ、こ、こ、こ・・・」
「コケコッコ?」
「ココナッツ?」
「違うって! こ、こんな高い物、貰える訳ないだろ?」
「フフ、貰っていただけないとなると交渉決裂となりますが、本当にそれで宜しいのですか?」×リラ
「あ~ そうなると、私達の秘密も誰かに漏らすって事よね~」×ナギサ
「受け取ってくれないと、心が痛むかもだね~」×ツドイ
「・・・ありがたく、頂きます!」
「あはは、良かった♪ ちょっと心配しましたよ?」
「はは、ははははは・・・・・」
「じゃ、色々なスキルがあるから、説明して上げるね?」×ノノ
それから、カデルさんはアヤメさん達からスキルや魔法の説明を受けながら習得していった。
結構な数があったから、カデルさんも少し疲れてきたようだ。
「えっと、これで一通りの説明は終わったけど、理解出来たかな?」×ナギサ
「現実味が無さ過ぎて、頭が痛くなってきた・・・」
「あはは、では最後に僕からのお詫びとして3つのスキルオーブをプレゼントしちゃいますね♪」
僕はカデルさんに冒険者生活を楽しんで貰うために<激運><鑑定><虚空庫>スキルを手渡した。
「んふふ、良かったわねカデルさん。それって中々手に入らないスキルなんだよ?」×アヤメ
「フフ、一つ忠告しておきますが、信用のおける人物以外では秘密にしておく事を、お勧め致します」×リラ
「そうだよ。絶対人に見せちゃ駄目だからね~」×ノノ
「えっ、えっ?」
カデルさんは、3つのスキルを習得しながら、段々顔色が悪くなってきた。
「<鑑定><虚空庫>・・・俺でも知ってる超有名、超高額なスキルなんだが?
それに<激運>って、名前だけでも恐ろしい価値になりそうな?」
「良い感してるね?」
「えっ?」
「<激運>に比べたら<鑑定>や<虚空庫>なんて、普通に感じちゃうかな?」×ツドイ
「はあああああああああああああああ!!!!!!!」
「お、俺、習得しちまったぞ? ど、どうすんだ吐き出せるか?
オエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!」
「「「「「「オイーーーーーー!!!!!!!」」」」」」
「待って、待って、ちょっと落ち着きなさいよ」×ナギサ
「あはは、面白い子だね♪」×ツドイ
「だ、だって俺、返せねえよ? ど、どうすんだよ?」
「だから、返さなくて良いんだって♪」×アヤメ
「冒険者を頑張って、両親に恩返しするのでしょう? ヨウ様の支援は冒険者として大いに役立つと思いますよ?」×リラ
「な、なんで、それを?」
「だって、手紙読んだもの?」×ノノ
「あああ・・・何やってんだ俺は」
「良い手紙だったよ?」×ツドイ
「そうですねー、あの手紙を読んでなかったら、此処までの支援はしてませんでしたし。
カデルさんは僕と似てるから、親近感が湧きました♪」
「貴方の様な凄い人が、どこが俺と似てるんだ? 似てるんですか?」
「僕も新人冒険者ですよ? カデルさんと同じ18歳ですし」
「はああああああああああああああああ?」
「心外だな~ そんなに、驚かなくても良いじゃないですか?」
「す、すまん。いや、ごめんなさい。だって・・・いや、あの、その。
ソーリーが壊滅で、凄いスキルが・・・えっ? 何言ってんだ俺?」
「んふふ、ヨウ君は、超天才冒険者だからね♪」
「って訳で、僕と友達になりませんか?」
「んふふ、それ良いじゃない? 童顔と老け顔の新人ってギャップが激しいけどね♪」×ナギサ
「ナギサさん?」
「じょ、冗談よ、冗談・・・」
「こちょこちょの刑です♪」
「ええーーーー!」
「ククッ! 口は災いの元だよ?」×ツドイ
「どうしたんです、カデルさん?」
「い、いや、よく見ると、皆とんでもなく綺麗な女性だなと・・・」
「フフ、ありがとうございます♪ カデルさんも素敵な男性ですよ?」×リラ
「あ~ リラ姉。ヨウ様の前で他の男性誉めちゃ駄目じゃない?」×ノノ
「そ、そんなつもりじゃ・・・申し訳ございません、ヨウ様」
「いや、僕から見てもカデルさんは恰好良いですから♪」
「俺が恰好良い? 初めて言われた・・・言われました」
「同い年なんだから、ため口で良いですよ? それより友達の件は?」
「あ、ああ、もちろん。こんな俺で良ければ喜んで」
「ありがとう、ありがとう♪ 僕って同年代の友達が少ないんですよね」
「ヨウ君には私達が居るから良いでしょ?」×アヤメ
「はい、もちろんです♪」
「えっと、この部屋も変えた方が良いですね」
「まだ、数日しか住んでいないんだが?」
「お金持ちになったんだから、もっとセキュリティの良いところに住まなきゃね?」×ナギサ
「お金持ち? 誰が?」
「余ってるスキルオーブとか、現金がたくさんあるんだけど?」×ツドイ
「まあ、そんなの気にしなくて良いですよ? 自分で稼いだ方が楽しいですからね」
「ヨウ様、武器防具に加えて、家もナタリーさんにお願いしてみては?」×リラ
「そうですね。ちょっと頼み事が多くなっちゃうけど、なにかでお礼しよっかな」
「カデルさんの指導役も欲しいですね~」
「ヨウ様は過保護ですからね。ルーカスさんなら快く引き受けてくれるんじゃないか?」×ノノ
「あっ! そうですね、頼んでみよっかな」
「私から頼んでおきます、ヨウ様」×リラ
「何時もありがとう」
「では、一緒にギルドへ行きましょうか、カデルさん」
「ああ、なあ、これ本当に現実なんだよな?」
「んふふ、頬っぺた引っ張ってあげよっか?」×ナギサ
「え、遠慮しておきます」
「あはは♪」×クレセントメンバー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<ナタリー視点>
「はい、はい分かりました。連絡ありがとうございます」×ナタリー
「何か悪い事があったのかね? ナタリー君。顔色が優れないようだが?」
「社長・・・あの『ソーリー』が壊滅したと連絡がありました」
「なに? あの悪名高いギャング集団の『ソーリー』かね?」
「それだけでは、ありません。『ソーリー』の下部組織だったスカルキッド・スターター・ワイトクラブが一晩で全て壊滅しました」
「・・・壊滅とは、どう言う意味かね?」
「言葉通りです。構成員は全身に暴行の跡があり、地面に転がっていたそうです」
「むぅ・・・組織同士の抗争かね?」
「いえ、それがおかしいのです」
「何がおかしいのだね?」
「全員が人形の様に動かず、生きる屍の様になっているそうです。
殆どの者が怯えた様な表情で目を開いたまま固まっているそうです。
それにソーリーを含め、全ての本部があった建物が更地になっているようなのです。
昨日までは、確かにあったそうなのですが、音もなく消え失せたとか」
「・・・何があったと言うのだ」
こんな不思議な事が出来るのは、私が知る限りあの少年しかありえない。
ですが、この事を口に出す訳にはいきません。
それにしても、なんて恐ろしい少年なのですか?
考えるだけでも恐ろしい、あの少年とは敵対してはいけません、何としてでもです。
「分かりません・・・分かりませんが、この件については触れない方が良いかと思われます」
「ナタリー君、君は? いや、止めとこう・・・世には不思議で恐ろしい事があると言う事か」
「・・・はい」
プルル~
「社長、電話に出ても宜しいですか?」
「ああ、構わんよ」
「はいナタリーです・・・えっ? はい、分かりました」
「・・・社長、私は例の三日月様の対応をして参ります」
「フゥ~ 早速かね? くれぐれも触れない様に注意してくれよ」
「はい、分かっております。私も命は惜しいですので」
私は三日月様からの頼まれ事をするため、急いで足を運ぶことにした。
「おはようございます、ナタリーさん」
「おはようございます、三日月様」
「あれ、どうしたんですか、ナタリーさん?」
「いえ、何でもありません」
い、いけない・・・私とした事が微妙に態度に出てしまっていた。
今朝のニュースは忘れましょう、私は何も知らなかった、そう何も・・・
「フフ、相変わらず優秀な方ですねナタリーさんは。それで正解だと思いますよ?」×リラ
「あ、ありがとうございます」
き、気付かれた・・・恐ろしい程、勘の良い女性ですね、ですが安心しました。
これで良いんだ。言葉にも細心の注意を払わなければいけませんね。
「ん~ 何か良く分からないけど、まあ良いか」
「すみません。ナタリーさんに、またお願い事があるんですけど」
「畏まりました。承ります」
「ヨウ様、私から説明致しますね」×リラ
「すみません。お願いします」
リラさんからカデルさんと言う方の武器防具と住居の段取りを頼まれ、快く了承をしておいた。
「ナタリーさんには、お世話になりっぱなしですね」
「いえ、そんな事はないですよ、仕事ですから当然です」
「何かお礼がしたいのですが、欲しい物はありますか?」
「い、いえ、とんでもありません。上司に怒られてしまいます」
「なるほど、上司の方も説得しないとですね」
「えっ?」
「んふふ、そんな事聞いたら、遠慮するに決まってるじゃない、ヨウ君?」×アヤメ
「そうですよね、ごめんなさい。何か考えておきますね」
「では、僕達はダンジョンへ行ってきますので、カデルさんの事は宜しくお願い致します」
「畏まりました」
フゥ~ 焦りました。いけませんね、危うく上司を巻き込むところでした・・・
なんて、対応の難しいお方なのでしょう・・・上司より、いえ国よりも目上の方と思って対応しなければ。
さて、とりあえずは、ヨウ様から頼まれたカデルさんの武器防具と住居を完璧に用意致しましょう。
あの三日月様の御友人なのですから、十分対応には注意しなければなりませんね。
「カデルさん、私は当ギルドの受付嬢をしているナタリーと申します。以後宜しくお願い致します」
「こ、こちらこそ、宜しくお願いします」
「うふふ、私にはそんなに緊張しなくても結構ですよ?」
「すみません、美人と会話するのに慣れてなくて」
「うふふ、お上手ですね♪ まずは、装備から参りますね?」
「ありがとうございます」
「あ、あの、ナタリーさんも俺を『ソーリー』から助けていただいた方の1人ですか?」
「ブフッ! ゴホッ! ゴホッ!」
「大丈夫ですか?」
「あ、貴方、正気ですか? 死にたいのですか?」
「えっ?」
ま、間違いない・・・やはり『ソーリー』を壊滅させたのは三日月様だったのですね・・・
どうしたら良いのでしょう・・・聞いてしまいました。私も始末されるのでしょうか?
しかし、この男性なんて軽はずみな事を言うのですか?
頭が痛くなってきました・・・
「フゥ~ 今の言葉は聞かなかった事にしておきます。
カデルさんは認識不足の様なので、一応念を押しておきますが、三日月様の事に関しては誰にも言ってはいけません。
絶対に誰にもです! 死にたいのなら自殺して下さい!」
「ええっ? だ、だって、ナタリーさんは三日月さんの仲間じゃ?」
「仲間では御座いません! 私は三日月様を担当している唯の受付嬢です」
「ぐはっ! お、俺はなんてことを・・・」
「お分かりいただけましたか?
私はもう聞いてしまいましたので、三日月様達に口封じされるかもしれません・・・
三日月様が許してくれても、あの女性達は決して許してはくれないでしょう」
「うあっ! あああ。す、すみませんでした」
「謝られても取り返しはつきません。良いですか? カデルさん。
三日月様達は優しい方達ですが、恐ろしい方達でもあります。
三日月様に関することは、細心の注意を払ってから言葉にする様にして下さい」
「・・・俺から三日月さんに謝っておきますので、どうか許して下さい」
「言っておきますが、カデルさんの方が危険ですよ? 三日月様に、秘密厳守と言われませんでしたか?」
「言われました・・・」
「早速、破りましたよね?」
「あぅぅ」
「お互い命があったら乾杯しましょうか?」
「す、すみませんでした。俺の命に代えてもナタリーさんに迷惑が掛かるような事にはしませんから」
「うふふ、ありがとうございます。カデルさんの命を掛けてもどうにかなる人達ではありませんが、気持ちだけは受け取っておきますね」
「さあ、行きましょうか」
「・・・はい」
とんでもないトラブルもありましたが、武器屋と防具屋を回り装備は整いましたね。
新人冒険者にしては豪華な装備ですが、下手な装備を勧める訳にはいきませんから良いとしましょう。
「あの?」
「嫌な予感がするのですけど・・・言動には注意して下さいね?」
「は、はい、一応お金は持っているのですけど支払いの方は?」
「・・・・・・・・・・・・・・カデルさん?」
「はい?」
「貴方、今どこからお金を出したのですか?」
「あっ! で、でも、信用のおける人の前では良いらしいです?」
「いくら三日月様の紹介とは言え、今日初めて会った私の前で<虚空庫>スキルなんて使ってはいけません!
私にどれだけの信用があると言うのですか?」
「す、すみません」
「・・・私を試している訳では、ありませんよね?」
「け、決してそのような事は・・・」
「はぁ~ 少し話しただけでも、カデルさんは純粋な方なのは分かりますが、危機感が足りていません!
あまり人を信用し過ぎないようにしなければいけませんよ?」
「重ね重ね、すみませんです」
「もう良いですが、次は住居に向かいますよ?」
「はい、お願いします」
頭痛が酷くなってきました・・・
お父さん、お母さん、私は今日でお別れになるかもしれません。
カデルさんに、お勧めする住居は色々と検討しましたが、予算が膨大な事もありギルドが所有する最高級マンションにしました。
最上階にある一番良い部屋にしましたが、それでも三日月様へ支払う素材代の1/10も減りませんでした。
カデルさん1人では、少々持て余すかもしれませんが、そこは仕方ありませんね。
本人が気に入らなければ本末転倒ですので、確認していただかないとですね。
・・・マンションの外観を見ただけで、カデルさんが固まってしまいましたね。
まさかとは思いますが、断られる可能性が出てきました・・・
「・・・なんですか、この部屋は?」
「私も初めて入りましたが、素敵な部屋ですね」
「ハハハ、俺1人では素敵過ぎませんか?」
「そこは頑張って、彼女を作ったら喜んでくれますよ?」
「えっ?」
「こんな素敵な部屋に来て、喜ばない女性は居ないでしょうから」
「ほ、本当ですか?」
「はい、この部屋はギルドでも有名なので、一度は見たいという受付嬢も多いぐらいなんですよ?」
「ここに決めました!」
「うふふ、気に入って貰えて良かったです♪ まあ、明日があるとは限らないのですけどね・・・」
「ぐはっ! ほ、本当にすみません」
「もう取り返しはつきませんし、恨むこともないようにしますよ。明日があるなら言動には注意して下さいね?」
「は、はい」




