第229話 やっぱり初めてのダンジョンは面白いですね
僕たちは階層争奪模擬戦で獲得した、シドニー上級ダンジョンの地下11階からスタートすることにした。
そこは、荒野の様なフィールドで、乾いた土が広がる空間だった。
まずは、皆で散歩するように歩を進めると、早速初見の魔物を発見したので観察する。
どうやら、オーラタートルと言うらしい。気配を辿ると無数に存在しているようだ。
「なかなかの数ね~ 各個撃破したいとこだけど、ヨウ君が倒さないと勿体ないかな?」×アヤメ
「ん~ そうですね。小さい魔物で、そんなに強くなさそうだし、各自で捕まえて最後にまとめて倒しましょっか?」
「ええっ! どうやって持っていくのよ?」×ナギサ
「そこは、適当な亜空間の部屋を作って、そこへ放り込んでいくってのは?」
「あ~ なるほどね♪」
「それぐらいの亜空間なら、私達でも作れそうね」
「ではでは、下へ降りる階段のところで集合しましょうか」
「「「「「ヤー♪」」」」」
対策も決まったところで、僕達は分かれてオーラタートルを捕獲していった。
なかなか、数も多いので手間取るかなと思ったけど、<念動力>スキルを使ったらサクサクと捕獲出来るので、倒すより楽なぐらいだった。
流石に全員で捕獲していくと、あっという間に集めることが出来て、打ち合わせの通り下へ降りる階段へ集合した。
「んふふ、初めて魔物を捕まえていったけど、結構楽しかったわね?」×アヤメ
「魔物には同情するね」×ツドイ
「あはは、じゃ<結界>の箱を作りますから全員そこへ入れてって下さい」
僕は少し大きめの<結界>の箱を作ったけど、全員でオーラタートルを入れていくと凄い量になった。
「うはー、凄いね? これ」×ノノ
「フフ、大漁ですね」×リラ
「ではでは、僕が<スタン>しますから、アヤメさん倒しちゃって下さい」
「はーい♪」
僕は宣言したとおり大量のオーラタートルに<スタン>で攻撃を加えると、アヤメさんが何故か笑顔になっていた。
「んふふ、試したい魔法があったんだよね~♪」×アヤメ
「・・・アヤメ、言っとくけど無茶しちゃ駄目よ?」×ナギサ
「分かってるわよ~ 見ててね」
「<ホーリーレイン>!!!!!」
アヤメさんが放った<ホーリーレイン>は結界内で反射を繰り返し、無数にいたオーラタートルを貫き殲滅していった。
あの結界内に居たら蟻でも逃げられないだろう。恐ろしい魔法だった。
「うはー、怖い魔法使うんだから~」×ナギサ
「んふふ、良い殲滅魔法でしょ?」×アヤメ
「フフ、結界内に閉じ込めれば、驚異の魔法になりそうですね」×リラ
「この魔法を見てから<結界>に閉じ込められたら、泣いちゃうね?」×ツドイ
「「「「「・・・・・・・」」」」」
「や、やめてよね? ジト目で見るのは、いくら私でもこんな魔法、人には使わないからね? でも、悪人相手なら良いかな・・・」×アヤメ
「怖いこと言ってないで、ドロップ品見てよ?」×ナギサ
「「「「「おお~~~!!!」」」」」
「思った以上に、凄い量の鉱石がドロップしてますね~」
「フフ~ ミナミが喜びそうね」×ノノ
「まあ、ヨウ君じゃなきゃ、こんなにドロップしないんだろうけど、此処が人気なのも納得だわ」×ナギサ
「フフ、流石ヨウ様ですね」×リラ
「あはは、僕はドロップ率は良いですからね」
「もうヨウ君は、それだけじゃないでしょ?」×アヤメ
「ん~ 今の強さもドロップ率のお陰ですし?」
「いくらドロップが良くても、数あるスキルを使いこなせなきゃ宝の持ち腐れでしょ?」
「そそ、ヨウ君はもっと自分に自信を持っても良いんだよ?」×ナギサ
「そうですよヨウ様。同じスキルを持っていても、私達ではヨウ様ほど使いこなせませんから」×リラ
「フフ~ ヨウ様は天才です」×ノノ
「自覚が無いのも、ヨウ君の魅力だけどね」×ツドイ
「そんなに褒めても、何も出ませんよ?」
「んふふ、キスぐらいしても良いんじゃない?」×アヤメ
「アヤメ、良いこと言うじゃない」×ナギサ
「それは、僕への御褒美じゃないですか?」
「僕達への御褒美でもあるんだよ?」×ツドイ
「照れますね♪」
僕は皆に軽くキスをして、次の階層へ向かうことにした。
階段を降り地下12階へ辿り着くと、この階層では採集物であるプリン茸を探すことになる。
何時ものように勘の鋭いノノさんに従い探していくと、直ぐに見つけることが出来た。
大きな岩の割れ目に大量のプリン茸が自生している。
文字通りシイタケの形をしているんだけど、なめこの様に光沢があり食べるとプリンの味がする。
昨日もレストランで食べたけど、これがまたメチャクチャ美味しかったりする。
僕達は喜んで採集していき、根こそぎ取り尽くしていった。
次々に見つけていったので、大量に採集することが出来た。
これも皆への良いお土産になるから嬉しい気分になる。特にシオさんは喜んでくれるだろう♪
「フフ~ リラ姉が、つまみ食いするのって珍しいね? やっぱり、大好物のプリンだから我慢出来なかった?」×ノノ
「も、もう、ノノ」
「へえ~ リラさんってプリンが好きだったんだ?」
「・・・はい、子供の頃から好きなんです」×リラ
「で、ですが、今のは味見ですよ?」
「んふふ、リラが照れてる~」×アヤメ
「可愛いね、リラ」×ツドイ
「もう、ヨウ様の前で揶揄わないで下さい」
「良いじゃない? ヨウ君だって、リラの喜ぶ顔が見たいと思うよ?」×ナギサ
「リラさん、リラさん」
「はい?」
「あ~ん♪」
「えっ? ヨ、ヨウ様・・・ぱくっ! 美味しいです」
「「「「「可愛い~♪」」」」」
「もう、ヨウ様お返しです」
「あ~ん♪」
「パクッ! おいひぃーです♪」
「「「「・・・・・・・・」」」」
「「「「私も~♪」」」」
それから、皆でプリン茸の食べさせあいをした。
誰かが見てたら、バカップルと思われただろう。
ダンジョン探索が、こんなに幸せで良いんだろうかと思うけど、幸福感に包まれながら次の階層に降りていく。
地下13階は、昨日食べたオージーバイソンが生息している階層だ。
ここは、何としても大量に確保しておかなければと気合を入れる。
気合を入れたは良いが、近場には居ない奥へ進んでいくと、誰かがオージーバイソン狩りをしているようだ。
どおりで、近場に居なかったわけだ。
しかし、おかしいな。僕達は昨日の階層争奪模擬戦で、地下13階の権利を獲得してるはずなんだけど?
「なんで、私達以外の人がオージーバイソン狩りしてるのかな?」×ナギサ
「おそらく、誰の許可なくやっていることでしょう、風貌もギャングのようですし」×リラ
「なるほど・・・」
「馬鹿だよね? 僕達を敵に回すような事しちゃってさ」×ツドイ
「よりにもよって、ヨウ君が一番気に入ってたオージーバイソンに手を出しちゃうなんてね」×アヤメ
「ヨウ君。いきなり殺しちゃ駄目よ?」
「ブッ!? いくら好きな食べ物取られたからって、そんなことしませんよ? まずは、平和的に話し合いと行きましょうか?」
「フフ~ 平和的には、成らないと思うな~」×ノノ
僕達は皆でオージーバイソン狩りをしている人達の所まで行き、声を掛けることにした。
しかし、ガラの悪そうな人達だな。人数は15人ぐらいか。
「あの~」
「ん? なんだ。何でこんなとこにガキが居る?」
「お~ こりゃ、また凄い別嬪さんじゃねーか」
「おお~~~♪」×ギャング達
「あの聞いてます? 貴方達のリーダーって誰ですか?」
「ああん? なんで、お前みたいなガキに教えなきゃならねえんだ?」
「あのですね、この階層は昨日、僕達が階層争奪模擬戦で正式に権利を獲得したところなんですよ? 勝手に魔物狩りしてもらっちゃ困るんですけど?」
「ギャハハハハハハハ!!!!!」×ギャング達
「アニキ! なんか面白い事言ってるガキがいますぜ?」
「邪魔くせえが、別嬪さんを連れてきたんなら、相手をしない訳にもいかねえな」
「なあ坊主。なんで、俺達が誰が決めたか分かんねえようなルールに従わなきゃならねえんだ?」
「あれ? 冒険者ギルドが決めたルールですよ?」
「知らねえな」
「冒険者じゃないんですか? 冒険者カードも持ってないとか?」
「冒険者カードぐらい持ってるぜ?」
「じゃ、ちゃんとギルドのルールを守ってるじゃないですか?」
「このカードは便利だから持ってるいるだけさ、だがダンジョンで何をしようと俺達の自由だろ?
良い事を教えてやるよ、ダンジョンの中ではな、強い者がルールを決めんのよ分かったか?」
「なんか、ガキ大将みたいな事言ってますけど、大人なら決められたルールは守らないと?」
「なんだと、クソガキ!」
「邪魔くせえ、おいこのクソガキを打ちのめして、後ろの女を連れてこい」
「はいよー、クククッ! 馬鹿なガキだぜ」
アニキと呼ばれる男は後ろを向き、子分の様なガラの悪い男達が襲い掛かってきた。
ドカッ! バキッ!
「おいおい、殺すなよー」
「あはは、部下思いですね~♪ 大丈夫ですよー、殺してませんから」
「なにっ?」
アニキと呼ばれてた男が振り返る頃には、10人近くの子分達は地面に転がっていた。
「なんだと・・・て、てめえ何者だ?」
「貴方頭悪いわね~ ここは上級ダンジョンよ? 子供が居るわけないでしょ」×アヤメ
「ホント馬鹿過ぎ! 階層争奪模擬戦で権利を勝ち取ったって言ったでしょ?
模擬戦の相手のほうが100倍強かったわよ」×ナギサ
「ククッ! 確か、強い者がルールを決めるんだよね?」×ツドイ
「あはは、虫けらみたいな弱さなのに、良く言えたわね」×ノノ
「フフ、大きな体に無駄に筋肉を付けたら、強くなると思っているのでしょうか?」×リラ
「じゃ、そう言うことで、尻尾を巻いて逃げ帰って下さい」
「フハハ! ちょっと強いからなんだっていうんだ? 俺達は『ソーリー』だぞ分かってんのか?」
「はっ? ソーリー? 謝ってるんですか?」
「ヨウ様『ソーリー』と言う、ふざけた名前の悪名高いギャング集団があったかと思います」×リラ
「あ~ なるほど。本当にふざけた名前ですね~」
「フハハ! 洒落が効いてるだろうが?
俺達に手を出したら、どうなるか分かってんのか?
俺達はしつけえぞ? 絶対に報復してやる!
お前達の親や兄弟、親戚から友人に至るまで無事で済むと思うなよ?
お前達のことは覚えたからな、精々怯えながら過ごすんだな?
フハハハハハハハハ♪」
アニキと呼ばれていた男は、それだけを言い残すと、倒れている子分を放置したまま帰ろうとしている。
「あ~ ちょっと、待って下さいよ」
「ああん、今更謝っても遅えんだよ?」
「いえいえ、そう言う事を言うなら、無事に帰す訳ないじゃないですか?」
「なにっ?」
「見逃して上げようと思ったけど、僕の知人に迷惑を掛けるつもりなら、キッチリ始末しておかないとでしょ?」
「な、なんだと・・・お、お前、これ以上俺達に手を出して逃げれると思ってんのかよ?」
「えっ? 全員始末したら誰にも分らないじゃないですか?」
「余計な事言わなきゃ良かったのに、馬鹿だよね~♪」×ナギサ
「あ~あ、せっかく無事に帰れるとこだったのに、救いようがない馬鹿なんだから」×アヤメ
「くっ! 俺たちが帰らなかったら『ソーリー』が徹底的に調べるぞ?
直ぐにお前達の仕業だと分かるはずだ。
ここで、俺達を倒しても無駄ってやつだ」
「なるほど、なるほど。じゃ、その『ソーリー』ってギャング集団も、潰しとかないとですね?」
「はあ?」
「だって、生かしといたら僕の知人が危ないじゃ無いですか?」
「クククッ! 本当に馬鹿だね? アンタのせいで組織ごと、今日中に無くなるんだから♪」×ツドイ
「フフ、安い脅しが仇となりましたね、もう貴方達は終わりです」×リラ
「もう、喋らない方が良いんじゃない? もう手遅れだけどさ♪」×ナギサ
「ば、馬鹿な、お前ら正気かよ?」
「フフ~ 喧嘩を売る相手は、ちゃんと考えなきゃ? 馬鹿って悲しいわね」×ノノ
「アニキ、此奴等ヤバいんじゃ・・・」
「そうだぜ、此奴等何をしたのか全く分からないのに、一瞬で10人倒されたんだ」
「ば、馬鹿野郎! ビビるんじゃねえ」
「・・・貴方は、本物の馬鹿だったわ」
ドガッ!
「ぐはっ!」
バキッ!
「がはっ!」
「た、助け・・・」
ドカッ! ガッ!
「くっ!」
「もう、アニキさんだけになりましたね、ちょっとは危機感が出てきましたか?」
「・・・分かったよ。俺の負けだ、お前達には手を出さねえ、これで良いだろ?」
「あはは、そんな言葉を信用すると思ってるんですか?
どうせ、何も悪くない人達を殺してきたんでしょ?」
「そんな事はしてない。本当だ」
バキッ!
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「ソーリーの本部みたいなところが、あるんですよね?
そこへ案内して貰わないとだから、今は殺しませんけど、逃げれないように手足は潰しときますね」
「ま、待て、俺は嘘は言わねえ、お前達には今後、手を出さねえ。本当だ」
「次は両腕潰しときますね~」
ベッキー!
「ギャアアアアアアアアアア!!!!!!」
「ゆ、許してく・・・」
ボキッ!
「ギャアアアアアアアア!!!!!!!」
「ヒッ! ヒィィ! か、勘弁してくれ。俺達が悪かった」
「フフ、1つ良い事を教えてあげましょう、私達には嘘を見破るスキルがあります」×リラ
「フフ~ 分かった? さっきから貴方が言ってる事、全部嘘だって分かってるんだよ」×ノノ
「なっ?」
「ククッ! そんなに汗掻いちゃって、ちゃんと危機感を感じてるみたいだね」×ツドイ
「あっ! そだそだ忘れてた。スキルも回収しとかないとですね」
僕は倒れているギャング達から、SPオーブやスキルオーブを抜き取っていく。
「このアニキさんスキルを3つも持ってるわ、宝の持ち腐れね」×アヤメ
「あはは、キッチリ回収しちゃいますね♪」
「う、嘘だ! なんで、こんなことが出来るんだ・・・」
「<返還>ってスキルがあるんですよ?」
「んふふ、ヨウ君。言っちゃ駄目じゃない?」×アヤメ
「そうですね、すみません。これでどうあっても、アニキさんを生かしておくわけにはいかなくなりましたね?」
「フフ、<返還>スキルなんて、絶対に人には言えない秘密ですからね」×リラ
「馬鹿なアニキさんにも分かるよね~ もう生きて帰れないことは?」×ノノ
「ヒッ! ゆ、許してくれよ・・・誰にも喋らねえから・・・」
「あはは、本心で言ってるみたいですけど、もう遅かったですね。
アニキさんには、ちゃんと『ソーリー』が壊滅するのを見せてから、始末してあげますね」
「わ、悪かった。俺が悪かったから許してくれよ。
金もやる、俺が持ってる金を全部やるから、なんでもするから助けてくれ」
「無理です♪」
アニキさんは手足を潰され、泣きながら命乞いをしてきたが、自分達も同じ様なことしてきたんだから情けもいらないよね。
倒れている子分達も<亜空界>へ放り込んで、帰りにゴミ掃除することにした。
アニキさんは意識があるまま放り込んどいてあげよう。
後悔する時間が必要だからね。
「余計な邪魔が入ったけど、これでようやく、お目当てのオージービーフが取りにいけるわね」×アヤメ
「全くですよー、じゃ根こそぎ回収しちゃいますねー」
「「「「「ヤー♪」」」」」
あれだけ人数が居た『ソーリー』達も全然狩れてなかったのか、大量のオージーバイソンがいたので、残らず狩り尽くしていった。
続く地下14階では、ゴールドウィートと言う小麦が自生しており、美味しいパンが出来るんじゃないかと笑顔が零れる♪
シオさんなら美味しいパンも作ってくれるかなと、期待を込めて根こそぎ収穫していった。
あらかた採り尽くしたので、次の階層へ進むことにする。




