第223話 新たなフィールドは面白いですね
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シドニー上級ダンジョンに入った僕達は、初めて見る光景に驚く事になる。
そこは広大に広がる湿原だった、見渡す限りに土が無く、湖のような水面と草しかなかった。
湖と言っても、とても浅い所が多く、歩いて移動出来そうだ。
「うわ~ 流石ダンジョンね、色んな所があるわね~」×アヤメ
「わわっ! 靴が濡れちゃう~」×ノノ
「フフ、流石に長靴を履く訳には行きませんから、そこは我慢ですね」×リラ
「私達は皆バトルブーツだから、まだマシじゃない?」×ナギサ
「そうですね、運動靴だったら脱げちゃいそうですから」
「あっ! ここって、<雷属性魔法>が良く効きそうね?」×アヤメ
「「「「「・・・・・」」」」」
「な、なんで、私をジト目で見るのよ?」
「言っとくけどアヤメ、本当に気を付けてよね? 今のアヤメの魔法だったら私達でも死んじゃうわ」×ナギサ
「わ、分かってるわよ~ ヨウ君じゃあるまいし?」
「ブッ!? ちょっと待って下さい! 僕も最近ちゃんと調整出来てますからね?」
「「「「「・・・・・」」」」」
「・・・分かりましたから、ジト目で見るのは止めて下さい」
「「「「「あはははは♪」」」」」
地形を読みながら慎重に歩を進めるが、流石に慣れない湿原には何時もの様なペースで進むのは難しかった。
でも僕達には、感知系スキルがあるので、慣れれば問題なく進めるだろう。
強いて言えば、足首まで水面に浸かっているいるので、歩きにくいのが問題だった。
「あっ! 此処なら魔法サーフィンで移動したら楽じゃない?」×アヤメ
「なるほど! それ良い考えですね」
アヤメさんの思い付きから、僕達は何時もプールで遊んでいる様に、水属性魔法でサーフィンボードを形成し風属性魔法で推進力を得て移動しだした。
何故思いつかなかったんだろう。先程とは打って変わって歩きにくかった湿原を僕達は快適に進みだした。
これなら、走って移動するより速いかもしれない。
この湿原で出て来る魔物はリザードマン・ドラッグフロッグ・ツインヘッドクロコダイルと言った初見の魔物が多かった。
だが、強いと言う訳でもなく、新たなスキルもドロップしなかった。
少し残念な気持ちになったけど、リザードマンの皮やツインヘッドクロコダイルの皮と言ったドロップ品は高く売れそうだ。
ドラッグフロッグと言うカエルからは油がドロップし、錬金術師であるセツナさんに良いお土産になるだろう。
「ひゃっほーい♪ きっもち良い~」×ナギサ
「あはは、確かに爽快ですね♪」
「んふふ、練習しておいて良かったわ」×アヤメ
「僕、ホバークラフト買っとけば良かったよ」×ツドイ
「あ~ それ良いかもね」×ノノ
「フフ、私達以外なら、魔物に襲われそうですけどね」×リラ
「あはは、確かに、座ったまま迎撃するのは難しいかもですね~」
僕達は楽しく会話をしながら順調に歩を進め、地下5階に辿り着くと、そこには何故か他の冒険者が2パーティ程、何もせずに立っている。
何をしているのかなと思ったら、直ぐに理由が理解出来た。
どうやら、この先にモンスターエリアがあるようだ。<気配感知>に無数の魔物が感じられる。
このまま素通りするのも何なので、軽く挨拶してから通り過ぎる事にした。
「こんにちわー」
「えっ? こんにちわ?」
僕達はスタスタと通り過ぎようとしたら、案の定呼び止められてしまった。
「お、おい、ちょっと待ってくれ」
「はい?」
「ひゃ~ 中国人か・・・凄い美人揃いだな」
「き、きれ~ 何でこんなとこに、モデルみたいな女性がいるのよ?」
「しかも、子供を連れて?」
「うふふ、でも、この子も凄く可愛いわね♪」
予想通りアヤメさん達を見て驚いている様だが、一応僕の事も褒めてくれているのに気分を良くする。
「なんですか?」
「見た所、このダンジョンに来るのは初めてだろ? えらく流暢に英語を話すが何処から来たんだ?」
「はい、僕達は日本から来ました」
「お~ 日本人か、今は世界中から注目を浴びてるよな」
「そうなんですか?」
「なんだよ知らないのか? <鑑定>スキルにエリクサー、空飛ぶ人間まで居るんだろ?」
全部、僕達の事なんだけど言える筈も無く、苦笑を浮かべてしまう。
「そうなんですけど、世界中から注目されてるなんて知りませんでした」
「おっと、そんな事よりこの先はモンスターエリアだから危ないぞ?
初めて此処に来るなら分からないだろうが、この先は大量の魔物が潜んでるんだ」
「私達が居なかったら貴方達、死んでるところよ?」
「大丈夫ですよ? ちゃんと気付いてますから」
「なに?」
「んふふ、ちょっと深い所に魔物が集まってるみたいね、大体150体ぐらいかな?」×アヤメ
「あはは、150体? 何時もなら多くても2~30体ぐらいなんだぞ?」
「そうよ、大体150体も魔物が居るなら、何故貴方達は進もうとしてるのよ?」
「フフ、私達が居て良かったですね。私達が居なかったら死んでるところでしたよ?」×リラ
「なっ?」
「にひひ、まあ、見てたら分かるって」×ナギサ
「150体ぐらいなら僕がやるよ。ヨウ君、誘き出して貰っても良いかな?」×ツドイ
「分かりました。僕達以外の方も居ますし、物理攻撃の方が良さそうですね。
じゃ、行きますよ~」
「ん、何時でも良いよ」
「ヨウ様、ちゃんと加減して下さいね?」×ノノ
「・・・一応、<結界>を張っておきます」
「あはは♪」×アヤメ達
「一応ですからね? 念のためですよ?」
「はいはい、分かってるって♪」×アヤメ
「ブ~!? 完璧な手加減を見せますからね」
「<スタン>!!!」
僕は他の冒険者達にも<結界>を張り、静電気ぐらいまで威力を落とした<雷属性魔法>の<スタン>を唱えた。
水面に潜んでいた魔物達は、一瞬硬直したみたいだけど、直ぐに動けるようになり一斉に水上に姿を現した。
「おお~~ パチパチパチ♪」×アヤメ達
「えへん! どんなもんです!」
「んふふ、偉い偉い♪ 可愛いわよヨウ君?」×アヤメ
「おいおい、どれだけ魔物が出て来やがるんだよ?」
「大丈夫だよ? 僕の後ろに居てね、前に出たら死んじゃうから」×ツドイ
「嘘だろ? 嘘だと言ってくれ。本当に魔物が100体以上居るじゃねえか」
「ま、拙いわ、これだけ大量の魔物どうにも出来ないわよ」
「おい、リーダー逃げるぞ?」
「い、いや、もう少しだけ待て・・・あの女性とんでもないぞ・・・」
ツドイさんはアダマンタイト製の薙刀を構えると魔力を流したのか、刀剣が青く半透明になり光を放ち出した。
何時見ても、とても美しい刀剣の輝きは、他のパーティの人達をも虜にしてしまったようだ。
そして、魔物が1体残らず水上に姿を現したタイミングを見計らい、流麗とも言えるツドイさんの薙刀が始動した。
「ん、<風斬>【一文字】!!!!!」
ヒュン! ズッパーーーーーー!!!!!
横一閃に振るわれたナギサさんの薙刀から巨大な<風斬>の刃が繰り出され、前方に居た150体以上の魔物達の胴体は真っ二つに切断された。
たった一撃の下に倒された150体以上の魔物は、上半身と下半身が綺麗に切断されており、徐々に光の粒子となって消えて行った。
その光景を目の当たりにした他のパーティ達は、声を出すのも忘れ前方を凝視している。
「あ、あの大量の魔物が一撃かよ・・・」
「だ、誰か、冗談だと言ってくれ・・・」
「私達は、今一体何を見たの?」
「・・・こんな事が出来る人間が居るのかよ」
「フゥ~ 恐ろしいな・・・これが日本の冒険者の実力か」
他の冒険者達は驚きから覚めると、僕達を畏怖しているのか、怯える者が出始めた。
「そんなに、怯えなくても大丈夫だよ?」×ツドイ
「日本の冒険者が、皆私達みたいじゃないからね」×ノノ
「では皆さん、お先に失礼します」
「ま、待ってくれ、君達のパーティ名だけでも教えてくれないか?」
「良いですよ、僕達のパーティ名は『クレセント』って言います」
「んふふ、私達は今日の階層争奪模擬戦に出るから、良かったら見に来てね」×ナギサ
「分かった。必ず応援しに行くと約束しよう」
「ありがとう、じゃまたですよー♪」
僕は他の冒険者達に手をブンブンと振りながら、その場を後にした。
「・・・何よ、あの可愛い生物は?」
「あの人達、どうやって移動してるの? 水面を滑るように高速で消えて行ったわ・・・」
「俺に聞いても分かる訳無いだろ? 分かるのは奴等は俺が今まで出会った誰よりも危険って事だ」
「全く人類かどうかも怪しい奴等だったな、美人って言ったって程があるだろう?」
「確かにね嫉妬する気にもなれないわ、異世界から来たんじゃない?」
「うふふ、エルフってのが本当に居たら、あの女性達の様に美しいのかもね♪」
「今日はえらいもん見ちまったな・・・今日の階層争奪模擬戦が楽しみになってきたよ」
「うふふ、今日は荒れそうね?」
「ああ、間違いなくな、トッププレイヤー達も度肝を抜かすだろうぜ」
「それ面白そう♪ ねーねー、今日はもう帰ろうよ、私友達の皆に伝えてあげなきゃ」
「そうだな、どうせ奴等が通った後に魔物が残ってる気がしねえ」
「とんでもない事言ってるが、俺も同感だ」
「よし、じゃ引き上げるぞ『クレセント』か全く恐ろしい奴等がいたもんだ」
◇ ◇ ◇
僕達は魔法サーフィンで軽快に歩を進め、魔物を倒して行った。
海外のダンジョンはモンスターハウスの様な魔物が密集している所が多いのか、既に5~6箇所見つけ魔法で一掃していた。
やはり、日本のダンジョンより海外のダンジョンの方が難易度は高そうだ。
「ん~ 湿原って、最初は靴が濡れて不快だったけど、移動は楽だし魔物は倒し甲斐あるし良い所ね?」×アヤメ
「私もそう思うわ。中々景色も綺麗だしね」×ナギサ
「あっ! 魚も結構いるみたいですね」
「うんうん、大きな魚も見たよ」×ノノ
「フフ、少し獲って行きますか?」×リラ
「ん~ どうしよっかな・・・あっ! 良い物見つけましたよ」
僕は<念動力>で、水中から引き揚げ皆に見せて上げた。
「それって、ウナギじゃない?」×アヤメ
「はい、アオウナギって言う見たいですね、手頃な大きさだし美味しそうでしょ?」
アオウナギって名前みたいだけど、真っ青じゃなく白みがかった薄っすらと青く見えるウナギだった。
「なんで、海外の湿原にウナギがいるのよ?」×ナギサ
「ダンジョンに常識なんて無いよ?」×ツドイ
「そりゃそうだけどさ~」
「フフ、確かオーストラリアでもウナギは取れますよ? かなり大型の様な気がしましたが」×リラ
「えっ? ウナギって日本だけじゃないんだ?」×ノノ
「世界中に生息してますよ?」
「そうなんだ~」
「んふふ、シオが喜びそうね、蒲焼、蒲焼♪」×ナギサ
「えっと、精力増強に良いんだよね?」×ツドイ
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
「ま、待って下さい、他意は無いですからね? 本当ですからね? そんなに顔を赤らめないで下さい」
「もう、ツドイが変な事言うからでしょ?」×アヤメ
「ククッ! 自分で言ってて僕も照れちゃった♪」×ツドイ
「あはは、でも最近ヨウ君も大変だし、沢山獲って行こっか」×ナギサ
「ナ、ナギサさん~ そう言うのじゃ無いですからね? とっても美味しいからですよ?」
「にひひ、分かってるって」
「フフ~ では何時もの様に?」×ノノ
「根こそぎだぁ~~~♪」×全員
僕達は通常なら捕獲しにくいアオウナギを、<念動力>スキルで片っ端から捉えていった。
幸い大量に生息しているようなので、お店を開ける程、大量に手に入りホクホク気分になれた。
「ふ~ これだけ獲ったら、当分食べれるかな」
「ヨウ君、食いしん坊なんだから、もうお店が開ける程あるわよ?」×アヤメ
「僕達も最近、ヨウ君の事言えなぐらい食べてるけどね」×ツドイ
「フフ~ 全然太らないから良いんじゃないかな?」×ノノ
「んふふ、燃費が悪いのも考えものだけど、美味しい物が沢山食べれるって素敵なんだよね~」×ナギサ
「あはは、もう皆さんも、食いしん坊仲間ですね♪」
「フフ、ヨウ様に比べたら私達は普通ですよ?」×リラ
「あぅ~」
「「「「「あはははは♪」」」」」
アオウナギを獲り尽くした僕達は先に進む事にし、遂に地下10階のボス部屋に到着した。
人気があるのか、数パーティが順番待ちをしているようだ。
僕達も最後尾に並ぶことにしたが、やはり僕達は珍しいのか注目を浴びている。
黙って並ぶのもなんだから、声を掛けてみることにした。
「こんにちわ♪」
「えっ? こ、こんにちわ」
「ボス部屋の順番待ちって、此処で良いんですよね?」
「ええ、私達が最後尾だから貴方達は3番目なんだけど・・・ボス戦しに来たの?」
「はい」
「ちょっと、待ってね」
「はい?」
僕が声を掛けた女性は何か相談しているみたいだ。
訳が分からず待っていると、リーダーらしき男性が此方へ来てくれた。
「あ~ すまない。君がリーダーで良いんだよね?」
「はい」
「東洋人は若く見えるけど、君は特に若く見えるね?」
「何時も言われますけど、僕は一応18才ですからね?」
「あはは、すまない。18才以上でなければ此処に居る筈が無いからね。
ところで、君達は此処のダンジョンは初めてなんだよね? 少し説明しておきたいんだが」
「はい、お願いします」
「うん、此処のボス戦は並んだ順で3パーティが共同戦闘するのが暗黙のルールなんだよ」
「へえ~ 面白いルールですね」
「つまり、私達2パーティと共にボス戦になるんだけど、残念ながら君達の実力が分からないから少し揉めてるんだ」
「なるほど・・・僕達って強そうに見えませんものね」
「すまないが、そう言う事なんだ」
「僕達だけでボス戦しても良いんですけど?」
「此処のボスを1パーティで挑むのは、現実的では無いよ?
それに、そうなると次のパーティが来るまで待って貰い、私達3パーティ揃ってボス戦が終わった後になる」
「あ~ なるほど・・・」
「そこでなんだが、君達も此処まで来たって事は、相応の実力があると思うのだが証明として魔物のドロップ品を見せてくれないだろうか?
十分な魔物のドロップ品を見せてくれれば、君達の実力も証明され皆も安心すると思うんだ」
「ふむふむ、分かりました。良いですよ」
「あっ! でも湿原だから地面に出すと水浸しになっちゃいますね・・・」
「そうよね~ テーブルを出しても良いんだけど、乗り切らないだろうし・・・この付近だけ凍らしちゃう?」×アヤメ
「それ名案ですね、お願いします」
「はいはい♪ この付近だけで良いわね、よしっ!」
「<コールド>!!!!!」
ピキンッ!
アヤメさんが放った<コールド>の魔法により、僕達の後方は一瞬でスケートリンクの様になった。
流石アヤメさん。素晴らしい魔法制御だ!
「なっ? 氷属性魔法だと?」
「綺麗・・・」
「えっと、此処に魔物のドロップ品を置いていきますね」
「い、いや、その必要は無いよ・・・君達の実力は十分分かったから」
「えっ? ひょっとして今の魔法でですか?」
「ああ、氷属性魔法なんて存在するのも知らなかったよ」
「なんだ、こんなので良かったんだ。最初からこうすれば良かったわね」×アヤメ
「あはは、こんなのか♪ 君達は今どれだけ凄い事をしたのか、分かって無いみたいだね?
皆を見てくれ、声も出ないくらい驚いているだろう?」
前方に並んでいる人達に目をやると、言われた通り全員が目を見開いて驚いているようだ。
僕達は慣れてるけど、そう言えば四属性魔法以外は、一般では公開されて無かったんだった。
驚きから覚めた冒険者達が、全員凍った水面を見に来ている。
「凄いな・・・本当に凍っている」
「氷属性魔法も凄いけど、こんな広い範囲を凍らすなんて魔力も凄いわ」
「こんな事が出来る人がいるんだ・・・」
「おいおい、こんな美しい女性達がやったのかよ?」
「そう言えば、綺麗な女性ばかりだよな、いや少年も1人居るのか」
「やるな~ 少年、ハーレムパーティかよ」
「羨ましいね~♪」
「えっ? あはは、照れちゃいますね」
「すまなかった。どうやら見た目通りの実力では無さそうだね?」
「まだ新人冒険者ですから、そんなことないですよ?」
「もう駄目よヨウ君? 新人って言ってもSランクなんだから自覚を持たなきゃ」×アヤメ
「なっ! Sランクなのか・・・いや<氷属性魔法>をここまで使いこなすんだ、それも当然か。
私達とは比べ物にならない格上の冒険者だったんだね」
「あれ、信じてくれるんですか?」
「あはは、君達の見た目では、信じない者が居ても不思議じゃないけどね。
あんな魔法が使えるなら、大抵の魔物は瞬殺出来るんだろ?」
「へえ~ そこまで私達を過小評価しないって事は、貴方達も強いって事ね」×ナギサ
「あはは、やめてくれ。私達は自分の実力は理解しているつもりだよ。
逆にお願いする立場になってしまったが、一緒にボス戦をして貰っても良いだろうか?」
「はい、もちろんです。あっ! でも?」
「何か条件があるなら聞くよ?」
「すみません。もし、レアボスなら僕達に譲って貰えませんか? 普通のボスならドロップ品は全てお譲りしますので」
「・・・ふむ、凄く確立の低い話になるけど分かった。それで良いだろう」
「私達の実力なら、仮に3パーティいてもレアボスには勝てないからね」
「ありがとうございます」
「しかし、凄い自信だね? この階層のボスはリザードマンなんだがノーマルでもかなり強いんだよ?」
「あはは、僕達は慣れてるんで大丈夫ですよ」
「えっ?」




