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第213話 レイさんの頭痛は、しばらく続きそうです

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 俺は初めてパーティを組んでダンジョンに潜るので、自然と気分は高揚していた。


 それも、レイさんみたいな美人とだから嬉しくない訳が無い。


 レイさんにスライム狩りをして貰うのも気が引けるので、俺は率先してスライムを倒して行った。



「おい、ちょっと待て・・・」


「どうしたんです? レイさん?」


「なんで、こんなにスライムボールがドロップすんだよ? おかしいだろ?」



 あちゃ、そういや、俺が持ってる<激運>スキルの説明なんて、レイさんにはしてないや・・・


 ん~ でも、これって極秘事項だからな・・・


 よし、惚けちゃおう♪



「そうですか? 何時もこんな感じなんですけど?」


「どんな強運してやがんだよ? 普通10匹に1つドロップしたら良い方なんだぞ?」


「そうなんですか? 俺って運が良かったんですね~」


「あ~ 何か、頭が痛くなってきたぞ・・・そりゃ、スライムだけで5万も稼げるはずだ」


「あはは♪」


「あはは、じゃねーんだが・・・まあ良い、先に進もう!」


「はい」



 何とかレイさんも納得してくれたようなので内心ホッとし、気分良く先に進んで行くと、今日1つ目のSPオーブがドロップした。


 うはっ! ヤ、ヤバいかな・・・



「おい、ちょっと待て! それは何だ?」


「えっと、今日1つ目のSPオーブかな?」


「はああああ?」


「ラッキーでしたね・・・」


「・・・お前、まさか初級ダンジョン。しかも、スライムなんかで毎日SPオーブまでドロップしてたんじゃないだろうな?」


「え、えっと・・・あはは、毎日5つ程ドロップしてたかな?」


「ぐはっ! い、5つだと?・・・あ~ 頭がクラクラしてきた」



 やはり、普通では考えられない様な事だったのか・・・レイさんは頭を抱えて蹲っている。



「まるで、ステータスがドカドカ上がってるような急成長だと思っていたが、本当に上がってたのかよ・・・」


「それで、今ステータスにはどれぐらい振ってるんだ?」


「えっと・・・今は全部25ぐらいですね」


「ぜ、全部って、STR・VIT・DEX・INT・AGI・LUKの6つの事か?」


「はい、そうですけど?」


「お前、前衛なのにINTやDEX、LUKにまで振ってるのかよ?」


「やっぱり、均等に振って行かないと駄目かなと思ったんですけど、拙かったですか?」


「・・・いや、お前程ドカドカSPオーブが手に入るなら、それも有りか・・・」


「良かった♪ レイさんは、どれぐらい振ってるんですか?」


「私はSTRとAGIに30ぐらいとVITに少しだけな」


「ええっ? 極端ですね?」


「馬鹿野郎! SPオーブがそんなに簡単に手に入るかよ? 今買うと1500万円なんだぞ?」


「って、お前は手に入るのか・・・ああ~~~ やっぱり、お前おかしいぞ? 普通は初級ダンジョンでSPオーブなんてドロップしないだろ?」


「そ、そう言われても?」


「そうだよな・・・普通にドロップする、お前には分からんよな。


なんてこった・・・此奴私が見込んだ成長速度だけじゃねえ、異常とも言えるドロップ運まで持ってやがったのかよ。


ふふ、あはは、お前みたいな奴がSランクになるのかもしれねえな。


なんにせよ、これからコウタの成長が楽しみになってきやがった♪」


「えっと、レイさん誉め過ぎですよ?」


「まあ、とりあえず先に進もうか」


「はい」



 ふ~ なんとかSPオーブの事も納得してくれたみたいだ。


 分かってたけど、<激運>スキルってヤバすぎだろ?


 ヨウ君。いや、ヨウ兄さんって呼ばないとか・・・とんでもない物くれたもんだ。


 俺達はスライムを倒しながらドンドン進み、地下2階の階段を見つける頃にはSPオーブも5つドロップしていた。



「・・・本当に5つもドロップしやがった」


「ああ~ 俺の言う事、信じてなかったんですか?」


「あのな~ 普通信じられると思うか? 5つで7500万円なんだぞ?」


「うは~ 売ったら、大金持ちに成れちゃいますね?」


「簡単に言いやがって、分かってんのか分かって無いのか、私は頭がいてえよ・・・」


「とりあえず、SPオーブは交互に使って行きましょう?」


「ば、馬鹿! 私が貰えるかよ? 全部お前が使えよ」


「駄目ですよレイさん! もう俺達はパーティを組んだんだから冒険者のルールには従わないと?」


「そ、それにしたって、価値が高すぎるだろ?」


「駄目です! 山分けです! いくらレイさんでも、これだけは絶対譲りませんからね?」


「分かったよ。確かにこのままじゃ、直ぐコウタに付いていけなくなるからな」


「やっぱり、そうなりますか?」


「当たり前だ! ステータスの恩恵ってのは、凄まじいんだぞ?


5つぐらい差が付いたら、私はもうコウタに勝てなくなるだろうな」


「うはー、SPオーブが高額なのも分かりますね~」


「レイさん。2人で強くなりましょうね?」


「ば、馬鹿野郎、恥ずかしい事言うなよな・・・でもまあ、これから宜しくな」


「はい」


「言っとくけど、これは借りだと思っとくからな? 私に出来る事なら何でも言えよ?」


「えっ? 何でもですか?」


「・・・お前、今何か変な事考えなかったか?」


「か、考えてませんよ、ご、誤解です!


あっ、階段です! 下りましょうか? 初の地下2階です嬉しいな♪」


「全く・・・まあ、コウタなら良いけどな」


「えっ? 何か言いました?」


「何でもねーよ♪ さっ、行くぞコウタ!」


「はい、レイさん」



 俺は初めて地下2階に下りると聞いていたとおり、そこには転送クリスタルが設置されていたので忘れずに触っておいた。



「さて、こっからニードルラットだ。攻撃はスライムと変わらねえが、威力は段違いだから気を付けろよ?」


「はい、レイさんから教わった、剣での防御が役に立ちそうですね」


「ああ、だが、基本は回避だぞ?」


「分かりました」



 俺は初めてスライム以外の魔物を見た。


 今までスライム以外と戦わなかったからな。


 最初はニードルラットの動きを良く観察して慎重に倒す事にしよう。


 幸い、ニードルラットの動きは、そんなに早くないが、体当たり攻撃は針があるので洒落にならない。


 十分に観察したので攻撃してみると、一撃で倒す事が出来た。


 これなら、体当たりにさえ気を付ければ大丈夫かなと安心する。



「・・・嘘だろ?」


「どうしたんです、レイさん?」


「はぁ~ どうして、コウタは次から次へと私を驚かすんだよ?」


「ええっ? 俺なんか変な事しました?」


「やっぱり、気付きもしてないのかよ?」


「あのな~ 普通ニードルラットを剣で斬れると思うか? 何で背中から真っ二つに出来んだよ?」


「コウタが使ってるバスターソード、絶対普通じゃねえぞ?」


「うはっ? これ、そんなに凄い剣なんですか?」


「一見黒鉄製だが、間違いなく何か別の素材だろ? 斬れ味が良すぎる」


「そうなんだ・・・これ、姉ちゃんの知り合いに作って貰った剣なんですけど、凄い剣だったんですね。


今度会ったらお礼言っとかなきゃ」


「作って貰ったってオーダーメイドかよ? ちょっと触らせて貰っても良いか?」


「はい、良いですよ」


「おっと、念のために地面に置いてくれるか?」


「えっ、はい」



 俺は不思議な気持ちで剣をダンジョンの地面へ置いた。



「ぐっ! ぐぅぅ~ やっぱりな・・・」


「何が、やっぱりなんですか?」


「私では持ち上げる事が出来ねえ。おそらく、コウタ以外使えねえように処置されてるな。


これ、作った奴は、間違いなく凄腕の鍛冶師だぞ?」


「うはー、でも、これ作ってくれたの凄く綺麗な女性なんですよ?」


「女なのかよ? すげーな、女でこんな武器作っちまうなんてよ。


コウタの姉って、凄い鍛冶師知ってたんだな?」


「ま、まあ、たまたまだと思います」


「私もリーダーみたいにアダマン鉱石を手に入れたら、そんな凄腕の鍛冶師に依頼したいもんだ」


「へえ~ 凄いですね。アダマン鉱石ですか? 俺達も何時か取りましょうね♪」


「ふふ、ああ、良い目標だな♪


そういやコウタ。そろそろ、自分のドロップ率の高さが分かってくれたか?」


「はい、レイさんと比べたら、確かに俺のドロップ率は良いみたいですね」


「言っとくが、私が普通なんだからな? コウタのドロップ率は異常だ」


「・・・何か、俺が異常みたいじゃないですか?」


「ふふ まあ聞いとけ。そこでだ、全ての魔物に対してコウタは、最低1回攻撃するようにしよう」


「なるほど。言いたい事は分かりました。全ての魔物に俺のドロップ率を乗せるんですね?」


「そう言う事だ。私が先に攻撃した魔物は瀕死にしておくから、止めはコウタが指せ」


「了解です♪ レイさん賢いですね」


「馬鹿野郎! その方が効率的なだけだ。良い武器持ってるからって油断すんじゃねーぞ?」


「了解です!」



 レイさんの忠告通り、決して油断せず進む事にした。


 レイさんの武器は大剣なのに、絶妙の力加減で全ての魔物を瀕死の状態にしていく。


 流石だなと、感心しながら次々と魔物を倒して行った。



「たはっ! また、SPオーブがドロップしたのかよ?」


「えへへ、本日10個目ですね絶好調です♪」


「ふふ、全く恐ろしい奴が居たもんだ」


「レイさんもINTとか上げて下さいね? 何時か魔法スクロールもドロップするかもだし?」


「あはは、コウタが言うと冗談に聞こえねーな?」


「ああっ!」


「な、なんだよ? 吃驚するじゃねーか?」


「スキルオーブ出ちゃった・・・」


「はあああああ?」


「・・・ぐはっ! 本当にスキルオーブじゃねーか!


出ちゃった、じゃねえええええええええええ!」


「あはは♪」


「あはは、じゃねええええええええ!」


「頭が頭痛だ・・・私をどんだけ驚かせたら気が済むんだよ?」


「あはは、一応俺も驚いてるんですよ?」


「なあ、お前、地球人だよな?」


「ぐはっ! 俺が地球外生命体に見えますか? 立派な普通の地球人ですよ?」


「ずぜぇえええええええったい、普通じゃねえよ?」


「そ、そんなに、力いっぱい言う事ないじゃないですかー」


「しょーがねえだろ? 私の常識が木端微塵に砕け散ってるんだからよ。


はぁ~ ところで、何が出たんだ?」


「えっと・・・<追加攻撃>ってスキルみたいですね」


「うはっ! それって、防御力無効で攻撃が入るスゲエ高いスキルだぞ・・・」


「へえ~ 流石レイさん。スキルにも詳しいですね~」


「お前って奴は、もっと驚けよな? 数百億円で売れるかもしれねえんだぞ?」


「ぐはっ! そ、そんなに高いんですか?」


「驚くのが遅えよ? でっ! 売るのか? 習得するのか?」


「もちろん、習得しますよ? どっちが先に習得します?」


「ふふ、あはは、やっぱ、お前は大物だよ♪


私は手数が少ない大剣だから、コウタが習得した方が良いな」


「分かりました。言っときますけど変な遠慮は無しですよ?」


「ああ、分かってるよ。それより<追加攻撃>スキル試しとけよ?


もし、パッシブ効果なら模擬戦出来なくなるからな」


「うわっ! 本当ですね、分かりました。色々試しときます」



 俺はレイさんが言う通り、色々と<追加攻撃>スキルの検証をすることにした。


 検証の結果、どうやら<追加攻撃>スキルはパッシブ効果ではなくオンオフ出来るようだ。


 少し安心した。もし、パッシブ効果なら危なくて模擬戦どころじゃ無くなるもんな~


 そして、予備の短剣で色々と試した結果、斬っても突いても<追加攻撃>が入るようだ。


 ニードルラットなら<追加攻撃>を3回程入れると倒せるようだ。


 試しに石を投げてみたが、投擲でもシッカリと<追加攻撃>が入るようだ。


 これって、メチャクチャ防御力の高い魔物には、凄く有用なのが俺でも分かる。



「<追加攻撃>スキルって、メチャクチャ便利そうですね?」


「ふふ、<追加攻撃>スキルだけじゃねえぞ? スキルってのは、どれもこれも有用でな、オークションで高値が付くのが分かるだろう?」


「レイさんも何かスキル持ってるんですか?」


「こらこら、スキルの事を聞くのはマナー違反だぞ?」


「あっ! そうですね。すみませんでした」


「ふふ、まあコウタには教えてやるよ。私は<腕力強化>と、<身体強化>を持っている」


「うはー、流石レイさん。2つもスキル持ってるんですね」


「ああ、両方上級ダンジョンで手に入れたんだけどな、これでも苦労したんだぞ?


初級ダンジョンでオーブをポンポン出すのは、お前ぐらいだよ?」


「あはは、なんかすみません?」


「ふふ、自覚してくれりゃ良いさ」



 俺とレイさんは順調に歩を進め、階段を発見したので地下3階に下りることにした。


 此処の魔物はヤミコウモリらしい。今までとは違い、空から攻撃してくるので注意が必要だ。


 既にレイさんからレクチャーを受けているので、冷静に対処していくと問題無く倒す事が出来た。


 レイさんは、複数匹のヤミコウモリを大剣の腹で叩き落とし、瀕死状態にしていた。何て器用なんだと感心してしまう。



「うはっ! またSPオーブがドロップしてやがる・・・幾ら何でも絶好調過ぎないか?」


「あはは、今日は階層を跨いでますからね、何時もより多くドロップしてるんですよ」


「・・・そりゃ、どういう意味なんだ?」


「えっと、オーブを持っている魔物は決まっているそうなんです。


各階層でSPオーブを持ってる魔物は5体ぐらいで、スキルオーブ持ってる魔物は1体だけ居る感じですね。


日が変わると、リポップするみたいですよ?」


「おい、コウタ。それは一体誰から聞いたんだよ?」


「えっ・・・あはは、知り合いの冒険者です」


「確かにコウタが言う様に、同じ階層で日に2回スキルオーブがドロップした事例は無いらしい。


だが一般的に、それはドロップ確率の低さのせいだと信じられているんだ。


しかし、コウタが言っている事は信憑性がありすぎる。まるで答えを聞いたような感覚だ。


なあコウタ? ひょっとして、その知り合いの冒険者の事は、何も言えないんじゃねえか?」


「・・・流石ですね? 参ったな、レイさんの言う通りです」


「コウタに何か秘密がある事には、今日嫌って程分かったからな、大丈夫だよ。私は何も聞かない。


だがコウタ? 私以外の人間には、絶対に言うな。


コウタが持ってる武器やドロップ率、何もかもだ」


「分かりました。でも、1つだけ僕の秘密を言っておきますね」


「無理しなくても良いんだぞ?」


「いえ、レイさんには何れバレるだろうから良いんです」


「レイさん、その大剣で俺に攻撃してくれませんか?」


「・・・何か身を守る術があるって事か?」


「試してくれたら分かりますよ?」


「分かったよ、行くぞ?」


「はい」



 レイさんは大剣を構えると俺に斬り掛かって来た、大丈夫だと分かっていても迫力があって怖い。



 ガンッ! 「くはっ!」


「・・・なるほど。防御膜みたいなのがあるんだな、これってスキルか?」


「はい! <追加防御>ってスキルですけど、ちょっと怖かったですよ?」


「クククッ! ある程度、力入れなきゃ分かんねえだろ?」


「しかし、私も知らないスキルって事は、未公開スキルか。その冒険者只者じゃねえな」


「申し訳ないんですけど、俺が言える事はここまでなんですよ」


「ああ、十分だ。余計な事は聞かねえよ、他に何か言われてるのか?」


「はい、地下5階の魔物からドロップするスキルだけは、絶対取るように言われてます」


「なるほど。何か重要なスキルなんだろうな」


「初級ダンジョンでドロップするスキルを、把握してるのが恐ろしいがな」


「ふぅ~ 色々と聞いちまったが、私に気を許しすぎだぞ?」


「あはは、レイさんの事は信用してますからね」


「馬鹿野郎! 簡単に人を信じるなよ? 私がもしコウタに不利益な事をしたらどうなると思う?」


「えっ? レイさんは、そんな事しないと思うんですけど、俺が馬鹿だっただけの話になるんじゃ?」


「私がその冒険者だったら、間違いなく私を始末するだろうな・・・」


「ええっ?」


「考えても見ろ? 1万2万じゃねえんだ、何千億円もするかもしれないスキルをお前に渡してるような人物だぞ?


私を始末することなんて簡単だろ? 社会的に抹殺するか直接殺しに来るか分からねえがな。


何千億円って単位はな、それだけ深く重いんだよ」


「・・・すみませんでしたレイさん。俺レイさんにも迷惑掛けてたんですね?」


「ふふ、まあ、それだけ私を信用してくれたのは、嬉しいから良いさ。


言っとくがお前は、ようやく見つけた私の相棒なんだからな?


私はコウタを、絶対に裏切らねえと誓うよ」


「あ、ありがとうございます」


「ば、馬鹿! 男が泣くなよな?」



 レイさんは俺を抱き締めてくれ、ポンポンと叩いてくれた。


 相変わらず俺は、単純に出来ているのか、レイさんの大きくて柔らかい胸の感触と良い匂いに速攻で癒されていく。



「・・・レイさん、胸の感触が気持ち良いです」


「馬鹿野郎!」




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