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第19話 億万長者を超えちゃった


 <アヤメ視点>


 う~、オークションなんて初めてだけど緊張するな~


 まあ、私はスキルオーブの確認をするだけなんだけど、ちょっと人多すぎない?


 どれだけ居るのよ~! しかも、外人が多いアメリカ・中国・フランス・ロシア・イギリス・・・・・ああ、もう分かんない。


 本当にこの10日間で世界中の人間が集まっちゃった・・・


 警察官の数も半端じゃないわね、集まってる人達にも護衛が着いてるみたいだし、私にも護衛着いちゃってるよ~


 良く考えたら、この人達ってヨウ君のスキルオーブが目当てなんだよね・・・


 最初は可愛らしい新人冒険者だと思ってただけなのに、とんでもない子と知り合いになったもんだわ。


 今日はオークションが終わるまでジッとしてよう。


 もうすぐ始まるわね。あ~、ドキドキしちゃう。



【会場の皆様、良くお集まりくださいました。


本日は、ご多忙にもかかわらず、初の大阪ダンジョンギルド開催のオークションにご参加いただき、ありがとうございます。


本日、開催の日を迎えることができたことを大変喜ばしく感じております。


此度のオークションについては、3品の目玉商品を御用意させていただきました。


それでは、オークションを始めさせて頂きたいと思います。最初の商品はSPオーブからになっております】



「待ってくれ」



 今まさにオークションが始まろうとしている時に、最前列の席に座っていたオークション参加者の男性が立ち上がった。



「すまない。時間は取らせないので、少し質問させて貰えないか?」



【各国のお客様にお待ちして頂いておりますので、質問ならオークションが終わってからにしていただけませんか?】



「いや、どうしても始める前にお聞きしたい。


日本では<鑑定>スキルを持っている鑑定人は東京にしか居なかった筈だ。


疑う訳ではないが、高額な商品だけに確認だけさせていただきたい。


これは、ここに集まっている各国の方達も同じ意見だと思う」



【・・・分かりました。ですが<鑑定>スキルを所有している鑑定人は、我が大阪ダンジョンギルドでも重要人物で御座いますので、申し訳ありませんが顔と名前は伏せさせていただきます】



 ひぃぃ~! わ、私がこんな各国から集まった大勢の前に出るの? 嘘でしょ~~~


 一応人前に出ても恥ずかしくないドレスと、顔が分からないベールを身に着けてるけど・・・


 呼んでるよ~、仕方ない・・・女は度胸だ覚悟を決めよう!


 私は足が震えない様に注意して会場の舞台へ進みマイクを渡された。



【私が大阪ダンジョンギルドの鑑定人で御座います】



 うぅぅ、何故か私が舞台へ出ると会場中がザワザワしてるよ~? 助けて~~



「時間を取らせて申し訳ない。ここに5つのSPオーブを用意した。どれが本物か指摘して貰いたい」


【フフフ、お客様御冗談を♪ そこにSPオーブはありませんわ。ガラスと水晶玉ですね、良く出来ておりますが】



「おお~~~」×会場


「そ、即答か! これは<鑑定>スキルを所有しているのは間違いあるまい」×会場



【もし、よろしければお客様も<鑑定>致しますが?】



「いや、結構だ。時間を取らせてすまなかった。しかし、鑑定人がこんなにも美しい女性だとは驚きだ」



【フフ、ありがとうございます。それでは、私は失礼させていただきます】



 私は出来るだけ優雅に見えるように振る舞い、会場を後にした。



【会場にお集まりの皆様、これで御納得頂けたと思います。ふるってご参加いただきたい】



 ようやく、震える足が治まってくる頃には会場は熱気に包まれていた。


 オークションにそこそこ出るような商品でも値段が上がっている。


 間違いなく本物である証明を出来ると言う事は、ここまで有用性がある事を改めて実感した。


 そして、オークションプログラムも進んで行き、いよいよ目玉商品である最初の商品として<身体強化>スキルが出るようだ。


 <身体強化>スキルは所有している人は日本人でも何人かいるようだけど、その有用性から、めったにオークションには出ない商品みたいね。


 そりゃー、これを手に入れた冒険者なら自分で使用するもんね。


 <身体強化>スキルのオークションが始まったとたん、今までとは比べ物にならない値段競争が始まった。



【10億入りました】


【13億】


【15億】


【18億】



 うわ~! 3億円スタートなのに10億円から始まっちゃった・・・どれだけお金持ってるのよ。



【22億】


【25億】


【30億】


【30億入りました、他におりませんか?】


【それでは<身体強化>スキルは30億円で落札が決定いたしました。おめでとうございます】



 落札者はアメリカ人の冒険者みたいね、立ち上がって手を挙げているのは落札者の挨拶なのかしら? なんかこういうのは良い感じね。



「くぅ~、欲しかったが30億か・・・こりゃ手が出ねえな」


「トール<身体強化>より今度、魔法買ってよ~」


「もう<水属性魔法>持ってるだろうが?」


「ブゥー! それだけじゃ足りないんです~」


「私は次の<虚空庫>が欲しいな、トール頑張ってね」


「俺も欲しいが<身体強化>より高くなるぞ、きっと」



【それでは本日2品目の目玉商品となります<虚空庫>のオークションに入りたいと思います】


【最低落札価格は80億円からとなっております】


【100億入りました】


【120億】


【140億】



「ブッ!? こりゃ駄目だ・・・」


「うわ~、高いのね<虚空庫>って」


「これなら魔法スキルいくつも買えちゃうよ~」



【250億】


【260億】


【280億】


【300億】



 ま、まだ止まらないの? もうとっくに私が覚えた<鑑定>の値段超えちゃってるよ、外国勢が恐ろしいわ・・・



【320億】


【500億】


【ご、500億入りました。他に居ませんか?いないようですので500億円で落札されました。おめでとうございます】



 あわわ!500億円って・・・しかも、またアメリカ人っぽい人ね、やっぱり個人で有用なスキルは冒険者が買ってくのよね。


 アメリカ人強いわね~、手を挙げて拍手に応えるのにも様になってるし。



【落札価格も非常に高額になって参りましたが、次はいよいよ最後の目玉商品となります。


それでは<鑑定>スキルのオークションを始めたいと思います。


最低落札価格は100億円からとなっております、最後になりますので皆様ふるって御参加下さい】


【500億】


【ご、500億! スタートから凄い値段が入りました】


【600億】


【700億】



 えええっ~~~? な、なんなの? 今までとレベルが違うんだけど・・・



【1500億】


【1800億】


【2000億】



 もう、頭がクラクラしちゃってきたわ。


 これって、ヨウ君に入るお金なんだよね・・・


 億万長者・・・いえ千億万長者なのか・・・・・もう理解不能だわ。


 その後、落札価格は天文学的数字になり無事終結を迎えた。


 落札者はアラブの人みたいね、スラっとした長身のイケメンさんか、立ち上がり目を瞑りながら手を挙げて拍手に応えているのが似合ってるわね、メチャクチャモテるんだろうな。


 帰ってヨウ君に結果を説明したら、驚くだろうな~


 私は落札商品の受け渡しをする前にスキルオーブが本物か確認し、全ての商品が無事落札者に渡された。


 ベールを被っているせいか落札者には視線を送られた。


 特に目玉商品を落札した人達からの視線が痛かった。


 おそらく、私が何者なのか知りたいんだろうな。


 ダンジョンギルドの職員は車でギルドへ戻り、私はギルドの何百人もいる女性達に紛れる事で鑑定人だとバレない様にした。


 社長からは予想を遥かに上回る金額で<鑑定>スキルが落札された事に、流石に申し訳なく思っているのか、これからも最大限の優遇を付けさせて貰う事をヨウ君に伝えて欲しいと頼まれた。


 お金の引き渡しは出品者が誰だか分からない様に、ヨウ君のギルドカードへ自動で入金されるらしい。


 更に更に、驚くべき事に今日の臨時ボーナスとして、私のギルドカードに1億円が振り込まれた。


 わ、私も億万長者になっちゃった・・・うわ~! 親が知ったら卒倒しちゃうかも。


 でも、今日のヨウ君へ振り込まれる金額の事を考えたら、全然大した事ないような気持ちになるのが不思議よね・・・


 ああ~、私の常識が崩れていく~~


 そんな風に自問自答しているとナギサが声を掛けて来る。



「アヤメ~、今日はお疲れ様。大変だったわね」


「ほんと~よ、でも此処で話しちゃ駄目よ」


「分かってるって。今日ヨウ君の所行くんでしょ? 私も行くから、ヨウ君の家で話しましょ」


「も~、そんな事いってヨウ君の家に行きたいだけでしょ?」


「えへへ! もちろんそうよ♪」


「まあ、気持ちは分かるけどね」



       ◇     ◇     ◇


 <リラ視点>


 ピンポポポポンピポンポンッ!


「はい天満です」


「ああ、天満君。斗沢だ今は大丈夫かね?」


「はい、周りには誰もいません」


「そうか、実は急用があってねギルドへ来て欲しいんだ」


「分かりました。三日月様がダンジョンから戻られるまでの間でしたら大丈夫です」


「丁度良かった、待っているよ」


「畏まりました」



 急用ですか・・・また何か追加の依頼でしょうか・・・


 とりあえずヨウ様が戻られるまで、後1時間ぐらいですから急がないといけませんね。


 私はギルドへ行くとVIPルームへ通された・・・これは余程の事ですね。



「やあ、よく来てくれた」


「いえ、お気になさらず、それで急用とは?」


「ああ、実は三日月君の護衛の件なのだが少し事情が変わってね」


「っと言いますと?」


「これからダンジョン内でも彼の護衛をしてくれないか?」


「斗沢様、私はダンジョン内での護衛はお断りした筈ですが?」


「ああ、分かっているよ。だが、事情が変わったのだ。今から話す事は極秘にしてくれ」


「分かりました」


「実は、彼は今日のオークションで出品された目玉商品の出品者なのだよ」


「・・・・・・・」


「君の事だ、それは予想していたとは思うのだが、それが予想外の事態になってな落札額が天文学的数字にまでなってしまった」


「なるほど、彼が拉致される可能性が高くなったのですね?」


「理解が早くて助かるよ。だが、君にとって悪い話でもない」


「今日のオークションを見る限り、君の欲する物は彼のような者じゃないと手に入らないだろう?」


「それほどまでに高額になったのですね・・・」


「ああ、君の欲する物が将来オークションに出品されたとしても間違いなく高額になるだろう。


そう身近な者なら彼にしか買えないぐらいに・・・それに、彼なら将来ダンジョンで手に入れるかもしれない。そんな彼を守ってやって欲しい、どうかね?」


「考える時間も無さそうですね」


「我々も出来る限りの隠蔽をしているが、正直もう彼を特定されているかもしれない」


「とりあえず・・・とりあえず明日、三日月様がダンジョンに入られるまでには返答したいと思います」


「そうか、悪いがよく考えて欲しい」


「分かりました、それでは失礼します」



読んで下さった方ありがとうございます。

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