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第180話 再会は劇的にが良いですよね


 <ソフィア視点>冒険者ギルド モスクワ本部



「うわわ! 今日も、凄いじゃないですかソファアさん」×受付嬢


「ありがと」×ソフィア


「も~ こんなに高価な素材ばかり、大量に売ったら大金になるのにテンション低いんだから」


「うわ~ うわ~ スキルオーブや魔法スクロールまで、あるじゃないですか!」


「日本から帰って来て絶好調じゃないですか? 間違いなくロシアで1番の冒険者ですよ?」


「フフフ、ロシアで1番か・・・でもね、世界は広いよ・・・私達なんて問題にもならない冒険者が居るんだもの」


「以前は、あんなに自信に満ち溢れていたのに・・・日本でそんなに凄い冒険者に会ったんですか?」


「そうね、私達がちっぽけな存在であることは、間違いないわね」×ベッキー


「それで、皆さんのテンションが低いんだ。でも、自信を持って下さい。ソフィアさん達はロシアでは間違いなく最強なんですから」


「うふふ、テンションが低いのは、そんな事のせいじゃないんだけどね・・・でも、ありがと」×イナ


「むぅ~ 最近、ずっと元気が無いから心配なんですよ~


日本から帰って来て、皆さんメチャクチャ綺麗になってましたけど、ひょっとして恋しちゃいました?」


「「「「「「えっ!」」」」」」


「うわっ! その反応は、ホントにそうだったんだ?」


「へええ~ ソフィアさん達みたいな、超絶美人の心を射止めた男性が居るんですね~」


「もう、揶揄わないの、色々あるんだよ?」×カーチャ


「でも、私達の心を根こそぎ持って行かれたのは、間違いないわね」×レシャ


「うわ~ やっぱりそうなんだ♪ ソフィアさん達が入れ込むぐらいだから、メチャクチャ恰好良い男性なんでしょうね?」


「うふふ、いいえ、逞しくて、凛々しくて、とっても可愛い男性よ♪」×ソフィア


「ひゃ~♪ ソフィアさんに惚気られちゃった。私にも何時か会わせて下さいね?」


「機会があればね」



 ああ・・・でも、日に日に寂しさが募って来るな・・・会いたい・・・とっても会いたい・・・ヨウ君。


 貴方は今一体何をしているのかな・・・私達は、ヨウ君に少しでも恩返し出来る様に、初級ダンジョンから色々と検証してるのよ。


 中級ダンジョンも一通り調べ終わって、やっと上級ダンジョンで探索をしてるの。


 少しはヨウ君が喜んでくれそうな物も手に入れたけど、マダマダ足りないわね。


 日本でヨウ君が鍛えてくれたから、ダンジョン探索も驚く程順調なのよ。


 強さもそうだけど、ヨウ君に貰った数々のスキルや、魔法の圧倒的さに驚くばかりよ。


 <激運>スキルも凄すぎるわ。素材どころかスキルオーブや、魔法スクロールが驚く程ドロップしちゃうんだもの。



「おい、見ろよ『白月』のソフィア達だぜ」


「くぅ~ 相変わらず、良い女達だよな」


「でも『白月』ってなんだよ?」


「なんだ、知らないのか? ソフィア達のパーティ名だよ」


「パーティ名は無かったんじゃなかったか?」


「そうなんだが、最近になって名乗り始めたらしい」


「へえ~ まあ、ソフィア達らしい綺麗な言葉だけどな」


「ケッ! 調子に乗りやがって、奴らなんて運が良いだけのパーティじゃねえか」


「まあ、ドロップ運でSランクになったらしいからな」


「そうそ、Sランクだからとは言っても、強さとは関係ないからな」


「可愛いだけのパーティでも、客寄せパンダにはなるからな、ギルドも贔屓したくなるんだろ?」


「容姿と運だけで冒険者されたら、命懸けで戦ってる俺らは気分悪いんだがな」


「目立ちたいなら、芸能人にでも成れば良いのによ」


「あはは、そうだな。あの体を使ったら直ぐに有名に成れそうだしな」



 最近、嫉妬や妬みからくる誹謗中傷も増えてきたが、皆には無視するように言っているので暴言にも耐えてくれている。


 しかし、日本では、弱い犬ほど良く吠えるとは言うけど、上手い事言うわ。


 人を妬む暇があったら、訓練して少しでも強くなれば良いのに、哀れな奴等は救いがないわ。


 あの超越者のようなヨウ君でも、日々の訓練を欠かさず、信じられない程謙虚なのに。


 小者の囀りなんて、私達の耳に届かないけどね。



「そういや、俺達はソフィア達とボス戦をした事があるんだが、盾役の奴が怪我して危うく全滅するところだったぜ」


「あ~ あれは危なかったよな、非力な女が盾役なんてやるなよな」


「盾持ちが居たら見栄えが良いからだろ?」


「なるほど。そっちの理由かよ? たまんねーな、おい」


「あははははは!」



「なんですって? もう1度言って見なさい!」×ソフィア


「ソ、ソフィア、私は良いから・・・」×カーチャ


「良く無いわカーチャ。私の我慢も限界よ」×ベッキー


「フ~ よく聞きなさい貴方達。私達は虫けらの囀りなんて大抵の事は聞き流してあげるけど、仲間を侮辱されて黙ってなんていないわ」×イナ


「虫けらだと?」


「あら、ゴミ屑の方が良かったかしら?」×アリサ


「どっちみち、実力も無い、顔も悪い、頭も悪い、運すら無いのならゴミ屑以下ね」×レシャ


「・・・だまって聞いてりゃ調子に乗りやがって」


「可愛い顔してりゃ殴られないと思ってるのか?」


「どう勘違いしたら、そんなに強気に成れるんだ? だまってニコニコしてた方が身のためだぞ?」


「勘違いしてるのは、お前達だゴミ屑ども」×ソフィア


「・・・参ったわね。本当に、何にも分かって無いなんて」×ベッキー


「女が非力? 冒険者に成ってから何も学ばなかったのね、見た目と実力は何の関係も無いわ」×イナ


「何を言っても、ゴミ屑に理解する頭なんてないわよ」×アリサ


「そうよね、面倒臭いけど、ゴミ屑にも分かるようにレクチャーして上げるわ」×レシャ


「フー、ここまで馬鹿な奴等だったとはな・・・そこまで言うなら、俺達も手加減してやらねえぞ?」


「舞い上がっちまうと、こうなるんだな。叩きのめしてやったら理解出来るだろ?」


「来いよ、軽く模擬戦で分からせてやる」


「・・・馬鹿共が」×ソフィア


「ソ、ソフィアさん・・・」×受付嬢


「フッ! 良い機会だから貴女も見に来なさい。此奴等が、どれだけぬるま湯に浸かっていたか見せて上げるわ」


「は、はい」



 私達はギルドが所有する屋外訓練場へ向かい、ゴミ屑共と模擬戦をすることにした。


 訓練場へ着くと、既にギャラリーが大勢詰め寄せている事に少し驚いた。



「チッ! これだから無駄に人気だけがある奴は嫌なんだよ、俺達が弱い者虐めしてるみたいじゃないか」


「御託は良いから、掛かって来なさい」×ソフィア


「待ってソフィア、私がやるわ」×カーチャ


「カーチャ・・・そうね、それが良いわ。あのゴミ屑共に分からせてやりなさい」



 カーチャが批判されていたボス戦での負傷は、胸に大きな傷跡が残ってしまった。


 女として大きなショックだった筈なのに、それでもカーチャは盾は私の役目と笑っていた。


 ヨウ君に治して貰わなければ、今でも残っていただろう。


 あの時、カーチャが盾になってくれなければ、間違いなくパーティは瓦解していた。


 カーチャに助けて貰いながら、それも理解できず、こともあろうか批判するなんて絶対許しておけないわ。


 カーチャ見せてやりなさい、貴女の実力を。ゴミ屑共が震えあがるまで。


 カーチャは皆に視線を配り、自信に満ちた眼差しで闘技舞台へ歩んで行った。



「てめえ、何時も持っている盾はどうした? 何故持っていない? 俺達を舐めてるのか?」


「ウフフ、貴方は羽虫を相手に盾を構えるのですか? 1歩でも私を後退させる事が出来たら、貴方の勝ちで良いですよ?」


「なんだと・・・後で後悔しても遅いぞ?」


「待ちなさい!」×ソフィア


「今更、止めたって遅すぎだ」


「黙りなさい低脳、羽虫の分際でソロで挑むつもりなの? 全員で掛かって来なさい、羽虫らしくね」


「・・・てめえ、本当に味方なのかよ? こいつを殺して欲しいのか?」


「どうでも良いから、全員全力で挑みなさい。何の言い訳も出来ないようにね」


「ブチ殺してやる・・・おい、リンチがお好みだってよ」


「全く気がしれねえな・・・」


「正気とは思えんな」


「まあ、ああ言ってるんだ、好きなようにやらして貰おうじゃねーか」


「良い女なのに勿体ねえな・・・って、何笑ってやがる? 頭おかしいんじゃねーか?」


「うふふ、あはははは♪ 貴方達が哀れに思えてきましたね。さあ、来なさい直ぐに分かりますから」×カーチャ


「もう許さねえ」



 ガツッ! カラーン・・・



「なっ! なんだと」



 カーチャに襲い掛かった最初のゴミ屑は、力も無いくせに模擬戦用の大剣を上段から振り下ろしてきたが、カーチャは手に持った木剣でハエでも払う様に薙ぎ払った。


 すると大剣は、ゴミ屑の手から離れ今は地面に転がっている。


 此奴等は、こんなスピードも遅く、力もない攻撃が通じるとでも思っているのだろうか。



「早く、使いこなせてもない大剣を、拾いにいったらどうですか?」×カーチャ


「クッ! おい!」


「ああ、分かったよ」



 これを見て、ようやく本気になったのだろうか、6人全員でカーチャに襲い掛かった。


 残念なのは絶望的とも言える実力差が、此奴等には全く理解出来なかったと言う事か。



 ガツッ! ガガガガガガガガガガガガガガガッ! 



「う、嘘だろ・・・」



 振り下ろし、突き、切り上げ、様々な攻撃でカーチャに攻撃しているが、悉くカーチャに片手で振り払われていく。


 日本に行く前の私達なら兎も角、今の私達には欠伸が出る程遅い攻撃なのだから、当然と言えば当然なんだけどね。


 どれぐらいの時間が経っただろうか、涼しい顔をしているカーチャとは真逆に、男達は大汗を搔きながらゼエゼエと肩で呼吸をしている。



「まだ分かりませんか? 自分達が口だけのゴミ屑だと? そろそろ気付いても良いと思うのですが?」


「や、やかましい」


「・・・やれやれ、本当に頭が悪いですね」



 バシッ! バババババババババババババシッ! 


 ドシャッ!



 懲りずに襲い掛かって来た男に、カーチャは初めて攻撃を繰り出した。


 ほんの数秒間の間に手首、腕、肩、膝、太腿、腹、胸、顔、頭と全身滅多打ちにされ、ボロ雑巾のようになり地面に崩れ落ちた。


 もう顔も腫れ上がり、誰だか分からなくなっていた。



「さあ、そろそろ終わらせましょうか?」


「ま、待て!」


「待ちません!」


「ぐはっ!」


「ひっ! た、助けてくれ」


「ウフフ、冗談でしょ?」


「クッ! なっ、なに?」



 カーチャは既に戦意喪失し、逃げようとした男の前に回り込み、木剣を構えている。



「まさか、逃げれると思っているのですか? あれだけ大口叩いていたのにどうしました? 貴方は確か『正気とは思えんな』とか、言ってませんでしたか?」


「うっ! うああ」


「ウフフ、怯えているのですか? 少し遅すぎましたね」


「うわあああああああああああ!」



 最後に残った1人も逃げる事なんて出来る訳も無く、ボロ雑巾のようになって地面に倒れていった。



「・・・・・・・・・・・」×会場


「な、なんだありゃ」


「攻撃が見えねえよ・・・」


「攻撃どころか、あの移動が見えたかよ?」


「スピードの次元が違うな・・・」


「スピードだけじゃねえよ、見ろよ。どうやったら、木剣で鉄の防具をあれだけボコボコに出来るんだ?」


「やはり、Sランクは伊達じゃないって事か」


「いや、違うって、ソフィア達が圧倒的に強いんだ。恐ろしい程に・・・」



 叩きのめされた男達を見てみると、全員なんとか意識はある様だったので、釘を指しておくことにした。



「頭の悪い貴方達にも、これで分かりましたか?」×ソフィア


「ウフフ、あれだけ大口叩いてたんだから、まだ分からないんじゃない?」×イナ


「次は私が相手して上げましょうか?」×ベッキー


「も、もう、わきゃったから、ゆるしゅてくれ」


「何か寝言が聞こえるわね。まだ、ちょっと撫でられただけでしょ?」×アリサ


「そうね、まだ謝罪の言葉も聞いてないし?」×レシャ


「早く立ちなさい! ああ、寝たままで私達の相手が出来ると思っているのね?」×ベッキー


「ウフフ、舐められたものね。2度と大口が叩けない様に叩きのめしてやるわ」×イナ


「しゅ、しゅみませんでした。ごみゃんなさい、ごみゃんなさい」


「もう、ゆるしゅて下さい。も、もう、言いましぇんから」


「はぁ~ まったく、恥ずかしくないのかな? ちょっと撫でられただけでピーピー泣いちゃって情けない」


「これが貴方達が馬鹿にしていた、私達『白月』の盾!


カーチャ・メルクロスの実力です!


私達はカーチャに何度も助けられてきました。


ボス戦で貴方達もカーチャに守られていた事を自覚しなさい」



 私は言いたい事を言い終えたので、皆と訓練場を後にしようとした。



「ソフィアさん」×受付嬢


「どうして、そんなに強く成れたんですか? あの人達もAランクなんですよ? それをたった1人で倒しちゃうなんて」


「そうね、1つだけ教えて上げる、日本にはね・・・天国と地獄があるの」×ソフィア


「じゃ、またね♪」×カーチャ


「・・・天国と地獄? 一体、日本で何があったんだろう」



 私達は自宅へ帰り、皆で夕食を作るのが日課になっている。


 今日は、ビーフストロガノフにした。



「あ~ 日本で食べたお寿司、美味しかったよね~」×ベッキー


「やめてよ~ 思い出しちゃうでしょ?」×アリサ


「私は日本の焼肉が最高に美味しかったですね、柔らかくてジューシーだし、タレも最高だったわ」×イナ


「やーめーてーよーーー」×アリサ


「おにぎり。ボソッ!」×カーチャ


「カラアゲ。ボソッ!」×レシャ


「あーもー、また、日本に行きたーーーい」×アリサ


「ウフフ、ビーフストロガノフも美味しいわよ?」×ソフィア


「それはそうなんだけどね・・・ロシアに日本料理店が多いのが分かったわ」×アリサ


「でも、やっぱり本場は違うのよね」×ベッキー


「もう、ソフィアまた暗い顔して、ヨウ君の事思い出しちゃったんでしょ?」×レシャ


「ヨウ君のためにも、ロシアのダンジョンで頑張らないとね」×カーチャ


「そうね・・・」×ソフィア



 私達は寂しさを紛らわすため、皆で楽しくお酒を飲み眠ることにした。


 スッカリ、おやすみのキスとおはようのキスが、日課になっちゃったのは困ったものなのかな?


 翌朝、寝起きの悪い私が寝ざめると、何故か皆必死になって私を起こしていた。



「ソフィア起きなさい。た、大変よ」×イナ


「早く起きてええええええ!」×ベッキー


「ん、んん~~~ まだ7時じゃない? 一体どうしたの?」×ソフィア


「何でも良いから、早く早く」×アリサ



 私は皆が何を必死になっているか分からないまま、日課であるキスもしないでリビングへ行くと、テレビを見るように言われた。



【緊急速報を繰り返しお伝えします!】


【現在、冒険者ギルド、モスクワ本部前において、謎の飛行生命体が確認されております。


今も6人の飛行生命体は、空中に浮かんだまま制止しております】


【ほ、本当に空中に浮かんでます。空を飛べるような器具は何も身に着けていませんよね?】


【はい、間違いなく何も付けてないですね、それなのに何故空中で静止出来るのでしょうか】


【やはり、日本で確認された飛行生命体と、同じ人物なのでしょうか?】


【そう思われます。着ている服が同じですから】


【なるほど、しかし何故動かないのでしょう? 日本では自由に飛び回っていたようですが】


【分かりませんね・・・まるで、誰かを待っているようにも見えますね】



「ヨ、ヨウ君!」×ソフィア



 私はテレビに映っていた飛行生命体は、ヨウ君達だと直ぐに分かった。


 ロシアに・・・モスクワに・・・私達に・・・あ、会いに来てくれたんだ・・・


 私は両手を頬に当てると、止めどなく涙が出ている事に気付いた。


 嬉しさのあまり、皆に抱き着くと、皆も泣いて喜んでいた。



「さあ、ソフィア・・・ヨウ君達が待ってくれてるよ?」×カーチャ


「ええ、皆行こう。ヨウ君達に会いに♪」×ソフィア


「「「「「ええ♪」」」」」



 私は真っ先にヨウ君の所へ飛んで行くと、そこには何も変わらないヨウ君が、凄く良い笑顔で私を出迎えてくれた。


 私達は螺旋を描きながら高く高く上昇すると、ヨウ君は両手を広げ私を誘ってくれた。


 私は迷うことなく、ヨウ君の胸へ飛び込んだ♪



「ヨウ君、ヨウ君、会いたかったわ♪」×ソフィア


「僕も会いたかったです。ソフィアさん」


「もう寝起きの悪い私が、飛び起きちゃったわ」


「あはは、すみません少し驚かしたかったんですよ」


「うふふ、驚いたわ♪ 驚き過ぎて神に感謝しちゃった。ねえヨウ君、私寝起きなのよ?」


「なんか、照れちゃいますね。おはよです、ソフィアさん」


「おはよう、ヨウ君」



 ヨウ君は、私に優しくキスをしてくれ、久しぶりの幸福感に包まれた。


 皆も集まってきてくれたので、ソフィアさん達はアヤメさん達とも抱き締めあい、キスまでしちゃっていた。




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