第158話 新たなダンジョンステージですね
僕達は昨日行った上級ダンジョンへ向かい、地下10階のボス戦からスタートすることにした。
地下10階のボスは予想通りベノムマイマイで、キッチリとレアボスが現れ、難なく倒し<念話>スキルをゲットした。
昨日4つ手に入れてたから、今日の分を合わせて8つになった。
「よし、これで、人数分の<念話>スキルが手に入りましたね」
「あれ、てっきりコトエちゃん達やカンナさん達に渡したと思ってたのに?」
「それも、ちょっと考えたんですけど、ひょっとしたら今日、僕達が必須になるかもしれないので」
「フフ、地下21階以降のステージですね?」
「はい、念のために備えておこうかとね、って訳で1つずつ配りますから習得しちゃって下さい」
スキルの習得は、もう皆慣れた物で、手際良く習得して貰うと、何時もの様に何となく使い方が解る。
全員、習得したようなので<念話>での会話を試して見る事にした。
「あーあー、皆聞こえるかな?」
「大丈夫よ良く聞こえるわ」
「うわ~ なんか変な感じですね、頭の中で声が聞こえるなんて」
「本当だね。僕も初めての感覚だよ」
「フフ、場所や距離とかも検証しないとですね」
「練習がてら、今日の会話は<念話>でしよっか」
「そうですね、ではそうしましょうか」
「「「「「了解!」」」」」
此処で僕は、良い事を考えたので実行に移すことにした。
皆の顔を見ながら微笑んで<念話>で声を掛ける。
「皆さん、愛してますよ♪」
「「「「「なっ・・・・・」」」」」
「も、もう、いきなり何言ってるのよ、ヨウ君?」
「あれっ? どうしたんですかアヤメさん? ひょっとして僕の心の声が聞こえちゃいました?」
「にひひ、絶対ワザとだよね~」
「僕、昨夜は何時もより感じちゃったよ♪」×ツドイ
「ぶっ!? ま、参りました勘弁して下さい!」
「フフ、そう言えば、何時もより激しかったような?」×リラ
「フフ~ 昨日の水着のせいだったりして♪」×ノノ
「はわわ、降参です~ もう許して下さいよ~」
「「「「「あはははは♪」」」」」
<念話>で悪戯しようとしたら、逆にやり返されて照れまくる事になってしまった。
人数的にも僕が不利だからしょうがないけどね。
ダンジョンで遊んでばかりも居られないので、此処からは手分けして採集しながら魔物を倒していった。
今日はアリーシャさん達が居ないので、ハイペースで階層を進めて行き地下17階まで下りた所で、またレイドモンスターである【不死王】エルダーリッチを見つけた。
「やたっ! 今日もちゃんと居ましたね」
「んふふ、喜びすぎよ、ヨウ君」
「にひひ、でも、ヨウ君が手応えある魔物って他に居ないもんね」
「あっ! アリーシャさん達も居るみたいですね」
「ホントだ。以外に近くに居るみたいだけど、ちょっと挨拶だけしとこっか」
「今日、夕食に招待するんだから、丁度良かったんじゃない?」
「そうですね、ついでに聞いて見ましょうか」
僕達はエルダーリッチを後回しにして、先にアリーシャさん達に会いに行く事にした。
意外と近くに居たので直ぐに見つけると、アリーシャさん達は魔物と戦っており、連携のとれた綺麗な戦闘だった。
良く観察してみると、流石アリーシャさんだ。
昨日、僕が言った<気配感知>を戦闘で意識しながら戦っているのが良く分かる。
戦闘が終わるタイミングで、声を掛けて見る事にした。
「おはようございます。アリーシャさん」
「わわっ! あ~ 吃驚したヨウ君じゃない」
「頑張ってますね~ 昨日よりずっと強かったですよ」
「うふふ、ありがとう。ようやくヨウ君が言ってた意味が分かって来たわ」
「<気配感知>スキルって便利だよな~ こんな良いスキル貰ってありがとな」×ケリー
「いえいえ、もっと、使いこなしていったら戦闘も楽になりますよ」
「丁度良かったわ、ねえ私達にも貴方の強さを見せてくれないかしら?」×スーザン
「ん~ ちょっとだけなら良いですよ」
「ありがとう、もちろん少しで良いわ」×スーザン
「・・・止めといた方が良いぞ?」×ケリー
「まあ、良いじゃない。私達も話だけで、実際見て無いから半信半疑だしさ」×アデル
「そうよ、こんな可愛い少年が、エルダーリッチを倒したなんて信じられないわよ」×アルシア
「あら女性達もよ? モデルさんにしか見えないもんね、確かに昨日の女性達も強かったけどさ」×モニカ
「んふふ、ありがと」
「じゃ、時間も無いんで全員で掛かって来て下さい! 僕に触れる事が出来たら勝ちで良いですよ」
「ぜ、全員でなの? 同じSランクのアリーシャも居るのよ?」×スーザン
「うふふ、言ったでしょ? 私が100人居ても絶対勝てないって」×アリーシャ
「まあ、そこまで自信があるなら良いんじゃない? やりましょうよ」×アデル
「分かったわ、本気で行くわよ」×スーザン
「「「「「了解!」」」」」
「何時でも良いですよー」
「・・・武器も持ってない? 素手で私達を相手するって言うの? 幾ら何でも私達を舐め過ぎじゃない?」×モニカ
「でも、アリーシャやケリーが嘘を言う筈もないでしょ?」×スーザン
「えっ! き、消えた?」×アデル
「右よ!」×アリーシャ
「おー、良く分かりましたね。流石アリーシャさん」
「う、嘘・・・私は決して目を離してないわ、何時の間に移動したって言うの?」×モニカ
「くっ! また消えた!」×スーザン
「後ろよ!」×アリーシャ
「アリーシャさん以外、まだ<気配感知>に慣れていないみたいですね?」
「ど、どうやって移動したの? 全く見えないわ・・・」×モニカ
「目に頼っちゃ駄目よ、ヨウ君のスピードは肉眼では見えないから」×アリーシャ
「う、嘘でしょ?」×アルシア
「実際に今見ただろ? こいつは桁違いなんだよ」×ケリー
「じゃ、ちょっとだけスピードを上げますねー」
「なっ! まだ本気のスピードじゃないって言うの? どこまで規格外なのよ・・・」×アデル
「だ、駄目、全く見えない。私の<気配感知>でも分からないなんて」×アリーシャ
ガチャン! ガチャガチャガチャ!
「なっ! なんですって? 私の装備が斬られた? いえ、外されたの?」×アルシア
「私だけじゃない。私達の装備を超スピードで動きながら外したって言うの?」×アデル
「どうですアリーシャさん?」
「うふふ、参ったわ、お手上げよ♪」
「全く信じられねえ事するよな・・・これで皆も分かっただろ?」×ケリー
「え、ええ、分かったけど信じられないわよ」×スーザン
「凄いわ、全く気付かなかったなんて」×アデル
「・・・パワーだけじゃないって事ね」×アルシア
「ふあ~ こんな事出来るなんて、痴漢し放題ね?」×モニカ
「ぶっ!? 何てこと言うんですか? 痴漢なんてしませんよー」
「うふふ、冗談よ♪」
「あはは、確かにヨウ君に痴漢されたら、逃げられないわね」
「にひひ、手を握られたら終わりだもんね~」
「僕達の強さが見たいなら、今からエルダーリッチを倒すから見てたら良いよ」
「この階層に居るの?」×アリーシャ
「はい、5キロ程先に居ますね」
「相変わらず、とんでもない索敵範囲だよな」×ケリー
「見るわ! いえ是非、見せて下さい」×スーザン
「んふふ、じゃ行こっか」
エルダーリッチ戦を見ていない方が是非見たいと言うので、皆を連れてエルダーリッチの下へ向かう事にした。
エルダーリッチは昨日と同じ様に、ゆっくりと進んいたので、見学しやすそうな場所で待機して貰い戦闘に入ることにした。
作戦は昨日と同じだったので、サックリとエルダーリッチを倒し、シッカリと魔法スクロールはアヤメさん達にもバレない様に回収しておいた。
「「「「・・・・・・・」」」」
「くくくっ、なあアリーシャ。昨日私達も、あんな顔してたんだろうな?」×ケリー
「あんなのみて驚かない訳ないでしょ? 私は2回目だけど驚いてるのに」
「あはは、全くだ! 私も2回目だけど、最後の一撃は体が震えたよ。凄い男だ」
「な、ななな、何よあれ?」×スーザン
「・・・私達とレベルが違い過ぎるわ」×アデル
「聞くと見るでは大違いね、背中に汗を掻いたわ」×アルシア
「人生で一番ビックリしたかも? 武器も魔法も普通じゃないよね?」×モニカ
「あっ! そうそう、今日夕食一緒にしないかな?」
「うふふ、何事も無かったかのように言うのね? 是非参加させて貰います」
「んふふ、ありがと♪ 今日の探索が終わったら連絡するわ」
「じゃ、僕達は引き続き探索しますんで、夕食楽しみにしてますね」
僕はアリーシャさん達に、手をブンブンと振りながら別れの挨拶をして次の階層へ進む事にした。
「・・・なに? あの可愛い生き物は?」×モニカ
「うふふ、本当に可愛い少年なんだよね♪ とっても怖くて、とっても強いけど?」×アリーシャ
「ふぅ~ 参ったわ本当に怪物君よね」×スーザン
「頼み込んででも抱いて欲しいな・・・でも、とんでもない美人揃いだしな~」×ケリー
「今なら、その気持ち、ちょっと分かるかも?」×アデル
「アデルまで? でも・・・強さに惹かれるのって女の本能なのかしら?」×アルシア
「あはは、そうかもね♪ 確かにあの最後の一撃は背中に電気が走ったわ」×モニカ
「うふふ、じゃ、皆でヨウ君のハーレム入り頼みましょうか?」×アリーシャ
「・・・まさか、そんな事を真剣に考える事になるとはね」×スーザン
「でも、女の私から見ても彼の周りに居る女性は皆、モデルにも居ない様な美人揃いよ、アリーシャは兎も角、私達なんて相手にしてくれるかしら?」×アデル
「うふふ、ヨウ君は年上で胸の大きな女性が好みなんだって。それに皆とても可愛いわよ?」×アリーシャ
「なら、ケリーが一番彼の好みなのかな?」×アルシア
「ば、馬鹿、揶揄うなよな? 期待しちまうだろ・・・」×ケリー
「うふふ、とりあえず今日が勝負よね? 早めに帰って準備しときましょうか」×アリーシャ
「あはは、なんかドキドキするね♪」×モニカ
◇ ◇ ◇
アリーシャさん達と別れた僕達は、サクサクとダンジョンを進み、地下20階のボスであるクラーケンを倒し<水中適応>スキルを4つゲットした。
これで一応準備は整ったので、次どんなステージが来てもドンと来いだ。
いよいよ、階段を下りて行き地下21階に辿り着くと、そこは小さな無人島だった。
本当に小さな島で10メートル四方ぐらいしかない。
そして、遠くの方に同じような島があり、進行方向を示すように見えていた。
「少しは予想してましたけど、まさか本当に水中を進む事になりそうですね」
「フフ、やはり<水中適応>スキルは必須のようでしたね」
「<念話>スキルも人数分とっといて正解だったよね、流石に水中では会話が出来ないもんね」
「とりあえず、<水中適応>スキルを習得しちゃいましょうか」
皆に<水中適応>スキルを渡していき、僕も習得すると効果の方も大体解るようになった。
とりあえず、試して見る為に海の中へ入ることにした。
水中に入って見ると、習得時に理解した通り呼吸が出来るようになり、視界もクリアに見えている。
海中の深さは15メートルぐらいだろうか、太陽の光が波に反射しキラキラと非常に美しい光景だった。
もちろん、地上と同じ様に動けるわけではないが、水中なのに機敏に動けるようだ。相変わらずスキルの力は凄いなと感心する。
皆との会話も<念話>で問題も無く、海中に潜って行くと美しいサンゴや多くの魚が泳いでいる。
「うわ~ 綺麗だね~ 海中でも、ちゃんと見えるって素晴らしいわ」
「フフ、これからも、沢山色々な景色が見えますよ」
「フフ~ 楽しみだね」
ハワイに来てから、美しい景色に喜んでくれるノノさんを見てると僕も嬉しくなる。
これからも、色んな所へ一緒に行こうと心へ誓い、先に進む事にする。
進行方向が分かり辛いが、僕達には<マッピング>スキルがあるので問題なさそうだ。
色々なスキルがあると本当に便利だなと嬉しくなる、<気配感知>を意識すると水中にも魔物はいるようだ。
どんな魔物なんだろうと皆で移動してみると、半魚人のような魔物を発見した。
どうやらマーマンと言う魔物らしい、それぞれ武器が使えるか試しているとナギサさんの弓矢が見事にマーマンに命中し倒す事が出来た。
どういう原理か分からないけど、水中でも弓矢は使える様だ。
「はぁ~ 良かった~ 弓矢が使えないと、どうしようかと思っちゃったよ」
「見て見て、魔法も<火属性魔法>と<風属性魔法>以外なら使えそうよ、<雷属性魔法>は自爆しちゃいそうだけどね」
「アヤメの雷魔法なら私達でも死んじゃうわよ? 試しちゃ駄目だからね」
「分かってるわよ、信用ないわね。メインは<ウォーターボール>にするわ」
「武器系統は斬るより、突く方が使い易いですね~」
「フフ、私達も問題無さそうですね」
「僕も大丈夫みたいだよ」
「ヨウ様は短剣ですから、水中は不利そうですね?」
「そうですね、でも短剣だから速度は落ちますけど、斬る事も出来そうなんで大丈夫ですよ」
「んふふ、じゃ、練習しながら進みましょうか」
「「「「「了解~♪」」」」」
マーマンを倒しながら泳いで行くとホタテの様な貝も発見したので、喜んで漁をしていく。
生物なので<虚空界>には入らないかと思ったら、問題なく収納出来た。
生物が全て入らないと言う事はないようだ。
進んで行くにつれ、段々水中にも慣れて来て戦闘が楽になってきた。
景色を楽しみながら進んで行くと、海中に階段を見つけたので地下22階へ下りて行く。
地下22階での初見の魔物は、ニードルフィッシュと言う魚で先端が針のように尖っており、猛烈なスピードで突進してくる。
海中の動きにも慣れてきたので、其々の武器で迎え撃っていく。
この魔物が最初に出てきたら、危なかったかもしれない。
続く地下23階ではシーレーンと言う飛び魚の様な魔物に遭遇し、地下24階ではゴールドシュリンプと言う、子犬程の大きさがあるロブスターのような魔物に遭遇した。
驚く事に、このゴールドシュリンプのドロップ品は、普通のロブスターサイズのゴールドシュリンプだった。
鑑定したところ、甘味が強く極上品らしい。
メチャクチャ食べるのが楽しみになり、見つけ次第、速攻で倒していった。
地下25階ではブラックダイヤと言う、大きすぎるマグロだった。
クジラの様なマグロが高速で泳いでおり、攻撃して来ないので倒すのには苦労してしまった。
これもゴールドシュリンプの様に、普通サイズのマグロがドロップして、皆でハイタッチして喜びを分かち合った。
普通サイズと言っても、300~500キロぐらいありそうなので、非常に大きい。
マグロと言えばお寿司なので、帰ったらシオさんに是非、お寿司にして貰おう♪
地下26階では海中遺跡を発見し中を探索すると、サンゴゴーレムと言う魔物がいた。
名前の通り珊瑚で出来たゴーレムだったが、防御力は低いので容易に倒す事が出来た。
嬉しい事に、サンドゴーレムを倒すと赤・白・ピンクと言った非常に美しい珊瑚がドロップし、女性陣が喜んでいる。
僕はあまり知らなかったけど、珊瑚は結構高額で売り買いされているらしい。
僕達にはボーナスみたいな魔物だ♪ そうと分かれば、率先してサンゴゴーレムを倒していく。
「あっ! ヨウ君ヨウ君。宝箱あったよ~」
「お~ やっぱり、ありましたか」
海中遺跡を発見した時から期待していた宝箱があったので、皆でハイタッチして喜びを分かち合った。
「んふふ、さって何が入ってるかな~♪」
「勿体ぶってないで、早く早く!」
「ま、待ってよ~ えっと・・・うわ~ 来た来た。職業系スキルオーブだ♪ <調理師>だって。シオが喜びそう」
「「「「「「お~~~」」」」」
「今度は<調理師>ですか。職業系スキルも少しずつ揃って来ましたね~」
「フフ、後は<裁縫師>と<彫金師>のスキルが欲しい所ですね」
「フミさんとヒメちゃんさんには、もう少し待って貰いましょうか」




