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第153話 フルーツ天国にやってきました

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 地下11階に下り立つと、そこは海岸や浜辺がある森のようだった。


 今まで森や林はあったけど、海があるなんて新鮮さに楽しくなってしまう。



「うわーうわー、海ですよ海♪」


「んふふ、ハシャギ過ぎよ。ヨウ君」


「この階層は、ランブータンと言う果物が採れるんですよ」


「えっ? 果物が採れるの? ヨウ君?」


「あはは、もちろん採りに行きますよ、ナギサさん」


「やたーーー! ヨウ君大好き~~~♪」


「ごめんね~ ナギサって果物大好きなのよ」


「うふふ、私も好きですよ。それに、地下20階までに、他にも色々な果物が採れますから」


「うわっ! 色々な果物が採れるんだって。ヨウ君」


「じゃ、根こそぎ採集しちゃいましょうか」


「わーい♪」



 こうして魔物も、そっちのけでアリーシャさんの案内の下、ランブータンと言う果物を探していくと、低い木に生っている赤い果実を見つけた。



「見つけた、これがランブータンですよ」


「やたー、変わった果物だね~ 棘が生えてる~」


「棘じゃないのよ? 触っても痛くないから、この皮を剥いてから白い所が果実よ食べてみて」


「おお~ なんかライチみたいだね? いっただきま~す♪」


「うはっ! 美味しい~~~~~♪ これとっても甘くて美味しいよ?」


「どれどれ」×全員


「うわっ! 結構、果汁も出るわね、うん美味しい~」


「フフ、見た目と違って上品な甘さですね」


「フフ~ これもダンジョンの楽しみの1つだよね~」


「ん、美味しい。僕も好きだな、こういうの」


「うん、採集しちゃいましょう」


「あはは♪」×全員



 僕達は魔物もそっちのけで採集をし続け、根こそぎ採っちゃったけど、ダンジョンの食べ物は翌日には再生するから安心して採れるんだよね。


 初見の魔物は居なかったので、SPオーブとスキルオーブを持っている個体はキッチリ倒して、次の階層に進む事にした。



「ここ地下12階では、ケールって言うハワイでも有名な野菜が採れます。果物じゃないんですけど探しますか?」


「はい、食材はウチの専属料理人であるシオさんが、とっても喜んでくれるんですよ」


「分かりました。では、探しますね」


「お前らって、そんなに強いのに採集とかもするんだな?」


「ケリーさんは、採集しないのかな?」


「此処まで来れる冒険者は強い奴ばっかだからな、採集する奴は少ねえよ」


「うわ~ ダンジョン産は美味しいのに勿体ないわね~」


「うふふ、それに荷物になりますからね」


「そっか、忘れがちだけど、<虚空庫>のありがたみが分かるわよね」


「私等でも、ドロップ率がメチャクチャ良いアリーシャが持ってるだけだからな」


「こら、ケリー内緒の筈でしょ?」


「ヨウ達も全員持ってるんだから良いだろ?」


「そうだけど、気軽にスキルの事は口にしちゃ駄目よ? 長生きしたいならね」


「・・・悪かったよ。アリーシャ」


「フフ~ アリーシャさんには素直なんだね~」


「なんだよ、良いだろ? アリーシャには世話になってるからな。


ヨウ達は、そのアリーシャの恩人なんだろ? なら、私にとっても恩人だ。何でも言ってくれよな」


「んふふ、貴女思ったより良い人ね、持って帰りたくなっちゃった♪」


「私は物じゃないぞ?」


「ん、僕達より胸が大きいし、可愛い顔してるから三日月君のタイプだよね?」


「なっ! 何言ってんだ? こんな大柄で筋肉質な女、誰が好むんだよ?」


「んふふ、ヨウ君って、年上で胸が大きい女性がタイプなんだよね~」


「フフ、そう言えば、ヨウ様が好きなミナミさんに似てますね」


「にひひ、アリーシャさんだけかと思ったら、ケリーさんも好みなんだ?」


「止めて下さいよ~ 2人共こんなに素敵な女性なんですから、僕以外でもタイプの人は一杯居ますよ」


「「えっ?」」


「一つだけ良い事を教えて上げるわ。


ハワイ旅行に来てるメンバーはメイドさんとカメラマンさん以外、全員ヨウ君のハーレムメンバーなのよ。


もちろん、誰でも入れる訳じゃないけど、ヨウ君がハワイに居る間がチャンスよ?」


「うふふ、良い事を聞いちゃったわ♪ ありがとね、アヤメさん」


「どう致しまして」


「ええっ? ハーレムって?」


「うふふ、ケリーその話は帰ってからよ、さあ行きましょうか」


「はい、お願いします」



 探していたケールは草原に行くと直ぐに見つかり、どんなのだろうと思って見てみると、丸まってないキャベツのようだった。



「へえ~ これがケールか~ パクッ! モグモグ、わ~ 甘くて美味しいですね」


「嘘? ケールって苦い筈なんだけど?」


「そうなんですか? でも、とっても甘いですよ?」


「パクッ! わわっ、本当に甘くて美味しいわ、流石ダンジョン産ね♪」


「これで、マナポーション作れるんじゃないかな?」


「ほんとだー、鑑定で見たら魔力回復効果もあるみたいね、シオとセツナの闘いになりそう」


「とりあえず、需要は跳ね上がったみたいなんで、収穫と行きますか」


「ヤー♪」×全員



 辺りを探してみると至る所にケールがあったので、サクサクと収穫していたけど途中から横着して<虚空界>に直接回収した。


 地面にある物ならドロップ品拾いで、慣れたもんだからね。


 ポツポツと出て来る魔物をあしらいながら、更に地下13階へ辿り着き、なんとこの階層にはパパイヤがあるらしい。


 ナギサさんの雄叫びが、この階層に木霊した。


 パパイヤも木に生っており、1本の木に一杯実をつけている。


 オレンジ色をしたパパイヤは完熟しているそうだ。


 緑色のパパイヤは野菜として食べるらしい。


 僕達が見つけたのは、完熟パパイヤが殆どだったけど、緑色のも収穫してシオさんに料理して貰おう。


 かなりの量が実っていたけど、当然の様に刈り尽くし、当然の如く試食した。


 半分に割って見ると中央に黒くて小さな種があり、果肉は万歳三唱ものだった♪


 いや、冗談抜きで本当に美味しい。ナギサさんは、喜びのあまりY字バランスで周りだしそうだった。



「これ本当に美味しいわね。これはナギサでなくても喜ぶわ」


「あ~ん、美味しいよ~ ハワイに来て良かった~♪」


「うふふ、確かにハワイに来たなら、パパイヤは食べないとね」


「よくこんなに魔物が強い階層で、果物に喜んでられるよな?」


「そう言えばそうね、皆一撃で倒しちゃうから忘れてたわ・・・」


「日本の上級ダンジョンより、レベルが高い筈なんだけど、ヨウ君達には変わらないみたいね」


「ん~ 正直、一撃で倒せるから違いが分からないですね~」


「全く、恐ろしい強さだな、自信が無くなるよ」


「んふふ、ヨウ君と比べちゃ駄目よ?」


「ウフフ、アヤメさん達の強さも常軌を逸してるわ」


「フフ、ヨウ様に着いて行くには、まだまだ鍛えないと足りないのですよ」


「世界は広いよな~ ヨウ達に会えて良かったよ」


「それは、どうもだね」



 パパイヤを収穫し尽くした後、再び歩を進め、次の地下14階に辿り着いた。


 此処ではマンゴーが採れるらしい。


 もう、ナギサさんの喜びが半端じゃなくなってきた。


 流石に南国だけあって、フルーツ天国みたいで僕も嬉しい。


 マンゴーは日本でも良く食べるようになってきた果実なので、探すのは容易で直ぐに見つかった。


 早速試食してみると、やはりダンジョン産は一味も二味も違う。


 メチャクチャ甘くて、後味もスッキリしている。


 喜んで採集していると、僕達の中では一番感の良いノノさんが宝箱を見つけたようだ。



「宝箱発見!」


「えっ、どこなんだよ?」


「ほらほら、あの大きな木の上の方に洞があるでしょ?」


「あ、あんなとこかよ、何で分かるんだよ?」


「フフ~ なんとなく、感で分かるんだよね♪」



 僕達は<発見>スキルがあるので見つけやすいんだけど、あえてそこまでの説明はしなかった。


 大きな木の上に登り、宝箱を持って下りて中身を確認してみると、どうやら原石のようだ。緑色の塊がチラホラと見えている。


 鑑定してみると、最高品質のペリドット原石のようだ。



「へえ~ 面白いわね。宝石の原石が宝箱から出るなんて、ペリドットみたいだから、そんなに高価じゃないと思うけど」


「なるほど。でも、僕達の専属彫金師であるヒメちゃんさんに、良いお土産が出来ました」


「専属の職人さんが居るなんて、流石ヨウ君達ね」


「あはは、今中級ダンジョンへ行ってる女性なんですよ?」


「あの人達って、職人さんだったんだ?」


「ヨウ君過保護だから、職人さん達にも自衛のためにダンジョンでステータス上げして貰ってるのよ」


「ウフフ、ヨウ君は優しいんですね」


「え~ 自衛出来るようには成って欲しいのは本当なんですが、ダンジョンの楽しさを分かって貰えたら嬉しいな~ っと」


「あはは、ヨウ君は本当にダンジョンがお好きなんですね」


「あれ? アリーシャさんもでしょ?」


「うふふ、間違いないです♪」



 マンゴーも粗方取り尽くし、意気揚々と次の地下15階へと足を延ばしていると、珍しく他の冒険者が慌てて階段を上って来ている。


 装備を見るからに中々強そうな人達なのに、何故慌ててるのか気に成っていると、アリーシャさんの知り合いのようだった。



「どうしたの? そんなに慌てて?」


「ア、アリーシャか、大変だ! スタンピートだ!」


「・・・なるほどね、どれぐらいの規模なの?」


「今までに見たことがないぐらいの数だ、500いや千体ぐらい居るかもしれねえ。


アリーシャ達も早く逃げろ。何時もの様に2~3階層ぐらいで進行が止まるか分からねえ」


「分かったわ、ありがとう。私達も規模を確認してから逃げるようにするわ」


「気を付けろよ、俺達はこの階層から外へ逃げる」


「ええ、貴方達も気を付けて。ヨウ君、ごめんなさい。スタンピートの確認を付き合って貰っても良いでしょうか?」


「もちろん、良いですよ」


「ありがとうございます」



 僕達は地下15階に続く階段を下りたところで、<気配感知>を使いスタンピートの確認をしてみた。



「うひゃ~ 本当に一杯いるわね」


「えっと・・・ざっと見て1200体ぐらいかな~」


「なんて数だよ」


「中々の数ですね~ 私達でも、これだけの大群は初めてかな?」


「何を呑気な事を言ってんだよ! 1200体が本当なら、過去最大レベルのスタンピートだ」


「・・・拙いわね、地上に出る事は無いと思うけど、地下10階層ぐらいまで押し寄せる可能性があるわね」


「心配しなくても良いよ? 三日月君が、今何考えてるのか教えようか?」


「フフ、ヨウ様でしたら『流石ハワイ、ビックウェ~ブだ!』でしょうか」


「ククッ、僕は『フィーバータイムだ! ひゃっほ~い♪』だと思うな」


「嘘でしょ? こんな大規模なスタンピートに、たった6人で立ち向かうって言うの?」


「お、おい、幾らヨウ達が強いって言っても、そりゃ無茶ってもんだぜ?」


「ハワイのダンジョンでは、大規模なスタンピートって良くあるんですか?」


「まさか、こんなのが良くあったら冒険者が居なくなるわよ」


「なるほど、じゃ、今日の僕の呼び名は決まりましたね」


「どういう意味なの?」


「んふふ、分からない?」


「「「「「ラッキーボーイよ♪」」」」」


「あはは、大正解!」


「おい、本気で言ってるのかよ?」


「アリーシャさん達は、此処で見てて下さい。結界張っときますね」



 僕は念のためにアリーシャさんとケリーさんに結界を張り、とりあえず安全を確保しておいた。


 これで、ひとまず安心として、スタンピートの方をもう一度見てみると、かなり横へ広がって僕達の方へ押し寄せてくるようだ。


 魔物はゴブリンからオーガ等、多種多様な魔物が居るようだ。こうやって見ると中々の迫力がある。


 土煙を上げながら迫りくるスタンピートを見れば、普通なら恐れるのは当たり前だろう。


 でも、僕の目に見える、その光景は鴨ネギにしか見えず、思わず笑みが零れてしまう。



「さあ、狩の時間と行きましょうか♪」


「んふふ、これなら思いっ切り魔法を撃てるわね」


「アヤメさん以外は、物理攻撃で蹴散らしても良いんだけど、せっかくの大群さんだから魔法で一気に仕留めちゃいましょうか」


「って事は、私達も魔法ね。ん~ 久しぶりだな~」


「地形を変えちゃうのもなんだし、雷系にしましょうか。僕を中心に魔物に合わせて等間隔に広がって下さい」


「何時もの様に僕が雨を降らせますから、皆はアヤメさんに合わせて撃ちましょう」


「んふふ、分かったわ。私が合図するわね」


「「「「了解!」」」」



 殲滅方法も決まったので、後は魔物を引き付けて魔法を撃つタイミングを計ることにした。


 幸い、此処は少し高台になっているので、迫りくる魔物達が良く見える。


 僕は、迫りくる魔物を全て魔法範囲に入る様イメージした。


 その範囲は、かなり広大になったけど、今の僕なら出来ると思う。



「よし、行きます!」


「<エクステントレイン>!!!!!!」



 僕が放った雨は、イメージ通り広大な範囲に雨を降らせ、魔物達を包んで行く。


 イメージと違ったのは、一粒一粒の雨は魔物達の皮膚を貫き、シッカリとダメージを与えているようだった。



「うわ~ 流石ヨウ君ね、これだけで倒せそうじゃない?」


「じゃ、私達も行きましょうか」



 アヤメさんは等間隔に広がった皆へ、右手を高く掲げ合図を送り、一斉に魔法を放つ。



「「「「「<ライトニングボルト>!!!!!」」」」」



 アヤメさん達5人から放たれた雷魔法は、空が一瞬光ったと思ったら次の瞬間、無数のイカズチが魔物へ降り注いだ。


 その光景は、まるで地獄絵図のように1200体に及ぶ魔物を包み込み、感電しているためか、倒れる事も出来ず阿鼻叫喚を挙げていた。


 やがて雷が収束を迎えると、魔物達は糸が切れた人形のようにパタパタと倒れていき、光の粒子となり消えて行った。


 大地には、無数のドロップアイテムが散乱しており、宝の山のようになっていた。


 距離が離れているため隠蔽する事が出来なかったので、オーブ系も無数に転がっているが、魔物の数が多かったので何とか誤魔化せるだろうと思う。


 アリーシャさんとケリーさんは、スタンピートが一瞬で殲滅された光景に驚きすぎたのか、無表情で遠くを見ているようだった。



「あれ? 気絶しちゃったのかな?」


「おーい、終わったわよー」


「フフ、少し待った方が良さそうですね」


「あはは、そうね。じゃ、ドロップアイテムでも集めときますか」


「賛成~♪」



 ドロップアイテムを拾い集めると言っても、流石に広範囲だったので、6人掛かりで<虚空界>を使っても30分程時間が掛かってしまった。


 ようやく拾い終わり、アリーシャさんの所へ帰ると、正気に戻ったのか神妙な表情をしていた。



「フフ、少し驚かせてしまいましたか?」


「・・・驚く程度じゃなかったですよ? 貴方達は、どれだけ大きな力を持っているのですか?」


「な~ お前達って人間なんだよな?」


「んふふ、人の域を超えてる自覚はあるけど、人間なのは間違いないわよ」


「ねーねー、それよりさ、この階層は何が採れるのかな?」


「うふふ、全く想像を絶する人達ですね♪ 此処はパイナップルが獲れた筈ですよ」


「わーい♪ 次はパイナップルだ~」


「あれだけ、凄い事した後にパイナップルで喜ぶのかよ・・・」


「「「「「「あはは♪」」」」」」



 呆れかえっている2人と共にパイナップルを探すと、スタンピートのために誰も採集していなかったのか、大量のパイナップルが実っていた。



「お~~~ いっぱい実ってる~♪ へえ~ パイナップルってこうして生ってるんだね」


「僕も初めて見ました。木に生ってるんじゃないんだ」


「そう思ってる人が多いみたいですね、此処のパイナップルは少し変わってて白くて美味しいんですよ」


「うわ~ 楽しみだ~ さっ、採ろ採ろ」



 採集にも慣れて来て粗方採り終わるり、早速試食して見る事にしたらアリーシャさんの言う通り、メチャクチャ甘くて美味しかった。


 中身は白いのに、味は間違いなくパイナップルだ。


 こんなに面白い体験を楽しみながら、流石ハワイだと思い歩を進める。



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