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第152話 ホノルル上級ダンジョンはアリーシャさんと


「アリーシャ、一体どうなってるの?」


「丁度良かった、三日月さん紹介するわ。この4人は私とパーティを組んでいる女性達よ」


「さっ、ケリーも自己紹介して」


「あ、ああ、アリーシャと冒険者をしているケリー・パーカー・アンドリーだ・・・です」


「同じくスーザン・マリア・ホモンドよ」


「アデル・シュエラー・キャンプです」


「アルシア・サン・ヘンズリーよ」


「モニカ・ヴァン・グリーンと言います」


「僕は三日月陽と言います。後ろの女性達は、僕の仲間です」


「三日月? あっ! 三日月ってアリーシャが好き・・・むぎゅ」×ケリー


「うん。ケリーちょっと黙ろうか?」×アリーシャ


「ひゃ、ひゃい」


「なるほどね、納得したわ」×スーザン


「そう言う事か~」×アデル


「でも、まさか、こんなに早く会えるなんてね」×アルシア


「うふふ、本当に可愛い少年ね♪ それだけに信じられないけど」×モニカ


「アリーシャさん?」


「は、はい」


「僕の事、なにか喋りました?」


「な、何も言ってないわ、可愛い少年で命の恩人だとしか」


「ウフフ、大丈夫ですよ。それに付け加えてSランクのアリーシャが相手にもならない強者だとしかね♪」×スーザン


「私達は全然信じてなかったんですが、さっきのを見せられたら後では、戦慄を感じますね」×アデル


「あれだけ離れていた私達も背中に冷たい汗を掻きました。そこの双子の女性ですよね?」×アルシア


「うふふ、強さもそうですが、それにしても綺麗な女性ばかりですよね? アリーシャでも霞んじゃいそうよ?」×モニカ


「もう、馬鹿なこと言ってないで、それよりも今日の予定を変更するわ。


今日は、三日月さん達のダンジョンガイドをして欲しいの、詳しい話は今からするから。


三日月さんはダンジョン探索の申請でしたね、別室でお待ち下さい。早急に段取りさせますから」


「えと、ありがとう」


「いえいえ♪」



 アリーシャさんは流石にSランク冒険者だけあり、ギルドにも顔が利くのか僕達の手続きは速攻で終わらせてくれた。


 しばらくすると、アリーシャさんも部屋にきてくれ、今日の説明をしてくれる。



「お待たせしました三日月さん。それでは、初級ダンジョンへはスーザンとアデルが担当します。


中級ダンジョンへは、アルシアとモニカが担当します。


上級ダンジョンへは、私アリーシャとケリーが担当します。


それぞれのダンジョンまで御案内しますので、宜しくお願いします」


「久しぶりに会ったのに、色々とありがとうございますアリーシャさん」


「お言葉に甘えて、今日は宜しくお願いします」


「カンナさん達は2パーティずつに別れて、スーザンさんとアデルさんに案内して貰って下さい。


日本の初級ダンジョンより、少しレベルが高いと思いますから、無理しないようにね。危ないと思ったら直ぐに逃げて下さい」


「分かりました。頑張って参ります」


「コトエさん達と職人さん達は、アルシアさんとモニカさんに案内して貰って下さい。コトエさんお願いしますね」


「任してえな、ウチ等も頑張ってくるで」


「じゃ、僕達クレセントメンバーは、アリーシャさんとケリーさん宜しくお願いします」


「はい、精一杯ご案内させていただきます」


「じゃ、此処で冒険者装備に着替えて出発しましょうか。カンナさん達は武器も出しておいて下さい。


ハワイ時間の19時に、また此処で集合しましょうか。皆さん時計合わせといて下さいね」


「了解です」×全員


「あっ! 私は流石にダンジョンまでは行けませんから、19時に此処で待ってますね」×セナ


「はい、分かりました」



 僕達は<虚空庫>を利用して、素早く着替え準備を整えた。



「「「「「えっ?」」」」」


「こ、<虚空庫>? 馬鹿な? しかも全員だと」×ケリー


「余計な詮索は無しと言った筈ですよケリー?」×アリーシャ


「あ、ああ、分かってる」



 中級ダンジョンと上級ダンジョンは、此処から少し離れた場所にあるので車で移動することになった。


 ギルドの外へ出ると既にタクシーが待機しており、コトエさん達とは此処で分かれ、其々がダンジョンへ向かう。


 タクシーに乗りながら、知らない町を眺めてるだけでも、何故か嬉しい気持ちになる。


 道路は広いし信号が縦なのが面白い♪ ヤシの木も多くハワイらしさに溢れている。


 上級ダンジョンがある場所は、さほど遠くないので直ぐに到着し、ギルドの建物が見えて来た。


 タクシーを下りる時にギルドカードで料金を支払い、忘れずにチップを渡すと、とても驚いてから喜んでくれた。


 そう言えば100$札だったんだった。少しだけ豪遊気分に成る事が出来たかな♪


 ギルドへ入ると流石に上級ダンジョンだけはあり、冒険者の装備も恰好良い。


 僕達も目立つので注目を集めているけど、アリーシャさんは有名人なのか良く声を掛けられている。



「やっぱり有名人さんですね~ アリーシャさん」


「最近は此処で活動してますから、知り合いが多いだけですよ」


「いやいや、アリーシャはSランクなんだから、そりゃ目立つだろ?」×ケリー


「三日月さんの前で止めてよ、恥ずかしくなるでしょ」


「なんで、Sランクが恥ずかしいんだ?」


「三日月さん達とは格が違うのよ」


「んっ? 三日月もSランクなのか?」


「こら、ケリー」


「あはは、良いですよアリーシャさん。僕の事はヨウって呼んでくれたら良いですから」


「んふふ、私達は全員Sランクよ。まあヨウ君は桁違いなんだけどね」


「なっ! 全員アリーシャと同じSランクなのか・・・そりゃ凄いな」


「それは私も知らなかったわ、流石三日月さんのパーティね」


「アリーシャさんもヨウで良いですよ?」


「分かったわ。じゃ、ヨウ君って呼ばせて貰うわね」


「ダンジョンへ入る前に少し説明しておくけど、このダンジョンの特徴はモンスターハウスが多いんですよ。


モンスターハウスに踏み込んだ冒険者が、魔物を引き連れて逃げるトレインもよく起こるわ。


下手したら数百匹の魔物が押し寄せてくるから、此処では索敵が重要になってくるの」


「なるほど、魔物も日本より強いなら脅威になりますね~」


「後は絶対に手を出しちゃいけない魔物が居るのよ、徘徊レイドモンスターがね」


「うわ~ 何ですかそれ? 凄く楽しそうですね♪」


「えっ? 幾らヨウ君でも、あれは駄目ですよ?」


「にひひ、そんな事言っても、もう無理だよ? ヨウ君の眼がキラキラになっちゃったから」×ナギサ


「早く行きましょうか、アリーシャさん」


「ちょ、ちょっと待って」



 僕はアリーシャさんの背を押しながら、いよいよハワイの上級ダンジョンへ足を踏み込んだ。


 ダンジョンの中へ入ると、そこは鍾乳洞になっており洞窟と違って道幅もかなり広い。


 少し冷たい空気と水の匂いが鼻孔を擽るようだ。初めて見るタイプのダンジョンに心が躍る♪



「うわー、うわー、鍾乳洞なんだ♪」


「三日月君が楽しそうだと、僕も楽しくなっちゃうね」


「あはは、今日は散開せずに探索しましょうか」


「了解」×クレセントメンバー



 ワクワクしながら鍾乳洞を進んで行くと、魔物は固定されておらず数十種類いるようだった。


 スライムからコウモリ、オオトカゲやサンショウウオのような魔物もいた。



「ん~ ポツポツいるだけですね~ ナギサさん任せて良いですか?」


「は~い! お任せだよー」



 一定間隔でしか魔物が出て来なかったので、ナギサさんの弓に任せて進んでいるとケリーさんが何故か驚いているようだ。



「お、おい、何で矢が曲がるんだ? いや、それよりも死角で見えない魔物に何故矢が当てられる?」


「んふふ、魔物の気配を感じ取ってるんだよ! 大事な事だから訓練した方が良いよ~」×ナギサ


「気配だけで魔物の位置が分かるのかよ? そ、それじゃ索敵は」


「当然分かるわよ? 右に3体、左に5体かな。全部コウモリよ」


「なっ! 魔物の種類まで分かるのかよ・・・」


「感知系のスキルは、とても大事ですから取っといた方が良いですよ?」


「私は<気配感知>スキルは持ってるけど、そこまで詳しく分からないわよ?」


「ちゃんと訓練したら、分かるようになりますよ?」


「大丈夫よ、私達も最初は分からなかったから」


「・・・そういう所からもヨウ君達は違いますね?」


「僕は特に感知系のスキルを重視してますから、凄く大事ですよ?」


「なんでだよ、速さや力が上がるスキルの方が大事だろ?」


「幾ら速さや力があっても、当たらなければ意味がないじゃないですか?


<気配感知>スキルは索敵のためだけにあるんじゃないんですよ?


戦闘中にも相手の気配を読むんです」


「相手の気配?」


「フフ~ ヨウ様は簡単に言いますけど、私達でも簡単には出来ないんですよ」


「ノノさん達も、以前とは比べ物にならないぐらい上手くなりましたよ?」


「ありがとうございます♪」


「なるほど、もっと気配に意識するようにしてみます」


「はい、とっても大事です!」



 次々と出て来る魔物は全てノノさんが弓で討伐してくれ、すんなりと地下5階まで来てしまった。


 まだ全然戦ってないけど、ノノさんが一撃で魔物を倒すから日本よりレベルが高いのかどうか判断が付かない。


 しかし、ようやく面白そうな部屋を見つけた!



「ちょ、ちょっと待ってくれ、何時もこんなスピードで移動してるのか?」


「今日は何時もの半分ぐらいよ?」


「嘘だろ? 速すぎるぞ」


「あ~ 疲れちゃいましたか? じゃ、良い物上げますから飲んで下さい」



 僕はスタミナポーションをケリーさんとアリーシャさんに手渡した。



「ヨウ君。これは?」


「スタミナポーションって言うんですけど、それを飲むと8時間ほど疲れにくくなるんですよ」


「そんな良い物飲んでたのか?」


「んふふ、私達は飲んでないわよ? 全然疲れてないもの」


「どんな体力してんだよ?」


「逆でしょ? 冒険者なんだから、もっと体力つけなきゃ?」×ナギサ


「私は体力ある方だぞ? しかし、これ凄いな疲れが綺麗に無くなったよ」


「ホントこれ凄いわね、凄く楽になったわ」


「ごめんねヨウ君。私達に合わせてゆっくり行ってくれてたんだね」


「いえいえ、良いですよ。それよりもモンスターハウス見つけちゃいました♪」


「えっ・・・駄目、私には全然分からないわ」


「此処から2キロぐらい進んだ部屋ですね。4~500匹ぐらいのコウモリが居るみたいです」


「嘘だろ? どんな索敵範囲してるんだよ?」


「あはは、さっ、行きましょうか」


「まさかヨウ君、モンスターハウスに行く気なの?」


「もちろんですよ? ようやく面白そうなところを見つけたんですから」


「んふふ、ヨウ君楽しそう」



 アリーシャさん達の体力も回復した事だし、急ぎ足でモンスターハウスを見に行って見ると、そこには天井に張り付いた夥しい数のコウモリがおり蠢いていた。



「うわ~ これだけ居ると少し気持ち悪いわね、私がやろっか?」


「いえ、僕がやりますよ、下がってて貰って良いですか?」


「えっ! ヨウ君がやるの? 他に冒険者いないでしょうね?」


「信用ないな~ 大丈夫ですよ。この階には僕達だけみたいです」


「でも、アリーシャさん達もいるから、念のために結界張っときますね」


「ほら~ やっぱり自信ないんじゃない?」


「念のためですよー」


「ほ、本当にやるの? 幾ら何でもあの数は危ないんじゃ・・・」


「いくら強くても、あの数に襲われたら助からねえぞ?」


「分かって無いわね~ 私達が心配してるのはヨウ君がやり過ぎないかって事よ? まあ見てなさいな♪」


「じゃ、いきますね~ 天井付近だけに軽く軽~く」


「<フリーズ>!!!!!」



 ビキンッ!!!!!!!!!!



「「「「「「「はい?」」」」」」


「あっ・・・」



 そういえば、魔法スクロールも9つ重ね掛けしたんだった・・・


 一瞬! まさに一瞬で僕達が居た鍾乳洞は、まるで雪山の洞窟のように辺り一面凍り付き、飛行していたコウモリは地面に落下し粉々に砕け散っていた。


 天井に張り付いていたコウモリも次々と落下しだし、パリンパリンと音を立て地面に叩きつけられ粉々に割れて行った。


 驚きのあまり<隠蔽>スキルでドロップアイテムを隠すのが遅れ、地面にはドロップアイテムが無数に散らばっていた。



「あがっ?」×ケリー


「こ、氷魔法・・・しかも、何て威力なの?」×アリーシャ


「あちゃ・・・ちょっとやり過ぎちゃったかな?」


「ちょっとじゃないわよ? 結界が無かったら私達まで氷漬けになってたじゃない」


「・・・おかしいな~ 天井だけに絞ったつもりなんだけど・・・」


「フフ、それにしても凄いですね。なんて綺麗な氷世界に」


「感心してる場合じゃないわよー、ドロップアイテム拾っていかなきゃ」


「ククッ、拾い甲斐があるね」


「・・・ケリー手伝いますよ」


「あ、ああ」



 僕達は辺り一面に散らばったドロップアイテムを拾い集め、また階層を進んで行った。


 地下10階のボス部屋に着くまでに、モンスターハウスを5つも見つけ魔法の調整に精を出した。


 練習の甲斐があって威力は兎も角、効果範囲はかなり絞れるようになってきた。


 これで、仲間まで巻き込む事はもう無いだろうから、内心ホッとしていた。



「いや~ 低階層でも中々面白かったですね」


「んふふ、オークのモンスターハウスは倒し甲斐があったわね」


「私とリラ姉の出番は無いのかと思っちゃったよ」


「僕もだよ?」


「なあ、アリーシャ・・・今朝、一緒に謝ってくれて、ありがとな」


「うふふ、分かってくれたなら良いわよ」


「もしもし、なんで九死に一生みたいな話になってるんです?」


「だってよ、あのまま怒らせてたら氷漬けにされてたんだろ?」


「ブッ!? 町中でそんなことしませんよ?」


「ヨウって凄い魔法使いだったんだな、あんな強力な魔法初めて見たぞ」


「あはは、ヨウ君はバリバリの前衛よ? 魔法も使えるってだけ」


「嘘だろ? だってあんなに・・・」


「言ったでしょ? 強者だって。唯、見た目で判断しにくいのよ、ある意味罠よね」


「あはは、罠は酷いですね、まだ成長途上なんですよ?」


「・・・化物ってのは十分理解したよ。強い男は好きだけど、強すぎる男には初めて会った」


「じゃ、僕が強い女にも会わせて上げようかな?」


「そう言えば、次の順番はツドイさんでしたね、ボス戦やっちゃいますか?」


「了解だよ!」



 ボス部屋の扉を潜り中へ入ると、ボスはでっかいカタツムリのようだった。


 名前はベノムマイマイと言うらしい、名前からして毒持ちって所かな。



「・・・1パーティなのに、よりによって此奴なのかよ」


「ヨウ君。最悪のボスだわ、ベノムマイマイは防御力が高すぎて剣も魔法も効かないレアボスなのよ・・・」


「お~ そりゃ斬り応えがありますね。ツドイさんラッキーです!」


「僕の日頃の行いが良いんだね♪ 行ってくるよ」


「「えっ?」」


「ん、<腕力強化>・・・<敏捷強化>・・・<硬質化>・・・<超振動>・・・魔法剣エンチャット<ファイア>」


「んんんっ! 一刀・・・両~~~断!」



 キンッ!!!!!



 ツドイさんは見事にスキルを4つ発動し、魔法剣まで掛けて上段に振り上げた薙刀を振り下ろし、言葉通り一刀両断に斬り伏せた。


 ベノムマイマイの硬そうな殻は綺麗に両断され、光の粒子となって消えていった。


 ドロップは素材だけを残し、残りは<隠蔽>を掛けてから<虚空界>へ収納した。



「オ・・・マイガッ」


「し、信じられない・・・」


「なんて攻撃力だ、それにあの青く輝く武器はなんだ?」


「・・・やはり、女性達も桁外れな実力を持っているんですね」


「えっと、ドロップ品は硬そうな殻と粘液だね」


「良かったらアリーシャさんもドロップ品持ってって下さい」


「いえ、流石に貰えないわよ、ガイドに来てるのに」


「遠慮しなくても良いですよ? じゃ、殻だけ渡しときますね」


「三日月君の気持ちだから遠慮しちゃ駄目だよ?」


「分かりました。遠慮なくいただきますね」


「じゃ、張り切って次行きましょうか」


「了解♪」×全員


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