第150話 ハワイ旅行のスタートはサプライズからですよ
空港の中なんて、ちゃんと見たことが無かった僕は、キョロキョロと辺りを見渡していく。
こんなに色々なお店があるなんて驚きだったけど、美味しそうな物は片っ端から買っていった。
ハワイまでのフライト時間は8時間ぐらいなので、それぞれ何かを買っているようだ。
そろそろ、搭乗時間になったのでリラさんの案内の下、全員で移動する。
「あれ? リラ搭乗手続きと出国手続きに並ばないと?」
「フフ、大丈夫ですよ。このVIPルームでお待ち下さい」
「えっ? まあ、リラの事だから任せておいて大丈夫か」
しばらくすると、リラさんが帰って来て、僕達はまた歩き出し搭乗ゲートを潜る。
「おかしくない? 何で搭乗ゲートに私達しか居ないわけ?」
「フフ、空いていて幸運でしたね」
「・・・何か嫌な予感がしてきたわ」
リラさんの後を付いて行き、ついに僕達が乗る飛行機が見えて来た。
「・・・ねえ、ジャンボジェットにしては小さくない?」
「アヤメさんは大きな飛行機の方が好みでしたか? 一応50人乗れるみたいですよ?」
「ま、まさか、ヨウ君?」
「どうしたのよ、アヤメ?」
「普通なら飛行機に乗る前って、もっと混んでるし時間が掛かるのよ?」
「それだけじゃ、分かんないわよー」
「あはは、流石にもう誤魔化せないかな? 実はサプライズでプライベートジェット買っちゃいました♪」
「ええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!」×全員
プライベートジェットの購入は、リラさんとツドイさんにしか言ってなかったので全員、口をポッカリ開けたまま固まっているようだ。
久しぶりのサプライズなので、皆の驚いた表情がとても面白い♪
「買っちゃったって、ヨウ君飛行機買っちゃったの?」
「はい、ハワイ旅行用に買っちゃいました」
「そ、そんなに簡単に言わないでよー」
「こっちの方が楽しそうでしょ?」
「そうだけど、一体幾らしたのよ?」
「えっと、幾らだったかな? 忘れちゃいました」
「忘れたって・・・ハァ~ ちょっと油断してたわ」
「リラ姉、私にも内緒なんて狡いよ~」
「フフ、言ってたらサプライズが楽しめないでしょ?」
「ツドイは驚いてなかったけど、知ってたの?」
「うん、僕は知ってたんだよね」
「ええ~ どしてなの?」
「僕も操縦出来るからパイロットするか聞いてくれたんだよね、でも8時間以上掛かるから、僕が操縦したら皆気を使うと思って辞退したんだよ」
「うわ~ ツドイって飛行機にも乗れるんだ?」
「僕、どんな乗り物でも乗れるよ。趣味だからね~♪」
「趣味だから凄いのよ?」
「フフ、皆さん搭乗しますよ」
「えっ? あっ、はい」×コトエ達
「って、うひゃ~ ヨウはん、流石に打っ飛んでるで?」
「ヨウさん凄いです」
「マユ、プライベートジェットだって?」
「そう言ってたねナホ、私達乗って良いのかな?」
「あはは、もちろんですよー!」
「「わーい♪」」
「ウフフ、流石ヨウ様スケールが大きいですわ♪」
「どれだけ金持ってんだよ? 発想がおかしいだろ?」
「個人で飛行機なんて買えるんだ~」×スズカ
「私、初めての海外旅行プライベートジェットで行くんだ?」×ヒメ
「ふあ~ 相変わらず驚かせてくれるわねヨウ君は」×シオ
「ナハハ、まさか、私がプライベートジェットに乗る日が来るとはね~」×セツナ
「・・・・・・・・・・・」×メイドさん達
カンナさんを始め、メイドさん達は驚きなれていないせいか、まだ困惑中のようだ。これがまた面白い♪
「フフ、カンナさん? 大丈夫ですか」
「は、はい、えっ? いや、でも私達メイドも一緒に乗るのでしょうか? 私達メイドですよね?」
「あはは、そうですね。僕達の大事なメイドさん達です」
「もう一人まだ、驚いてる人がいるね~」
「セナさん写真撮らないの? 絶好のシュチュエーションだよ♪」
「えっ? あわわ、そうでした!」
正気に戻ったセナさんはプライベートジェットを背にした皆の記念写真を撮りまくってくれた。
皆良い笑顔だったから、後から見るのが楽しみだ♪
プライベートジェットに搭乗すると、そこには大きくて豪華なシートが並んでおり、ソファーやテーブル。まるでリビングに入ったかのような造りだった。
とても、飛行機の中とは思えない光景に、僕も吃驚してしまう。
ベテランのパイロットさんを二人雇ったので、後はハワイに着くまでお任せだ。
シュチュワーデスさんを雇っても良かったんだけど、人に聞かせにくい会話をするかもしれないから断っておいた。
「うわ~ なにこれ? リビングみたいじゃない」
「そうでしょ? 時間があったんで、ちょっと内装をリフォームして、ゆっくり寛げるようにしました」
「うはー、凄くお金掛けてるわね~ でも素敵ね♪ これなら到着まで楽しく過ごせそうだわ」
「豪華過ぎやろ? なんや、もうホテルに着いたみたいやん」
「うふふ、ホントね。ヨウさんには驚かされっぱなしだわ」×ユウカ
「「わーい♪」」×ミミ・ルル
「うふふ、これは、ハシャギたくもなるわね」×マユ
「そりゃそうだよ。こんなに豪華な旅行なんて絶対無いよー」×ナホ
「ゆっくりするなら<亜空界>でも良かったんですけど、旅行気分じゃ無くなるかなって思ってね」
「いやいや、十分桁外れな旅行になってるぞ?」×ミナミ
「窓から空の景色見るのが楽しみですぅ~♪」×ヒメ
「「あっ! それ良いかも~♪」」×ミミ・ルル
「ふあ~ ここだけでも、良い写真が一杯撮れそうです」×セナ
「あはは、楽しみながら行きましょうか」
「賛成ーーー♪」×全員
全員搭乗したので離陸の時だけシートへ座り、シッカリとシートベルトを付けて飛行機は飛び立った。
少しガタガタと揺れたけど、直ぐに安定飛行に入った。窓からは大阪の町が見えている。
リナさんの指示の下、シートベルトを外しソファーへ移ることにした。
そして、またナギサさんが音頭をとって盛り上げてくれる。
【それでは皆さん! 旅行と言えばーーー! ビールだぁぁぁぁぁぁ!!!!!】
【みんなーーーーー! 大いに飲むぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!】
「キャアアアーーーーー♪」×全員
「ナギサ姉さん最高~~~」×コトエ
「「素敵です~~~~~」」×ミミ・ルル
「も~ どれだけ飲む気なのよ?」
「ククッ! そう言えば、新幹線で飲んだビールも美味しかったよね」
「・・・旅行中のビールって、やたら美味しいのよね♪」
「にひひ、ほらほら、アヤメもビール持って」
「じゃ、ヨウ君、乾杯言ってみよ~~~」
「えっ、僕ですか? では行きます!・・・コホンッ」
【ハワイで豪遊しながら、ダンジョン行くぞぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~】
【オオ~~~~~~~~~~~~~~~♪】×全員
【乾杯!】
【かんぱ~~~い!!!!!!】×全員
【グビグビグビ! プハーーーーーーーー♪】×全員
【パチパチパチパチパチパチパチパチ♪】×全員
「美味しい~! やっぱ旅行にはビールですね~♪」
「んふふ、解放感が良いのよね~」
「僕、タコ焼き一杯買ってきたよ」
「あはは、ツドイさんも、最初から飲む気だったんじゃないですか」
「三日月君も、チーカマ買ってるよね?」
「あはは、ツドイさんが運転しないなら、飲むしかないですよ?」
「ん、ありがとね、飲んじゃう♪」
「あっそうだ。酔っぱらう前に、全員にハワイでのお小遣い渡しときますね~」
「イエ~~~~~♪」×全員
「ドドーンと渡して皆に豪遊して貰いたかったんですが、あんまり多いと稼ぐ楽しみが少なくなるので、断腸の思いで3000万円にしました!」
「えええええええええええええええええっ?」×全員
「んふふ、言っとくけど、ヨウ君にしては本当に自重した方よ?」
「わ、私達の3年分の年収なのですが?」
「ん~ これぐらいならちょっと豪遊したら無くなっちゃうと思うので、後は頑張ってダンジョンで稼いで下さい!」
「じゃ、リラさんからギルドカードへ送金して貰いますね」
「ちなみに、チップ代として現地の民間両替所で日本円を両替してからアメリカ$も渡しますからねー」
メイドさん達は戸惑いながらも、スマホで残高確認して貰い、金額の多さに驚いていた。
「旅行準備費もかなり余ってるのに・・・」
「見たことがないような桁になってます・・・」
「もう家が買えちゃう・・・」
「はい、セナさんが最後ですね~」
「ええっ? 羨ましいと思っていたら、私にもくれるのですか?」
「はい、最初の約束通りですよ? 金額は言ってませんでしたっけ」
「聞いてませんけど、まさかこんなに報酬が良いなんて」
「報酬じゃないですよ? これはあくまでも、お小遣いですから豪遊しちゃって下さいね」
「なんて嬉しい事言ってくれるんですか? 私にとって欲しいカメラ機材買うのが豪遊だったんですけど?」
「あはは、今度はカメラ機材以外で、豪遊しちゃって下さい」
「セナさん、報酬金額を聞かないで引き受けてくれたの?」
「えっと! あはは、前回の報酬が余りにも良かったんで、即答でOKしちゃいました」
「んふふ、ありがと。でも、正解だったでしょ?」
「はい、大正解ですよ! 三日月さん達の専属カメラマンになれて私は幸せ者ですー♪」
「にひひ、セナさんも飲もっか」
「良いのかな~ 一応仕事中なんですが。グビグビグビ、ぷはー♪」
「あはは、そんな事言いながら、良い飲みっぷりじゃない」
「いや~ 実はお酒好きなんですよ」
「ん? なんでツドイ、生ビール飲んでるのよ?」
「缶ビールなんてヌルイよ? 僕、ビールサーバー持って来ちゃった♪」
「狡い~ 私にもちょうだい」
「そう言うと思って、ビールジョッキも一杯持ってきたよ」
「うわー、ジョッキもキンキンに凍ってるじゃない。ツドイ分かってる~」
「もう、飲み会みたいに、なっちゃったじゃない」
「あはははは」×全員
簡単なゲームやトランプで大いに盛り上がり、女子会のような会話をしだすから赤面したりもした。
話しを聞いているとカンナさん達メイドさんは、結婚してないのは知ってたけど彼氏もいないそうだ。
「そーなんだ。でも、たまーに人肌が恋しくなんない?」
「そ、そんな事は・・・」
「もう、ナギサやめなさいよ。カンナさん照れてるでしょ?」
「僕で良かったら、何時でも良いよ?」
「だ~ ツドイ姉さんあかんて、ツドイ姉さんが言うと洒落にならへんねやから」
「コトエ嫉妬しちゃった?」
「うはっ! やめてーな、ちょっとクラッときてまうさかい、女性でもマジヤバいんやから」
「・・・僕、一応ノーマルだよ? 可愛い女の子も好きだけどさ♪」
「めっちゃ、女も入っとるやん!」
「ククッ! 冗談だよ」
フライト時間が長くお酒が入っている事もあり、カンナさん達メイドさんとの会話も普段より多く出来た。
やはり、病気や怪我をした人達ばかりなので、今までは結構な苦労があったようだ。
しかし、皆そんなに気にしている訳でもなく、前向きに考えていることが嬉しく思った。
「しかし、人生分からない物ですよね。私でも雇って貰える少しでも条件の良い所良い仕事を探してたら、メイドさんだったんですよね」
「ウフフ、私も同じですね~。条件が良かったから、まさか雇って貰えるとは思わなかったんですけどね」
「私なんて条件の良いメイドの選考に残って喜んでたら、更に条件の良いスパイに勧誘されて、一体どんな所のメイドなんだろうと思ったけどな。
今どきスパイなんて存在するのか半信半疑だったけど、見て聞いた事を伝えるだけで、お金貰えるなら簡単だって思ってたよ。
今だから聞くけど、なんでスパイだって分かってる私まで、採用したんだい?」
「フフ、そうですね。理由は以前簡単にお伝えしましたけど、一番の理由はヨウ様に敵対するような所は、潰しておきたかったからでしょうか」
ゾクッ!
「フフ、貴女も、私達には嘘を付くのは不可能と言いましたが、何故信じたのですか?」
「あれだけ不思議な事を見せられたら、信憑性高すぎでしょ? それに雇って貰えた恩があったからな」
「フフ、お陰で一つ潰し損ねましたね」
「やっぱ恩義は大事だって再認識したよ、やっぱり嘘が分かるのも本当なんですかね?」
「フフ、気が済むまでババ抜きでもしましょうか?」
「それって、さっきのトランプはイカサマしてたって事ですよね?」
「フフ、バレてしまいましたね」
「あはは、正直者になるのも楽で良いよな?」
「ねーねー、メイドさんから見たヨウ君って、どんな感じなのかな?」
「・・・嘘が言えないのに、それを聞きますか?」
「んふふ、別に正直に言っても、ヨウ君は怒らないわよ」
「・・・可愛くて優しくて威厳のようなものがあって、とても不思議な方ですね」
「僕って、不思議ですか?」
「とても、不思議に感じます」
「うふふ、今日は可愛いって言われる事に反応しないの?」
「それは、もう、誉め言葉と思う様にしました」
「んふふ、そそ、それもヨウ君の魅力なんだからね」
「それに、私達から見てもヨウ君は不思議なんだから、そりゃー他の人から見たら神秘的に見えるんじゃない?」
「本人は至って普通の田舎者と思ってるんですけど?」
「じゃ、不思議な田舎者君で良いんじゃない」
「あはは、そうですね」
「そだそだ、カンナさん達も旅行中は、遊びメインで良いですからね、思いっきり楽しみましょう」
「ありがとうございます、全力で楽しませていただきます♪」
「あれ? 以外に素直になったわね?」
「ウフフ、リラ様からヨウ様の言われる事は全て受け入れる様にお聞きしてますし、ヨウ様への奉仕はメイドの楽しみでもありますから」
「あはは、なるほどね♪」
こうして、楽しい時間を過ごしながら、ハワイへ向けて空の旅を満喫した。
大阪を出発したのが、夜の18時ぐらいで8時間後に着く計算だから、ハワイで楽しむためにも早めに就寝した。
全員シートで寝たんだけど、豪華なシートだったので寝心地は非常に良かった。
そして、目が覚めると予定通りハワイ時間で翌朝・・・じゃなかった当日の朝7時になるのか、窓からオアフ島が見えて来たようだ。
「おはよヨウ君。ようやく着いたみたいね」
「はい、でも、時差19時間って変な感じですね?」
「あはは、そうね、時間が巻き戻る計算になるから変な感じよね」
「そうですね。他の皆は、まだ寝ちゃってるのかな」
「それよりも、朝の日課は?」
「あれ? 今日の日課は終わってますよね?」
「もう、意地悪ね」
「あはは、おはよです。アヤメさん♪」
僕はアヤメさんに目覚めのキスをして、同じ様に皆もキスで起こしていった。
「んふふ、おはよヨウ君」
「おはよです、ナギサさん」
「最高の目覚めだったわ。あっ! 着いたのね?」
「はい、皆起こしちゃいますね」
「にひひ、メイドさん達とセナさんには、キスしちゃ駄目よ?」
「わ、分かってますよー」
皆にキスをしていくと、コトエさん達と職人さん達は、顔を真っ赤にして照れてしまった。
フミさんは既に起きていたので、ちょっと濃厚なキスになって、僕の方が照れてしまう。
おまけにキスしてるところを、カンナさんにも見られてしまい、尚更恥ずかしくなってしまった。
「おはようございます。ヨウ様」
「おはよです、カンナさん」
「素敵な起こし方ですね?」
「あはは、照れちゃいますね♪」
「少し羨ましいです・・・」
「えっ?」
「いえ、何でも無いです」
全員起きたところで、下りる準備をしてから、シートベルトを締めて着陸に備えた。
当然、現地は暑いので、各自用意しておいた薄着に着替える。
僕はハーフパンツにTシャツ、サンダルにしておいた。余計子供っぽく見えるかもしれないけど、そこは気にしない!
「おー、薄着も良いですね、皆さん」
「んふふ、胸が強調されるから、ヨウ君はこっちの方が良いよね」
「あはは、バレてます?」
「だって、顔が嬉しそうなんだもん♪」
「にひひ、ほらほら、フミさんなんて谷間が見えてるよ」
「うわ~ とってもセクシーですね」
「ウフフ、ありがとうございます」
いよいよ着陸に入り、少しガタガタと機体が揺れたけど、無事オアフ島へ到着したようだ。
初めての海外に足を踏み入れるのかと思うと、心が躍っちゃいます♪




