第14話 情報交換は大事ですよ
「アンタって確か同期の・・・今は何でもええわ、助けてーな」
「了解です、数減らしとくね」
僕は助っ人の了承が取れたので、リンクしていたシャドースパイダーを側面から攻撃し1体を倒した。
僕が1体を倒したので形勢が逆転し、無事3体を倒す事に成功した。
「ひゃ~、焦ったわ~、もうむっちゃキモイねんけど勘弁して欲しいわ」
「それよりも、お礼が先でしょ?」
「そやな、あんたぁ~、おおきにな助かったわ」
「いえいえ、たまたま通り掛っただけなんで良いですよ」
「あんた小さいのに、ごっつ強いんやな~。そんな短いナイフでようやるわ」
「こらっ、琴絵ったら失礼でしょ? ごめんなさい、えっと確か?」
「三日月陽です♪」
「そうそう、夜か昼か分からん名前やったな~」
「もう、ごめんなさい三日月さん。この子って口が悪くて」
「いえいえ♪ それに関西弁なら普通のような気がしますし」
「そやねん、喋り方は堪忍して~な、三日月はんソロで此処まで来たん?」
「はい」
「そっか~、強いねんな。もし、良かったら次の階層まで一緒に行かへんか? この蜘蛛めっちゃキモイし、奇襲してくるしでかなんねん」
「次の階層までなら良いですよ」
「ほんまか~、助かるわ~」
「すみません三日月さん。助かります」
「いえいえ、それより其方の方、怪我したんじゃないですか?」
「「「えっ」」」
「大丈夫だよ、ちょっと手を刺されただけだから」
「さっきの奇襲を受けたときね、マユ小さな怪我でも言ってくれなきゃ? シャドースパイダーって毒を持ってるのよ」
「マユ、フラフラしいひんか?」
「う~ん・・・ちょっとだけするかも」
「やっぱり念のために毒消し飲んどいた方が良いわ、はい」
「うん、ありがとうユウカ」
「どう?」
「うん、少しマシになったみたい」
「う~ん、初級の毒消ししか持ってないから効き目が遅いのかも・・・」
「そういやギルドからシャドースパイダーって毒が強めやさかい、中級毒消しポーションを持って行った方が良いって言われとったの忘れ取ったわ」
「堪忍やでマユ、急いで帰ろか」
「あの? もし良かったら、これ使ってください。中級の毒消しポーションです」
「おっ、三日月はん持っとったんかいな? 用意ええんやな」
「帰ったら返すさかい、借りといてええ?」
「いえいえ、良いですよ。念のために何本か買ってあるので使って下さい」
「三日月はん用意ええんやね、助かるわマユ貰っとき」
「ありがとう三日月さん、コクコク・・・うわっ! 治ったみたい。メチャクチャスッキリした♪」
「流石に中級ポーションね、そんなに効くんだ? 私達も買っておかなきゃね」
「中級っていくらぐらいなん?」
「えっと、確か1本1万円ぐらいですね」
「たかっ! やっぱめっちゃ高いな、そりゃ効くはずやわ~」
「そや、ポーションも返さんとやし、お礼を兼ねて今日一緒に夕食行かへん?」
「そうね情報交換もしたいし、御馳走するわ」
「三日月さん今日予定あります?」
「今日は別に用事はありませんけど、お礼なんて良いですよ。ポーションも差し上げますから」
「あかん、あかん、情報交換もしたいし。なっ、ええやろ?」
「はい、それならお言葉に甘えます」
「じゃ、決まりや。ウチのメンバーも紹介しとくわ」
「ウチは言うたけど守護 琴絵や」
「私は南雲 夕夏です」
「私は土師 南帆って言うの」
「私は鍵本 舞悠です、ポーションありがとうございました」
「僕は三日月 陽です、宜しくです」
「じゃ、とりあえず次の階層まで、よろしゅーな」
「はい、では行きましょうか」
流石に人前でSPオーブやスキルオーブを出すのは不味いけど、次の階層までなら大丈夫かなと思い、しばらく同行することにした。
もし、SPオーブやスキルオーブを持っている魔物が居たら、僕が攻撃するのはやめとくことにした。
スキルオーブを持っている魔物はさっき倒したから、SPオーブを持っている魔物だけ注意する。
「あっ! 守護さん、そこに1体隠れてますよ」
「えっ? ああ、ほんまや三日月はん目がええんやな~」
「そうなのかな? 倒しちゃいますね」
僕は何時もの調子でサクッと魔物を倒し、ドロップ品である魔糸玉を回収する。
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
「んっ? どうしたんですか皆さん?」
「いやいやいや、めっちゃ簡単に倒すし、魔糸がドロップしたのにあっさりしてるし、それめっちゃ高く売れるんやで?」
「えっ? そうなんですか? この階層初めて来るんで知らなかったです。帰ったらちゃんと山分けしますね」
「いやいや、それは三日月はんが倒したんやから持っときーな」
「良いんですか? それじゃ遠慮なく貰っときますね♪」
う~ん、普通の魔物なら倒しても良いかと思ったんだけど、こりゃ普通の魔物も僕が倒したら必ずドロップするから拙いな・・・よし、サポートに徹しよう。
それから、しばらく探索した後、ようやく地下8階へ下りる階段を見つける事が出来たので安心する。
「三日月はん、ありがとな」
「いえいえ、じゃ僕はもう少しこの階で狩っときますので皆さんもお気を付けて」
「三日月さん、では18時頃ギルドの前で待ち合わせ良いですか?」
「はい、分かりました」
「では、後ほど宜しくね」
僕は皆にお礼を言われ、別れる事にした。
僕も地下8階へ行くけど、もう少し時間を置いてからまた来ることにする。
「ねえ、彼の事どう思う?」
「なんや、ユウカが相談するのって珍しいやん。まあ、気持ちは分かるけどな~」
「何気なく戦闘してたけど、彼凄く強いわよね?」
「間違いあらへんな、あれは一種の化物やで。ウチラ全員でやっても絶対勝てへんやろ」
「そ、そんなに強いの? あの子?」
「でも初心者装備だし、そんなに強そうに見えないのに」
「彼の動き見てへんかったんか? とんでもないスピードやったで。
あ~んな短いナイフやのに蜘蛛の体ほぼ切断されとったさかいな、ありゃ恐ろしい子やで」
「天才なのか、化物なのか分からないけどね。優しい冒険者って感じだったから良かったじゃない?」
「あはは、ウチもそう思うわ♪ しゃーけど、あの子は敵に回したらあかんで」
「でも、あの子可愛いのよね~♪」
「あっ! ナホ~。私もそう思ってたのに~」
「にひひ、マユは助けて貰ったしね~」
「そだ、私中級毒消しポーション買っとかなきゃね」
「パーティ資金から出すからマユが買わなくてええよ。ついでに非常用としてウチら用に買っとくわ」
「そうね、それが良いわ」
「ありがと~♪ それじゃ後は稼いで帰らないとね」
「そー言うこと!」
◇ ◇ ◇
<ヨウ視点>
ふぅ~、そろそろ、守護さん達も奥へ進んだかな? 僕も地下8階へ行って見よ。
僕は時間潰しのためシャドースパイダーを狩り、結構な数の魔糸玉も集めた。
高く売れるそうだから良い狩場だ♪
地下8階へ下りると守護さん達の気配も感じなかったので、魔物を探して見ると話に聞いた通り芋虫型の魔物で名前がクロウラーって言うらしい。
スキルの様な技能を持っており使われると、メチャクチャ硬くなるらしい。
奇襲攻撃から速攻で倒すのがセオリーらしいので、試しに<気配遮断>を使って見る事にした。
うわ~! 全然気付かれないや・・・
「ズバッ! よし、一撃で倒せる」
一応試しに硬くなった状態も試すため<気配遮断>を使わずに正面に出ると、突然光の膜のような物に包まれた。
「キンッ! うわっ、本当に硬いや」
試しに攻撃してみると、情報通りメチャクチャ硬くなっていた。
でも、僕には<追加攻撃>があるもんね。
「キンッ! キキキンッ! バシッ! バババシッ!!!」
よし、4回ぐらい攻撃したら倒せるみたいだ。
やっぱり<追加攻撃>メチャクチャ便利だ。硬い魔物には無敵だな~
この魔物も糸の様な物をドロップした。
魔物の見た目からしては、とても綺麗な糸だな~。これも高く売れるかもしれない。
僕は守護さん達に出会わないように注意しながら、スキルオーブを持っている個体を探し続けると運良く見つける事が出来た。
自分でも怖いぐらいだ。
ひょっとしたらLUKを上げている効果なのかもしれない。
そう考えると今後も上げない訳にはいかないな。
戦闘はあっさりと終わり、どんなスキルか楽しみに思いつつ確認すると<追加防御>のスキルらしい。
スキルに悪い物は無さそうなので躊躇なく習得してみる。
<追加防御>を発動してみると、魔物のように薄い膜が形成され直ぐに見えなくなった。
試しに小さな石ころを頭上に投げてみるが自分の肩に当たるだけだった。
今度はソフトボールぐらいある石を頭上へ投げてみると、僕に当たる前にゴツッっと言う音と共に何かに弾かれて僕には当たらなかった。
おお~! これって、僕にダメージがあるような攻撃を自動で弾いてくれるんだ。
これは僕の大切な人達にも使って欲しいスキルだな。
よし! これも頑張って集めよう。
僕は守護さん達に会わないように引き返し、転送クリスタルから地下2階へ行き、約束の時間になるまでSPオーブを集めつつスキルオーブも探しまくった。
人気のない階層だと言う事もあり<追加攻撃><敏捷強化>をゲットした。
そして、また<鑑定>スキルを取得出来たのでストックしておくことにした。
こんな高額スキルをポンポン出して良いのかな・・・
まあ、あって困る物でもないし、1日に1個しか取れないからね。
そろそろ守護さんとの約束の時間も近づいてきたので、ダンジョンを出てリラさんに外食してくる連絡を入れて、待ち合わせの場所へ向かう事にした。
もちろん、装備類は<虚空界>に収納しておいた。
汗臭くないか気になったが、まあ大丈夫だと思う。
待ち合わせ場所へ行くと、既に守護さん達が待っていてくれたので声を掛ける。
「すみません、お待たせしました」
「いやいや、まだ約束の時間前やで」
「そうですよ、私達が少し早く着きすぎました。さあ、行きましょうか」
「はい」
守護さん達と一緒に向かったのは居酒屋さんだったけど、ちゃんと個室になっており、騒がしいお店なので情報交換するには良い所かもしれない。
皆高校を卒業したばかりで、僕と同じ18才だと思うのだが、当然のように皆ビールを注文したので僕もビールにし乾杯することになった。