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第143話 北海道からお客さんが来られましたよ

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。

誤字報告も助かってます。


 <館元視点>


「実際の販売価格は、お幾らぐらいでしょうか?」


「はい、1本1万円で考えておりますが、最初の一か月は7000円で販売しようと思ってます」


「卸値は1000円安くしますので、利益の方は1本売っていただければ1000円の儲けになりますね」


「利益まで頂けるのですか? 条件が良すぎるような気がするのですが」


「私もそう思いますが、三日月曰く『お酒は綺麗な女性と飲むのが、最高に美味しい』っと言ってましたから、ホステスさん達の味方をしたいのでしょう」


「私達の業界だけで販売するのなら、それだけでも集客効果は、計りしれないと言うのに・・・」


「店の価格によってポーションの分配を決めるのが、難しくなるかもしれませんがお任せしても?」


「分かりました。割合の方は各方面と相談して決めさせていただきますわ」


「ところで・・・何時頃、本物のビューティポーションを頂けるのでしょうか?」


「あはは、やはり待ち遠しいですか?」


「もちろんですわ。今日から夜も寝れないかもしれないぐらいです」


「ママさんは、三日月にかなり信用されているのでしょうね、預かってきましたよ。これが、本物のビューティポーションです!」


「な、なんですって? 今、頂けるのですか?」


「あはは、どうぞ♪」


「ウフフ、三日月様には驚かされてばかりですわ♪」


「全くですよ、私達もどれだけ驚かされた事か・・・」


「私もそのポーションの効果には、心臓が止まりそうな程、驚いたんですよ?」


「今から飲まれますか? 宜しければ<クリーン>もお掛けしますよ?」


 ゴクッ! 「もちろん、飲ませていただきますわ。怖くて持ち運べそうもありませんもの」


「ウフフ、分かります♪」



 ママさんは、少し手が震えながらもポーションを飲み干し、恍惚とした表情をしていた。


 効果を分かりやすくするためにトリコが<クリーン>の魔法を掛け終わると、見違える程美しくなったママさんが目の前にいた。


 元々綺麗な女性だったけど、磨きが掛かったどころじゃないなこれは・・・



「す、素晴らしい・・・鏡を見なくても分かる程の肌の質感、まるで生まれ変わったようですわ♪」


「あはは、では販売用のポーションも100本程置いていきますね、鑑定書もお持ちしました」


「ウフフ、流石三日月様の関係者ですね、何とも手際の宜しいこと♪」


「それに本物とは違って、販売用のポーションは綺麗な容器に入ってますね」


「美を売るのですから、高級感は必須と思いましてね」


「ウフフ、良いですね。女性は高級感に弱いですから。さあ、これから忙しくなりそうですわ」


「私達も明日の朝には、大阪に帰って仕事ですよ」


「それから、三日月様からお金をお預かりしているのですが、経費もそんなに掛かりそうにありませんので、全額お返しするとお伝え願えますか?」


「あはは、三日月の方から、もし預けているお金の事を聞かれたら、人件費として使う様に伝えて下さいと言ってましたね」


「ウフフ、ひょっとして試されたのでしょうか?」


「あはは、ママさんは信頼のおける人ってのが、俺にも分かりましたよ」


「ウフフ、ありがとうございます。この御恩忘れませんとお伝えください」


「分かりました。では、私達も失礼します」



 フゥー、ようやく今日の大仕事も終わったかな。しかし、流石に銀座でも有名なママさんだったな。


 何時か仕事抜きで飲みに来たいもんだ。



「あ~ 先輩。また、ママさんと会いたいと思ってるでしょ?」


「・・・トリコ。綺麗になってから勘も鋭くなったんじゃないか?」


「やっぱり~ その綺麗な女性の前で失礼ですよ?」


「しょうがない奴だな、飲みに連れて行ってやるから勘弁しろよな」


「へええ~ 珍し~ 先輩の奢りですよ?」


「へーへー、自腹なんだから手加減しろよ?」


「そんなところは律儀なんだから先輩は、でも安い店でも我慢しますって♪」


「こ、こらっ! 抱き着くなって、今のお前はヤバいって言ってるだろ?」


「そこは、素直に喜ぶとこじゃないんですか、先輩?」


「・・・ここなら誰にも会わないし、素直に胸の感触を楽しんでおくか」


「もう、今度は素直すぎますぅ~ 1ポヨン100円ですよ?」


「店に着くまでに金が無くなるだろうが?」


「どれだけ、楽しむつもりなんですかー!」


       ◇     ◇     ◇

 <ヨウ視点>


 僕達は、ここ3日間ビューティポーションとスタミナポーションの材料集めに勤しみ、2~3年分の素材を確保しておいた。


 サラリーマンさんが段取りしてくれた工場での生産も順調に進み、いよいよ販売が開始されることになった。


 お陰でスズカさんやシノママは大忙しだったみたいだけど、サンプルを提供した女性達には、メチャクチャ喜ばれたみたいだ。


 宣伝にはテレビで有名な芸能人の女性にCMに出て貰ったが、販売先は意図して伏せていたので、問い合わせの電話が殺到したらしい。


 そして、いよいよ明日から販売開始となった。


 本日、初めて販売先の発表をすると、ニュースになるほどの反響があったようだ。


 販売元は敢えて伏せたのに、直ぐに拡散されたようだ。



「うわ~ 凄いニュースになってるわね。スズカちゃん達大変だ」


「あはは、さっき電話が掛かって来たけど、お店の方にも問い合わせの電話が殺到してるらしいよ」


「CMに出てくれた芸能人の女性も驚いていたから、芸能人からも注文が殺到するかもね」


「んふふ、でも販売先は高級クラブかスナック、キャバレーだもんね、男性に頼んで買ってきて貰うしかないんじゃないかな?」


「どう考えても、まとめ買いは出来ないから、男性達も堂々と飲みに行けるようになるんじゃない?」


「あはは、ホストクラブとかから注文が来たりして?」


「ん~ そっちは考えていませんね。他の男性と同じ様に、お店に行って買って貰いましょう」


「セツナも生産、お疲れ様♪」


「流石に疲れたよ~ 肩凝っちゃった」


「僕、肩揉んで上げますね」


「えっ? 魅力的な提案なんだけど、ちょっと勇気がいると言うか・・・」


「遠慮しなくても良いですよ? 凝ってるのは此処かな?」


「んあっ! んんっ、待って! あっ! くたっ」


「気持ち良いですか? あれっ、寝ちゃったか」


「もう、ヨウ君。メイドさん達も居るんだから駄目よ?」


「僕、肩揉みしてただけですよ?」


「それでも駄目よ! 個室でやって上げてね。見てる方が照れちゃうわ」


「相変わらず、凄まじいわね?」


「僕、肩どころか腕でも自信無いよ?」


「慣れてる筈の私達でも、それですからね~ ヨウ様の手は女性には凶器です♪」


「ごめんねカンナさん、驚いちゃった?」


「い、いえ、でも三日月様が女性に好かれるのか、また一つ分かったような気がします」


「うふふ、まだまだあるんだけどね♪ あんまり知っちゃうとカンナさんも惚れちゃうかもよ?」


「そうでしょうか? 私は唯のメイドですから」


「そのうち、分かるわ♪」



 そして、販売日から3日経ち、比較的価格の安いお店に多めに卸したビューティポーションは早々に売り切れ、高級クラブにも客足が増えているようだ。


 まだまだ在庫はあるんだけど、品薄状態の方が宣伝にもなって良いらしい。


 しばらくは様子見で、1日の販売量を調整しながら決めていくようだ。


 サラリーマンさんも中々優秀な方で、内方社長と相談しながら20社ある支店を上手く切り盛りしているらしい。


 僕の希望通りサラリーマンさんは僕の専任になった。


 今後、新しい商品を開発しても、非常に販売し易くなるだろう。


 ミナミさんに頼んでいた、ギルドのオークションへ出品する武器防具は、厳選して販売することに決めた。


 アダマンタイト製の武器ほど、飛びぬけてはいない物ばかりだが、そちらの売上も相当な金額になっている。


 スキルオーブや魔法スクロールもオークションへ出しているので、お金が増えていく一方だ。


 今度のクレセント本部で景気良く使う予定だけど、もう少し予算を増やしても良いかもしれない。


 シオさんのお店も改装工事が順調に進んでいるので、完成の時が非常に楽しみだ♪


 コトエちゃん達も、毎日ヒメさんに素材を提供してくれており、順風満帆な生活を送っている様だ。


 こうして、充実した毎日が続いている今日この頃、北海道の荻田さんから連絡が入った。


 エリクサーで治った奥さんとの生活も落ち着いて来て、大阪へお礼を言いに来てくれるらしい。


 もちろん、断ったんだけど断り切れず、明日の飛行機で到着するそうなので皆で迎えに行く事にした。


 昼頃、到着予定と言う事なので、午前中はダンジョンに行く事にすると、皆は苦笑していた。


 こうして、翌日、楽しいダンジョン探索に行った後、空港まで荻田さんを迎えに行きゲートの前で待機している。


 相変わらずアヤメさん達は目立つので注目を集めまくっているが、最近これも優越感があり気持ちが良いと感じる様になってきた。


 荻田さんは時間通りゲートから出てきて、綺麗な女性と大きな荷物を持っていた。


 おそらく、あの人が奥さんなのだろう。遠目から見ても幸せそうな御夫婦だ。



「荻田さ~ん、こっちですよ~」


「おお、三日月君。迎えに来てくれたのですか」


「そちらが奥さんですか? 治って良かったですね」


「はい、妻の荻田蓮おぎた れんと申します。此度は、誠にありがとうございました。お陰様で、元気になる事が出来ました」


「本当にありがとう、これも全て三日月君のお陰だよ」



 荻田夫妻は、深々と頭を下げ丁寧なお辞儀をしてくれた。



「いえいえ、頭を上げて下さい。たまたま運が良かっただけですよ、とりあえず僕の家に来てください」


「ありがとうございます、お言葉に甘えさせていただきます」



 荻田夫妻の大きな荷物を転がしながら、ツドイさんに車を出して貰い自宅へ行く事にした。


 何時もながら高級車の広さと豪華さに、驚く二人を見ているのは楽しかった。


 世間話をしながら自宅マンションへ着くと、早速エレベーターで部屋に来て貰う事にした。



「お帰りなさいませ、御主人様」


「ただいま~♪」


「「・・・・・・・」」


「さっ、ソファーへどうぞ」


「「は、はい」」



 荻田夫妻は緊張しているのか、辺りをキョロキョロと見まわし、落ち着きのない様子だった。



「飲み物はコーヒーか紅茶、どちらが良いですか?」


「で、ではコーヒーで」


「わ、私もコーヒーでお願いします」


「畏まりました」


「・・・アナタと同じ、新人冒険者なのよね?」


「あ、ああ、間違いないと思うのだが」


「んふふ、間違いないわよ?」


「し、しかし、なんと豪勢な生活ですね、先程から驚いてばかりです」


「フフ、此処に来られた方は、皆さん驚きます」


「そうでしょうね。ですが、納得がいきましたよ」


「何を納得したんですか?」


「三日月君から頂いたポーションは、やはり普通のポーションではなかったんですね?」


「・・・・・・・」


「いや、返答しなくても結構です。私達は深く深く感謝することしか出来ませんので。せめてものお礼と思い、三日月君が言っていた北海道のダンジョンで採れる食材をお持ちしました」


「うわ~ それは嬉しいですね♪」


「魚介類は郵送することにしたのですが、トウモロコシやジャガイモ、変わった物でハスカップ・シーベリー・スグリ・サクランボ等のフルーツを持ってきました」


「サクランボ以外は、知らないフルーツですね?」


「あまり馴染みが無いかもしれませんね、生のままでは食べにくいですがジャムにすると美味しいんです」


「フルーツ、嬉しい~♪」


「あはは、喜んで貰えて嬉しいです。もちろん、こんな事で恩返しになるとは思っていません。そこで、妻と相談したところ、私達はダンジョン食材ハンターになる事にしました」


「えっ? 以前のパーティはどうしたんですか?」


「事情を説明して、解散することになりました」


「・・・せっかく治った奥さんまで、危険な冒険者になっても良いのですか?」


「はい、私もこれから、夫にずっと着いて行こうと思います」


「う~ん、ちょっと賛成し辛いとこですね・・・」



 僕が頼んでいた食材のために、奥さんまで冒険者になるのはどうかと考えていると、誰からか電話が掛かって来た。



「すみません。電話に出させて貰いますね」


「はい、ゆっくりと話して下さい」


「ありがとうございます」



 こうして電話に出ると、相手はクラン『メイデンガーデン』の一員である川宮さんだった。


 以前、僕の事を気に掛けてくれ、弱そうだからと鍛えてくれようとした女性だ。



「もしもし、三日月です」


「ヨウ君、助けて!」


「えっ? どうしたんですか?」


「今、他所のクランが殴り込みを掛けてきて模擬戦で勝負することになったんだけど、彼奴等卑怯なの。負けそうだからって銃まで使ってリンさんが撃たれちゃって、お願いヨウ君助けて! レンカさんも危ないの」


「分かりました。直ぐに行きますから」


「ごめんね、こんな事ヨウ君にしか頼めなくて・・・」


「良いですよ、直ぐに行きますから、怪我しないように守っておいて下さいね」


「あ、ありがとう」



 僕は電話を切り、アヤメさん達に事情を説明した。



「どこのどいつかしら、叩きのめしてやるわ」


「荻田さん、すみません。急用が出来たので、少し此処で待っていて下さい」


「はい、行って下さい」



 僕達は最初飛んで行こうとしたが、あまりにも早く付き過ぎると、言い訳が出来なくなるので走って行く事にした。


 それでも、結構場所が近い事もあり5分程で到着し、メイデンガーデン本部の中へ入って行った。


 <気配感知>で確認すると、直ぐに発見する事ができた。



「居た! 以前行った練習場に居るみたいです」


「行きましょう」



 練習場へ着くと、怪我をしている女性が多数おり、リンさんとレンカさんも怪我をしているようだった。


 しかも、リンさんは肩に銃痕のような怪我までしていたが、全員死ぬような怪我はしていなかったので安心した。



「僕、リンさんを治します」


「分かったわ。私達も分かれて治療していくわね」


「リンさん大丈夫ですか? 直ぐ治しちゃいますね」


「み、三日月さん、どうして此処に?」


「ジッとしといて下さいね、川宮さんから電話を貰って直ぐに掛け付けました」


「そうなんだ。ごめんね、迷惑掛けちゃって・・・」



 僕はリンさんに回復魔法を掛けて、傷跡も残らない様に完璧に治療しておいた。



「良し、治りましたよ痛くないですか?」


「・・・相変わらず凄い魔法ね? 大丈夫。どこも痛くないわ、ありがとう」


「こっちも終わったわよ、酷い事する奴がいるのね」


「レンカさんも大丈夫ですか?」


「はい、ありがとうございました。お陰で助かりました」


「いえいえ、一体どうしたんですか?」


「私達とは敵対してるクランなんだけど、道場破りの様に乗り込んで来たのよ」


「道場破りって、唯の犯罪じゃないの?」


「そうね、でも冒険者って好戦的な人が多いから、そう言うのも無い事は無いのよ」


「でも、彼奴等卑怯過ぎますよ、リンさんに負けそうになったからって、銃まで使ったんですよ?」


 ピキッ! 「女性相手に銃ですか?」


「私も大人しくしたら良かったんだけど、ムキになっちゃって銃を叩き落としてやろうと思ったら、撃たれちゃって・・・」


「リンさんを庇いに入ったリーダーまで、滅多打ちにされたんです。私どうして良いか分からなくて、ヨウ君に・・・」


 ピキッ! ピキキ! 「分かりました。そいつらの居場所って分かりますか?」


 ゾクッ! 「わ、私知ってる。『デスロール』って言うクランよ」


「川宮さん。案内して貰っても良いですか?」


「ま、待って三日月さん。何をする気? 私達の事は良いのよ」


「そうです、怒ってくれるのは嬉しいけど私達の問題だから」


「流石に銃まで使われたんだから、冒険者同士のイザコザでも警察に頼めると思うし?」


「あはは、勘違いしてますよ? 僕はちょっと道場破りみたいな事をしてこようかなと思ってるだけですから」


「うふふ、私達の友達に手を出したんだもんね、キッチリとお礼だけはして上げないと♪」



 僕達は少し怒気が漏れていたのか、その場に居たメイデンガーデンの人達は大量の汗を掻き、青褪めていた。



「じゃ、川宮さん行きましょうか」


「は、はい」


「フフ、怖がらなくても大丈夫ですよ?」


「待って下さい。サワはまだ新人なんだ、案内には私とリンで行こう」


「そうね、サワは此処に残っておいて」


「わ、分かりました。でも、気を付けて下さいね」


「あはは、大丈夫ですよ? 唯の模擬戦ですから」



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