第134話 リジェネポーションのお披露目ですね
評価やブックマークを付けて下さった方、ありがとうございます。
まるで桃源郷のような温泉から部屋に戻り、皆でお酒を楽しんだ後、個室に行く事になった。
段々と僕のベッドは大型に変更していき、現在では30人程一緒に寝れるぐらい大きくなっている。
こうやって客観的にみると、少し恥ずかしいんだけど、今こうやって皆で寝転がってみると大きくして良かったと思う。
「わわっ! 凄い光景ですぅ~」
「あはは、初めて見たら驚いちゃうよね」
「チュ! えっ! ナ、ナギサさんにキスされちゃった・・・」
「んふふ、ヒメちゃん可愛い~♪」
「最初はツドイがやりだしたんだけど、ヨウ君って女性同士でキスしたら喜んでくれるから、何か流行っちゃったんだよね」
「今では、普通に皆でキスしちゃってたりして」
「そうなんですか?」
「嫌ならやんないけど?」
「別に嫌じゃないです・・・あはは、何言ってるんだろ」
「じゃ、僕もしちゃおっと♪」
「んっ!」
「えへへ、私達も久しぶりにキスしちゃおっか、ルル」
「もう、そんな事言うたらあかんて、ミミ~」
「チュ! も、もう~」
人数が多いせいか、最近は凄いキス合戦になり僕としては嬉しい限りです。
アヤメさんはスズカさんとキスしてるし、リラさんとノノさんとの姉妹キスは見てて、とっても危険です・・・
僕も今日は獣になっちゃうのは仕方ないよね?
温泉の桃源郷からベッドの桃源郷へと、極楽気分になっていたせいか、頑張り過ぎて何時の間にか眠りに落ちてしまった。
翌朝、目が覚めてキョロキョロしていると、何人か既に起きており少し照れているようだ。
「おはよ、ヨウ君」
「おはよ、アヤメさん」
「そんな姿で覆い被されたら、僕元気になっちゃいますよ?」
「もう、呆れた体力ね~ これで許して♪」
アヤメさんは、僕に優しくキスをしてくれたので、僕も堪らず抱き締めてしまう。
「こ、こらっ! 恥ずかしいでしょ~ 皆に目覚めのキスしてこなきゃ?」
「了解です」
最近は目覚めてからキスをするのも定番になってきているので、順番にキスをして起こしていった。
キスしながら少しだけ悪戯し、エッチと言われつつ幸せな時間を過ごしていく。
全員起きたので、皆と楽しく会話しながら朝食を作り、食べるときにメイドさんの事を思い出した。
「そういえばリラさん、メイドさんの顔合わせするなら皆にも居て貰います?」
「お時間が許すのであれば、お願いしたいところですね」
「8時やろ? ウチ等は大丈夫やで」
「私も少し遅れるって、電話入れておけば大丈夫です」
「そっか、職人さん達はお店があるもんね」
「職人さん達は、次回に紹介させていただいても宜しいかと」
「そですね、じゃ、ヒメさんもお店に行ってください。また、今度紹介しますから」
「分かりました。ありがとうございます」
「じゃ、俺も帰って仕事するかな」
「私も料理の仕込みしなきゃ」
「では、私も会社に戻りますわ」
「私も研究・・・」
「フフ、研究は後でも良いですよね。セツナさん?」
「はい、分かりましたー」
「私も夜からだから大丈夫ですよ」
「じゃ、残った人だけ紹介して、僕達もダンジョンに行きましょうか」
「そうね、そうしよっか。ヨウ君、プチ威圧忘れない様にね」
「そっか、了解です!」
僕達もメイドさん達を楽しみにしながら時間を過ごし、そろそろリラさんがメイドさん達を呼びにいくそうだ。
「では、呼んで参りますので、お待ち下さいませ」
「はい」
メイドさん達と会うので、部屋着から何時もの冒険服に着替え、ソファーで待つことにした。
◇ ◇ ◇
<リラ視点>
メイドの待機室に向かいドアを開けるとメイド達は、昨日と同じ様に見事に整列して待っていてくれていた。
「おはようございます」×全員
「おはようございます。今朝も見事な整列ですね」
「ありがとうございます」
「では、今からヨウ様と同居している女性達に、皆さんを紹介致しますね。秘密厳守の方は守ってくれてますか?」
「はい」×全員
「フフ、本当に守って下さっているのですね、ありがとうございます」
「それでは行きましょうか、着いて来て下さい」
私はメイド達を連れて再びエレベーターへ乗り、ヨウ様の部屋に入るとメイド達は部屋の豪華さに驚いているようですね。
メイド長である高真紀神流さんが、テキパキとメイド達を整列させてくれる。
優秀な方が来てくれて嬉しいところです。昨日から見ていましたが言動から仕草まで見事ですね。
「ヨウ様、準備が整いましたので、メイド達に挨拶をお願い致します」
「リラさん、ご苦労様です」
ヨウ様はソファーから立ち上がると同時にお願いした通り、<威圧>スキルを少しだけ解放してくれたようです。
少しだけ<威圧>スキルが強すぎたのか、メイド達は額に汗を掻いているようですね。
それでも狼狽えない所が、優秀と言って良いでしょう。
「このお方が皆さんが仕えていただく三日月陽様です、御挨拶を」
「はい、私はメイド長を任されました高真紀神流です。これから宜しくお願い致します」
「宜しくお願い致します」×メイド全員
「僕は冒険者をやっている三日月陽です。ヨウと呼んで下さい。
こんなにも美しい女性達が来てくれた事は、嬉しい限りですね。
ん? なるほど。
どうやら全員が過去に病気や怪我で、大きな手術をされているようですね。
リラさん、彼女達にリジェネポーションの使用を許可します」
「フフ、ありがとうございます」
「そう言う事でしたら仕事は明日からお願いしましょうか。
今日は、体を馴染ます事に専念して上げて下さい。
彼女達に十分な説明を、それから此処で働くなら、更に綺麗にして上げたいですね」
「畏まりました」
「では皆さん、明日から宜しくお願いします」
「はい、宜しくお願いします」×メイド全員
ヨウ様は、この場に居る全員に挨拶をしていき、メイドさん達の紹介も終わったので、部屋に戻り説明することにしましょう。
フフ、流石ヨウ様です。一目で私の考えを理解してくれたのが嬉しいですね♪
私からリジェネポーションの事を言うつもりでしたが、杞憂に終わりましたか。
「それではヨウ様、メイドの待機室で説明して参ります」
「ゆっくりで、良いですよ?」
「ありがとうございます」
私はメイド達を連れて待機室へ戻り、ソファーに座りながら説明することにした。
「フフ、疲れましたか?」
「・・・正直に言うと、かなり疲れました。緊張で汗が止まりません。ヨウ様は、冒険者と言っておりましたが、いったい・・・」
「簡単に説明しますとヨウ様は、日本で2人目のSランク冒険者です」
フフ、やはり驚いているようですね、ここで私語をしないのも評価が高いですね。
「・・・お若いのに凄い方だったのですね、納得しました」
「少し話をしますので、飲み物でも出しましょうジュースですが、良かったらどうぞ」
私は<虚空界>からストックしておいた、喫茶店で出てくるようなジュースを20杯テーブルに出した。
「い、一体どこから、お出しになったのですか?」
「フフ、手品だと思っておいてくれたら良いですよ♪
では、時間もあまりありませんので説明致します。
ヨウ様が皆さんに、リジェネポーションの使用を許可して下さいました。
まず、これの説明を致しますね。
リジェネポーションとは、私達が開発した欠損部位再生ポーションです」
「ええっ!」×全員
フフ、流石に声が出ましたか、これは仕方ありませんね。
「ま、まさか、本当に言葉通りの効果があるのでしょうか?」
「もちろんです。ですが、市場にも出ていないので信じられないのは当たり前です。
これを飲めば、失った四肢や臓器に至るまで、完全に再生することが出来ます。
1本ずつ渡していきますので、どうぞお試しを」
私は言葉通り1本ずつ彼女達に手渡していくと、各自手に持ちながら不思議そうにポーションを見つめているようですね。
「フフ、心配しなくても、副作用などありませんよ」
「あ、あの、どうしてヨウ様は、私が手術で臓器を失っている事が分かったのでしょうか?
私の他にも見た目では分からない人が、何人もいるのですが・・・」
「ヨウ様の能力だと答えておきましょう」
「そんな重要な事を、私達に伝えても良いのでしょうか?」
「フフ、貴女達が今持っているポーションも、本来なら極秘なんですよ?」
「それは分かりますが・・・」
「私達が守秘義務を重視しているのが、理解出来たと思います。
高真紀さん、貴女は守秘義務があると言うだけで、人は確実に秘密を守ってくれると思いますか?」
「・・・いいえ、思いません」
「それが一般的な考えだと思います。ですから、私は守秘義務の事を詳しく説明し、それに対する報酬を出来る限りしたいと思っております。
もし・・・もしですよ、そこまでして裏切られたのなら、その人に対して何の遠慮もなく、潰しに行けると思いませんか?
フフ、それが組織なのか国なのかは分かりませんが、私達を敵に回せば後悔するのだけは間違いないでしょう。
ポーションは飲まないのですか? もう二度と手に入らないと思いますよ?」
「い、頂きます」×全員
メイド達は、リジェネポーションを恐る恐る飲み干してくれました。
すると、失った四肢が徐々に再生されだし、慌てて義手や義足を外して様子を伺っているようですね。
2~3分経ったでしょうか、失った四肢は完全に再生し、自由に動かせる事に驚き、涙を流しながら喜んでくれているようです。
「こ、こんなことって・・・」
「奇跡だわ・・・これは、ひょっとしてエリクサーなのでは?」
「いいえ、これはエリクサーのように怪我や病気は治せないのです、ですから手術痕や癒着はそのままだと思います。
ですが、それすらもヨウ様でしたら完全に治してくれますから、楽しみにしてて下さい」
「手術痕まで治せるのですか?」
「フフ、私の体を見せましょうか? 蚊に刺された痕すらありませんよ。
ヨウ様は皆さんに、今日は再生した体が馴染むよう休養して貰うようおっしゃっておりましたから、また明日同じ時間に迎えに来ますね」
「分かりました。ありがとうございます」
「あの、私からも本当にありがとうございました」
「わ、私も、ありがとう、本当にありがとうございました」
フフ、彼女達は次々と心のこもったお礼を言ってくれたので、私も嬉しい気持ちになりますね。
今日伝えるべき事は伝えたので、私は待機室を後にし部屋に戻ることにした。
「・・・彼女がコンシェルジュを辞めて、ヨウ様に仕えているのが分かったような気がします」
「私達は、とんでもない所へ、就職したのかもしれませんね?」
「最初にヨウ様を見た時は、何故か汗が止まらず手足が震えましたけど、Sランク冒険者とは神のような力があるのでしょうか?」
「いえ、おそらくヨウ様が特別なのではないでしょうか?」
「私もそう思います」
「私は怪我のために長く苦しんできました。ですから、今嬉しくてたまりません。これから精一杯恩返しして行こうと思います」
「今思えば、最初は不思議でしたが、彼女は私達の怪我を治すのを見越して雇って下さったのですね」
「そうですね・・・何故怪我をしている私達が選ばれたのか理解しました。裏切るような事があれば間違いなく終わりですね」
「しかし、組織どころか国でさえも、潰せる力が本当にあるのでしょうか?」
「私なら、彼女とは絶対に敵対したくないね、誰よりも危険だわ。自殺の方がマシかもね」
「それにしてもリラさんもそうですが、ヨウ様と一緒にいた女性達も信じられない様な美人で驚きました」
「世の中に、あんな美人が居るんですね・・・」
「各自色々と思うところはあると思いますが、今日は指示されたどうり体を馴染ませることに専念しましょうか。
皆さんも何か意見や質問があれば、私がまとめますので教えて下さい。
明日の為にも頑張りましょう」
「はい」×全員
◇ ◇ ◇
「ヨウ様、ありがとうございました。メイド達は全員、心からお礼を言って下さいました」
「分かりました。良かったです、今日ダンジョンから帰ったらビューティーポーションも飲んで貰って、手術痕も消しちゃいますね」
「フフ、はい。メイド達も喜んでくれると思います」
「なるほどね、リラがどうして彼女達を選んだのか分かったわ」
「ここまでしたら、普通裏切れないもんね?」
「フフ、彼女達を選んだのはノノですよ」
「そうなんだ?」
「あ~ 実はそうなんですよ、彼女達を見てたら昔の自分を思い出しちゃって・・・すみません。ヨウ様」
「謝る事なんてないですよ? 僕も出来たら怪我や病気で困ってる人を治して上げたいけど、人類全員なんて無理ですから、せめて身直に居る人ぐらい治して上げたいですからね」
「んふふ、ヨウ様なら、そう言ってくれると思いました♪」
「あはは、じゃ、ダンジョンに行きましょうか」
「「「「「はい♪」」」」」
中央区本町上級ダンジョンはコトエさん達に譲り、僕達は以前よく行っていた不人気の西区北堀江中級ダンジョンへ行く事にした。
このダンジョンはリジェネポーションの材料であるトロルキングの舌がドロップするから是非、入手しておきたいので丁度良い。
「ヨウはん。ウチ等に譲ってもうてええんか?」
「はい、コトエさん達は、是非<激運>スキルを試して見て下さい」
「せや、忘れとった・・・楽しみすぎるやないの♪」
「もう、コトエ大事な事忘れてちゃ駄目でしょ?」
「あはは、でもボス戦はやっちゃ駄目ですよ、レアボス出るかもしれませんから」
「あ~ <激運>スキルって、そっちの運も上がっちゃうんか」
「たぶんなんですけど、LUKの数値も関係あると思いますね」
「最近、私達のボス戦ってレアボスばかりだもんね」
「・・・なんか納得やわ、ウチ等やったら死んでまうやん」
「もうコトエ、不吉なこと言わないでよ~」
「冗談やマユ、ほな行こか」
僕達はコトエさん達と別れ、久しぶりに以前良く通っていた西区北堀江中級ダンジョンに訪れた。
久しぶりに来たにも関わらず僕達の事を覚えているのか、冒険者達が一斉に僕達と距離を置く。
この光景にも慣れているので、気にせずに通り過ぎダンジョンの中へ入った。
「ひ、久しぶりに来やがった」
「フ~ 焦ったぜ、あの少年も何か貫禄みたいなものが付いて来たよな」
「ああ、女性達も以前より美人になってる気がするし・・・」
「まあ、あの美しさも危険な罠にしか見えないんだがな」
「そう言うこった、君子じゃねえけど危うきには近寄らずだ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
もう僕達には中級ダンジョンは散歩コースのようになっているので、宝箱を探しながらサクサクと進んで行き、あっと言う間に地下20階のボス部屋に辿り着いた。
まるで玄関の扉を潜る様にボス部屋に入ると、そこにはやはりレアボスが佇んでいた。
「へえ~ 赤いトロルなんだ」
「やっぱりレアボス出るんだよね~ レッドキングトロルって言うらしいわよ」
「ねーねー、私がやっちゃって良いかな?」
「珍しいじゃない、ナギサが戦いたいなんて」
「ちょっと、やってみたい事があるのよ」
「なるほど、じゃ、お手並み拝見しちゃおっかな」
「そう言われると、ちょっと恥ずかしいけど、まっ見てて♪」
ナギサさんは、そう言うと重むろに弓を構えた。
すると、ナギサさんの頭上に、魔法で生成された矢が無数に表れた。
「よおっし、いっくよぉ~」
「も~り~も~り~アロー♪」
「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!」
ナギサさんが弓を放つと、頭上に浮かんだ魔法の矢が次々とレッドキングトロルに襲い掛かり、驚く事にそれが約10秒間ほど続いた。
1本1本の威力も凄まじく、レッドキングトロルの凄まじい回復力を上回り、10秒後には跡形も無く消え去っていた。
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
「えへへ♪ どうどう?」
「どうどう? じゃないわよ、何なのよそのフザケタ名前と威力は?」
「もうアヤメ酷いわね。可愛いネーミングでしょ?」
「<精神強化>スキルを重ね掛けしたら、こんなにも大量の矢がコントロール出来る様になったんだよね~
全弾に重ね掛けした<追加攻撃>も入ってるから、いくら<超回復>があっても耐えられないでしょ?」
「そっか<精神強化>ってそんな効果もあったんですね、凄かったです。ナギサさん」
「褒められると嬉しかったりして♪」
「あっ! ちゃんと目当ての、舌がドロップしてるけど赤い舌なんだ、宝箱はハイエーテルで黒宝箱は・・・」
「へえ~ 珍しく武器が入ってたけどヒールダガーって、これ意味無くない?」
「えっと、これで切った物は同時に回復するのか・・・本当に意味が無さそうですね」
「拷問用に使えそう?」
「怖い事言わないでよ、ツドイ」




