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第128話 冒険者クランを見学しちゃいました


 翌朝、目が覚めてから、久しぶりに母さんの朝食を食べて、改めてその美味しさに感動する。



「んふふ、ヨウ君美味しそうね。やっぱりおふくろの味って感じかな?」


「はい、美味しいです。実家に帰って来たっていう実感が湧きますね」


「ウフフ、ヨウ君に褒められると、母さんも嬉しいわ♪」


「フフ、ちゃんと作り方を聞いておきますね。ヨウ様」


「ありがとう。リラさん」


「父さんと母さんも、一度大阪に遊びに来てね、観光案内ぐらい出来る様にしておくよ」


「んふふ、ヨウ君だとダンジョンの観光案内になっちゃうもんね」


「いくら僕でも、両親をダンジョンに連れてったりしませんよ~」


「ウフフ、ヒカリがダンジョンに入れるようになったら、母さんも行っちゃおうかな?」


「やた~ ヒカリもダンジョンへ行って見たかったんだ」


「えっ? 母さん本気?」


「ウフフ、もちろんですよ」


「・・・それまでには僕ももっと強くなっとくよ、ヒカリに負けてちゃ恰好付かないからな」


「うわ~ 私達も頑張らないとね」


「「「「もちろん♪」」」」


「ウフフ、ヨウ君。モテモテね」


「えっ? なんでかな?」


「何でも無いわ」


「ヨウ、お嬢さん達を大事にするんだぞ、父さんも大阪に遊びに行くからな」


「もちろんだよ父さん。待ってるからね」


「ああ」


「あっ! そうだ、父さん達ってギルドカードが無いから現金で置いていくけど、無駄遣いしないようにね」


「こらこら、子供じゃないんだぞ、いくらなん・・・」



 ドサッ! ドサドサドサッ! 



「・・・ヨ、ヨウ君?」


「とりあえず、少ないと思うけど10億円程置いとくね」


「「「・・・・・・・・」」」


「・・・ちょっと、仕事へ行くのが嫌になってきたな」


「ウフフ、駄目ですよ。パパ?」


「お、お兄ちゃん。多すぎるよぉ~」


「ヒカリ、お兄ちゃんも働いてるんだから、ちゃんと親孝行しないといけないんだぞ?」


「だって、宝くじの1等と同じなんだよぉ~」


「ヒカリ。都会ならこの程度のお金じゃ、良いとこにも住めないんだぞ? お兄ちゃんの部屋でも100億円ぐらいするんだからな」


「お兄ちゃんの部屋は、凄すぎるんだよぉ~」


「・・・ヒカリ、そんなにヨウの部屋って凄いのか?」


「あそこは別世界だよぉ~ 帰りたくなくなるんだよぉ?」


「ウフフ、ヨウ君遊びに行くのを、楽しみにしとくわね♪」


「うん、待ってるよ母さん」



 少し名残は惜しいけど、そろそろ大阪に帰る事にした。


 実家の建て替えの話も大体決まり、3~4ヶ月で完成するそうだ。


 リラさんが仮家も用意してくれており、そこも豪邸だったのでヒカリが喜んでいた。


 ようやく、少しだけ親孝行が出来たような気がするので、僕も嬉しい限りだった。


 アヤメさん達に僕の生まれ育った場所を見て貰おうかとも思ったけど、本当に何も無い所なので諦めて帰る事にした。



「どうするヨウ君、真っすぐ帰る?」


「ん~ まだ午前中ですから、久しぶりに大阪の上級ダンジョンにでも行って良いですか?」


「あはは、そう言うと思ったわ」


「本当にダンジョン好きね、ヨウ君」


「フフ、<発見>スキルがありますから、新たな発見があるかもしれませんよ」


「そうですね、じゃ、飛んで帰りましょうか」


「あっ! ツドイさん、ドライブしたかったかな?」


「良いよ。僕、飛ぶのも好きだからね」


「すみません、じゃ、行きましょうか」


「もう、ダンジョンに行く前は御機嫌なんだから」



 こうして僕達は久しぶりに大阪の上級ダンジョンに行く事になったんだけど、文字通り飛んで行くと、僅か15分で着いてしまった。


 これからは、僕の実家も簡単に帰れそうだ。


 上級ダンジョンの近くに下りてから、歩いて上級ダンジョンを管理しているギルド施設に入って行く。


 此処には久しぶりに来たけど、やはりアヤメさん達は目立つのか周りの視線を集めている。


 しかし、それにも慣れてきたので僕達は、どこにも寄らずに喋りながら進んでいると、軽食が取れる休憩室でコトエさん達を見つけた。


 何やら知らない女性と話をしているようだ、そのまま通り過ぎるのも寂しいので声を掛けに行く事にした。



「おはようございますコトエさん。頑張ってますね~」


「ヨウはん! それに姉さん達も! なんや、また綺麗になってるやないか」


「「「「「おはようございます」」」」」



 コトエさん達は皆、立ち上がり僕達に挨拶をしてくれた。



「おはよー、態々立たなくても良いって」


「ククッ! コトエも可愛いよ」


「だから、ツドイ姉さんがそんな事言ったら、ゾクゾクしてまうからあかんて」


「フフ、お話の邪魔をしてしまったのではありませんか?」


「あ~ ちょっと、クランへスカウトされてたんやけど、断ろうと思っとったとこや」


「そ、そんな! お願いします。話を聞いて貰うだけでも結構ですから、一度私達のクランにお越し願えませんでしょうか?」


「・・・そう言われてもね~ どうするコトエ?」


「せやな・・・ウチ等はクランってガラやないしな」


「そう言わずに、一度私達のクランリーダーに会って貰えないでしょうか。お願いします」


「ん~ 困ったなぁ・・・」


「それならコトエさん。クランの人と模擬戦やってみたらどうですか? とっても強い人達だったら、コトエさん達にもメリットがあるじゃないですか」


「ヨウはんがそう言うんやったら、一度模擬戦やってみてもええけどな」


「それなら大丈夫です! クランリーダーやトップの人達は、とても強い方達ですから」


「んふふ、何か面白そうね♪ ねえヨウ君、私達も見に行こうよ?」


「「「「「「ええっ!」」」」」」


「ホンマかいな、姉さん?」


「にひひ、コトエちゃん達が、どれだけ強くなってるか見たいしね」


「ナギサ姉さん、プレッシャー掛けやんとってえな」


「フフ、ヨウ様も宜しいのですか?」


「そうですね、面白そうだからコトエさん達の雄姿を見に行きましょうか」


「あの、私達のクランは男子禁制なので、よっぽどのお客でない限り男性は入れないんです」


「そっか、じゃ、僕だけ入れないのか~」


「なら、この話はお仕舞や、みな行こか」


「そうね」


「ま、待って下さい! 上と交渉してみますから、少しだけお待ち下さい」



 クランの女性は、それからスマホで事情を説明して、必死になって交渉しているようだ。



「いえ、とても可愛らしい少年です。連れの方達も信じられない程、綺麗な女性達です。はい、はい、分かりました宜しくお願いします」



 ・・・ひょっとして、可愛らしい少年とは僕の事だろうか?


 おかしいな、ちょっとは逞しくなってる筈なんだけど。



「すみません、お待たせしました。男性でも少年なら大丈夫との事です」


「んふふ、良かったね、ヨウ君」


「僕、一応18才なんですけど?」


「えっ?」


「18才です! 冒険者です! 此処に少年が居るのはおかしいでしょ?」



 アヤメさん達はクスクスと笑っており、コトエさん達は笑いを耐えているようだった。



「だ、大丈夫です! でも、年齢は内緒にしといて下さると助かります」


「んふふ、良かったね、ヨウ君♪」


「アヤメさん。僕、まだ子供っぽいですか?」


「あはは、服を着てたら顔しか見えないからね。でも、以前より凛々しくなったわよ?」


「そそ、気にしなくても良いってヨウ君。上半身裸なら誰も少年なんて呼ばないからさ♪」


「なるほど・・・」


「ヨウ様、ここで服を御脱ぎになるのはお止めくださいね」


「・・・大丈夫ですよ?」


「フフ~ 本当ですか、ヨウ様?」


「あのヨウさん。本当に凛々しくなりました、とても恰好良いです」


「本当ですよ? 私達も吃驚しちゃいましたから」


「ありがとう。ミミさんルルさん♪」


「とりあえず、ヨウはんや姉さん達に無様なところは見せれんさかいな、本気で行くで?」


「「「「「もちろん!!!!!」」」」」


「すみません、少し距離があるのでタクシーを呼びますね」


「良いよ、僕が出すから」


「えっ」



 ツドイさんは建物の外へ出ると<虚空界>から何時もの様に車を出してくれた。



「助手席に乗って、道案内してくれるかな?」


「こ、<虚空庫>じゃないですか! 貴女は、一体何者なんですか?」


「僕は、クレセントの一人だよ」


「クレセント? 貴女のパーティ名ですか?」


「僕じゃなくて、三日月君のパーティだよ」


「あの少年がリーダーなんですか? <虚空庫>まで持っている、貴女達の?」


「んふふ、まあ、私達の事は良いじゃない、行きましょうか」


「は、はい」



 スカウトしていた女性は、僕達の事をチラチラと見ている。


 きっと、僕達が何者なのか考えているんだろうけど、分かる筈がないよね。


 しばらく車で進んでいると、どうやら着いたようだ。



「此処です、あの白い建物が私達のクラン本部です」


「玄関前に止めても良いよね?」


「はい」



 全体的に白い色をしたビルの正面に『メイデンガーデン』と刻まれている。


 おそらくクランの名称なのだろう、思っていたより規模が大きいようだ。



「やはり、『メイデンガーデン』でしたか」


「リラさん、知ってたんですか?」


「はい、女性だけで構成された有名な大手クランです」


「へえ~ 凄いじゃない、そんな大手クランから誘いが掛かるなんて」


「ありがとうございます。これも姉さん達のお陰です」


「コトエさん達も、有名人さんになりそうですね?」


「それを言うなら、ヨウさん達は偉人になりそうですよ?」


「あはは、ヨウ君ったら、有名人さんって何よ」


「さあ、どうぞ中へお入り下さい」



 僕達は案内の下クラン本部の中へ入ると、1階は大きなロビーになっており、クランの女性達がいるようだ。


 やはり男子禁制なだけはあり、僕にも視線が集まっている。


 その中の一人が此方へ歩いてきて僕を見ている、腰まである長い黒髪が特徴的な美人さんだ。



「あら、此処で男子なんて珍しいわね? 男子よね?」


「リンさん!」


「・・・僕、男にも見えないんだ?」


「ヨウはん、上半身脱いだり何も言えんようなるで?」


「こらこら、こんなとこで脱いじゃ駄目よ? 可愛い顔立ちもヨウ君の魅力なんだから良いじゃない♪」


「ごめんなさい、悪気は無いのよ♪ でも、貴方モテるでしょ?」


「連れの女性達も凄く綺麗な人達ばかりだし♪」


「えっ? 僕ってモテそうですか?」


「ええ、特に年上にはモテモテじゃないかしら?」


「ア、アヤメさん、僕モテるって♪」


「当たり前でしょ~ 年上どころか、女性でヨウ君に惚れない人がいるなら見てみたいわよ」


「そそ、自信を持ってね、ヨウ君♪」


「それにしても、綺麗な人達ねモデルさんかしら?」


「リンさん、後でリーダーから呼び出しが掛かると思いますから、模擬戦の用意をしておいて下さい」


「はいっ? 模擬戦って一体誰と?」


「此処に居る、守護さん達です」


「あっ! 知ってるわ。貴女が『ガーディアンズ』の守護琴絵さんなのね」


「ウチも知ってるで『メイデンガーデン』のサブリーダー朱亀しゅがめ りんさんやろ」


「ウフフ、光栄だわ♪ 貴女達も綺麗だから、モデルさんかと思っちゃったわ」


「ウチ等を褒めても、何にもでえへんで?」


「へええ~ コトエさん達のパーティ名って『ガーディアンズ』って言うんだ」


「なんや知らんかったんかいな、ウチが守護やからってそんな名前にしてくれよったんや」


「私達はコトエに守られてるからね、ピッタリでしょ」


「まさか、貴方達も冒険者なのかしら?」


「そうですよ『クレセント』って言います」


「あっ! 思い出したわ。貴方達って動物園で子供を助けた人達ね? あのとんでもない身体能力の」


「あ~ そうかもですね」


「へえ~ そっかそっか、良いわね。模擬戦が楽しみだわ♪」


「模擬戦するのはコトエさん達だけですよ? 僕達は見学に来ましたから」


「そうなんだ? 良いじゃない、貴方達も模擬戦して行きなさいよ、私達と模擬戦する機会なんて、そうそうないわよ?」


「やめときいや、自信無くしたぁないやろ?」


「貴女がそこまで言うなんて、益々興味が湧くわね♪」


「とりあえず、リーダーの所へ行かないとなんで」


「分かったわ」


「僕達は見学に来ただけなんで、此処で待ってますね」


「模擬戦をするなら練習場でしょ? 私がクレセントの人達を案内しておくわ」


「分かりました。では、守護さん達は私に付いて来て貰えますか」


「はいな、ヨウはん行ってくるわ」


「はい、待ってますね」



 僕達はリンさんに練習場へ案内され中へ入って見ると、結構な広さがあり戦闘訓練や模擬戦している女性が20人程いるようだった。


 女性しか居ないせいか、どこへ行っても良い匂いがするので、ついついキョロキョロしてしまう。



「此処に座って待ってて下さい、飲み物でも用意するわ」


「ありがとうございます」


「男? リンさん男性なんて連れてきて良いんですか?」


「ええ、リーダーの許可も取ってあるそうよ、見学に来たそうだから貴方達は気にせず練習してなさい」


「リーダーが男性を、此処に居れるなんて珍しいですね」


「まあ、やらしい目で見ない人なら良いですけど?」


「んふふ、聞いたヨウ君? やらしい目で見ちゃ駄目よ」


「・・・努力します」


「あはは、君、可愛いわね♪ 君ならちょっとぐらい、やらしい目で見られても良いかな~」


「えと、助かります。あはは」


「皆、ちょっときてー、すっごく可愛い子が居るよ~」


「なになに?」


「うわ~ 綺麗~ モデルさんなの?」


「すご~い! 髪なんて艶々じゃない」


「本当に綺麗な女性じゃない。ねね、見学に来たの?」


「女性の方じゃ無くて、少年の方だよ」


「なるなる、うわ~ 本当に可愛いわね君♪」


「あれ? 見た事あると思ったらギルドの受付嬢さんだよね?」



 練習場にお客さんが来るのが珍しいのか、僕達は、あっと言う間に囲まれて質問攻めにあってしまった。



「ええっ! 受付嬢から冒険者になっちゃったの?」


「そんなに綺麗なのに、冒険者って危ないわよ?」


「ありがとね♪ でもリーダーが強いから大丈夫よ」


「へえ~ そうなんだ。皆、綺麗だけど誰がリーダーなの?」



 アヤメさん達が僕の方を見るので、仕方なく自分で言う事にした。



「えと、一応僕です」


「ええっ!」×全員


「君って冒険者だったの? そう言えば冒険者みたいな服装だけど」


「はい、今年の4月から冒険者になった新人です」


「そ、それじゃ、君がこんなに綺麗な受付嬢を2人も引き抜いて冒険者にしちゃったんだ」


「えへへ♪ 勧誘しちゃいました♪」


「でも、何か分かるわ、君って守って上げたくなるよ、うん」


「違うでしょ、強いって言ってたじゃない?」


「ウソ~ 君って本当に強いの?」


「こらこら、お客さんに質問攻めしちゃ迷惑でしょ?」


「でも、リンさん気になるじゃないですか」


「ウフフ、まあ、確かに気になるわね」


「ちなみに、初級ダンジョンは何階まで進んだの?」


「えと、一応クリアしました」


「えっ?」×全員


「クリアってどういう事?」


「地下10階のボス倒しましたけど、クリアってそう言う意味ですよね?」


「そ、そうだけど、もうクリアしちゃったの? 初級でもボスって強いんだけど、ひょっとして女性達に強い人がいたりして?」


「いえ、初級ダンジョンのボスは、ソロで倒しちゃったです」


「はい?」×全員


「冗談でしょ? 初級ダンジョンのボスをソロでなんて、リーダーやリンさんでも難しいわよ?」


「ホントですよ?」


「んふふ、実力なんて口で言っても信じて貰えないわよヨウ君。そうね、この女性達を診て上げたら理解してくれるんじゃない?」


「なるほど、それで信じて貰えるなら。じゃ、人数が多いから厳しそうな人だけ」


「えっと、そこの金髪の女性は左肩亜脱臼してますね、早めに治療したほうが良いですよ」


「なっ」


「帽子を被ってる女性は肋骨にヒビが入ってます、熱もありそうですね」


「・・・ッ」


「こっちのショートカットの女性は右手の薬指が骨折してるでしょ、隠してるみたいだから内緒にしてるのかもしれませんけど、言った方が良いですよ」


「う、嘘でしょ? 君たったこれだけの時間で、私の怪我を見抜いたの?」


「ミキ? 手袋を外さないと思ったら怪我してたの?」


「あ、後でポーション使うつもりだったから、言わなかっただけよ」


「ちなみに3人共ポーションだけだと治りにくいと思いますよ? 本人は知ってるでしょうけど」


「「「・・・・・・」」」


「ん~ 良く考えたら怪我してるのをバラしちゃった責任もありますよね」


「ついでに責任も取っちゃいますから、3人共此方へ来て貰えますか」


「一体どうしたいの?」


「もちろん、治しちゃいます♪」


「ええっ」×全員



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