第106話 ありえない事なんて、ありえない
昨日は弁護士である九嶋さんとの話を終え、今日も元気にダンジョンに潜っている。
このダンジョンで新たに入手したスキルも、パーティ分揃ったので習得しておいた。
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【STATUS】
HP 12000/12000
MP 12000/12000
STR 300(600)
VIT 300(600)
DEX 300(600)
INT 300(600)
AGI 300(600)
LUK 300(600)
【skill】
<ウィル>☆
<返還>
<鑑定>
<看破>★
<虚空界>★
<亜空庫>New!
<追加攻撃>
<追加防御>★
<敏捷強化>★
<腕力強化>★
<身体強化>★
<精神強化>★
<気配感知>★
<魔力感知>★
<温度感知>★
<気配遮断>★
<魔力操作>★
<MP吸収>★
<MP増大>
<HP吸収>★
<HP増大>
<威圧>
<状態異常耐性>
<隠蔽>★
<言語理解>
<激運>
<超回復>★
<硬質化>★
<鋼糸>★
<風斬>★
<投擲>★
<高速飛翔>
<麻痺眼>★
<適温効果>
<精密動作>★
<魔石>★
<魔水>★
<合成>New!
<縮地>★
<結界>★
<反撃>
<復活>
<魔力炉>
<マッピング>New!
<火属性強化>
【Magic】
<生活魔法>
<回復魔法>★
<解毒魔法>★
<快癒魔法>★
<水属性魔法>
<土属性魔法>
<風属性魔法>
<火属性魔法>
<氷属性魔法>
<雷属性魔法>
<闇属性魔法>
<光属性魔法>
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
久しぶりにステータスを確認してみると、数が多くて把握するのも大変になって来た。
今日もダンジョンを早めに切り上げ、昼過ぎには帰る事にした。
何故なら北海道代表である荻田雄大さんが、今日帰るそうだから見送りに行く事にした。
荻田さんは奥さんの病気を治す為に、脱サラして冒険者になりエリクサーを求め頑張っている。
もちろん、簡単に手に入らない事は僕が一番分かっているんだけど、それを言う訳にもいかなかった。
今の僕なら魔法で治せるかもしれないので、北海道まで足を運ぼうかなと思っていた。
けど、研究者である刹那さんに会い、良い言い訳を思いついたので実行に移すことにした。
これからする話は、誰かに聞かれる訳にはいかないので、ギルドにある個室を借りて荻田さんに来て貰った。
「三日月君。別れの挨拶をしてくれるのは嬉しいが、個室とは何かあったのですか?」
「はい、実はちょっと人に聞かれるのは都合が悪いので、個室を用意させていただきました」
「っと、言ってもギルドの個室なんで、魔法を使って盗聴防止もしてますけどね」
「そこまで慎重になる事なんですね? 私は三日月君に頼み事をしている立場です。秘密は守りますよ」
「ありがとうございます。実は、荻田さんに伝えておきたい事があるんですよ」
「私にですか?」
「はい、実は僕達はダンジョンで、ある変わった薬草を入手しました。優秀な研究者の方に色々と調べて貰ってたんですが、今回その薬草から特殊なヒールポーションが出来る事が分かりました」
「ま、まさか?」
「その特殊なヒールポーションは頭部、つまり脳のように繊細な部分での治療に適しているそうなんです。
しかし、残念ながらそのポーションは1本しか出来なかったそうなんです。
安全性は保障してくれましたが、どこまで効果があるのか分かりません」
「そんな貴重な物を私に譲ってくれるのですか? い、いえ、お願いします。是非譲って下さい。私に出来る事なら何でもしましょう、どうかこの通りです」
荻田さんは頭を下げるどころか、床に手をついて土下座までしてくれている。
僕も慌てて膝を着いて荻田さんに話しかける。
「荻田さん、どうか頭を上げて下さい。勿論お譲りしますよ、そのために話をしたのですから」
「ありがとう三日月君。現状では妻が意識を取り戻すにはエリクサーしか無いと言われています。
しかし、エリクサーを入手する事なんて実質不可能です。
私はどんな小さな可能性でも、そのポーションに賭けてみたいです」
「1つだけお願いがあるんですが、そのポーションを使う時は絶対に誰も居ない、映像等にも映らない場所で使用して下さいますか?」
「分かりました。必ずお約束しますが、今はそのポーションに見合うお礼が無いのです。
ですが、必ずお支払いします。念書も用意しますので金額を教えていただいて宜しいでしょうか」
「先ほども言った通り1本しかないので、どれほどの効果があるのかも分からない物に、お金なんていただけませんよ。
そうですね。もし、奥さんの状態が少しでも改善したら、何か美味しい物を送って下さい。
北海道って美味しい物が多いんですよね? ダンジョン産なら尚更美味しい物がありそうですし」
「美味しい物ですか? そんな物で良ければ、必ず送らせていただきます」
「ありがとうございます。これが、そのポーションです。奥さんが意識を取り戻す事をお祈り致します」
もちろん、そんな都合の良いポーションは存在しないんだけど、鑑定されない限りバレる事は無いだろう。
僕は落としたぐらいじゃ割れないケースに、エリクサーを1本入れ荻田さんに手渡した。
「ありがとう。本当にありがとう。必ず、必ず連絡致します」
荻田さんは何度も頭を下げてお礼を言ってくれるので、少し恐縮してしまうが、作り話まで考えた甲斐があったと思う。
これで奥さんの意識も、きっと戻る事だろう。
なんせ本物のエリクサーなんだものね。
僕達はギルド前で荻田さんを見送り食事にでも行く話をしていると、タイミングよく、ギルドの鑑定人である東堂院さんが歩み寄って来た。
「こんにちわ、藤堂院さん」
「こ、こんにちわ三日月君。あの、少しで良いの話を聞いて貰えないかしら?」
「すみません。今から食事に行くので、今度にして貰って良いでしょうか?」
「フフ、慌てなくても裁判所でお会い出来るかと、それに藤堂院さんは鑑定人ですから首になる事もないと思いますよ?」
「ま、待って。お願いよ、食事なら用意するから」
「ん~ 美味しい店なら考えても良いですけど?」
「分かったわ。最高の店を予約しておくから、お願いよ」
「こんなに頼まれてるんだし、良いんじゃないヨウ君?」
「そうですね。じゃ、お願いしちゃいます」
「ありがとう。車を用意するから少し待ってて」
藤堂院さんは、必死で僕達を引き留めてたけど、もう弁護士さんから話を聞いたのかな?
とりあえず、車を用意してくれたので僕達は、先にお店に行って藤堂院さんを待つことにした。
お店に着くと中々立派な高級中華料理店のようだ。
席に座って皆と雑談をしていると、藤堂院さんも来たようだ。
藤堂院さんだけかと思ったら、新宿ギルド本部の古戸社長も一緒に来たようだった。
「あれっ? ギルドマスターまで?」
「ごめんなさい三日月君。古戸社長からも話があるそうなのでお連れしました」
「勝手に同席させて貰ってすまないね、少し三日月君と話がしたくて藤堂院君に無理を言わせて貰ったんだ」
「別に良いですよ、どんな話なんでしょうか?」
「君が高ランクの冒険者に訴えられたと聞いたのだが、私も何か力に成れないかと思ってね」
「ああ、それはありがとうございます。でも、その件は終わったので結構ですよ」
「終わったとは? 私が聞いたのは昨日なのだが」
「もう、弁護士さんに全て頼んでありますから、僕のする事はないんですよ」
「すみません三日月君、どんな内容なのかお聞きしても良いでしょうか?」
「ヨウ様、私からご説明致しましょうか?」
「そうですね、お願いします」
「はい、まず私達から暴行を受けたと訴えてきた冒険者に対して、1人10億円の損害賠償を反訴しております。
また、その冒険者は素行が悪いだけでは無く、悪質な犯罪者であるため、冒険者カードを発行した冒険者ギルドに対しても3000億円の損害賠償請求を致しました」
「そんな馬鹿な! 冒険者の資格を与えただけで、冒険者の愚行の責任までギルドが取るなどありえない」
「そう、思われるのでしたら反訴すれば宜しいかと。
私共は、その冒険者達が冒険者に成る前からの犯罪行為の証拠や、我々が受けた罵詈雑言、または暴行の一部始終の映像を証拠として提出しております。
私共は身に降りかかった火の粉を、払っただけでございます」
「そ、それにしても3000億円などと、法外な金額になる筈が無いではないか」
「そうですね、例えば我々の1日の稼ぎが3000億円など比べ物にならないとしたらどうでしょう? 法外な金額とは言えなくなるのでは無いでしょうか?」
「なっ! 君達は1日に3000億以上稼ぐと言うのかね?」
「フフ、そんなに大金でしょうか?」
「ちなみに私から意見させていただきますと。ありえない事なんて、ありえないとは思いませんか?」
「フフ、私共が勝訴すれば、ギルドマスターが自慢していたギルド本部も差し押さえになりそうですね」
「そんな事になれば、私は首どころでは無くなる」
「リラさん、私が貴方達への対応を間違えたのは認めます。出来うる限りの謝罪を致しますので、どうか訴訟を取り下げていただく訳には参りませんか?」
「そう言われましても、私達は既に数百億ほど、この件で使っておりますので」
「んふふ、藤堂院さんを大阪ギルドへ引き抜くとか?」
「待ってくれ、そんな事をすれば、東京でのオークションが出来なくなり、ギルドの損害は計りしれなくなる」
「さて、食事も終わったし、僕達はそろそろ行きますね」
「待ってくれ・・・分かった。必ず三日月君の満足のいく謝罪をするので、少し時間をくれないか」
「ん~ もう会う事もないと思ってたんですが、美味しいお酒でも飲ませて貰えますか?」
「分かった。約束しよう」
「そうだ、言っておきますが、クズ冒険者の方は絶対に許しませんからね? 地獄を見せてやりますよ」
ゾクッ!
僕達は楽しい食事にはならなかったが、とりあえず美味しかったので満足して帰る事にした。
「フゥ~ 最後のあれは殺気だな。寒気すら感じたよ・・・どうやら見た目と違って恐ろしい少年のようだ」
「Aランクである紫藤達も、三日月君より数段弱い筈の女性達まで化物クラスの強者だと言っておりました、どこまでも規格外のようです」
「藤堂君。彼等の言っている事は現実に起こり得ると思うかね?」
「今回の件について少し調べてみたのですが、彼等は東京中の弁護士を雇い入れたようです。
いったい、どれぐらいの資産を持っているのか想像も出来ません。
他にどんな人脈があるのかも、底がしれませんでした。
根拠はありませんが、裁判などしなくても冒険者、いえギルド本部までもが彼等なら、簡単に潰せるのではないかと感じてなりません。
申し訳ありませんでした。彼等については私の思慮が足りませんでした。
天満リラさんから忠告を受けた時、最大限の注意を払っておくべきでした」
「ふむ、大阪ギルドも、とんでもない爆弾を投下してきたな。今から後悔しても仕方ない。
私は大阪ギルドに頭を下げて、三日月君達の事を聞いて見る事にする。
君はもう彼等の事を調べるのはやめたまえ。
犯罪者紛いの冒険者に対する対策を考えておいてくれたまえ」
「分かりました社長」
◇ ◇ ◇
それから僕達はしばらくダンジョン検索に明け暮れ、東京に来てから今日で10日目の朝を迎えた。
その間に訴えて来た冒険者達との裁判も開かれたが、九嶋弁護士とサポートに着いてくれた弁護士さん達の手腕が凄かったのか、予定通り1人10億円の損害賠償で勝訴した。
もちろん、全額払える訳も無く財産は全て没収となった。
それどころか、過去の犯罪が全て明るみになったため、今は刑務所に入って居る。
どうやら、数十年は刑務所暮らしになるらしい。
ギルド職員にもクズ冒険者と繋がっている者がおり、当然のように芋づる式に刑務所送りに成った。
ギルドの方は、結局訴訟を取り下げることになった。
その条件として冒険者登録の見直しや、ギルドやダンジョン内での高ランク冒険者によるパトロールが実施され、犯罪防止に努めるそうだ。
その他にも数々の恩恵を付けてくれたが、一番嬉しいのは東日本、全てのダンジョン立入り許可証だった。
九嶋弁護士に渡した着手金は、そのまま受け取って貰い、お礼を言っておいた。
東京での生活も結構長居してしまったので、そろそろ大阪へ帰る事にしたんだけど、その前に研究者である古我知 刹那さんに会いに行く事にした。
っと、言う訳で、今は古我知さんの研究室に向かっている。
ギルドから結構近いので、直ぐに着いた。
研究室と言うぐらいだから白い建物を想像していたが、都会らしくビルの1フロアが研究室になっている。
僕達はエレベーターで研究室のある階に行き扉を開けると、内装は想像通り白を基調としたものだった。
入口にインターホンがあったので、押してから大人しく待つことにした。
「いらっしゃい、待ってたよ」
「こんにちわ古我知さん、機嫌良さそうですね?」
「ナハハ、君のお陰で、ようやく完成したからね。さあ、奥の部屋へ来てくれ説明しよう」
僕達は応接室のような部屋に案内され、ソファーに座りながらコーヒーまで出してくれた。
「流石に研究室って感じよね、粘着シートを踏まされるし洗浄室って言うのかな? 扇風機部屋みたいだったわ」
「体に付いている埃や細菌類が研究室に入らない様に、風で取り除いてるんでしょうね」
「何か新鮮で良いですね、僕も初めてみました」
「ナハハ、<生活魔法>の<クリーン>があったら、もっと便利なんだけどね」
「あ~ なるほど。やっておけば良かったね」
「って事は、<生活魔法>を習得してるんだね? 流石に黒ニンニクを採集出来るだけあって、若いのに優秀な冒険者なんだ」
「そんなに褒めて貰えると照れますが、やっぱり研究室って秘密漏洩に力を入れてたりします?」
「まあそうだね、この部屋も盗聴防止してるぐらいだからね、何か気になったのかな?」
「ん~ 僕達も秘密主義者なんですけど、ボイスレコーダーが設置されてるの、ご存知でした?」
「・・・いや聞かされてないね、全く油断も隙も無いね」
「そっか、盗聴防止されてるからボイスレコーダーにしたんだね、スパイさん捕まえちゃう?」
「ああ、良いよ、どうせ私にしか作れない物ばかりだし。でも素材から何が出来たとかバレちゃうか」
「じゃ、古我知さん。ボイスレコーダーの方は潰しておきますね」
「ありがとう、私の事はセツナで良いよ」
「分かりました。僕もヨウで良いですよ。ところで、黒ニンニクから何が出来たんですか」
「んふー、じゃ、聞いて貰おう♪ これなんだけどね」
「へええ? ポーションみたいですね?」
「そそ、でもこれはスタミナポーションなんだ! 簡単に言うと強壮薬だね、特に疲労回復効果が凄まじい。これ1本飲んだら24時間ほど疲れにくくなるよ」
「凄いじゃない? 冒険者には特に需要がありそうね」
「ナハハ、私もそう思うんだ。ダンジョン産の素材から作った物は、完成したときに効能や危険な副作用も無い事が分かるし、作り甲斐があるのだよ」
「フフ、それは才能のある方、だけなのですよ?」
「そうだったんだ? 流石、私だね♪」
一応完成したスタミナポーションを鑑定したところ、セツナさんが言う通りの効能だったが、少し効果が強すぎるような気もする。
「これって、白ニンニクで作る事は出来ないんでしょうか?」
「出来るよ、今回は効能が顕著に出るように黒ニンニクを使ったけどね」
「じゃ、約束通り完成したスタミナポーションを全部渡しとくね」
「えっ? 全部貰っちゃって良いんですか?」
「良いの良いの、販売してお金にするのも手間だし、稼いでも新たなダンジョン素材を買い漁ったら直ぐに無くなるしね~」
「だから、今回のように貴重な素材を貰えたら、私にとっては好都合なんだよ」
「フフ、だから、お金をあまり持ってなかったのですね」
「ナハハ、そうなのだ♪ 少しは稼がないとなんだけど、一度完成した物を量産するのは面白くないのだよ、これが」
「んふふ、貴女、理想的ね♪」
「どういう意味なのかな?」
「えっと、セツナさんに1つ提案があるのですが」
「面倒臭い事は駄目だよ、研究する時間が無くなるし」
「あはは、分かってますよ。提案とは僕達の専属研究者になりませんか?」
「へっ? 貴方の専属にってこと? 私にどんなメリットがあるのかな」
「はい、僕達の専属になってくれたら希少な素材を無料でお譲りしますよ? もちろん研究費用も潤沢に渡しますし、十分な給料も払います」
「ナハハ、それが本当なら、私にとっては理想なんだけど、他に条件があるんでしょ?」
「そうですね条件は1つあります。っと、言っても簡単な事ですよ? 秘密厳守だけですから、僕達から知り得た情報の全てを秘密にしてくれたら結構です」
「ほえっ? そんな当たり前の事で良いのかな、条件が良すぎて信じられないんだけど」
「それだけじゃないですよ、専属の了承をいただければ特典も付けます!」
「返事しないと言えないって事ね? でも、私が興味を引くような希少素材って本当に持ってるのかな?」
「少しだけ言いますけどキングトロルの舌・ハイミノタウロスの強靭肉・ワイバーンの竜肉等持ってます」
「はい? き、聞いた事ない・・・まさか、どれもこれも未確認素材じゃないの?」
「はい、これらは未確認素材で売れなかった物ばかりですから、どうです? 食指が動きました?」
「にょほーーーーー♪」
「なる! 専属だろうが何だってなるわ、秘密も守るし魂も上げちゃう!」
「ブッ!? 悪魔契約じゃないんですから、魂は要りませんよ」
「いいえ、半信半疑だったけど確信したわ。君は神がかり的な特殊な能力を持ってるんでしょ?
大体、女性達の肌艶は綺麗なんてレベルを超越してるわ、間違いなくダンジョン産の素材効果よね?
早く見たい! とりあえずキングトロルの舌が見たいわ、劣化してない?
何時取ったの? それがあったら、諦めていた研究が完成するかもしれないわ」
「まあ、慌てないで下さい。本当に僕達の専属研究者になっても良いんですか? 危険な事があるかもしれませんよ?」
「今聞いた希少素材以外にも、まだまだあるんでしょ? 断れる訳ないじゃない? 専属だろうが奴隷だろうが何だって成るわ、魂も処女だって上げるからお願いよ」
「にひひ、ヨウ君良かったね、処女もくれるってさ♪」
「ナ、ナギサさん~」
「んふふ、でも、ヨウ君の好きなタイプよね? 嬉しいくせに~」
「そ、そりゃ悪い気はしませんけど・・・セツナさんは素材に惹かれてるだけですよ」
「フフ、とりあえず専属になってくれるそうですから、詳しい話をするために場所を変えましょうか」
「そうですねセツナさん。では、これから宜しくお願いします」
「んふー♪ ありがとう。本当に良いのね? 私、頑張って色々作るからね楽しみだわ」
「ところで僕達は、そろそろ大阪に帰ろうと思ってるんですが、セツナさんは何処に住んでいるんですか?」
「此処よ?」
「・・・此処って居住スペースが無いんじゃ?」
「ナハハ、研究の合間に、椅子とかでも寝れるから大丈夫だよ?」
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
「完全に研究者タイプだね?」
「着替えとかどうしてたのよ?」
「ちゃんと買い溜めしてあるよ? 使い捨てだけどね」
「食事とか、ちゃんと食べてるの?」
「コンビニって最強よ?」
セツナさんの余りにも自堕落な生活振りに、皆はプルプルと震えている。
「「「「「大阪へ連れて行こう!」」」」」
「ええっ? 幾ら何でも本人に了承を取らないと?」
「ナハハ 良いわよ。私も大阪に住む事にするわ、どうせ研究は一人でやってるしね」
「家族さんとか近くに住んでないんですか?」
「あ~ 田舎に居るわよ? ダンジョンが出来てから研究がしたくて一人で東京に出て来たのよ、だから住む所なんて都合が良ければ何処でも良かったりして」
「・・・セツナさん。僕より軽くないですか?」