第105話 各分野でのスペシャリストですよ
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「リラ、ちょっと追い込みすぎじゃない?」
「フフ、ヨウ様を軽く見られない様に脅しが殆どですから、藤堂院さんには肝を冷やして貰うだけで良いでしょう」
「フフ~ 流石リラ姉。でも、あのクズ冒険者は徹底的にやっとこうね」
「フフ、もちろんですよノノ」
「ヨウ様、私の知人に優秀な弁護士が居るのですが、この件は、お任せいただいて宜しいですか?」
「うわ~ 弁護士さんまで知り合いが居るんですね、もちろん、お願いします。僕も会わせて貰っても良いですか?」
「畏まりました。それでは、明日にでも調整致しますね」
「ありがとう。リラさん」
藤堂院さんと別れた僕達は、クエスト掲示板に出ていた魔物素材や採集品をチェックしておいたので、ダンジョン攻略のついでに探すことにした。
今日は、地下10階のボス戦からスタートする事にする。
昨日とは違い、紫藤さん達が居ないのでサクサクと歩を進め、昨日手に入れたスキルや素材を追加していく。
特に狙いを定めているのがタマネギだったりする。
名称はフルーツオニオンと言うそうだ。
名前の通り果物の様な極上の甘味があるみたいで、納品クエストも数多くあったものだ。
ナギサさんが喜ぶので、今日も地下13階へ行ってプラチナマスクメロンを採り尽くした。
「にひひ、今日もプラチナマスクメロン大量だったわね♪」
「昨日も売る程、採ったでしょー? まあ、確かに美味しいんだけどさ」
「これ、大阪ギルドの受付嬢友達に、お土産として持って行ったら喜ぶと思わない?」
「んふふ、良いわね。きっと、凄く喜んでくれると思うわ。ヨウ君の専任になってから羨ましがられてるからね~ サービスしとこっか♪」
「それ良いですね。じゃ、社長さん達にもお土産にしちゃいましょう」
「フフ、畏まりました。メロンを入れる箱を用意しておきますね」
「流石リラさん、お願いします」
それからフルーツオニオンを探しながらダンジョン検索をしていくと、ようやく地下18階でノノさんが見つけてくれた。
そこには数十個ほど茂みの様に固まって自生しており、周りにポツポツと点在している。
「ん、タマネギなのに良い匂いだね」
「ホントだ~ 早速収穫しちゃおう」
「うわ~ 凄く瑞々しいですよ、ちょっと味見しちゃお」
「幾ら何でもタマネギを生なんて、辛いんじゃない?」
「シャクッ! モグモグモグ。甘い! これ、生でも全然いけますよ」
「僕も一口貰っちゃお、シャクッ! ホントだ美味しいね」
「狡いわよツドイ、私も一口~」
僕が齧ったフルーツオニオンを皆で味見していくのを見て、少し照れてしまった。
気を使わずに、こう言う事が出来るのも良いもんだなと、少し嬉しい気持ちになった。
僕達は点在しているフルーツオニオンを次々に収穫していき、僕の<虚空界>に収納していった。
一度見つけてからは結構な数を収穫出来たが、地下18階だし入手難度は高い方だと思う。
目的の物を手に入れた僕達は気分を良くし、順調に他の魔物素材や採集品を集めて行く。
しかし、残念ながら新たなスキルは手に入らないまま、地下20階のボス部屋前に到着した。
「思ってたより色々な物が手に入りましたね」
「んふふ、これだけ食材あったらシオが大喜びするわ」
「月光種だっけ、あれも育てて貰わないとだしね」
「フフ~ またシオさんが作ってくれる料理が楽しみです♪」
「じゃ、今日はボス戦やって帰りましょうか」
「「「「「了解!」」」」」
僕達は何時もの様にボス部屋の扉から中へ入ると、そこには意外にも大きなスライムが鎮座していた。
「うわっ! 珍しいわね。スライムがボスで出てくるなんて、えっとグランスライムだって」
「大きいスライムよね? 軽四輪自動車ぐらいあるんじゃない?」
「あー、物理攻撃したら分裂するみたいですね」
「なるほどねー、じゃ、凍らせて砕いちゃう?」
「はい、一応、魔法剣も氷属性にしときましょうか」
「「「「「了解!」」」」」
最近のボス戦はレア種ばかりになってきたので、いい加減僕達も慣れてきた。
誰も話題にしなくなってきたが、こんな魔物が通常に出てきたら魔法を持ってないパーティだったら即詰みだ。
通常のボスが何なのか気になるけど、レア種の方がドロップが良いから僕達にとっては都合が良くなるのかな。
「じゃ、行くねー」
「<フリーズ>!!!」
ピキピキと音を立てアヤメさんが放った<氷属性魔法>の<フリーズ>がグランスライムを凍り付かせていく。
「うわ~ 私の魔法でも完全に凍らないなんて、魔法耐性もあるのかな」
「でも、動きは完全に止まってるみたいだから、僕とナギサさんも魔法に回ろうか、止めはリラさんノノさんツドイさんでお願い」
「「「「「了解!」」」」」
今度はアヤメさん、ナギサさんと僕で同時に<フリーズ>を放つと、ようやくグランスライムも完全に凍り付いたようだ。
止めはタイミングを合わせた3人の攻撃で、見事に粉々となって光の粒子となって消えて行った。
僕達6人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。
「さって、お楽しみのスキルと宝箱ね♪」
「あはは、じゃー、スキルから見て行くね。<虚空庫>? いや違う<亜空庫>スキルだって」
「ふむふむ、うわ~ 凄いわよ鑑定してみたけど、生きている生物も入る事が出来る亜空間を造り出せるスキルだって」
「お~ それなら<虚空庫>とは違った使い方で、凄く便利そうですね」
「ん、隠れんぼ最強かな?」
「あはは、確かに隠れたり逃げたりする時は重宝しそうですね」
「他にも色々と使えそうね、考えておこっと」
「素材はグランボールって言うらしいです。えっと、鑑定したところ植物の栄養剤みたいですね。肥料みたいな物かな」
「続いて普通の宝箱は、アムリタって言う薬品ですね」
「ちょっと嘘でしょ?」
「やめてよ、アヤメ。見るのが怖くなるじゃない・・・」
「ちょっと怖くなったけど鑑定しますね。『全身の細胞がリフレッシュされ寿命が延びると言われている奇跡の霊薬』だって」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
「いっぱい、集めといたら不死になれそうですねー」
「ヨウ君、そんなに軽く言わないでよー、またとんでもない物を手に入れちゃったわね」
「・・・死蔵決定ね、幾ら何でも世に出せないわ」
「フフ、そうですね。私達はピークベリーで不老になってますから、これで十分かと」
「僕、思うんだけど幾らダンジョン素材が神秘だと言っても、三日月君じゃないと手に入らないからね?」
「そうなんだよね~ 改めて思うけど、ヨウ君って世界征服とかも出来ちゃったりして」
「ブッ!? 何ですか! その悪の組織みたいな発想は? そんな事出来たとしてもしませんよー」
「女性征服なら今でも出来ちゃったりして『ハーレム王に俺は成る!』みたいな」
「「「「あはは♪」」」」
「あはは、じゃないですよ? 次の銀宝箱開けますよー。おっ! これは皆嬉しいんじゃないかな」
「えっ? 何々?」
「「「「「うわ~~ 綺麗~~♪」」」」」
「凄いじゃない。属性付きの宝石が箱一杯に入ってるなんて」
「以前に手に入れた紅宝石みたいな凄い効果は無さそうですけど、それでもアクセサリー類なら色々作れそうですね」
「何か、ようやく宝箱らしい宝箱よね?」
「フフ~ 何か分かります。今まで宝以上の物ばかりでしたから」
「本来なら飛び上がって喜ぶ場面なんだけど、安心してる私達って何なのかしら?」
「そこは、三日月君だから?」
「確かに・・・」
「慣れて下さい。としか言えなかったり」
地下20階のボス戦も無事終わり、僕達は地下21階に下りてから、今日は帰る事にした。
地下21階に下りてみると、驚く事に広大な砂漠になっていた。
どうやら次に来た時は、砂漠探索になりそうだ。
ダンジョンを出て、とりあえず食事にでも行こうかと思っていると、一人の女性に目が留まる。
っと、言うか周りの視線を一手に集めているので、注目してしまったのは僕が女好きだからって訳じゃ無い、きっとない。
その女性は顔も良く見えない程のロングヘアーで白衣を着ており、一番目立っているのが「黒ニンニク求む」と言うノボリだろう。
つまりダンジョンから出て来た冒険者に対して、黒ニンニクを買い取りたいのだろうと予測がつく。
クエスト発注もあるのに、ダンジョン前で出待ちをするぐらいだから急いでいるのかな?
「ん~ 顔は良く分からないけど、お姉さんタイプね?」
「にひひ、胸も大きいしヨウ君気に入っちゃったかな?」
「そ、そんな事ないですよ。黒ニンニクなら大量に持ってますし、急いで欲しいなら譲っても良いかなと思ったんですよ」
「んふふ、分かってるわよ。とりあえず聞いてみよっか」
「はい」
僕達はとりあえず話を聞いて見る事にして、白衣の女性の前まで歩を進める事にした。
「すみません」
「はい? 私に何か御用かな」
「そのノボリに書いてある事なんですが、急いでるんですか?」
「ああ~ 急いでると言うよりも手に入らない訳よ。今日の朝、少量だけ競りに出たみたいなんだけど、あっという間に競り落とされてね」
「クエストに依頼しても駄目なんですか?」
「クエストで依頼しても、かなり高額にしないと競りの方に流れちゃうのよね」
「聞いてくれるって事は、採って来てくれるのかな? でも、地下10階以上らしいから無理しなくても良いわよ、ありがとね」
「いえ、持ってますから、幾らか譲りましょうか?」
「えっ、ウソ? 貴方の様な少年が? って、後ろの女性達も同じパーティっぽいね、本当に持ってるの?」
「ええ、これの事ですよね?」
僕はリュックサックから取り出す振りをして<虚空界>から黒ニンニクを一つ取り出して見せた。
「そ、それよ、間違いないわ。出来たら3つ程欲しいんだけど?」
「それぐらいなら持ってますよ」
「うわ~ 助かる~ あっ! でも300万ぐらいしか手持ちが無いのよね。ねえ、お願い。1つでも良いから300万で譲ってくれないかな?」
「フフ、新しい研究ですか? 古我知 刹那さん」
「あらっ? こんな格好してるのに、私が分かるなんて流石ね。天満リラさん」
「なんだ、リラさんのお知り合いでしたか」
「いいえ、会うのは今日が初めてです。この女性は現代の錬金術師と呼ばれている天才研究者ですから覚えておりました」
「ナハハ、貴女より有名じゃないつもりだけどね」
「へええ~ 凄い人だったんですね」
「んふー、照れますね。でも、貴方も見た目通りの少年じゃないわね。希少な黒ニンニクを3つも持ってるのに無傷だし、天満さんが付き従ってるなんて驚きよ」
「あはは、僕は普通の新人冒険者ですよ」
「見た目だけを見ればね、それよりも譲ってくれる?」
「ええ、良いですよー、でもお金より黒ニンニクを使った完成品を貰うってのはどうですか?」
「んはー、そう来ましたか。確かにお金はあまりないんだけど・・・完成するか分かんないわよ?」
「良いですよ。じゃ、投資と言う形にしましょうか」
「ナハハ、分かったわ」
こうして古我知さんと連絡先を交換して後日、連絡してくれる事になった。
「フフ~ あの女性とは、長い付き合いになりそうな気がしますね~」
「んふふ、私もそう思うわ」
「信用のおける人だったら、僕達の専属にお願いしたいですね」
「三日月君がお願いしたら絶対、大丈夫だよ?」
「にひひ、そそ、女性なら特に逃げられないわ」
「そんな事ないですよ。でも、手持ちの素材が交渉材料として武器になりそうですけどね」
「フフ、色々と手配しておきます」
意外な場所で凄い人との出会いがあったが、予定どおり皆と食事に行きホテルで休む事にした。
東京のホテルに来てから全員で一緒にお風呂に入っているが、未だに目のやり場に非常に困る。
しかし、頭を洗って貰ったり、会話をしながら全員で湯舟に浸かるのは天国のようだ。
お風呂上りにはリビングのソファーに腰掛け、お酒を飲むのが日課になっている。
「クゥ~ 幸せ~♪ もう、この贅沢気分から抜け出せる気がしないわ」
「あのね~ ヨウ君なら兎も角、何でアヤメに膝枕しないといけないのよ?」
「たまには良いでしょ~ 文句言わないの」
「三日月君が、嬉しそうに見てる?」
「えっ! いや、あの、その・・・」
「フフ~ それなら、私もリラ姉の膝枕もっらい」
「ノノ、擽ったいですよ」
「えへへ、気持ち良い~」
「ん、じゃ、僕は三日月君を抱っこしてあげる」
ツドイさんは、そう言うと僕を膝の上に座らせてくれた。
「あの~ ツドイさん?」
「気持ち良くない?」
「気持ち良いです!」
「も~ いつもツドイが良い事、考えるんだから」
「どちらかと言うと、抱っこする方が良かったり?」
「僕の方がおっきいよ?」
「えへへ、余裕です!」
「あっ!」
僕はツドイさんを、ひょいと持ち上げ抱っこしながらソファーに腰掛けた。
「僕背が高いから、こういうのは新鮮かも?」
「「「「次、私~♪」」」」
それから順番に皆を抱っこする事になったが、メチャクチャ幸せな気分になった。
「何で私は、ツドイに抱っこされてるのかな?」
「ん、三日月君が喜ぶから?」
「へええ~ ヨウ君そんな趣味があったんだ?」
「えっ? ええと、男なら誰でも喜ぶのでは?」
「「「「「えっ!」」」」」
「そうなんだ・・・」
「にひひ、じゃこういうのは?」
ナギサさんはツドイさんの首に手を回し、軽くキスをした。
「ん、僕キスされちゃった」
「ナギサ~ もう酔っ払いすぎよ」
「でもヨウ君、嬉しそうな顔してるよ~」
「僕、もう無理です」
「んあっ!」
その日の夜は全員とイチャイチャして、知らない内に眠ってしまったようだった。
翌朝、皆も照れながら朝食を取り、またダンジョンに向かう。
このダンジョンにも慣れてきて、サクサクと欲しいスキルや採集品を集めて、早めにダンジョンを引き上げる事にした。
今日はこの後、リラさんの知人である弁護士さんと会う約束をしている。
リラさんの案内の下、個室のある軽食屋さんで待ち合わせをしていたので、全員で向かうと、弁護士さんは既に待っていてくれた。
弁護士さんのイメージからキリっとした男性を思い浮かべていたけど、個室で待っていてくれた方は黒のスーツに身を包んだ眼鏡の似合う美しい女性だった。
アヤメさんと似たタイプで、知的な雰囲気を醸し出している。
「今日はお呼びたてして、すみませんでした」
「いいえ、お気にせず。久しぶりですねリラさん」
「ヨウ様、ご紹介致します。こちらが弁護士の九嶋 佑月さんです」
「初めまして僕は三日月陽です。今日は宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。九嶋佑月と申します」
「それにしても凄く美しい女性達をお連れしていますね、リラさんも驚く程美しくなられてるのに驚きました」
「フフ、相変わらずお上手ですね」
「ウフフ、リラさんこそ相変わらず人が悪いですね。お世辞では無い事はお分かりでしょうに」
「九嶋さんも知的で美しい女性ですね」
「ウフフ、お若く見えますが流石にリラさんを雇われている方ですね、お世辞とは言え喜んでしまいました」
「佑月さん、私はコンシェルジュは引退しましたので、ヨウ様に雇われているのではなく、お仕えさせて頂いております」
「リラさんが仕えているのですか? それは、更に驚きですね」
「フフ、それでは、食事でもしながら話を聞いて貰えますか」
「分かりました。お約束通り今日は後の仕事はキャンセルしましたので時間は大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
昼食なので軽めの食事を取りながら、まずは世間話をしていく。
皆と何気ない会話をしていくが、知性を感じさせる物言いには感心する程だった。
食事も大方終わったので、いよいよ本題に入ろうと思う。
「ところで九嶋先生、話しはリラさんからある程度聞いて貰ってると思うのですが、ご意見を伺っても良いですか?」
「私の様な若輩者に先生は結構ですよ、九嶋とお呼び下さい。では、本題に入らせていただきますね」
「はい、お願いします」
「リラさんに話を聞かせて貰ってから、私の方で検討させて貰ったのですが、横暴な冒険者の方は兎も角、冒険者ギルドを相手取って損害賠償を持ち掛けるには難度が少々高くなると思われます」
「そこで弁護士費用として、着手金500万円と成功報酬の3%で如何ですか?」
「う~ん・・・」
「・・・お悩みのようでしたら、リラさんの紹介ですし、着手金を300万円ではどうでしょうか?」
「あ~ いえ、費用が高いと思ってる訳じゃないんですよ」
「とりあえず、着手金は5億払っておきますね。損害賠償は悩んだのですが冒険者には一人10億、ギルドには3000億でお願いします」
「なっ? ほ、本気で仰ってるのでしょうか?」
「あはは、リラさんお願いします」
「畏まりました。佑月さん、ギルドカードを貸していただけますか?」
「え、ええ」
リラさんはスマホから九嶋さんのギルドカード口座に、5億円を転送してくれたようだ。
「佑月さん、5億振り込んでおきましたので御確認下さい」
「どうやら冗談では無さそうですね。確かに5億確認出来ました」
「しかし、幾ら何でも3000億の損害賠償は無謀なのでは?」
「フフ、ヨウ様の1日の稼ぎは3000億程度ではないのですよ」
「そ、そんなにもですか」
「ああ、それとリラさん九嶋さんのサポートとして、ダンジョンと暴力団関係に詳しい優秀な弁護士さんを5名程頼んでおいていただけますか? 後はリラさんにお任せしますね」
「畏まりました。東京中の弁護士に協力するよう手配しておきます」
「では、九嶋さん。お金が足りなければ連絡して下さい。僕からは以上ですが、他に何かありますか?」
「いえ、結構です。全力で頑張らせていただきます」
「ありがとうございます。では、失礼」
僕はとりあえず九嶋弁護士に言いたい事は伝えたし、良い結果を待つとしよう。
まあ、ギルドの方は脅しだけでも入れれたら良いとしようかな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<九嶋佑月視点>
フゥ~ 久しぶりに緊張したのか汗が止まらないわ。
・・・しかし、リラさんには何時も驚かされるけど、今回は特大の爆弾を落としてくれたわね。
あんな可愛い顔した少年が、即金で5億ですって? 何者なのよ絶対、普通じゃないわ。
考えてる暇は無さそうね、忙しくなったわ。
今日は徹夜で調べ上げないと。とりあえず、事務所に戻るか。
午後の予定キャンセルしといて良かったわ、車で来ておいて正解ね、事務所に戻る時間も惜しくなるなんて。
私は急いで事務所へ帰り、休んでいる職員も呼び出すことにした。
「お帰りなさいませ九嶋先生、早めに戻られて良かったです。先程から複数の弁護士から電話が入っておりますが、如何なさいますか?」
「えっ? 相手のリストを見せて」
「はい、こちらです」
・・・こ、これは超一流の弁護士ばかりじゃない。リラさん仕事が早すぎるわ。
こんなベテラン弁護士を、私のサポートに着けるって言うの?
「あ~ 頭が痛くなってきたわ」
「九嶋先生、天満様と言う方から荷物が届いてます」
「あ~ 後に・・・えっ? 天満ですって? ごめんなさい。今、確認するわ」
な、何よこれ、リラさん達に絡んだ冒険者達の実際の映像と日頃の犯罪行為の証拠資料?
ギルドに入る前は暴力団だったのね、その時の犯罪行為の裏付けまで。
ギルドも冒険者を増やす為に、かなり手抜きの審査で冒険者カードを発行してるわね・・・
どこまで調べてあるのやら、本当に恐ろしい人ね。コンシェルジュ辞めたって言ってたけど、昔より凄くなってない?
あ~ 絶対負けれなくなったわね、なんてプレッシャー掛けてくるのよ、急いでプラン考えなきゃ。