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第99話 同級生が居ますね

評価やブックマークを付けて下さった方、ありがとうございます。


 寝てしまった皆が起きるのを待っていたけど、全員幸せそうな表情で寝ているので、無理に起こさず見ていたら僕も寝てしまったようだ。


 目が覚めると皆に囲まれながら、何か話をしているようだった。



「あ~ あの後、皆気絶しちゃったの?」


「あんなの無理よ~ 一瞬で失神しちゃったんだから」


「・・・確かにあれは凶悪な刺激ですね」


「驚いたよね~ 雷みたいだったわ」


「もう、三日月君に逆らえる女性居ないだろうね」


「それで、あっちの方は大丈夫だった?」


「大丈夫じゃなかったと思うけど、たぶん<クリーン>掛けてくれたんだと思うよ?」


「んっ、分かった。もう言わないで、恥ずかしくて死んじゃいそう・・・」


「フフ、まあ皆さん同じなのですから、慣れるしか」


「んあ~ あれに慣れる事って出来るのかな~ 私自信無いよ?」


「全く、可愛い顔してこっちのレベルも上がり過ぎでしょ? もう何人いても太刀打ち出来ないじゃない」


「ククッ、三日月君らしいね」


「何が僕らしいんです?」


「うわっ!」


「きゃ!」


「えっ?」


「あわわ!」


「はぅ!」


「お、おはようヨウ君。何でも無いのよ」


「あはは、そうそう、さっ、朝食にしましょっか」


「うん、行こ行こ♪」



 何故か皆そそくさしだしたけど、まあ良いかと思い皆で朝食を食べた後、新人交流会に出席するため新宿ギルド本部に向かう事にした。


 初めて大阪ダンジョンギルドを見た時も驚いたけど、新宿ダンジョンギルド本部は高層ビルの様に巨大な建物だった。


 館内図面を見た所、各種訓練施設から物品販売所、飲食店から会議室までありとあらゆるものが揃っていそうだった。


 僕達は受付で新人冒険者交流会の会場を聞いてから足を運ぶと、そこは大きな体育館のような場所で、既に新人冒険者らしい人達が大勢いる。


 聞いたところによると47都道府県から6人のフルパーティで招待されているらしいので282人、つまり300人近い冒険者が集まって来るようだ。


 早速僕達も会場に入ると、やはり冒険者は男性が多いのかアヤメさん達を見て歓声が聞こえてくる。



「何だあれ? あんなんで冒険者か?」


「新人冒険者にしては大人の女性って感じだよな」


「二人共何言ってんだよ、メチャクチャ綺麗な女性じゃないか、しかも5人もよ」


「確かに綺麗な人ね? 本当に冒険者なのかな~」


「そんな事はどうでも良いが、強そうな奴が全然いねえな」


「新人で<腕力強化>スキルを持ってる、お前みたいな奴の方が珍しいに決まってるだろ?」


「分かんないわよ~ これだけ人が居るんだもの、吃驚する程強い人も居るかもね」


「ハハハ、そうだと良いんだけどな」



 やはりアヤメさん達は非常に目立つのか、全国から集まって来た新人冒険者から声を掛けられている。


 無理も無いか・・・こんなところにアヤメさん達みたいな綺麗な女性がいたら興味も湧くよな。しかし、男だけなら兎も角、女性も集まって来てるのは何故だろう・・・


 僕は少し寂しい気持ちになりながら立ち尽くしていると、知らない女性から声を掛けられる。



「ウフフ、あの綺麗な女性達って貴方と同じパーティなんでしょ? 凄い人気ですね」


「はい、分かってましたけど綺麗な人達ですから」


「あらっ? 貴方も凄く可愛いくて魅力的よ?」


「あはは、ありがとうございます♪」


「ちょっと冒険者には見えないけどね」


「それは、良く言われますが自覚してますよ?」


「でも、此処に居るって事は有望な新人冒険者なんだよね、ウフフ、興味が湧くわ♪」


「僕は兎も角、アヤメさん達は凄く強いですよ」


「へええ~ 見た感じモデルさんにしか見えないのに、強さまであるなんてスーパーウーマンね」


「貴女も新人冒険者なんですか?」


「いいえ、私は此処の職員なの藤堂院透子とうどういん とうこって言うのよ宜しくね」



 この人が瀧見社長が言ってた東京の鑑定人なんだと思いながら返答することにする。



「僕は大阪から来ました三日月陽って言います、宜しくお願いします」


「ちょっと目を離したら、もうナンパしてるのヨウ君?」


「ブッ!? そ そんな訳ないでしょ? 怖い事言わないで下さいよ」


「んふふ、でも、ヨウ君のタイプみたいだけどー?」


「ち、違いますから、このギルドの職員さんですよ」


「フフ、貴女が興味の引くような人物は居ましたか? 藤堂院さん」


「ウフフ、いいえ、大して興味が湧く人物は居なかったわ、貴方達を除いてわね天満さん」


「あれっ? リラさんの知り合いだったんですか?」


「いえ、ヨウ様この方は有名人なので知っていただけです」


「ヨウ様ですか? やっぱり、天満さんの雇い主は貴方なのね三日月君」


「藤堂院さん、私はヨウ様に雇われているのではなく、仕えているのです。お間違えのなきよう」


「ウフフ、そうなのね、尚更興味が湧きましたが、私の目から見ても三日月君は普通の新人冒険者に見えるのは何故でしょう?


それに天満さんが双子なのは知りませんでしたわ、他の方も私の記憶では冒険者では無かったと思いますが不思議な事もあるものですね」


「フフ、僭越ながら御忠告致しますが、世の中には知らなくても良い事もあるんですよ? 『好奇心は猫をも殺す』と言う言葉を御存知ですか?」


「申し訳ありません。これは私のサガの様なものですので、どうにも抑える事が出来ないんです」


「それでは失礼しますね、またお会いしましょう」



 アヤメさんが<鑑定>スキルを習得するまで、日本で唯一人の鑑定人だったので有名なのも頷ける。


 やはり念のため昨日、僕達のステータスは<隠蔽>スキルで隠しておいて良かった。


 藤堂院さんから視たら僕達は何のスキルも持たず、ステータスも上げていない一般人に見えるだろう。


 皆も藤堂院さんを<鑑定>して納得しているようだ。


 普段は他の人を<鑑定>するような事はしていないが、今日は情報収集のためにもマメに<鑑定>しようと皆で話し合い決めておいた。


 相変わらずアヤメさん達に声を掛けてくる人が後を絶たなかったが、ようやく交流会が始まるのかマイクで声が入る。



【会場にお集まりの皆様、これから新人冒険者交流会を始めさせていただきます。


まず新宿ダンジョンギルド本部社長である古戸礼三ふるど れいぞうから歓迎の挨拶が御座います】


【全国各地から良く来てくれた、私が社長である古戸礼三だ。


皆さんにはギルドマスターと言った方が、分かりやすいかもしれないな。


もう、ある程度聞いてくれていると思うが、この交流会はダンジョンギルドの活性化を目的としている。


此処には地方では滅多にお目に掛かれない、優秀なAランクの冒険者が多数在籍している。


この交流会ではAランクの冒険者を招き、スキルや魔法を披露して貰う予定になっているので皆さんのモチベーションの向上になると思っている。


また、情報交換や技術向上のため簡単な模擬戦も行う予定なので、是非この機会を役立てて欲しい。


当ギルドでは世界に比較してもトップクラスの設備を有しており、最新の武器や装備品も置いているので見るだけでも楽しめるだろう。


新人の皆さんでは、まだ買えるような金額では無いと思うが、将来の目標として精進して欲しい】



 なるほど。大阪ギルドの瀧見社長が言っていた通り、かなり上から目線で自慢が好きなようだ。


 延々と此処が如何に優秀で地方とは比べ物にならないと、話を繰り返している・・・周りを見てもウンザリしているようだ。


 僕も少し辟易としていたが、ようやく話も終わったようだ。


 この後、人数が多いので幾つかのグループに分かれ館内の案内と説明をしてくれるようだ。


 トコトン自慢したいようだが、少し興味もあるので良いだろうと思う。


 自慢するだけあり訓練場から休憩室、トレーニング設備からお風呂場まである。


 上階はホテルになっており、冒険者にとって必要な物が全て用意されているようだった。


 それからは大学にある教室の様な部屋で、初心者講習では聞けなかった現認されているスキルや魔法の説明を受けた。


 僕達にとっては既に習得しているスキルや魔法が多かったが、僕達でも知らなかったスキルを聞けたのはラッキーだった。


 眠くなるかなと思っていたが、流石に冒険者に有用な話ばかりだったので飽きることなく最後まで楽しく聞けた。


 これだけでも東京まで来た甲斐があったと言うものだ。


 時間も過ぎていき1時間の昼休憩になったので、僕達はギルド内にある食堂へ向かう事にした。


 食堂と言ってもレストランのような作りになっており、メニューも中々豪華だったが値段もそれなりに高いようだ。


 大阪でも少し思ったが、やはり東京の物価は日本で一番高いのだろう。


 まあ、多少高いぐらい僕達にとっては何てことないんだけど、お金持ちになっても貧乏性は治らないらしい。


 ギルドにある食堂のせいか、殆ど6人掛けのテーブルになっており、ゆったりと座れるようになっている。


 僕達もテーブルに付いてメニューを見ながら注文し食事が運ばれてくるのを待っていると、不意に声を掛けられることになる。



「三日月? 三日月じゃないか?」



 僕の名前を呼ばれたので振り返って見ると、そこには同級生だった上小路うえこうじ 壮士そうしとその取り巻きがいた。


 ああ、そういえば僕は大阪のギルドを選んだけど、此奴等は東京のギルド本部に行ったんだったな。


 別に仲が良かった訳じゃ無いし、僕の事を小馬鹿にしてたような奴等だったんで完全に忘れていた。


 まあ、声を掛けて来た上小路は僕の事を小馬鹿にもしてなかったから、連絡先の交換だけはしたんだったっけ。


 そう言う訳で無視する訳にもいかないので返事をすることにした。



「久しぶり上小路、元気そうだね」


「三日月もな、冒険者志望の者で大阪を選んだのは、三日月だけだったから心配してたんだよ」


「ありがとう、御覧の通り僕も何とか頑張ってるよ」


「一緒に座ってる女性達って、会場でめちゃくちゃ目立ってた人だよな? まさか同じパーティなのか?」


「ああ、紹介するよ僕のパーティメンバーでアヤメさん、ナギサさん、リラさん、ノノさん、ツドイさんって言うんだ」


「それと、上小路達は高校の同級生なんだよ」


「へええ~ そうなんだ」


「おいおいおい、嘘だろ? チンチクリンのお前が、こんな美人の女性達と同じパーティだと?」


「おい、やめろよ、言い過ぎだぞ」


「ひゃ~ しかし、凄い美人だよなモデルさんみたいじゃねえか、お前マネージャーか荷物持ちで飼われてるのか?」


「あはは、冒険者としては頼りないけど、可愛い顔してるもんね分かるわ~」


「うふふ、年上の女性にはモテるんじゃない? ペットとしてだけど」


「いい加減にしろ。お前達、言い過ぎだって言ってるだろ?」


「分かった、分かった。相変わらず優しいなお前は、もう行こうぜ」


「そうだな、こんな弱っちい奴が来るようじゃ大阪も大した事ないな、俺達は東京にして良かったぜ」


「キャハハ、三日月は大阪で良かったんじゃない? 良い御主人様見つけたみたいだしね」


「・・・ごめんな三日月。彼奴等は口が悪くてな」


「知ってたから気にしなくても良いさ、それに上小路も彼奴等と同じパーティなんだろ? お前も同類じゃないか」


「なっ? 俺は彼奴みたいに礼儀知らずじゃない」


「そうか? なら何故同じパーティに入れるんだ? 人を見下すような行為も許容範囲だから一緒に居られるんだろ?」


「グッ! 注意はしているが、弱い者を見下す悪い癖が抜けないんだ」


「ほらっ? お前も本音が出てるぞ、どうして僕が弱い者って決めつけるんだ?」


「それは仕方ないだろう、俺達に比べたらってだけの話だ」


「あはは♪ 良いか上小路? これだけは言っといてやるけど、お前も彼奴等と同類だよ! 良い人ぶるんじゃない」


「むっ、もう良い・・・お前とは話にならないようだな」



 上小路は、それだけ言い仲間の所へ帰っていった。


 僕にとっては心底どうでも良い奴等だけど、久しぶりに会っても気分の良い物じゃないな。


 あっ! アヤメさん達も気分を害しちゃったかな、謝っておかないと。



「えっと、すみません。気分を害しちゃったかな」


「フフ、ヨウ様。彼等を殺しても良いでしょうか?」


「フフ、フフフ、リラ姉様・・・細切れにしてやりましょう」


「ウフフ、消し炭にしてやるわ」


「んふふ、ふふふ、オークのエサが良いんじゃない?」


「同級生が友達とは限らないよね、僕も手足ぐらい引き千切ってやりたいな」


「ブッ!? あー、彼奴等の事はどうでも良いので、忘れて下さい。昔は色々腹も立ちましたが、今では道端の石ころのように気にもなりませんから」


「フゥ~ どうせ、ああ言う輩は強そうな者にはペコペコするんでしょうけど、今のヨウ君の強さを見せてやりたいわ」


「ヨウ君に比べたら、ゴミのように弱いのにね~」


「フフ、フフフフフ、次に会うのが楽しみですわ♪」



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