和勇牛
牢獄の静寂を切り裂くように、世一の低い声が響いた。
「おい、起きろデカブツ」
瓦礫に埋もれた和勇牛が、呻き声を上げながらゆっくりと顔を上げた。
「ぐ、ぐっ、、」
世一は、倒れ伏す巨漢を見下ろし、冷たい声で言い放った。
「お前は俺に負けた。コレからお前は俺の物だ、頭に叩き込め」
和勇牛は、苦悶の表情を浮かべながらも、武人の誇りを失わずに答えた。
「ぐ、我も武人の端くれ、、我に勝てし者は主として仰ごう」
世一は、和勇牛の言葉に耳を貸さず、次の言葉を続けた。
「今から貴様らの言う、大神とやらを破壊し世界を壊す」
和勇牛は、その言葉に驚愕し、思わず声を上げた。
「な!大神様を殺すと言うのですか!?世界を!?」
「む、無理でございます!幾ら主が強いといっても、大神様は殺せません!」
世一は、和勇牛の言葉を遮るように、静かに言った。
「黙れ」
その一言に、和勇牛は言葉を失い、体を震わせた。
「ひっ」
「誰が殺すと言った?俺は破壊しにいくと言ったぞ」
和勇牛は、意味を理解できずに戸惑った。
「は、、はい、、?」
世一は、牢獄の隅に控える結に向かって声をかけた。
「結」
「は、ハイ!」
結は、緊張した面持ちで世一に応えた。
「今すぐ大神とやらの場に案内しろ」
「は、はい!では地獄門を開き、大神への道を開きましょう!和勇牛!」
結は、和勇牛に指示を出し、彼もまた、己の役割を理解し、その巨体を奮い立たせた。
「は!この和勇牛 主の為鬼神となり主の歩く道を開きましょう!」
結は、決意を新たにし、世一に告げた。
「私は世一様の手となり足となりどこまでも付いて行きます!」
こうして、世一、結、そして和勇牛の三人は、大神のいる場所へと向かうため、地獄門を開き、破壊への道を歩み始めた。