煙
「、、、あー、あれか。気に入らねぇから殺しただけだ」世一は吐き捨てるように言った。
結は、震える声で言葉を紡ぐ。「、、私、知っています、、貴方様はあの悪党達が白い花々を踏み荒らそうとしていた時、怒って……」
「花々達や、貴方様が守ってきた小さき者達から、貴方様の地獄行きをやめるようにと嘆願書が続々と届いています」
世一は、黙り込んだ。
「、、貴方様は、荒々しいけれど、自由で、小さき者を守る優しさを持っていらっしゃる」
「おい、ヤニのおかわりだ」世一はそっけなく言った。
「は、はいっ!門番!ヤニを持ってまいれ!」結は慌てて門番に指示を出す。
「ハハッー」門番はいつものように従順に頭を下げた。
結は世一に振り返り、「さ、どうぞ」と震える手でヤニを差し出した。
「火」世一は短く言った。
「はいっ!」結は慌てて火を差し出す。
世一は煙を深く吸い込み、吐き出した。「フーッ、で?なんだ?俺に何の用だ」
「はっ、はいっ!此度の件も、私を守ろうとして……」結は言葉を詰まらせた。
「熱っ!あ、ありがとうございますぅ!!」結は、世一が落とした灰に触れ、感謝の言葉を口にした。
「私を守ろうとしてくれた行動で、あ、貴方様を死なせてしまった」
「俺は貴方様じゃねぇ。俺には世一って名がある」世一は訂正した。
「はいっ、よ、世一様ぁ!!」結は涙声で言った。
「熱っ!もっと!私にご褒美を!!」結は、熱さを感じながらも、恍惚とした表情を浮かべた。