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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ラストエンペラー 皇帝辞めた後は趣味三昧 もう一度皇帝になってくれと頼まれましたが断りました

ダイダロス暦12024年、革命が起こり、レオンハルト21世は皇帝の座を退いた。

これにより、レオンハルト朝の歴史に幕を下ろした。

ここまでは、ダイダロス帝国の正史に書かれてあること。しかし、ここに書かれていないこともある。


レオンハルト19世の治世、栄華を極めたダイダロス帝国、レオンハルト朝も、末期を迎えると、国情は乱れに乱れていた。

各地で反乱がたびたび起こり、その反乱を抑えることが出来なくなっていた。国軍も長い平和に慣れ、腑抜けになっていたのだ。

弱小国との戦争にも負け、周辺諸国に領土を割譲(かつじょう)され、半植民地のような状態となっていた。


レオンハルト19世には6人の子がいたが、長男から五男までは既に死去、六男が後を継ぎ、レオンハルト20世となった後も、前皇帝が実権を握り続けていた。


私は、レオンハルト21世。19世は私の祖父であり、20世は私の父だ。


しかし、レオンハルト19世は晩年はほとんど寝たきりの状態となり、その間は、おばばこと皇太后が、実権を握った。おばばは、私の祖母だ。


レオンハルト19世は、まもなく崩御(ほうぎょ)し、国葬(こくそう)が行われた。


国葬(こくそう)に反対する一派が、爆弾テロを起こしたが、国葬(こくそう)は予定通り行われた。


20世が後を継いだが、もはや何の力も無く、実権はおばば、皇太后が握っていた。


ちなみに私は、その20世の六男。つまり私は、先々代の六男の、そのまた六男ということになる。


俺の兄たちも、既に死去。跡取りは俺しかいないということで、ある日突然、俺はわけもわからないまま、王宮に連れていかれることになる。


「その子は、皇太后様のご命令により、王宮に連れていき、レオンハルト21世として即位させることとなりました。」


19世に続いて、20世も崩御(ほうぎょ)したというのが理由だ。


「よし、連れていけ!」


従者たちが、数人がかりで俺を連れて行こうとする。俺は泣いて抵抗するが、従者たちの力は強く、幼子に抵抗するすべは無かった。


そして、王座に座らされ、わけもわからないまま、レオンハルト21世として即位することになった。


否も応も無く、即位させられ、そして次期皇帝としてかしづかれる生活が始まった。


当然、俺には何の力も無く、おばば【皇太后】が引き続き政治の実権を握り続けることに。

要するに、名前だけの皇帝として据えておくのに、都合が良かったからだ。


おばば【皇太后】は、落日を眺めていた。

落日は、あたかもレオンハルト朝、そしてダイダロス帝国の行く末を表しているかのようだった。


それからまもなく、おばば【皇太后】も死んだ。


俺を勝手に皇帝に据えておいて、自分はさっさと死ぬとはな。身勝手なおばばだ。


政治の実権は、摂政(せっしょう)が引き継いだ。


一方で、国葬反対派は、帝政廃止、共和制への移行を訴えてきた。


「あんな派手な国葬を行うなんて、国民は生活もままならないほど苦しいというのに。」


「こうなったら、革命を起こすしかないようだ。

止めてもムダだ、俺たちはやると決めたらやるんだ!」


「とにかく、この帝国はもう、自浄能力の無い国だな。」


革命に賛同する者は次第に数を増していった。一方で、その時の俺は、外で何が起こっているのかも、分からずにいた。


ついに、革命は起こった。ダイダロス暦12024年のことだった。


レオンハルト21世は、皇帝の座を退く。とはいっても、俺の意見なんか聞かないで、おばばと、取り巻き連中が勝手に決めたことだったから、実感は無かった。


こうしてレオンハルト朝の歴史に幕を下ろし、それと同時に、12024年続いてきたダイダロス帝国の歴史にも、幕を下ろすことになった。


しかし、俺のその後の物語は、ここからが始まりだった。


帝政廃止、共和制移行、そしてダイダロス共和国の初代大統領になったのは、なんと皇族の血筋でもなければ、革命側の指導者でもなく、棚ぼたで大統領になったような、それまで全く表舞台に出てこなかったようなやつだった。


政治家なんて、やることさえやってくれれば、誰でもいいのか。ああもう、政治には興味が無くなった、これからは趣味に生きる。


どうせ俺が表に出て、意見を主張したところで、聞き入れる者は誰もいない。


それから時は流れ、大陸進出を目論む某国が、その足掛かりとして、傀儡(かいらい)の皇帝を立てるという。これ、史実では快く受け入れるのだが、


「断る。私は皇帝にはならない。趣味に生きる。

今後も政治に口出しするつもりは無い。」


と、断った。また飾り物の、名前だけの皇帝に据えられ、かしづかれ、ただ王座に座っているだけの日々か。そう思った。

また、都合良く利用されるのが、嫌だった。

地位や名誉にこだわらず、自分の趣味を自分から、楽しみたいように楽しむ。そういう生き方がしたかったのだ。


そして、俺が熱中した趣味というのは、写真(しゃしん)撮影(さつえい)骨董品(こっとうひん)の収集、絵画、彫刻、さらには、撮影した写真を写真コンクールに応募したり、自作の小説を投稿したり、自作の俳句を投稿したり、多岐にわたる。


チェスにも挑戦した。最初はルールがさっぱりわからなかったが、これは奥が深いなと、のめり込むようになっている。ただし、あまりそればかりに夢中になり過ぎないようにと、クギをさされた。






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