情報
かなり遅れましたが、新しいお話です。楽しんでください。
11.情報
冷や汗を掻きながら、現状の確認をする。
片方は重々しく、神々しく、白を元に金の装飾が所々に散らばっている兜と重鎧を着こなし、片手には鎧と同じ装飾であり円形型の盾を手に持つ。もう片方の手には、物騒な大型のランスをこちらに向けている。ただそのランスには柄が見当たらず、どうやら刃の内側に付いているようだ。姿からして攻撃を耐えることに長けているタンクだろうか。現状の少ない情報で決めつけるのは危険だが、他の二人の装備を見るに、ほぼ間違いないだろう。
何故ならもう片方のプレイヤーは、片手銃をこちらに向けているからだ。
軍帽を深く被り、更には軍用ゴーグルをつけ、何らかの細工がされているからか目元が見えない。更にはガスマスクを付け顔を出来る限り見せないようにしている。身長は俺らの中では一番小さいものの、着付けている軍事用コート、カーゴバンツ、ブーツなどの威圧感ダダ漏れの装備を身につけいる。こちらはもう片方と違ってかなり距離を空けている。まぁ装備を見るに当然なのだが...厄介だ。
そして問題の真正面。
茶色でありながら煌びやかに輝く翼。身体に装備と言えるものはなく、羽毛で覆われた上半身、なんらかの民族がつけていそうな腰の民族衣装。そして力強く大地を踏み締める鳥の足……そして大きな嘴をもつ鷹のような鳥頭、少しだけ愛くるしい...考えてる場合じゃないな。こちらは他の二人と違って武器を構えていない。魔法を使えるのだろうか。
しかし、行動しなければ彼らに、リンチにされるだけだ。冷静に言葉を選ぼう。
「えーと...悪いプレイヤーじゃないよ」
「お前ここでそれ言うか?明らかに悪手だろ」
「...」
「本当勘弁してくれ、さっきまで死にかけてたのに...」
「...あーお前も同じ感じか...取り敢えず座れよ」
言われるがままに、取り敢えず、彼らと同じテーブル腰掛ける。
そして真っ先に、額に手を当てている鳥人が口を開けた。
「実はさー全員初対面なのよ。これで同じ光景を見るのは3回目...そろそろ整理しない?」
全員が頷き、静かに席に着く。
「取り敢えず、簡単な自己紹介するか。俺はオノ、職業は主に種族、鳥人と《斧使い》を中心に立ち回る攻撃主だな」
なるほど……少々情報が少ない、わざとだろうけど……種族は職業の熟練度とは違い種族レベルが存在する。レベルからもわかる通り、熟練度とは違い、少量ではあるが、ステータスも上がる。要するに《種族》を持つ者たちは、レベルを2つ所有しているといっても過言じゃないのだ。そしてそれらの《種族》は一定のレベルまで行くと、進化する。これが種族というゲームシステムが希少であり、今も尚、プレイヤーによって引っ張りだこな理由だ。
とはいえ、嘘はついてない。必要最低限のことしか言っていないのだから、別にこれ以上言及するつもりはない。プレイヤーには必ず奥の手があるからね。
そんなことを考えていると次は、聖騎士風の少年の声を聴く。
「ルアだ!主な職業は聖騎士と……色々!主な仕事は壁役だよ!」
目をキラキラと輝かせながらルアがいう。
やはり壁役、想像通りといえばそうだけれど、あまりにもそのまんま過ぎやしないか?それに彼からは裏を読み取れない。彼はあまりにも真っすぐで、純粋なのだ。少しばかり光っても見える。それ過去の陽気な態度からは考えられないほどの何かを隠しているのだろうか?
「ヴァルトラ……他はノーコメント」
こちらはルアとは真逆でできる限り情報を隠している。理由はいくつもあるだろう。一番の要因は安全を確保できないことにあるだろうけど。最近のゲームでは、犯罪者の所在地などを見つける為、顔のパーツは変えられないようになっている。その為大抵のプレイヤーは身バレ防止の為、仮面などの顔を隠す装備を常備している、それでも、目すら見せてくれないなんて少し、いやかなりガードが堅いと見える。
そして最後は自分。
「凪です。主な役割、攻撃主ですが、壁役もそれなりにできます。」
隠す必要はないが、一応念のため、手の内ができるだけ隠せるように自分の自己紹介をする。
「これで全員だな。さて、どこから始めるか……」
彼がヴァルトラのほうを見る。銃だ、リボルバー式のなかなかに殺傷能力の高い拳銃。それをオノに向けている。軍服から想像ついていたがヴァルトラは《銃士》のようだ。
そんな光景を俺とルアは見るだけである。ルアはともかく、自分はこうなってしまったのはしょうがないと思っている。なんせ一番能力の高いオノさんに不信感を持つのは当然だからだ。
彼はあまりにも、何も言わなかったのだ。今全員がこの場にいる、すべての者達に不信感を集っている。それは現状とても危険で命がけの賭けでもある。
そう考えている時、彼が動いた。
「俺らが争わずにこの場から出る条件はないのか?ヴァルトラ」
唯一オノに銃を構えるヴァルトラにオノはただ冷たい視線で訴えかける。その光景を見たヴァルトラは一度引き金に手をかけ、プシューと息を吐いた。白い煙が消える頃にヴァルトラ、小さくそれでいて聞き取りにくい声でこう言った。
「情報...」
「わかった。取り敢えず、俺らで情報を交換するか」
肩の荷が下りるのを感じた。
一時間ほど話し合い、今これらからの行方を決めている。
現状、最大の情報源であったワールドチャットは、自分が眠っている間に閉鎖された。理由は不明。オノ曰く大量のプレイヤーが一気に書き込んだ為、チャットサーバーがオーバーヒートでもしたのだろうと語った。
それに加え、現状はイレギュラーな事が多く、さらにお知らせらしき物も運営から出ていないので元に戻るかは流石にわからないらしい。
「そうなると外部との連絡が取れんな」
「ワールドチャット及び、運営との連絡ができませんからね」
「おまけにこのダンジョンはクリアしない限り脱出できない」
「最高難易度のダンジョンだからな!」
「他にはあるか?」
オノさんが視線をヴァルトラに移す。そして先程と同じように、呟いた。
「...他に仲間は...」
「いない。強いて言えばお前らだけど...現状、全員が全員を敵だと思ってるからな」
言ってしまうと彼の仲間が居ないってのは信じられない。そもそも俺は彼が入っているとこを見ていないし、彼の仲間が何人いるのか見当もつかない。
ただ彼がここを1秒でも長く出たいと思っているのは言動や行動でよくわかるし、共感もしている。
「で?仲間になるつもりは?」
「...裏切らない理由がない...それに私がお前らと共に戦う理由もない...」
「でも裏切る理由もない。そもそも俺はここからさっさと出たいと思っているし」
「理由...」
「俺の仲間の行動が気になるからだ。それとここは安易に攻略できるようなダンジョンでもない」
「...」
きっぱりと答えるオノさんをヴァルトラはただ静かに眺めていた。それと同時にしばしの静寂が訪れる。
そんな中、突然――
「ならば共に戦う理由を作れば良いじゃないか」
そう口を開いたのはルアであった。
ご拝読頂きありがとうございます。
やはり、仕事、勉強、小説となるとかなり投稿までに時間がかかりますね。これからも多少投稿が遅れることもあると思いますが、ぜひ気長に待ちながら、楽しんでいただけたらな~と思います。コメントもぜひ!それじゃあ、皆さんよい一日を!!!!




