初恋の姫は、竜の神殿にいる 3
「そうね。ルーファスもいつか、ルーファスの花嫁を大事にしてあげてね」
「ぼ、ぼくは、けっこんなんて……!」
ルーファスは真っ赤になった。
けっこんなんて、考えられない。
ちびは叔父上と結婚してしまうし、もうきっとルーファスは、一生、結婚できないのだ。
「もちろん、遠い未来にね。母様も父様も、まだルーファスを独占していたいもの」
「僕は結婚なんてしませんっ」
人生で初めて好きになった、ふわふわできらきらした女の子とは結婚できそうにないので、他の子なんて考えられない。
ルーファスの人生は、まだ、齢五年だが。
「ルーファスさまっ」
「ルーファスさま、失恋で世を儚むのは早うございますっ。レティシア姫以上にルーファス様を想ってくださる姫君がきっとあらわれますっ」
「そうでございますっ、私どものルーファス様は魅力的ですからっ」
「うるさいぞっ、おまえたちっ。勝手に僕を失恋させるなっ」
ルーファスはまた髪をライオンのように振った。
「ディアナの王太子が、初恋に失恋からの独身主義では悩ましいわね」
「ははうえまでっ、そのようなっ」
みんな笑ってるけど、ぜったいにないしょだけど、僕は本気なんだぞ!
本気で、あの子以外なんて考えられないから……っ。
もちろんそんなこと言えないけどっ。
(ルーファス様。来年は、薔薇祭にいらして、御一緒に、いちご摘みに参りましょうね。わたしがいちごの小道をご案内します……!)
しかし、来年はフェリス叔父上のシュヴァリエの薔薇祭にお邪魔して、レティシアと苺摘みに行く約束をしたので、来年もルーファスは元気に生きなければ。
(そしてそしてっ、可愛いケーキをたくさん用意して、推し会を致しましょうねっ)
謎にはしゃいでいた琥珀の瞳の姫君をがっかりさせるわけにはいかない。
「大丈夫よ、ルーファス。レティシア姫ほどの美姫でなくても、気立てのいい可愛らしいディアナの令嬢方と、お茶会の予定を作るわ」
「いりませんっ。ぼくは、れいじょうが好きなわけではありませんっ。どちらかというと、にがて……っ」
まったくどうして、母上も、女官たちも、大人というのは、こう無神経なのだ!
僕のことは放っておいてもらいたい!
「そう? では、沐浴中のフェリス叔父上の大事な婚約者殿を神殿に覗きに行ってはダメよ?」
「な……! の、のぞきなど、と、とんでもないことです……!」
ルーファスは顔から火が出そうに真っ赤になった。
「フェリス殿下はあなたに甘いから、きっと神殿に突撃しても怒らないで遊んでくださるでしょうけれど、母はお勧めしないわ。授業をサボらず、お勉強なさい。きっとレティシア姫も、ディアナの御令嬢方も、聡明な王子がお好きよ」
「うぐぐぐ……!」
もちろんだとも。
何といっても、ちびは、毎日逢って会話しているのが、ルーファスの歳から神童と謳われたフェリス叔父上なのだ。
通常の男子より、聡明な男子が好きなことは間違いない。
話題のない男子だとおもわれぬよう、やはり、勉学は怠ってはならない……。
「ささ、ルーファス様、歴史の先生がお待ちですわ……!」
「ううう……!」
母上にうまく丸め込まれた気はするが、失恋疑惑を晴らす為にも(事実だが)、日々の勉学は怠ってはならない……。
心が、神殿の水遊びに飛んでいようとも……!
「ルーファスもフェリスも、うちのちびたちは幼くして、僕はきっと誰も愛せない、とか言いすぎ。そんなセリフは百万年早い。オレの孫なんだからモテるに決まってるだろ」(from竜王陛下じーちゃん)
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