初恋の姫は、竜の神殿にいる 2
「そうよ。レティシア姫はうんと幼くて、フェリス殿下の妃になるの」
「……」
「幸い、レティシア姫とフェリス殿下はとても仲良しだけど、やはりレティシア姫は大変だと思うわ。私たちは、これから家族として、レティシア姫を影ながら支えていきましょうね、ルーファス。あなたはレティシア姫と歳も近いのだし」
「は、はい、もちろん」
ちびの支えになれたら、嬉しいと思う。
家族になるんだから。
……家族に、なるんだから。
ちびが家族になることは嬉しいのに、大好きなフェリス叔父上の隣で笑うあの姫を想像すると、胸のあたりがチクチクするのはなんでなんだろう?
もし、僕が。
僕があの子の……婚約者だったら。
沸き上がってきた気持ちを振り払いたくて、ぶんぶん、ぶんぶん! ルーファスは首を振る。
「ル、ルーファスさま?」
「ルーファス様、何処か痛いのですか?」
「何でもない! ちょっと髪型をなおしてるんだ!」
物凄く無理のある言い訳を、ルーファスは言いはった。
(まあなあ、勝負は、負けなきゃなんないときもあるさ。……勝つことだけが、一番なわけでも、正しいわけでもないからなあ)
竜王陛下の絵本の言葉を、意味もなく思い出す。
ルーファスには難しくてよくらからなかったけど。
それにそんなこと言ってる竜王陛下は、どんなことにも、一度も負けそうにない人(竜神様)だけど。
「か、髪型ですか?」
「お、御髪をなおしましょうか、ルーファス様? そんなに振っては、いけません……」
王太子宮の女官たちは、いつも軽口ばかり言ってるが、ルーファスを大切にしてくれている。
「ルーファス」
「はい、母様」
「レティシア姫が、初めて、このディアナ宮殿にお着きになったとき、それはそれは、暗いお顔の寂しそうなお姫様だったんですって」
「……? 想像できません」
レティシアは、いつも笑っていた。
いつも明るくて誰にでも優しくて、でも、でもフェリス叔父上が侮辱されたら、まるで、あの小さな身体が爆ぜるように怒り出す。
ディアナ人が、ひそかにちびを歓迎しているのは、秘めたる気性で、あのおばあ様にも負けないほどの姫だからだ。
一番最初に、おばあ様の御茶会にルーファスが忍び込んだときも。
フェリス叔父上とレティシア主催のお茶会でせっかくきれいな大人の姫に化けてたのに、フェリス叔父上と竜王陛下を侮辱するな! と子供の姿に戻ってしまったときも。
あの子はとても強い姫だった。
寂しそうにも、悲しそうにも、心細そうにも、見えなかった。
それはきっと……。
「そうね。私達は、フェリス殿下と御一緒の幸せそうなレティシア姫しか知らないわ。……それって、どういうことか、わかる?」
「……フェリス叔父上が、とてもちびを大切にしていて、あの姫が幸せだという……ことです」
もちろん、悲しいくらい、わかってる。
うまく言えないけど、ルーファスはきっと、大好きなフェリス叔父上の幸福そうな笑顔も含めて、あの子が好きなのだ。
ルーファスには決してできなかった、大好きな人の寂し気な影を消してくれた、春の陽ざしのようなあの少女が好きなのだ……。
「可愛いうちのルーファス。やめとけやめとけ。フェリスの恋敵なんてたちの悪い役回り」(from竜王陛下おじーちゃん)
三月一日に五歳五巻とコミック三巻が発売になります!
ご予約など頂けると嬉しいです! 活動報告に特典詳細など載せてます♪
1/1にブックライブでコミカライズ先行15話配信されてます♪





五歳で、竜~コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載