優しい眠りを覚ますもの 6
「こちらはフェリス宮ではありませんからね、坊ちゃま。常に節度を……」
「サキ、わたしが……」
「レティシア様は夜が恐ろしゅうございましたら、坊ちゃまのところにいらしてもよいのですよ。お小さいですから。慣れない神殿は広くて怖いかもしれませんからね」
「え。ええ? そんなダブルスタンダード……?」
普段が公平なサキにもあらず、激しく、レティシアとフェリスで話がだいぶ違う。
ち、ちっちゃいからレティシアは無罪なんだ……? フェリス様ちょっと可哀想……。
「坊ちゃまは騎士として紳士として、レティシア姫の御名をお守りしなくてはなりません」
「うん。気を付けるよ」
フェリス様はでも、サキに怒られるの、とちょっと嬉しそうなんだよね。
王太后様にいじめられるのと違って、ちゃんと愛情感じるからだと思うけど。
「でもサキ様。神殿の皆様、お二人が仲の良いことに驚いて、喜んでおいでですわ。私、昨日も、レティシア姫、聡明で可愛らしいって話してる神官様の御話聞いて、鼻が高かったですわ」
リタがにこにことフォローしてくれる。
「これ、リタ、盗み聞きはいけません」
「私は慎み深く歩いていただけですが、神官様のお声が大きいから聞こえたんですの! 御二人で、竜王陛下の絵を鑑賞してらっしゃる様子が天上の者のようだと! 神殿の参拝客が、遠めにお二人に見惚れてらしたと! わかりますわ、見惚れる方々のお気持ちは! うちのフェリス様とレティシア様はお美しいですもの!」
ふんふんふん! とリタは、ご満悦だ。
「あ。私が竜王陛下にきゃあきゃあ言ってたのが……」
レーヴェ神殿楽しい! 楽しすぎる! とフェリス様につきあってもらって、レティシアが大満喫してたのが、皆様の御目に触れてる……。あ、あう……。そ、そっとしといて、聖地巡礼……。
「レティシアが可愛い姫だっていうのは、ぜひ、噂にしてほしいよね」
「フェリス様、なにを仰って……」
「噂も大事だから。うちのレティシアが、いかに清らかで、レーヴェの優しい庇護の手のもとにあるか、不浄とは縁のない王女であるかを、皆に知ってほしいなって……」
フェリス様に抱き上げて飛翔してもらって、竜王陛下の天上画にきゃあきゃあ言ってるだけで、清らかな王女とは思ってもらえないと思いますが……! むしろ、推し活煩悩マックス状態でしたが……!
「きっと伝わってると思いますよ。何よりフェリス様がレティシア姫にとてもお優しいので、皆様、驚いておいでですしね……フェリス様、お召替えのお手伝いを」
「レーイ。婚約者に優しくて驚かれる僕もどうなんだというね……」
レイが扉の外で微笑んでいる。レイ、ごめん。お部屋にいないから探しに来たのね、フェリス様を!
「……では、僕は一度、部屋に戻るよ、レティシア」
「はい、フェリス様」
「朝食を一緒に食べよう」
「はいっ!」
朝ごはん何かなーとわくわく思いながら、髪を撫でてくれて、フェリス様が去っていくのを、ちょっと寂しく見送った。ずっと一緒なのに、ちょっとでも離れるのが寂しいなんて、サキの言葉じゃないけど、最近ホントに甘えてるなあ、と我ながら思いながら。
「神殿デートのお布施は、ふかふかの蒸しパンを所望だぞ」(BY恋の神様な竜王陛下)
三月一日に五歳五巻とコミック三巻が発売になります!
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『五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました@COMIC』コミカライズ三巻表紙
『五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました@COMIC』コミカライズ連載