優しい眠りを覚ますもの
「んんん、いい匂い……」
レティシアは瞼をぴくぴくさせた。
薔薇のシャンプーの匂いがする。レティシアの髪とおんなじだけど、もうちょっと爽やかなかんじの……。
「……あ、フェリスさま……」
レティシアを抱き込むように、レーヴェ神殿の神像のような美しい人が眠っている。
いけない。
また、フェリス様の御部屋で寝ちゃっ……。
あ、違った。
今日はレティシアの部屋だった。
魔法でお夜食取り出せないかしらと唸ってたら、フェリス様が来てくれたんだ。
「フェリス宮の厨房の皆さん、たくさん、お夜食、ご用意してくださってましたね」
安らかに眠る美しいフェリスに向けて、レティシアは囁いた。
レーヴェ神殿は竜王陛下の美しい絵画や彫刻にあふれた推し活の聖地だけど、フェリス宮はやっぱり家だなあ、と思う。
いつでもフェリス様とレティシアを待っててくれる。
「きっとフェリス様の偏食の心配して、用意してるのよね……」
そういえば、うちの宮は、僕が外遊とかしても、僕の食事を用意してあったな、てフェリス様が言ってた。
そもそもが食の興味が薄くて、警戒心の高いフェリス様が、よそに行ってパクパクと食事する姿は浮かばないから、フェリス様、何も食べていらっしゃらないんじゃ……て心配して、厨房の皆さん、いつも御馳走用意してあるんだろうな、と想像できて、微笑ましかった。
フェリス様が召しあがらなかったお食事は、皆の豪華な賄いになります! もったいないほどです! ただでさえ僕たちよその宮よりよくして頂いてるのに、て厨房のお手伝いの男の子が笑ってた。
フェリス宮は主のフェリス様の不器用な優しさに満たされていて、とってもあたたかい。
(いつまでも僕が領主とも限らないから、僕じゃない者が来ても、皆が困らないように……)
とても優しいけど、この竜王陛下の貌をした人は、何かの気まぐれで天に還ってしまわれるんじゃないか、て皆が何処かで不安がる気持ちもわかる。
(おまえの婚約者は、神にも王にも成り代われるほどの男だと思わんか?)
ガレリアの王様にそう尋ねられたけど、レティシアはそんなこと思わない。
もちろん、我が推しフェリス様は凄く優れた方だと思うけど。
でも、フェリス様、神にも王にもなりたがってないもの。
ご先祖のやんちゃな竜王陛下が大好きで、フェリス様に甘いマリウス陛下を大切に愛してらっしゃる。
この世の人ではないような美貌な方なんだけど、フェリス様、家族愛に満ちてるのよね。
何なら折り合いの悪い王太后様のことも、あきらめきれずに大切になさってる。
フェリス様はむしろ、普通の人とは違う自分の置き場所に困ってらっしゃるような方だ……。
「レーヴェ神殿の沐浴、やっぱり霊験あらたかなのかな? レティシアもフェリス様もつやつやになった……」
「ん……? レティシア……?」
フェリス様のおでこ撫でたいなー、でも起こしたくないー、とレティシアが思っていたら、フェリスの薄い唇が動いた。
昨日、五行くらい書いて寝ちゃってました! あと三日で来年ですね!
今年の御鏡餅高い……とびくりした御餅大好きなあやより(笑)
「意外と家庭的だからお勧め物件だぞ!」(from竜王陛下)
来年三月一日に五歳五巻とコミック三巻が発売になります!
ご予約など頂けると嬉しいです! 活動報告に特典詳細など載せてます♪





『五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました@COMIC』コミカライズ三巻表紙