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15万部突破【書籍⑤巻&COMIC③巻予約受付中】五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  作者: あや


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花嫁に浮かれるレーヴェ神殿 4




レーヴェ神殿は千年の昔からこの地にあり、ディアナの人々の喜びも悲しみも、生も死も、愛もすれ違いも見守ってきている。


その腕に等しく、レーヴェの子らを抱いて、癒してきてはいるが、なかなかにままならぬことも見てきている。


当代のディアナ王家でならば、レーヴェ神殿に、フェリスの母イリスが舞を奉納し、イリスにステファンが恋に落ちた時。


竜王陛下の竜王剣が、ディアナ王の戴冠の儀で、マリウスを選べなかったとき。


マリウスが選ばれなかったことで、マグダレーナの心は張り裂け、許されない嘘をついたとき……。


それを見つめていたレーヴェ神殿も哀しかった。


そのときのマグダレーナの心に溢れていたのは、玉座への野心というより、誰にも我が子を傷つけさせるものか、レーヴェ様の血が流れていないなどと言わせるものか、という必死さだったので。


ただ、もしかしたら、レーヴェ神殿が、それこそ、何処か、少しくらい崩れて、知らせてやるべきだったのかも知れない……。


マグダレーナの噓により、資質で言うなら、本来、ディアナの玉座にいるべき、フェリスが、王の冠を抱けなかったから、可哀想だというわけではない。


フェリスのこの世での孤独や悲しみは、ディアナの玉座とは無関係なところで生じていて、それはいまサリアからのレティシアの訪れを得て、ほぼ解消されている。


あの小さな姫君は、寄る辺ない、魔力だけを持て余していた、孤独な竜の仔に、幸福の花冠を与えたのだ。


それはディアナの王冠よりも、フェリスにとって、ずっと、価値のあるものだ。


このレーヴェ神殿の主人のレーヴェからして、そもそもは、この世界の豊穣を司る存在なのだから、人の子の玉座に執着があるわけではまったくない。


愛するアリシアやディアナの者たちが、レーヴェに望んだ場所にいただけのことだ。


レーヴェ神殿が、何とかしてやれなかったものか、と嘆いたのは、あのときの、竜王陛下の竜王剣に、我が身と我が息子を拒まれた、と勘違いしたマグダレーナの絶望のほうだ。


そうではない、それはそういう意味ではないのだ、とレーヴェ神殿は思っていたけれど、それを嘆きの王妃に伝える術もないまま、いまに至っている。


マグダレーナが、ずっとフェリスに辛くあたるのは、フェリス本人が知らずに多く持っているものを羨んでのことなのだが、大人になったいまはまだしも、少年のころのフェリスは交わすすべもなく、ただその矢面に立たされていて、途方に暮れていた。


その孤独なフェリス少年の涙もまた、レーヴェ神殿は覚えてている。


だからこそ、いま、幸福なフェリスの腕に抱かれて、竜王陛下の天井絵にはしゃぐあどけないレティシアが愛しくて仕方ない。

新しいパソコン来ました! 今日の更新から新しいPC子で書きました!


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