ディアナ王立魔法学院の卒業生として
「久しいな、我が友よ。フェリスはサリアの王女に首ったけだと聞いたぞ?」
水鏡の向こうに写る元学友の何か言いたげな笑顔に、フェリスはまさに氷の美貌で応じる。
「出逢った日から、僕は我が花嫁に心を奪われておりますので、否定はしませんが。……御用向きは? 陛下?」
森の王国セイシェルの若き国王リヒトは、ディアナ王立魔法学院に遊学していたことがある。
「陛下はやめろ、こそばゆい。ちゃんと名で呼んでくれ、友よ。……リリア僧の話を聞きたくてな」
「では、リヒト。……僕に何か尋ねるまでもなく、セイシェルからリリア僧は国外退去を命じられたと、聞きましたよ。セイシェルに限らず、ディアナでの風説の流布事件以来、リリア僧が各国で制限を受けてる様で、そのせいで僕が逆恨みされないか、ディアナの騎士たちが案じてくれてます」
フェリスは肩を竦める。そういうわけで、兄上からもアルノー達からも、フェリスの警備を増員させてほしいと言われている。なかなかにこの世のことは、いろいろと、めんどうである。
「それはフェリスのせいじゃなくて、リリア僧の日頃の行いのせいだよなー。何かとうろんな動きをしてたから、何処でも、もともと悩みの種だったんだろうし」
「……、……」
気楽な様子の元学友の顔を見ていると、フェリスは不思議な気分になる。
セイシェル国王御病気、とのことで、リヒトは魔法学院留学を切り上げて、国に戻り、国政を助け、王を見守り、やがて王の崩御とともに、セイシェル王となった。
他国の王子が、魔法学院に留学してくること自体は、珍しくない。
それはディアナで学び、いまのリヒトとフェリスのように、生涯の友を与える。
リヒトは王位に就き、フェリスは花嫁を迎えようとしている。
誰もが、ずっと、魔法学院の制服を着た子供ではいられない。
「……リリア神の手に世界のすべてを、なんて、可能だと思いますか、リヒト?」
フェリス自身は、そんなことは不可能だと思う。
どんなに修行僧たちが各地で少々無理のある布教活動をがんばっても、フローレンス大陸中の人の心なんて、そうそう自由になるまい。
「無理だろ。大陸すべてをなんてヴォイドも夢見てないんじゃないか? ディアナが落ちたら右に倣う国もあるかも知れんが、そもそもディアナは国教だからどうこうでなく、国民がレーヴェ神を愛してやまないしなあ」
「……我が故郷ながら、一番、そういうことをやりにくい国だと思うんですが」
信じていた神を変えさせるのどうこうより、レーヴェからディアナ人の心を離すのが難しい気がする。
あんなでも、千年ずっと、愛され竜神なので、あの人は。
レティシア、フェリス、お友達もいるんだよ、ちゃんと(過保護じーじより、笑)
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