レーヴェ神殿の姫君 13
「約束。誰かが化けてたらいけないから、知ってる人にもついていかないで。……僕以外にはついていかないで? 義母上が何か、と言われても、一人でどうにかしようとしてはダメ。僕の名を呼んで。何処にいても、レティシアのところに、飛んで行くから」
「……はい」
レティシアが教えたままに、フェリスが小指を差し出してきたので、レティシアも小指を絡める。
綺麗なフェリス様の指。
ほんの少し前のレティシアは、世界で一番、孤独な気がしてた。
もう一度、指切りを誰かとするなんて、思えなかった。
死んだら両親が悲しむだろうから、がんばって生きなければ、とは思っていたけれど、何の希望も持てなかったので、せめてもレティシアの結婚で、たくさんの人が幸せになれればいいと想っていた。
『フローレンス大陸で最も祝福された国、竜の神に愛された王国』ディアナの王弟とサリアの小さな姫の結婚は、そういうものだと想っていた。
「フェリス様」
でも、実際に逢ったフェリス様は、レティシアのあらゆる想像の外にいた。
レティシアが逢ったなかで、誰よりも美しくて。誰よりも賢くて、誰よりも強くて。
そして、誰よりも、寂しそうだった。
この世のすべてを持っていそうな美貌の青年だったのに、寂しそうな影が不思議だった。
「なぁに、レティシア?」
「結婚式、楽しみです」
「僕もだよ」
レティシアがそう言うと、フェリスも幸福そうに微笑んだ。
「フェリス宮の皆も、シュヴァリエの方も、神殿の方も……、みんながとっても……とっても楽しみにして下さってて」
本来、結婚式とは、そういうものなのだろうが、サリアを出る時は、あまりにも祝福とは程遠かったので、ディアナであまりにも祝われていて、驚いている。
(フェリス様の花嫁様をきっと御守りするのだと。……王都が窮屈でしたら、私共が、ここで、姫様が大きくなるまできっとお守りして、必ずやお幸せにするのだと……)
シュヴァリエの幸福は、レティシアと同い年の五歳のフェリス様の小さな手が築いたもの。
最愛のお母様を失った孤独な美しい少年が、あの美しい薔薇の里の人々を守ってきたのだ。
「うん。レティシアといると、僕も、みんなの気持ちがわかってきた」
「フェリス様も?」
「うん。レティシアの結婚式だと想うと、結婚式にはあふれるほどの花も、世界中の音楽も、食べきれないほどの料理も、確かに必要だ、と思う。……うちのレティシアを、誰よりも幸せな花嫁にしてあげたい」
「幸せです! 誰よりも!」
自信満々にお返事して、あ、フェリス様にごはん! と思い出した。
「フェリス様、おにくっ、食べてくださいっ!」
えいっとお肉を突き刺したフォークを差し出す。
「……はい、我が姫」
フェリス様が笑いながら、唇をひらいて、レティシアの差し出したお肉を食べてくれた。
本日、地域の少年少女合唱団様とうちの王子犬で、高齢者住宅慰問予定だったのですが、インフルエンザなど流行っているので、中止になりました。何かあったら心配ですものね。皆様もインフルエンザなどお気をつけてくださいね~
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椎名先生のとっても美麗な竜王家の二人&可愛いレティシアをとりまく人々をぜひご覧ください~
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『五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました@COMIC』コミカライズ三巻表紙
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