ディアナの竜の子守り唄
「ガレリア王ヴォイドとはどんな男なのでしょう?」
サリアの女神が尋ねる。
「野心家な人の子の王のようですね。レーヴェのディアナにちょっかいをかける愚かな男とも言えますが……」
セィシェルの守護神サイファ神が答える。
「アドリアナを攫って、レティシアを作ろうとしたという話に驚いてしまって……」
サリアの女神は溜息をつく。
王女が自ら吟遊詩人に化けた魔導士についていくなど、褒められた話ではない。
それもレーヴェ似のフェリスの妃になりたいが為とは。
フェリスにはぜひ、そんなところまでレーヴェに似ないでもらいたい。
「それはずいぶんと無謀な話。サリアのアドリアナ王女は魔力を帯びた王女ではない筈……」
「サリア王家は魔力を手放して久しいわ。……ディアナに嫁したレティシアが特別なだけで」
ほんの少し切ない貌でサリアが語る。
「レーヴェの娘になる王女レティシアは、地にある幼い竜のフェリスを虜にして、レーヴェの寵愛もえているようですね……。不思議な娘。あの娘はどんな娘なのですか?」
「レティシアは、異界から渡ってきた娘です」
「なんと、異界の扉を開けて参った娘なのですか……。この世界の何かを変える為に?」
「それはどうでしょう? レティシア本人は戸惑うばかりのようでしたが……」
どんな娘かと問われて、サリアは微笑んだ。
レティシアは優しい娘だった。
見たことのない世界にいる、と幼いからだのなかで目覚めて驚き、やがてこの世界を受け入れ、サリアの優しい前王と王妃の娘であることを喜んでいた。
王の娘であることよりも、両親が生きている、と喜んでいた。
その両親をふたたび早くに亡くし、明るかったサリアの王女レティシアは哀しみに沈んでしまった。
ディアナに嫁して、フェリスを新しい家族として、今度こそ守り抜くのだ、と誓う幼い娘が切ない。
「レティシアは、その身を捧げて、フェリスに嫁ぐことでサリアの幸福を願い、私の加護をえています」
すべての望みを失っていたレティシアが、なるほど、ではこの身で誰かの役に立とう、と決めた婚姻だ。
「そしてディアナでは、フェリスの最愛の花嫁としてレーヴェの加護をえていますね。サリア神の加護と、レーヴェの加護を持つ稀有な娘なのですね。……ガレリア王ヴォイドでなくても、魅了される理由はあるとは言えますが……、私なら、レーヴェとレーヴェ似の息子には嫌われたくはありませんね。あのディアナの若い竜は、本当にレーヴェによく似ている。……フェリスが怒りと嘆きに沈めば、人も大地も水も傷むでしようし、フェリスが幸福であればその地は潤うでしょう」
「……レーヴェがフェリスを気遣っているのは、そのせいでしょうか?」
幼い竜の心が壊れないように、古き竜が護っていた。よく似た二人の姿は、神々の眼から見ても微笑ましかった。
「それはわかりませんね。何と言ってもレーヴェのすることですから。ただフェリスが可愛いのかも知れませんよ。あれほど似た子は、千年かけて初めて生まれて来ましたからね。レーヴェの力を人の器で受け継ぐなぞ無理がある話ですから」
「大きすぎる力を受け継いだフェリス本人は持て余しているようですが」
サリアにレティシアと訪れたフェリスは、大切な姫君をお預かりします、とサリア神の像を仰いでいた。
レーヴェの力と姿を持ちながら、ずいぶんまじめなディアナの仔竜。
「そのフェリスを人の子の王がどうにかしようなどと、無謀にも程がありますね」
「人とは見果てぬ夢を見るものですからね。他に迷惑をかけるような夢ではなく、よい夢を見てくれたらよいのですが……」
神々は、レーヴェ神殿で幸せそうに眠っているレティシアの貌を眺めていた。
「ん……フェリス様……ぜったい……推します……!」
レティシアは可愛らしく何事か寝言を紡いでいて、知らず、サリアの女神の唇に母の如き優しい微笑が浮かんでいた。
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