この世で一番、大事なたからもの 11
「レティシアはおまえの最大の味方になり、そして最大の弱みになる。……まあヴォイドは、リリアが目の前に顕現しても気づかないような鈍い男のわりには、いいとこついてはいるわな。とはいえ、竜の逆鱗を逆撫でする愚かな男だ。……フェリスが優しいうちに退いたが身の為だと思うが」
「……従姉妹姫でレティシアが作れると思うのが、僕には理解不能すぎるというか……、いやあれはヴォイド殿は全容を知らぬ話なのかもしれませんが……」
「人間は王命とやらに弱い。オレにはわからん概念だが」
妻以外の誰にも膝を折ることのない、ディアナの古竜は笑った。
「マクダレーナにしても、ヴォイドにしても、どうしてあれほど王の名に拘るんだろうな?」
「ヴォイド殿の気持ちは想像したこともありませんが、義母上の気持ちならわかるような気もします」
「フェリスが? マグダレーナの気持ちを?」
不思議がるレーヴェを、フェリスは碧い瞳で見上げた。
「……僕達がここに来て、竜王剣が鳴った時の神官達の顔を見てたら……」
「オレの剣が、オレの娘に逢えてはしゃいだのが、どうかしたのか?」
んんん? とレーヴェはフェリスの貌を覗き込む。
千年の時を経て、レーヴェに瓜二つに育った子孫を。
「……いかに、あなたの剣の声が、人々にとって重いかということを……」
長く眠りについていた竜王剣の謡う声に、子供のように輝く若い神官の顔を見た。声を詰まらせる年配の神官の顔を見た。
そしてここ数日、久しぶりにレーヴェ神殿にいるので、フェリスの貌を神々しく見上げる神官達を、あまた見ている……。
「義母上もまた、レーヴェの娘。まごうことなきディアナの娘です」
それも血脈で言うなら、サリアの王女のレティシアより、マグダレーナのほうがレーヴェに近い血統だ。
「レーヴェの愛なくして、きっと生きてはいかれないほどの……」
フェリスは、レティシアの傀儡に宿ったリリア神の気配を覚えている。
あれに似た哀しみの気配を確かに何処かで感じたことがあった、と思っていた……。
「ディアナの玉座は、代々、レーヴェから託されたものですから……」
父ステファンの心をフェリスの母に奪われ、レーヴェから兄マリウスに託されたディアナの玉座まで、フェリスに奪われるのは、堪えがたい、と義母上はずっと怯えているのだと思う……。
フェリス自身が、ディアナの玉座に興味がないということが、義母上の慰めにならないことが残念でならぬが……。
ヴォイドのことでは心動くことはないが、マクダレーナのことを思い出して、フェリスの胸は痛んだが、ずっと一人で戦ってきたこれまでと違い、花嫁衣裳を纏った美しい貴婦人のレティシアと、いつもの小さなレティシアが、いまはフェリスの心の傍らにいてくれた。
「そう。オレの娘は、レティシアもマグダレーナもポーラも、どうもオレに似て、情が深すぎてな。……そして、子供より、大人のほうが、何事もたちが悪いな……」
レーヴェの美しい微笑は、いつになくやや苦いように見えた。
きのうsnowmanのアルバム届いたのですが、自分で予約してたのに、プレゼント気分です(笑)
11/1 、五歳コミカライズ、BOOKLIVE先行配信です♪
椎名先生のとっても美麗な竜王家の二人&可愛いレティシアをとりまく人々をぜひご覧ください~
小説四巻&コミカライズ二巻発売中♪ 表紙、イラスト等を活動報告に載せてます♪





五歳で、竜~コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載