祝祭を待つフェリス宮の人々 8
そうなの。
サイファってば最近ちょっとフェリス様に懐きすぎ。
いくらフェリス様が優しいからって、レティシアにしか慣れない孤高の白馬の片鱗もないというか……、フェリス様に撫でられてごろごろ喉を鳴らしすぎ……。
「めっ。フェリス様。レーヴェ神殿で、邪神なんていうと、竜王陛下に怒られますよ」
つんっとレティシアは指で、フェリスの額をつつく。
「怒られるかな、レーヴェに?」
「怒られます。……ううん、泣いちゃうかも、竜王陛下? 子孫よ、なんてことをって……」
「ああ、嘘泣きしそうだね、レーヴェ、すごく……」
全開で笑った貌がいつものフェリス様で、レティシアは何だかホッとする。
白に金糸の刺繍のある神官服は、竜王陛下そっくりの美しい推しに似合っていたけれど、なんだか、フェリス様を神殿に奪われそうな気もして……、ちょっと寂しい気も……。
「オレの可愛い娘を素行の悪いフェリスなんかにやりたくない、て今頃泣いてるよ」
「……? フェリス様と結婚しないと、私、竜王陛下の娘ではないのでは……?」
ことり、とレティシアは小首を傾げる。
フェリス様、相変わらず天然。
フェリス様とお貌が似てらっしゃる竜王陛下もちょっと天然さんだったのかしら?
「いや、あの人、勝手だから。レティシアのことはもうオレの娘って決めて、可愛すぎて、僕にやるのはもったいないよなあとかボヤいてる筈」
「……わたしに、フェリス様がもったいないのです」
くすくす、レティシアはフェリスの頬に触れて笑った。
何も卑下してるとか、卑屈になってるとかじゃなくて。
ちっちゃい転生レティシアもそれなりに毎日がんばって生きてるけど。
この人はいい人すぎて、自分にはもったいないなあ、て想う。
全ディアナのフェリス様を推す方々、ちびっこ花嫁で申し訳ない……!
(レーヴェの息子よ。必要なら、オレを呼べ。おまえにはオレが使えるはず)
竜王剣さんが言ってた様に、何なら、竜王陛下の代理人、ディアナの王しか使えないはずの、竜王剣揮えちゃいそうなフェリス様だけど……。
そんな気はかけらもなく、マリウス陛下を愛し、日々、平和を愛す、我が推し。
「そんなわけがない。いつも、僕に、レティシアがもったいないよ」
額と額をあわせて、フェリス様が言ってくれた。
近すぎるフェリス様の美しいお貌にドキドキする。
ドキドキするし、安心する。
間違いなく、いま、フェリス様の腕の中が、レティシアの居場所。
昨夜24時頃更新してるので、あれ? いつのまに二人きり? となった方は1p戻ってみてください~
何だろう、いま、聞いてた曲のせいか、甘々になりました(笑)
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