五歳で@COMIC二巻発売、お祝いSS劇場
「フェリス様、たいへんですー!」
「ど、どうしたの、レティシア」
フェリス宮のお姫様は、ときどきホントに羽根が生えてるのでは？ と思うくらいに可愛らしい。
いまも妖精のようにパタパタと、フェリスのもとへ飛んできた。
「たいへん! たいへんです! 二巻です!」
「にかん？」
フェリスはレティシアの言葉に小首を傾ける。
「う、フェリス様、可愛いです……!」
「？ 僕は可愛くないけど、今日も、僕のレティシアが最高に可愛いよ」
「……我が推しが煌めいて、私は今日も幸せです! いえ、いけません、フェリス様に見惚れてしまいましたが、本日は、五歳コミック様、二巻発売の宣伝を……!」
「八月一日発売だよね」
「そうなのです、御祝いですのに、少々、遅れをとってしまいました……!」
「原作者の怠慢だね」
「いえ、フェリス様、ちょうどわたくしたちのお話も佳境でしたり……、日本はいま猛暑で、きっとたいへんなのです……!」
「レティシアの生まれた国が大変と聞くと心が痛むね。読者の方々はご健勝だろうか？」
「はい。わたしも心配です。読者の皆様、くれぐれもお体にお気をつけくださいね」
「コミカライズの画家殿もご健勝だといいね」
「はい! 原作の画家様もご健勝をお祈りします!」
「こみからいずの二巻というのはどういうものだい？」
「あ、漫画という……こちらの世界にはまだないと思うのですが……、美しい絵で紡がれる物語なのです。こちらに見本の御本を頂きました、フェリス様!」
「ああ、美しいね、表紙のレティシアが」
「美しいです、表紙のフェリス様が!」
レティシアは力を込めて頷いた。
「こちらの御本が、八月一日に発売いたしましたので、ぜひ皆様、お近くの書店でご覧になってくださいませ……! すでにお迎え頂いた方々、まことにありがとうございます!」
「皆様の常からの御心に感謝致します。……レティシア、またその扇を持って来たの？」
「はい! コミカライズレティシア様から頂いたフェリス様推しうちわですー!」
レティシアは、くまのぬいぐるみを持ちつつ、「一生推す!」「フェリス様尊い!」うちわを振っている。
「なんだか、扇、前より増えてない？」
「はい! フェリス様推しうちわ、たくさんあると嬉しいなって、リタとサキとみんなでいろいろ作りました!」
「そうなの？ レティシアが楽しいならいいんだが……、こみからいず二巻は、初めてのお茶会あたりかな？」
「はい。お、王太后様とのファーストコンタクトです! ルーファス様も御出演です! 二巻、竜王陛下もたくさん御出演です!」
「何故、レーヴェは、表紙にまで……」
「竜王陛下、表紙の帯にも御出演中です! とっても可愛いです! 皆様、ぜひぜひ愛でてくださいね! 何より今回も、我らがフェリス様がとってもとっても素敵です!」
「今回も、レティシアがとても可愛らしいので、皆様、ぜひご覧ください。……異常なほどの暑さに難儀されているとのこと、暑さを祓う雨が降るように祈ります」
「私も涼しくなることをお祈りします! ではでは皆様、お身体にお気をつけて……! フェリス様がとっても煌めいてるコミック二巻を、私と共に愛でましょう!」
『フェリス様、尊い!』と『一生、推す!』うちわを可愛く振りながら、レティシアはフェリスとともにご挨拶した。
フェリス様推しうちわは増殖してる模様です(笑)
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