王弟殿下の御作法について
「よろしいですか、フェリス様。こちらはフェリス様の宮ですから、主のフェリス様が何処にいらっしゃろうと、フェリス様の御心のままとは申しましてもですね、常に礼節を持って……」
「うちのレイは若くて、ディアナの娘の心を騒がせる見目の好い男子なのに、だんだん老執事めいてきてないか?」
両耳を塞ぐようにして、フェリスは仲の良い随身を揶揄った。
「誰のせいだと思ってるんですか」
はあ、とフェリスの金髪を梳かしながら、レイは溜息をつく。
「……悪かった、レイ。夜に、レティシアの不安な気配がしたんだ」
「……怖ろしいめに遭われたばかりですから、夜中に怯えられてもおかしくないです。御二人のお部屋をもっとお近くにされるといい気がしますね」
「うん……」
レティシア姫は僕を怖がらないだろうか? 少し遠い部屋のほうが、姫は羽を伸ばしてくつろげるのでは? とフェリスが配慮しすぎて、「遊びに行くのに、フェリス様のお部屋が遠いですー!」とレティシアに不満を訴えられた。
「レティシアは不思議な姫で……僕のせいで怖い思いをした、とは想わないらしい」
「ガレリアの尊き御方は、いまだフェリス様にご執着で?」
「……そのようだったが、従弟のマクシミリアン殿のところへガレリアの者が出入りしている筈ではなかったか?」
「種はいくつも撒いておくお国柄なのかもしれません。……ですがフェリス様の御心を手に入れようと、レティシア姫に興味を持たれたのなら、もう少しやり方というものが……」
「レーヴェの子孫らしく、愛妃レティシアが望むことを僕も望むだろうと、ヴォイド殿は考えたそうだ」
「やり方は雑すぎるのに、妙に正鵠は射ていらっしゃる」
「レティシアも呆れてた。それでレティシアと交渉決裂して、魔導士にレティシアの髪から、レティシアの複製を作らせたようだが、このレティシアの複製にリリア神が興味を持たれて……」
「リリア神様が? どうしてレティシア様に?」
子供の頃からフェリスの随身をしているので、レイは不思議な事には慣れているが、さすがに他国の神の名が出て来たので驚いた顔をしている。
「………ディアナのレーヴェの資料には記述ないが、リリア神が幼き御神体だった頃に、レーヴェがあやしてたことがあるんだそうだ……」
「……! お二柱にそのような縁があるのであれば、何故あんなにリリア僧達はレーヴェ様を怨んでるんでしょう?」
「……そこはリリア僧に聞かないとわからないが、リリア神は、僕に……、どうしてあなたは昔から、自分には不似合いな娘ばかりを愛するのか? どうしていつも、見返りもないことばかりにその偉大な力を注ぐのか? その力をその身を、惜しむ心はないのか? とお嘆きだった」
確かにレティシアはフェリスにはもったいない優しい姫だと想うが、恐らくリリア神が嘆いていたのはそういうことではないと想う。
フェリスの御仕度回、ボーイズトーク(笑)レティシアにフェリスはもったいないとリリアは嘆いてたんですが、フェリスは真面目にレティシアは僕にはもったいない姫だと考えてます(笑)
五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました四巻の応援書店情報が公開になりました。応援書店限定の特典SSはフェリス視点のお話です。先日の四巻のお話の活動報告に追加で載せてます~。ご興味のある方はご覧ください。店舗一覧は、現時点での情報で、ご予約状況によっては店舗の追加もあるそうです。書泉さんでの通販はまだ情報でてないので、もし特典付き通販あるようでしたら、また追加でお知らせしますね!




