最強の、情に脆い神様
「少し気になったのですが…」
「ん? 何だ?」
フェリスの父親はディアナ前国王ステファンだが、
フェリスはステファンとレーヴェほど会話した記憶がない。
実の父親より、
神話に出てくる神様とのほうがよく会話してるというのも、
我ながらどうなんだ? とは思うが。
「サリアの寿命が二十年もディアナより短い、とレティシアが言ってましたが、
何が原因なのでしょう?」
「生き物が長生きできない理由は、たいがい、その大地が痩せてるとかだけどな。
肥沃な大地なのに生命が失われやすいとしたら、
上に乗っかってる者の運営のやり方に問題があるかも知れん」
戦う武神として絵巻によく描かれているレーヴェだが、
その本性は水の神であり、基本的には守護している土地の五穀豊穣を司っている。
「ディアナの民の寿命が長いことには、レーヴェが関与してるんですか?」
「それはディアナの状態が悪くないから、付随して寿命も延びてきてるだけだと思うが。
そもそも、オレが関与しようとしまいと、自分の国のことは、
そこで暮らす民自身が自分で頑張らないと、何ともならない。
神様任せだけで、国なんぞ豊かにならないし、栄えん。
しかもオレ、ぜんぜん万能の神様なんかじゃないし」
「レーヴェが万能じゃないことは知ってます」
「おまえ、そこだけ強調するなよ」
万能の神様では全然ないけど、優しくて、情にもろいことも知ってる。
孤独で死にそうな、ひとりぼっちの子供がいたら、放っておけないレーヴェ。
ちいさなときに、フェリスのところに顕現したのも、たぶんそれが理由。
そしてたぶん、アリシア妃やフェリスはレーヴェの声を拾いやすいから、
手を貸してやりたいと思った時に、手を貸せるんだと……。
「万能じゃない神様なオレだけど、レティシアはもううちの子だから、守ってあげたい。
フェリス、レティシアの部屋にも、オレの肖像画おいてあげて」
「嫌ですよ。何を、僕の花嫁の部屋に入り込もうとしてるんです」
ねだるレーヴェに、フェリスが嫌な顔をする。
「だってなんかレティシアに悪いもんが寄ってきたら、撃退してあげたいじゃん。
寂しいときには傍にいてあげたいし。
これからきっとフェリスに言えない話も聞いてあげなきゃだし」
「サリアの女神に嫌がられますよ。どうしてあなたはそう何でも持ってるのに、
他所にまで、ちょっかいかけるんだって」
「そんな不埒なことはしないぞ。オレは呼ばれないと、何にも出来ないからな。
シャイで内向的な神様だからな。でも、あの子はオレを呼んだから、もううちの子」
「アリシア妃にレーヴェが浮気しそうですってお祈りに行きますよ」
「アリシアは苦労してる小さい子の面倒をみてあげてねレーヴェて言うよ。
オレよりずっとおせっかいだもん」
レティシアも、フェリスの妃としてディアナ王族となるので、
ディアナの守護神レーヴェにとって、
フェリスと同じく、レティシアが「うちの子」になるのは間違いない。
そして、なんのかんのいっても慈愛深き神であるレーヴェの加護を手に入れるのは、
レティシアにとって最大の祝福になるのは間違いないのだが……。
レーヴェの「うちの子」扱いが気にかかるなんて、フェリスはきっと疲れているに違いない。
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コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載