表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
521/778

ディアナの王太子



「ルーファス様、御心配くださって、ありがとうございました」


可愛らしいレティシアと敬愛するフェリスから礼を言って貰い、ルーファスはフェリス宮の二人が帰った後も御機嫌だった。


「ルーファス。よいですか? ディアナの王太子たるもの、先触れもなしにお邪魔してはなりません。ディアナの王太子でなくても、そんな殿方はモテません」


「で、でも、母上……」


「でも、ではありません。叔父上が寛大だからあなたは叱られませんが、他人の婚約者の涙を覗き見るなど、決闘を申し込まれてもおかしくありません」


「う、ううう。でもですね、叔父上はきっと僕が御二人にお逢いしたいとお願いしたらお許しになるのに、いざ許可をとろうとすると、他の者がダメだと……」


「仕方ありません。私共はそれなりに責任のある立場です。よそのおうちのようには自由のきかぬこともあります」


「自由のきかぬことだらけですよ」


むう、とルーファスは年齢に似合わず黄昏る。


レティシア誘拐の話を聞いて、ルーファスとしてはフェリス宮に飛んでお見舞いに行きたかったのだが、もちろんそんな許可はすぐに出ない。父マリウスが二人を呼び出したと聞きつけて、二人に逢いたくて無茶をしたのだ。


「あら。でもその自由のきかぬ生まれのおかげで、竜王陛下の末裔で、フェリス様の甥で、レティシア姫の親族よ」


「ううう。わかっておりますが……」


竜王陛下の末裔なことは誇りにしている。数々の竜王陛下の冒険談を読むたびに、この方の血を受け継いでいるのだ、とルーファスの小さな胸もいっぱいになる。


「ま、御小言はこの辺にしましょう。あなたのおかげで私もレティシア姫に逢えたわ。あのフェリス様とうちのルーファスを夢中にするお姫様は、本当に可愛らしかったわ」


ルーファスのお行儀を叱ることは忘れなかったが、母のポーラもとても楽しそうだ。


「ぼ、ぼくはですね、は、ははうえ! む、むちゅう、とかではなく、ディアナでまだすくない、レティシア姫の、と、友として……」


「フェリス様に次いで、レティシア姫の二番目の騎士として? ふふふ、王太子殿下の剣を捧げられて困ってたわよ、レティシア姫。私にも捧げてくれない剣を、私の坊やはフェリス様の愛しい婚約者に捧げてしまうの?」


「……も、もちろん、僕は母上の騎士です!」


ルーファスは焦った。

レティシアに信頼して貰おうと言ったように、改めて宣言したことはないが、もちろんルーファスの剣は母のものだ。


「ほんとう? 私の騎士様?」


「本当です!  ルーファスは母上をお守りします!」


「では、しばらく、私だけの騎士でいてちょうだい? 誰かの騎士になるなんてまだ早いわ。ましてフェリス様の恋敵なんて……」


「こ、恋敵なんて、とんでもない! ぼくは家族としてレティシア姫をお守りするのです!」


真っ赤になってルーファスは首を振りまくった。


レティシア姫はとても可愛くて、守ってあげたいと思うけど、フェリス叔父上のお嫁さんになりにきた女の子だ。ルーファスはちゃんとわかってる。


もちろん、レティシア姫と叔父上が不仲なら、ルーファスにも考えるところはあるが、レティシアと来たら……。


「そう、ドウタン! ぼくとレティシア姫はドウタンなのです!」


覚えたての言葉をルーファスは連呼してみる。とはいえ、意味はよくわかっていない。

僕とレティシアは何かの仲間なのか? 仲間になってやってもいいぞ、と思っている。


「ドウタンがなんだかよくわからなかったわ。フェリス様を好きな者同士と言ってたわね、レティシア姫。不思議な可愛いひと。さすがフェリス様のお嫁さんだけあって、罪作りな天然さんね」


「さようでございますね、王妃様。お美しく、他者から御身に寄せられる情にお気づきにならない……よく似た御二方と申しましょうか……」


「そうね。何処か似て見えるわ。賢くて孤独で……人に甘えるのが苦手で……なのに、ひどく優しい……」


母と侍女の言葉に、ルーファスは、フェリス叔父上とレティシアは似てるだろうか? ううん、それはわからない、どちらも僕がかまいたくなる二人だけど、と小首を傾げていた。



ルーファスはママに弱い(笑)昔からフェリス叔父上に首ったけで、現在レティシアにぐらぐらだけど、ママにはもちろん頭あがりません(笑)


雨の中、うちの犬王子が親友ゴンちゃん宅に行きたがるので、傘さしてひきづられていったら、ゴンちゃん家、明け方に御身内の御加減悪くて大変だったとのこと。明け方うちでも何だか王子騒いでたのですが、親友のおうちの危機を遠くで感じたの、王子? と不思議がってました。


五歳@コミック配信開始しました。一話にレイ、三話にリタ、マグダレーナなどたくさんのキャラを綺麗な絵でビジュアル化して頂いてます。活動報告に各種リンク載せました~。


6/1 五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました@comic、五歳のコミカライズ、

bookwalker、ピッコマ、シーモア、ebookjapan、Amazon、楽天、各サイトで配信開始しました!


ブックライブ先行配信は四話目配信開始。四話は花嫁レッスンのレティシア。そしてマリウス初登場……! マリウスとフェリス、そしてあの人(?)の気配も……! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  王妃様、王太子の扱いがお見事です。さすが呪いから解き放たれた女性、心強い姫さまの味方!    
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ