サリアの災いを呼ぶ姫 4
(わかるわ、フェリス、私達もご立腹よ)
(オリヴィエ帰っちゃったけど、オリヴィエに意地悪する?)
(オリヴィエじゃなくて、サリアのイザベラ王妃じゃない?)
(それは遠くの眷属達にお願いしないとだわ)
(でも伝えましょう。私達の薔薇の姫を奪おうとする不届き者に報復してって)
(そうね。私達、レティシアがいいわ。アドリアナなんて優しくも可愛くないもの)
(そうよね。フェリスをご機嫌になんて誰でも出来ないわ。レティシア帰したくないわ)
風に乗って、甘い薔薇の香りと、誰かが囁きあう声がする。
「フェリス様、誰かが……」
「うちの薔薇の姫を奪おうとするから、薔薇の精霊たちもご立腹だ」
「薔薇の精霊さん」
「そう。あの子たちも数多の花の王だから、御機嫌損ねると美と健康を害するかも」
薔薇の精霊さんの意地悪てどんなだろう……棘が刺さるとかなのかなあ?
でも、優しそうな感じだけどな、この声……。
「夜に話してた時にね、薔薇の精霊達ね、レティシアが可愛いって言ってくれるから嬉しいって言ってた。フェリスは私達の可愛さや有難みがわかってないって」
「でもフェリス宮もこちらも何処よりも薔薇が見事なので、薔薇の精霊さんたち、きっとフェリス様が大好きなんだと……」
(ダメよ、レティシア。それは内緒なの)
あ。いま、髪引っ張られたかも? 薔薇の精霊さんの姿は見えないけど。
「僕のレティシアに悪戯しない」
フェリス様がそう言うと気配が少し遠のいた。
「フェリス様のおうちは魔法の力に満ちてるから、私にもフェリス様の守護の精霊さんや、薔薇の精霊さんの声が聞こえるんでしょうか?」
「レティシアの潜在魔力が目覚めて発現してるんだと想う。そもそもレーヴェの声が……」
「竜王陛下の御声が?」
レティシアも修行を極めたら、竜王陛下の御声も聞けたりするのかしら!?
まさかねー。
「いや。薔薇の精霊はまだしも、うちの守護精霊さんの声は、そんなに誰にでも聞こえない」
「同じフェリス様最推しだから波長があったのでしょうか?」
「ぜったいに違……、いや、いいか、あの人の話でレティシアが泣き止むなら。さすが子守り竜……」
「フェリス様?」
「ううん。何でもない。ディアナの偉大なる竜王陛下と僕が保証するから、レティシアは災いを呼んだりしないって信じて?」
「……」
「僕、これでも魔導士なんだけど、レティシアは僕よりサリアの詐欺師の話を信じるの?」
「そんなことは……、でもフェリス様はお優しいので、私を庇っておられるのではと……」
「そうだね。ここにいるレティシアと災いは無縁だけど、もし本当に災いつきのレティシアだとしても、僕はレティシアが欲しいし、他の姫はいらない」
「どうして……?」
そんなに望んで貰えるよう自分だと想えない。
実家の権力でフェリス様をお支えする力もないし、もちろんお似合いの年頃の絶世の美妃でもない。
レティシアはここにいられたら幸せだけど、フェリス様にとってはお買い得なところがなさすぎる。
「だって他の姫はこの僕に食事をしろって、くまのぬいぐるみ抱えて夜這いには来ないだろうし」
「それは……」
それは、そんなおもしろいことは他の姫はしないかも知れませんが。
「毎日僕を笑い死にさせようとしてくれないだろうし」
「私だってフェリス様を笑い死にさせようとしてる訳では……」
「こんな楽しい暮らしを奪われたら、世を拗ねてサリアごと滅ぼしたくなるかも」
「……!? どうしてそんな悪役みたいなことを……」
「僕はレティシアを何処にも帰したくないから」
額にフェリス様のキスが触れる。
ううー。なんだかまた泣きそうになってきた。
ここにいてもいいのかな。一緒にいてもいいのかな。
フェリス様の迷惑にならないのかな……。
今日、うちの犬王子のお散歩がてら、お昼コンビニに行ったらパンもサンドイッチもすかすかで!
ここは平日のオフィス街のランチタイムのコンビニ!? とうろたえるほどでした(人気過ぎ笑)
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