お出かけの御仕度
「レティシア様、図書室ではよい本は見つかりましたか?」
「たくさん…! フェリス様が見つけて下さったの」
「まあ。ようございましたね。楽しい時間でいらしたのですね?」
「とても。私、本を探すときは、一人がいいって思ってたけど、二人で本を見るのも楽しいのね」
「本好きのフェリス様に本好きの花嫁様がいらして、よろしゅうございました」
ああ、ちっちゃいフェリス様可愛かったな~。
ちっちゃいフェリス様と一緒にケーキ食べたりもしたかったな~。
あんなに可愛いなんて、フェリス様、ちいさいとき、誰にも攫われなくてよかった!
危険! あれは、可愛すぎて、ぜったい危険よ!
「レティシア様、頬が薔薇色で、本当になんてお可愛らしい。お化粧など必要ない程、お美しいですが、
日焼けから美しいお肌を守る為に、ほんの少しだけ薔薇のオイルをお塗りしましょうね……薔薇祭りのころは、いつも一年で一番日差しがきついので……」
鏡の前でレティシアの髪をなおしてくれながら、ハンナが言う。
「薔薇祭り?」
「はい。こちらの伝統のお祭りで、一か月ほど、いろいろな催しが行われます。薔薇祭りの季節に、レティシア様をお迎え出来て、私共も嬉しいです」
「あ! レティシアつれて、領地の花祭りに行こうかなってフェリス様が仰ってました」
その話をしてたときは、王太后様からフェリス様に謹慎が言い渡されたばかりで、二人でとっても吃驚して困ってた。
幸い、謹慎は解除されて、婚礼準備の休暇になった。
……婚礼準備て何するのかしら?
フェリス様とレティシアの二人でエステとか?(しないか……)
「フェリス様、きっとレティシア様を、一番美しい季節に、この地にお連れしたかったのですわ」
鏡に写る、控えめながらも誇らしげなハンナの表情。
「フェリス様の気配が、こちらに来てから優しいです、王宮にいた時より」
王宮では、やはり気を張ってらっしゃるんだなあ……。
それでも、あそこが、フェリス様の居場所。
昨日、フェリス様と一緒にお仕事されてる方にもお逢いした。
フェリス様とても慕われてて、お休みになるのを残念がられてた。
「まあ、嬉しい御言葉です、レティシア様。何もなくて、薔薇の花ばかりの土地ですが、この地は御二人の家ですから、ゆっくり寛いで頂けますように。レティシア様、お出かけのドレスは何色になさいますか?」
レティシアはいったい何人いるのだ……というくらい、ドレスのクローゼットには可愛らしい帽子やドレスや靴がひしめきあっている。フェリス様の花嫁を喜ばせたくて、山と作られたドレス、帽子、靴……。
「お帽子、どれになさいますか?」
「お帽子……、どれも可愛いのね」
「レティシア様のお好みがわからなくて、たくさん作り過ぎてしまって……、次からは、きちんとレティシア様の御好みを伺って作れます」
レティシアにそう告げるハンナはとても嬉しそうだった。
無事、夕方から晴れて、王子と散歩しながら、
神社のとんど祭りの山に、うちの正月飾りも置いてきました♪
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