レティシアで充電する王弟殿下 2
「レティシア、僕、重いから……」
ぎゅーっと抱き締めてあげたいレティシアはフェリスを引っ張るのだけれど、
レティシアの上にフェリスが乗ったらレティシアがつぶれちゃうからとフェリスは乗らない。
「重くないですー」
半分寝惚けてるレティシアは、酔っ払い並みに無敵である。
「ダメ…」
どうしたらいいんだろう?
魔法で体重を軽くして、レティシアの気がすむように抱きしめられてあげるべきかな……、
それにしてもレティシアを押しつぶしそうで、絵面がよろしくない……。
「フェリス様、何か嫌な事ありましたか?」
じゃれついてくるレティシアが尋ねる。
寝惚けてるとこんなに無敵ってことは、
やっぱりちゃんと意識があるあいだのレティシアは、僕に気を遣ってるんだろな、と。
それが愛しくもあり、ちょっと切なくもあり。
目が覚めていても、安心して、甘え放題に甘えて貰えるようにならないと。
「ん……? どうして?」
いやなことがあったには、値しないと想う。
あそこにいた者たちがどの程度、知っているのかは疑問だが、とりあえず尋ねたかったことも尋ねられたし、思いがけず、地下牢に捕らえられていたディアナの若者たちも救えた。
万事、いい方向にいったと言うべき……。
「なんとなく……フェリス様から、寂しそうな匂いがするから?」
なかなかぎゅっと出来ない! 遠い! と不満がりつつ、よしよし、とレティシアがフェリスの後ろ髪を撫でてくれる。
義母上の御茶会のときも、レティシアはフェリスの気配が変わるのを敏感に察して、怯えていた。
「レティシア、それ、みんなのがわかるの? 僕のことだけ?」
「え?」
きょとん、とフェリスの問いにレティシアは琥珀の瞳を見開く。
「いろんな人の気が変わるのがわかったら、レティシアが疲れちゃわうないかなと……」
「いえ、フェリス様だけです。私がフェリス様のことばかり考えてるからか、フェリス様の気が強いからかどちらかわかりませんが、他の方のことはわからないです」
「そっか。それならいいんだけど……」
魔法省の同窓生に、近くにいる者の感情を、全て読み取ってしまうような子もいて、それは力を制御しないと、物凄く生きにくいので、苦労してた。
不思議な力が使えなくて困る者もいれば、使えすぎて困る者もいる。
「……は! もしかして、私、勝手に覗き見!? 痴漢!? フェリス様、気持ち悪かったら、ごめんなさい!」
あ。ちょっと目が覚めちゃったかも。
寝惚けてる、無敵なレティシアも可愛かったのにな。
「いや、僕の事だけなら、このまえ、僕が勝手にレティシアのなかに僕の力を入れたせいかも。……だから、たぶん、僕のせい。あやまらないで」
「そうでしょうか?」
おまえの呪わしい力を私のなかにいれるな、とか怒られないのだろうか……? と化け物としては怯えるけど、レティシアは、ふわふわしてて、幸せそうだ。
フェリスは何年もずっと義母上から否定されてばかりいたので、むしろ、こんなに全肯定の顔を向けられると、どうしていいのかわからない。
レティシアはこんなに僕を信じずに、もっと僕を怖がった方がいいのでは、とさえ思ってしまう。
だって僕は、人に言わせれば、化け物なんだから。
「あのとき、フェリス様が私に力を分けて下さったので、私ずーっと寒かったのが、何だか、あたたかくなりました。ありがとうございます」
「…………? ずっと、寒かった? ……サリアよりこちらの気温が低いのだろうか? レティシアの部屋の温度や、ドレスをもっとあたたかく……」
なんてことだ。
僕も女官も、ずっとレティシアに寒い思いをさせてたことに気づかなかったとは……。
「いえ。お部屋やドレスは問題ないと思うんです。お父様とお母様が亡くなってから、ずーっと身体の中の何処かが寒い気がして、それは冬が終わって春が来ても治らないんだな……て思ってたんですけど、フェリス様がこのあいだ魔法で治療して下さったときから、その寒さがなくなったんです」
「………? ずっと氷だの冷たいだの言われてきた僕に、誰かを温かくすることができるとは……?」
「氷の王子とか、冷たい王弟殿下とかは、言われなき誹謗中傷ですよね! フェリス様ちっとも冷たくないのに! もう失礼しちゃう!!」
レティシアは手足をバタバタさせて怒っている。
やっぱり僕は、地下から、天上に戻って来たのかも……。
僕の家に帰ってきて、僕の花嫁さんと話してると
可愛いうえにおもしろくて、幸せ過ぎて、笑いが……。
「あ! フェリス様また笑ってる! 私、何かおかしなこと言いました?」
「レティシアのパタパタする動きが可愛くておもしろくて……」
「私、おもしろくないです! でもフェリス様の顔色よくなったから、笑って貰えてよかった、かな…?」
昨日は更新できなくて、失礼しました!! くすんくすん。
寝落ちしやすいこの頃ですが、日々、毎日更新を目指しております(サボると際限なくサボるから笑)。
時々、更新できてなかったり、やけに短かったら、あやつ、寒さか眠さか年末の忙しさにやられておるな、とお思い下さい……。
今日はツイッターで回って来た「私の幸せな結婚」の予告編見て、銀髪の目黒君と今田美桜ちゃんがとっても可愛くてテンションあがりました~なんて可愛い御夫婦なのだ!目黒君の銀髪も似合ってて佳き!
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