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レティシアで充電する王弟殿下



「お帰りなさーい、フェリス様」


にこっと微笑って、きゃあきゃあと、レティシアの腕がフェリスのほうに伸びてきた。


え……と。


レティシア起きてるのかな? 寝惚けてるのかな?


「フェリス様、怖い目にはあいませんでしたか?」


「うん」


嘘はついてない。嘘は。


フェリスは、ちっとも、怖い目にあってない。

向こうは、化け物みたいに、フェリスを怖がってたけど……。


そういう意味でも、レティシアを帰しておいてよかった。


リリアの司祭に怖がられても、フェリスの人生に何の問題もないが、レティシアには怖がられたくない。


「ぎゅーって……」


「ん? ぎゅーってして欲しいの?」


「いえ。頑張ってらしたフェリス様を、私がぎゅーってしてあげたくて……」


フェリスを慰労したいという意欲はあるが、レティシアは半分寝惚けてるらしく、力が入らないようだ。


「届きません、フェリス様」


「え……と」


レティシアのたよりない腕に引っ張られるままにしてると、レティシアの上に覆いかぶさってしまう、とフェリスは困っている。


「もう少し、近くに来て下さい」


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