レティシアと小鳥
「あ…」
真っ白いテーブルクロスの上に、
興味津々と言いたげに、可愛らしい小鳥が降り立った。
小鳥的には、スコーンやサンドイッチのパン屑狙いだろうか?
「おや、小鳥が」
王弟殿下も、小鳥に気づく。
「も、申し訳ありません、殿下、姫様」
女官が慌てふためいている。
「いま追い払いますので」
「大丈夫。可愛い……」
あ。
可愛いはマズかったかな。
フェリス様が生き物苦手とか、潔癖症だったら…。
「きゃう…」
美味しいものある? と言いたげに、小鳥がレティシアを見つめている。
「フェリス様、何かあげてもいいですか?」
「いいよ。でも、この子、何が好きなんだろう?」
「パンのかけらとかかなと……」
これじゃ君には大きいよね、とミニサンドイッチをさらにちぎってみる。
「レティシアは鳥が好き?」
「はい。鳥も好きです。犬や猫も。飼ったことないんですけど…」
そうだ。
今世では、生き物と暮らしたいなあ。
前世のアパートではペット禁止だったけど、宮殿のお部屋は広いし。
「フェリス様は?」
「僕は……ん? 何だい? 祝いか?」
パン屑のお礼なのか、小鳥が、
テーブルに飾られていた薔薇の花をくわえて、レティシアに捧げ、
もう一輪、薔薇をくわえて、フェリスに捧げた。
「いい子だね。僕とレティシアが、初デートだから祝ってくれてるのか?」
よかった。
フェリス様は楽しそうに小鳥をかまってる。
生き物嫌いではないらしい。
「殿下。レティシア様。大変仲睦まじく微笑ましい光景ですが、
その子だけならよいですが、
どんどん小鳥が寄ってきたら、お茶が台無しになりますよ」
レイに窘められる。
「確かに。まあまあな惨劇になってしまう。お祝いありがとう。ほらおゆき」
指にとまらせていた鳥を王弟殿下が青空に返す。
まるで午睡の夢のような、
平和で、幸せなひととき。
「好き」「趣味似てるかも」「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。




