初めて、婿君の顔を見る
「おそれ、おお………」
なんて答えたらいいのかわからなくて、
とりあえず
恐れ多いことでございます、
と言おうと思って顔を上げて
生まれて初めて彼の顔を見て
レティシアは、ぽかんと、口をあけた。
「どうした、姫君?」
「あの……、おおていでんか? で…あられ…ますか?」
「ああ、私がフェリスだ」
婿君。
想像していた人と違う。
なんてお可哀想な姫様
変わり者と噂の冷飯喰らいの王弟殿下のところへ…
と言われ続けたせいか、
暗闇に沈む吸血鬼のような
おどろおどろしい婿君を想像していた。
「姫……?」
「フェリス様、あんまり…綺麗な方なので……驚いて…」
柔らかそうな金髪に、空を写したような青い瞳。
夢に出てきそうな王子様だ。
この人のほうがお姫様で、超大国との政略結婚に使われそうなくらいの美貌だ。
「そうか? 熊のような大男よりは、怖くはないか?」
「はい。いえ、あの、熊さんがいけないわけではないのですが……」
こんな綺麗な人の花嫁が、子供の自分で、かえって、なんとなく申し訳ない。
「姫も綺麗だぞ。とても」
「………」
ぶんぶんぶん、とレティシアは首を振る。
いや自分が超絶不細工とまでは言わないが、こんな美形ではまったくない。
ディアナの王族は、美貌の方が多いのだろうか……。
「好き」「趣味似てるかも」「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。