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いままでの人生で出会った人の中で、婿殿は一番、美貌



「フェリス様は私がいままで見た殿方の中で最も美しく、

 そして、とてもお優しい御方です」


 レティシアはいま思ったことを、

 素直に言ってみた。


「………」


 フェリスがちょっと驚いている。


 本当に綺麗な御顔だなあ、と思う。


 驚いた表情も、さっきの、

 何故、小さな、心細い姫に愛馬くらい帯同させてやらぬのだ、

 と機嫌を損ねた顔すらも美しい。


 男の人というか、

 現世の五歳のレティシアも、

 二十七年生きた日本の雪も、

 女の人でも、こんな綺麗な人、見たことがない。


 人間、顔ではない。


 とは言うものの、 これくらい綺麗だと、一種の芸術作品の域だ。


 神という名の匠が刻んだ美しい造形。


「前半はまあまあ言われるが、そうそう優しいとは言われぬぞ、私は」


 おお。


 やはり、いままで逢った人の中で一番美しい、は、

 よく言われるんですね。

 

 と、妙なことに、感心してしまう。


「そうですか? フェリス様は、とてもお優しいと思います。

私の気持ちを聞いて下さる方なんて、いまも昔も、そうそういませんでした。

ましてや、王弟殿下のようなお生まれの方で、相手の気持ちを尋ねる方など、そうそういないかと…」


「ねぇ、レティシア」


「は、は、はい?」


 知る限り、この世で最も美しい顔が、ぎょっとするほど、近づいてくる。


「…昔って? 五歳の人生で、昔ってどのくらい昔なの?」


「あああ、あの、それは…」


 べつだん、何か糾弾されてるわけではなく、楽しそうにフェリスは尋ねている。

 

「ね、どのくらい?」


「え、えっと…二歳か、三歳くらい…?」


 まさか、こことは別の世界での、二十七年の地味目の人生で、とは言えない。


 とっても綺麗に微笑んで尋ねられるので、誤魔化そうとレティシアも微笑む。

 やや引き攣りつつ、笑顔。


 こ、困る。


 慣れない美形に困るのと、そんなの説明しようもないし。


 本当のことを言ったところで、信じてもらえると思えないし。


 レティシアだって、他人の話なら、夢でも見たのでは? と思うだろう。


「……お二人とも、楽しそうなところ、お邪魔して申し訳ありませんが、

お茶の支度が出来たようですよ」


「…無粋な男だな、レイ」


「申し訳ありません、私の主人に似て、私は細やかな情緒にやや疎く…」


「いやいや僕のせいにするな」


 困ってる。


 いろいろ困ってる。


 婿殿が美形すぎたり、優しすぎたり、主従漫才が面白すぎたり。

 

 でも、楽しい。


 婿殿の極上の笑顔に釣られて微笑んでしまうくらいには、想定外に、

 初顔合わせは、とても楽しい。

「好き」「趣味似てるかも」「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] フェリスとレイの掛け合いが面白いです。 レティシアも可愛い。 フェリスはロリ⁉と思ったけど、レティシアの中身はフェリスよりも年上だから厳密に言うとロリではないのかな?でも…と悩んでしまいます…
[一言] フェリス様って、レティシアちゃんに前世の記憶があると 聞かされても驚かなさそうですよね。 むしろお慶びになりそう!なんのご褒美だ〜!? みたいに。うふふ
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