大好きな君に聞いて欲しい
「おいで。庭に行こう」
あらためて。
フェリスと並んで立つと、レティシアは、フェリスの半分くらいしか、身長がない。
よく言って、ぜんぜん似てない腹違いの兄妹(貴族としてはよくあることだ)。
それでもだいぶ歳が離れている。
何なら親子だ。きっとフェリスが若いパパに見える。
並んで歩くのに、ちょっと気後れしてしまう。
「…レティシアは馬は好き?」
「はい? 好きです。私がまだうまく馬に乗れなかった頃、私を乗せてくれたとても賢い美しい馬がいて……」
あの子と、一緒にここに来たかったな。
ねぇねぇ、凄くかっこよくない、うちの婿殿?
びっくりしたよね?
てあの子に話を聞いてもらいたかったな。
お友達がいなくても、あの子が隣にいてくれたら…。
「レティシア?」
「姫様。いかがなさいましたか」
「あ? あれ? すみません。何でもないのに…」
よかったね、ご主人。
心配してたけど、この婿殿なら、ひとまず安心かも。
無口なあの子が、満足げに鼻を鳴らす。
そんな気配を想像してしまった。
「もしかして、愛馬が亡くなったのか?」
「いえ。故郷にいる愛馬のことを思い出しただけです。元気かな、て」
私がいなくなったら、あの子は誰のものになったんだろう…。
私よりずっと賢いから、誰にも愛されると思うけれど…。
「何故、私の可愛い妃は、愛馬を共に連れて来られなかったんだ? こんな小さい身の上で、単身、遠い国にやってくるのは心細いだろうに、そもそも愛剣の帯刀や愛馬の帯同は男であろうと女であろうと許されるべきだと思うんだが。それはほとんど我が身同様なんだから」
「確認いたしましょう。何か特別のしきたりなどなければ、こちらに呼び寄せられるように計らいます」
純粋に疑問だ、と言いたげなフェリスの言葉に、レイが呼応する。
わ、本当に、有能そう…。
「い、いえ、そんな我儘は……」
う、嬉しいけど、たぶん、無理だと……。
「ん? これは我儘とは言わない、レティシア。当然なことが、おそらく他愛ない手違いで、うまく運んでなかっただけだ」
うーん。
フェリス様が、お世辞?励まし?で、
私たちは似たもの同士だな、て言ってくれたけど、
ぜんぜん違うと思う…。
さすが、生まれついてのディアナの王弟殿下。
何かを望むことに、躊躇いがないというか…。
「そうです。レティシア様。我儘というのは、フェリス様が普段おっしゃるような無茶苦茶のことを申すのでして、これはただの確認事項です。どうぞ、お気になさらず」
普段のフェリス様、そんな我儘なのかな? とレティシアは疑問に思う。
「レイ、後半が余計だぞ。僕の人格を不必要に毀損するな」
「ありのままのお人柄を、レティシア様に気に入って頂くのがよいかと思われます」
とりあえず。
婿殿は、気になることはそのままにはしない、てお人柄なことは、わかったかも。
「好き」「趣味似てるかも」「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。作者のモチベーションも上がりますので、ぜひよろしくお願いします。