王弟殿下のちいさな花嫁
「王弟殿下におかれましては、ご機嫌うるわしゅう……」
なんと哀れな姫君。
両親を失って、後ろ楯もなく、たった五歳で
十二歳も年上のディアナの王弟殿下の輿入れなどと……。
憐みの声にも、同情の目配せにも、疲れてしまった。
自分がそんなに可哀そうな姫なら、
そんなに哀れな姫を、
妻に貰わなければならないお相手も、
とても気の毒だ。
もちろん、お互いに、
自分で選んだ結婚ではないけれど。
でも、出来れば、追い返されたくない。
変わり者と評判のこの方に、
この縁談は迷惑だと言われたら、
レティシアには、もう、帰るところがない。
「ああ、長旅で疲れたろう。どうか、わが花嫁よ。そんなに怖がらないでくれ」
初めて聞いた花婿の声は、そんなに怖い声ではなかった。
優しい声だった。
ここに来るまでに
あまりよい噂を聞かされなかったせいか
物凄く冷たい声や態度を想像していた。
「まあな。こんなに幼いのに、だいぶ年上のおじさんと結婚させられて、可哀想なんだが…」
自らをおじさん扱いする花婿殿は、そうは言っても、十七歳だ。
おじさんではない。
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