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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第九話 決戦。ミサイル艦隊対帰還艦隊。
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第九話 4 戦艦崎の岬の過去の映像

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

 吾輩(わがはい)は食堂に向かう。思いっきり食事をとってから、戦に備えて睡眠をとる。そんなことを考えていると、食堂に着く。


 丁度間が良いのか、食堂で食事をとっている同胞はまばらだ。そしてその中に浅糟(あさかす)軍曹がいる。最近一緒に連れている二等兵も一緒で、二人で四人用のテーブルを囲んでいる。


「浅糟軍曹。一緒の席、良いかな。あ、敬礼はしなくていいぞ。」


 吾輩は二人のそばまで行く。部下と食事を邪魔するためではなく、当然、用があるからだ。


「どうぞ。」


 二人とも同じ台詞を、同じ速度で声を重ねる。まるで何かの練習をしたのかと、思わせる仕草だ。

吾輩は軍用糧食(りょうしょく)一号『スパゲッティミートソース』の封を切り、レトルトのパックと使い捨ての食器を出す。粉末紅茶を付属の紙コップに入れ、テーブルの上に置いてあった魔法瓶のお湯を注ぎこむ。


「そういえば二人とも、本国出身者だったな。少し教えて欲しいことがある。」


「どのような要件でしょう。」


 吾輩は紅茶を一口飲む。一拍置いたのち、本題である質問を紡ぐ。


「今回の相手、現代戦の兵器だ。電子線に優れ、誘導弾を多数装備している。聞くところによると、現在、中つ国には戦艦が無いと聞く。だが本国は、現在でも戦艦を建造している。」


 そこまで言うと紅茶を啜る。部下の二人は次の言葉を待っている。


 再び一拍置いたのち、吾輩は話を続ける。


「当然、本国の兵器は人間達を意識していると思う。そこでお前さんたちの意見を聞きたい。」


 部下二人は身構える。表情がこわばり、緊張が気配を通じて伝わってくる。


「外国艦は誘導弾が主力だ。それに対して、我々黄泉軍(よもついくさ)の艦は艦砲が主力だ。果たして我々に勝ち目があるだろうか。」


 無論この話題については、迎撃が可能という結論が出ている。結論は出ているが確証はない。


 吾輩が安心するため、というわけではないが、本国出身者の意見を聞きたいというのが、本音だった。


「それなら大丈夫です。」


 それを言ったのは二等兵だった。そういうや否や、板型携帯端末を取り出していじりだす。


「断言するか。二等兵よ。何か根拠でもあるのか?」


 熱心に板型携帯端末をいじる二等兵に、吾輩は定型文ともいえる質問を返す。


「これをご覧ください。」


 そう言うと、板型携帯端末に映し出されている動画を見せる。そこに映っているのは、戦艦『(さき)(みさき)』だ。おそらく泊地島(はくちとう)に送られる前の物だろう。


 そして崎の岬は対空迎撃を行っている。細く輝く破壊光線、理力砲だ。そして対象は大小の誘導弾だろう。四方八方から飛来する誘導弾を、迅速かつ的確に撃ち落としていく。それも一隻でだ。


 その動画では一〇〇発近くの誘導弾を、瞬く間に撃ち落とす。無論、崎の岬は傷一つついていない。


「この映像。企業連盟の最後の襲撃だね。」


 企業連盟。今は消滅しているが、かつて本国に楯突いた派閥のなれの果てだ。第一六代ペプーリアを殺害した事で、本格的な内戦に突入した過去がある。


 この動画は、一瞬分からなかったが、実戦の記録だ。そして誘導弾は当然実弾だ。


「この迎撃システム。現在、帰還艦隊の全ての艦に配備されています。誘導弾は迎撃できます。」


 二等兵は自信満々に答える。


 吾輩は思考する。当然、二等兵のように確信を得ているわけではない。迎撃は索敵、補足を情報処理して、理力の発生と集中を行ってから、照準を合わせて発射する。どれ一つ欠けても、迎撃はなしえない。


 だが、実戦経験があるのも事実だ。事実戦艦一隻で、約一〇〇発の誘導弾を迎撃している。その点では、安心、あるいは信頼しても良いだろう。


「なるほどな。参考になったぞ。二等兵。」


 吾輩は二等兵に携帯板型端末を返す。そして温かい戦闘糧食を一口、口に含んだ。



 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は、第一主砲での戦闘準備になります。


 次回の投稿は、三月一六日になります。


 それではまたお会いしましょう。


 追記:三月は多忙になるため、週一回の投稿が続く恐れがあります。その時は、その都度連絡いたします。

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