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黄泉軍語り 帰還の導 艦長の航海日誌  作者: 八城 曽根康
第九話 決戦。ミサイル艦隊対帰還艦隊。
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第九話 1 推定、外国所属の戦闘艦隊

この作品は前作「黄泉軍語り 帰還の導 術使いの弟子(https://ncode.syosetu.com/n2119he/)」の続編です。

 沈まない夕焼け空に船団が行く。場所は忘却の川。下流は忘却の彼方に繋がる、異界の水域だ。


 船団の船の数は三〇隻。素人が見れば、全て似たような船に見える。だが素人でもわかると部分がある。それが武装をした軍艦であることだ。


 乗員は人間には分からないが、生者はだれ一人乗っていない。


 大きな船体で大きな艦橋を備え付けている。ぱっと見た武装に、五インチクラスの砲塔と、大小のミサイル発射機を備えている。いずれもミサイル巡洋艦と呼ばれる、強力な軍艦だ。


 スラヴァ級ミサイル巡洋艦。ロングビーチ級ミサイル巡洋艦。タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦。中つ国、人間の世界で存在する、あるいは存在した艦艇だ。


 これらの艦艇は、原子炉搭載の改造を受けているため、燃料に困ることはない。


 そして乗員は地獄の囚人。基督(きりすと)教圏で罪を犯し、死後地獄に落ちた罪人。そして旗艦の戦

闘指揮所、一番偉い人物が座る位置に、黒い翼をもつ人ならざる者が座っている。


 知るものが見ればこう思っただろう。これは堕天使だと。



◇◇◇



靖國(やすくに)大佐の航海日誌


 五八日。先日、未知の艦隊を観測した。数は三〇隻。以前、閻魔殿からの情報であった外国勢の艦艇。数も一致していて間違いないだろう。急遽、艦隊間の会議を開く事にした。


 これまでの観測結果で、生者の反応は無く、乗員は亡者という結果が出た。これで裏が取れた。


 今まで対応した穢れとはまったく違った、近代兵器との遭遇。誘導弾を主力とした艦艇に、帰還艦隊の戦闘能力が改めて問われるかもしれない。




◇◇◇



 場は艦隊間の思考無線会議。議題は発見された未確認艦隊について。各々の表情は険しい物だった。


閻魔(えんま)様のおっしゃった艦隊ですね。誘導弾を主力とした艦隊は厄介ですね。」


 諏訪中佐は深刻な表情をしつつ、チョコレートを齧る。重要な会議の場のはずだが、各々はいつものごとく、飲み物とお茶菓子を用意して会議に(のぞ)む。


「確かに厄介じゃの。何が厄介かじゃが、儂等の艦隊の戦闘能力を、どこまで当てにして良いかが分からんの。相手は近代兵器。資料でしか分からんのぉ。」


 浅間中佐は軽くため息をつくと、一口緑茶を啜る。その机の上には、美味しそうな最中が置いてある。


「資料で確認したけどよ。誘導弾は十分迎撃可能だぜ。問題はその数だ。搭載している種類によるけどよ。最悪、二〇〇〇発以上の誘導弾が飛んでくるぜ。」


 八坂中佐は腕組みをしている。その思考している横には、ソーダ水の瓶と乾パンが置いてある。


「誘導弾の数も懸念材料だが、最悪、核兵器も考慮しないとな。そのあたりは、理力工学の応用でどうにかなったな。」


 靖國大佐は(あご)に手を当てて思考している。珈琲(コーヒー)の湯気が水筒から立ち上り、戦闘糧食の烏賊(イカ)の軟骨が、皿に盛りつけられている。


 三〇隻もの大艦隊が、大量の誘導弾を放つ。しかもその中には、核弾頭もある可能性を考慮する。彼らはそれらの対応に迫られているのだ。


 しばし沈黙が支配する。その中で烏賊の軟骨を一つ齧った靖国大佐が、言葉を紡ぎ始める。


「とりあえず現状を再確認するぞ。三〇隻の艦隊は、こちらにまっすぐ向かって来る。(けが)れを含めて、増援なり横やりなりの可能性はあるか。」


「いや、ねえな。泊地島(はくちとう)も閻魔の反撃以来、鳴りを潜めている。少なくとも、航路上には外国艦隊しかいねえな。」


 八坂中佐は最新の情報を提示する。探査艦隊が現在も探査している情報で、リアルタイムで表示されている。その情報は、帰還艦隊と推定外国艦隊以外の反応は無い。


「推定接敵時間は二三時間後。現在、戦闘員を順次休息させている。接敵三時間前には戦闘準備は完了する。」


「戦闘員の士気も旺盛です。実に頼もしい限りです。」


 諏訪中佐も情報を提示する。艦隊の精神状態を示す資料だ。諏訪中佐が戦闘員に、高級戦闘糧食の配布を指示していたのを、靖国大佐は思い出す。


「さて、問題はこちらの艦隊の出方じゃな。靖国大佐、何か良い案はあるかの。」


「浅間中佐の意見を聞きたい。どう思っているのだ。」


 靖國大佐は、浅間中佐の質問を質問で返す。この好々爺(こうこうや)はすでに考えをまとめている。靖国大佐はそう判断していた。


 指名された浅間中佐は髭をいじる。そしておもむろに口を開く。


「わしの考えじゃが、戦力の出し惜しみはいかんじゃろう。誘導弾もたくさん飛んでくるからの。」


 そこまで言って一拍置く。そして次に出た台詞は、他の面々の思考を一瞬停止させた。


「なれば、こちらも戦力を出し惜しみせんのが良いじゃろう。奴らの倍の艦艇で対応するのがよかろうて。」


 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


 楽しんでいただけたのであれば、幸いです。


 次回は外国艦隊に対する布陣についての話です。


 それではまたお会いしましょう。


 追記:三月は多忙になるため、週一回の投稿が続く恐れがあります。その時は、その都度連絡いたします。

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